【代表インタビュー】連続起業家の髙岸が、インターン、DeNAでの経験も含め、今学生に伝えたいこと | Saitan株式会社
「インターン経験で、学生のうちから他の人と圧倒的な差をつけたい」と考えている人はいませんか?Saitanを創業した髙岸代表も、学生時代からインターンをはじめとするさまざまな経験のすえに起業に至っ...
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スタートアップと聞くと、どうしても事業の成長スピードにばかり注目が集まりがちです。実際、「組織づくりは後回しで、まずは事業を伸ばすことが先決」と考えるスタートアップも少なくありません。そんな中でSaitanは、創業初期の段階から「価値観」と「行動指針」を明文化し、掲げてきました。
では、なぜスタートアップの初期からそれらを定める必要があるのか。それぞれの価値観や行動指針にはどのような想いが込められ、どのように意思決定や働き方へ影響しているのか。代表の髙岸さんに、その背景を伺いました。
髙岸龍之介/代表取締役社長
学生時代はITベンチャー企業・ファーストリテイリング本社などで長期インターンを経験。大学院卒業後、DeNAに入社。退職を機に1社目である0rigina1を創業、2022年にSaitanを創業する。
大きな理由は「自分たちが何のために仕事をしているのかを見失わないようにする」ためです。スタートアップはスピードが命だと言われますが、早く走ろうとすればするほど、忙しさのなかで「自分の時間の使い方」や「会社が目指しているもの」を忘れてしまうリスクがあります。少人数であればあるほど、一人ひとりの判断が積み重なって成果が決まりますから、価値観を明文化し、いつでも立ち戻れる場をつくっておきたいんです。
就職活動を始めた頃、同じアドバイスでも自身の状態によって響き方が違うことに気づき、「一度でも『いいな』と思った考え方は絶対どこかでまた役に立つ」と確信して。日頃からメモを取り、抽象化して自身の価値観に落とし込む習慣を身につけました。こうした個人的な経験が、創業初期からの明確な価値観設定へと繋がっています。
たとえば新規事業を考えるとき、売上や利益だけに目が行きがちですが、そもそも「お客様にとって意味のあるサービスか」「自分たちは本当にやりたいと思っているのか」という基準を価値観から引き出せるようになります。会社としてどんな姿勢で事業を進めたいかが可視化されていると、メンバー間で迷ったときに「私たち、何を大切にするんだっけ?」と戻ってこれるんです。そこで「これは自分たちの価値観に反するかもしれない」と判断できれば、いくら儲かりそうでも手を出さない。逆に「自分たちの軸には合っているからやろう」と決断がしやすくなるんですよ。
Saitanが掲げる6つの価値観について紹介します。
企業活動の主役は、メンバー一人ひとり、考え方や事業に共感してくれたメンバーの一人ひとりの人生を最大限尊重し、共に会社を成長させよう。
髙岸:僕の哲学でもある「主観的幸福の最大化」を大事にしているんです。周りがどう言うかではなく、自分自身が「今、幸せだ」と心から思えることが何より重要だと考えています。生きる意味が与えられているわけではない以上、「自分がどう生きたいか」「自分の人生をどう幸せにしたいか」を追求することが大切だと思っています。人間って、やりたくないことは続けられないし、自分の幸福感とまったく無関係な仕事をしていると、必ずどこかで辛くなるものじゃないですか。
だからこそ「まずは自分の人生を大切にしよう」というメッセージを伝えたくて、この価値観を掲げています。大きなビジョンを掲げるのも素敵ですが、それを支える個人個人が自分の人生を幸せに思えていないと、結局うまくいかないんじゃないかと思うんです。
