「動く前に考えても、どうせ分からない。だから、行動しながら考える」
その哲学が、彼を2025年のMVPへと導いた。
HRソリューション事業本部のプロデューサー・谷川生磨。
彼は、緻密なデータ分析を行う「職人」でありながら、誰よりも足を動かす「圧倒的行動者」だ。
なぜ彼は、思考停止を恐れるのか。
なぜ、自分の常識を自分で壊し続けるのか。
そして、毎週日曜日に雨でも欠かさず行う、意外すぎる“願掛け”とは。
静かなる闘志で「3年で一番になる」を有言実行した男の、勝利の方程式に迫る。
ーMVP受賞、おめでとうございます。最大の勝因をご自身で“分析”すると、何だったのでしょうか?
ありがとうございます。勝因は、『圧倒的な行動量』、これに尽きると思います。新規の提案機会を積極的にもらいにいくのはもちろん、既存のお客様とも短いスパンでコンタクトを取り続けました。
特に意識したのは、お客様の決裁フローを把握し、『お客様と一緒になって、どう伝えるか』を作戦会議すること。そして、森川さん(代表)や弘さん(取締役)という“切り札”を、どの場面でどう使えば最も効果的か、徹底的に考え抜きました。
実は、前々期の初めは『前と状況が変わってないよね、ただ引き継いでいるだけ』という、厳しいフィードバックをお客様からいただいたんです。それが本当に胸に刺さって…。そこから意識が変わり、常に『次の提案』を頭に入れて商談に臨むようになりました。
そして何より、『3年で一番になる』と決めて公言していたこと。その覚悟が、自分を追い込み、やるしかない状況を作ってくれました。
ー谷川さんは『論理的な戦略』と『尋常ではない行動量』を両立されています。その『質』と『量』は、どう結びついているのですか?
私の仕事の原点は、前職の上司に言われた『谷川、行動しながら考えろ』という言葉です。 世の中には『考えるだけで動けない人』と『考える前に動きすぎる人』がいますが、僕はその中間。まず『Do』から入るんです。
動く前にどれだけ完璧に考えても、どうせ分からない。だったら、まずやってみる。失敗したら、その時変えればいい。失敗したって、誰も気にしません。でも、行動した事実は残る。行動しなかった人より、圧倒的に前に進んでいます。
今の僕は、良い意味で『失敗してもいい立場』だと思っています。だったら、悩む時間があるなら、挑戦した方が得。その“Do”の回数を、誰よりも早く回し続けているだけです。悩んでいる時間は、思考ではなく“停止”ですから。
ー多くの本を読まれるそうですが、そのインプットをどう行動に活かしていますか?
読んですぐにアウトプットしようとは、実はあまり思っていません。無理やり使おうとすると、薄っぺらくなる。それよりも、大量にインプットした知識が、自分の中でじっくりと“醸成”され、商談のここぞという場面で、ポンっとクリティカルなアイデアとして出てくる。そちらの方が、本質的だと思っています。
ただ、最近読んで『これは!』と思ったのは、『世界で一番やさしい考え方の教科書』という本です。 『考えろ』と言われても、何をすればいいか分からない。多くの人が、PCの前で『うーん』と悩む時間を“思考”だと勘違いしている、と。
この本は、『悩む』と『考える』を明確に切り分けろ、と言います。『うーん』と悩むのは、ただの“停止”。思考とは、まず思ったことを全て書き出すこと。そこから問いを立てれば、勝手に整理されていく、と。
僕も、パワポの色やフォントをいじりだしたら、『あ、今オレ、悩んでるな』と自覚します(笑)。その“悩む時間”をゼロに近づけることこそが、仕事が早い人の正体だと学びました。
ー冷静沈着な谷川さんですが、その“内