人それぞれいろいろな仕事観や目標があっていいと思いますが、少なくとも僕自身は「1日1日を悔いなく使いたい」と考えてきました。やりたいと思うならやる、そのときに感じた幸せ感や満足感が次の行動につながる。だからメンバーにも「誰かに言われたから仕方なく」ではなく、「本当に自分が意味を感じられるから仕事に向き合うんだ」と思ってほしいんです。
いつからか、社会のしがらみや周りの目を気にして自分のやりたいことをできなくなっている。だからこそ、子供の頃の遊びのように自分の心の赴くままに楽しもう。
髙岸:子どもって、やりたいことを本能的にパッとやるじゃないですか。あれって、本当に「楽しそう!」って思ったから飛び込んでるんですよね。
大人になると、周囲の目とか社会のルールとか、いろんなものを気にしてやりたいことを素直にできなくなる。でも、実はその「心が躍る」感覚こそ、新しいアイデアや次の一歩を生む原動力になると思うんです。心が向くままに行動するって、意外と大事なことなんですよ。
自分、自分の大切なひと、仲間の大切なひと、お客様を大切にできるように行動しよう。そして成長と共に大切の輪を広げよう。
髙岸:僕の場合、家族の存在がかなり大きいんです。めちゃくちゃ仲が良くて、毎年みんなで旅行に行くくらい。自分が大切だと思う人のために時間を使うことを遠慮なく選べる環境って大事じゃないですか。でも、仕事が忙しくて家族行事に参加できない、なんてことはよくありますよね。だからこそ、「大切な人が困ったときはいつでもサポートし合おう」と決めておきたいんです。
メンバーに家族の事情や大切な用事が出てきたなら、「それなら仕事はフォローするから、遠慮せず行ってきて」と言える組織でありたい。それで全員が自分や大切な人たちをちゃんと優先できるような会社にしたいんです。
私たちの商売は、お客様に喜んでいただき、満足していただくためにある。お客様の方を向いて商売をしよう。
髙岸:結局、僕らが何かを作って提供するのって、その先にいるお客様を喜ばせたいからなんですよ。
お客様が「こういうことしたい」「ここが困ってる」って言ってくれたら、それに対して一歩先を提案したい。お客様が自覚している課題より、もっと面白い解決策があるかもしれないんです。
そこを想像力働かせて先回りして、「このほうが絶対いいじゃん!」って驚かせるのが、仕事の醍醐味だと思ってます。
売上を最大化しコストを最小化することで利益を残し、仲間で分け合い、そして新規事業という形で新たなお客様へ、税金という形で社会へ還元していこう。
髙岸:会社が利益を上げるというのは、その分だけ世の中に価値を提供できたということでもあります。それなら、その対価をチームで分け合うのは当たり前じゃないか、という発想なんです。もちろん再投資という形で新規事業を生み出すことで、さらに多くの価値を返していくことも大切です。
もう一つは、国や地域との関係性ですね。税金を納めることも含めて、社会に価値を還元するイメージを持っています。スタートアップは小さい組織だからこそ、インフラ整備や社会保障のような領域には直接手が回らない。だからこそ、利益の一部はちゃんと公共へ回すのが自然だと考えているんです。
胸を張って、周りに自慢できるようなことをやろう。関わる人全てを幸せにすることができるような事業をど真ん中で堂々と創ろう。
髙岸:ど真ん中、堂々と胸を張れるかどうかっていうのは、一種の“指針”です。実際、「楽に儲かりそうだけど、あまり自分たちの価値観には合わない案件」って出てくるんですよ。ただ、人に胸を張って説明できない仕事は選ばないようにしています。誇れないことには手を出さない。それが僕らのスタンスですね。
結局、そういう姿勢で進んだほうが信用も得られるし、自分自身もモヤモヤしない。
関わる人がハッピーになれる事業を作るためにも、最後は「自分たちが誇れる道を選ぶ」っていうのがブレない軸になってます。
Saitanの行動指針には、「人としての指針」と「仕事の指針」の二つがあります。
今回は、そのうち「人としての指針」について、概要とともに、いくつかの項目をピックアップして詳しくご紹介します。
人として徳を積み、高い品性を保ち、品格のある人間になろう。一事は万事の精神で挨拶・掃除など当たり前のことを当たり前に実施するところから徹底しよう。
髙岸:僕はよく、「品のある強豪校になろう」って話すんです。強豪校や一流チームの雰囲気をイメージしたとき、徹底したマナーや整理整頓などの積み重ねが生む上品さがあるんですよね。最先端の技術を使っていても、足元がおろそかだと本当の強さは出ない。1つ例に挙げるなら、毎週木曜夕方は全員でオフィス掃除をするなども徹底しています。挨拶や掃除みたいな地味なところを丁寧にやることが、結果としてチームの統制力や雰囲気の良さにつながると考えています。
心身の健康の上で全ての生命活動は成り立っている。自分、および自分の周りの人の心身の健康を第一に健康への投資は惜しまず実施し、常にベストな状態を維持しよう。
髙岸:どんなに面白い仕事でも自分が倒れてしまったら続けられないし、周りの仲間や家族にも迷惑がかかる。スタートアップはとくに忙しいイメージがあるので、健康をおろそかにするとすぐに組織全体にも影響が出ます。だからこそ「健康第一」。ベースがしっかりしていないと、どんな価値も生み出せないと思っています。
全てのことへの感謝を忘れずにいよう。そして、その感謝をちゃんと伝えるようにしよう。
髙岸:自分が感じている感謝を、ちゃんと口に出すのって意外と難しいんです。でも言われて嫌な人はいないし、言われないと分からない。そこで週次の定例ミーティングなどでメンバーへの感謝を共有するコーナーを必ず設けています。小さなことでも「ありがとう」と言えると、コミュニケーションがスムーズになりますね。
いつかは死ぬのだから、自分の時間と人生を大切に使おう。最高な毎日を過ごそう。
髙岸:大学生の時から、「みんな人生1000年あるように生きているな」と思っていて。実際には寿命という壺は決まっていて毎日その壺から一つずつ容量が減っているのに、そんなイメージなんですよね。いつ壺が空になるか、誰にも分からない。やりたいことを先延ばしにしていると、明日急にチャンスを失うかもしれない。だからこそ「今本当にやりたいなら、今やろう」と思えるかが大事だと思っています。
遊ぶ時は本気で遊ぼう。人生の余白を大事にしよう。
それぞれのバックグラウンドや状況や環境を想像し、否定せず多様な価値観の存在を受け入れよう。
正の感情も食の感情も自ら取り扱えるようになろう。負の感情をコントロールできない大人にならないようにしよう。
髙岸:生まれた感情の種をどう扱うかは自分次第ですから。レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を持ってほしいという思いを込めています。
素直な心を持って、全てのことに接しよう、裏表のない真っ直ぐなやつでいよう。
髙岸:これはサイバーエージェントさんの言葉の影響もあって、要は「裏表がない」「屈託のない」状態を目指そうってことです。変な勘ぐりや疑心暗鬼がないだけで、組織の雰囲気は驚くほど良くなる。何でもYesと答えればいいわけではなく、納得できるまで理由を聞いて、誠実に行動する。そしてGIVERな人も”いいやつ”。そういう裏表のないメンバーが集まると強いんじゃないかって思うんですよね。
Saitanが掲げる価値観や行動指針は、単なるスローガンではなく、「自分たちは何を目指し、どう行動していくのか」を示すコンパスそのもの。
スピード重視のスタートアップであっても、土台となる考え方を共有し、メンバー一人ひとりが「何のために走っているのか」を見失わないための大切な拠り所です。
これらの指針があるからこそ、日々の意思決定にもブレが生まれにくく、組織としての一体感を生み出しています。自分たちの大切にしたい想いを明文化し、迷ったときはそこへ立ち戻る――その積み重ねが、Saitanのこれからを支える大きな力になるはずです。
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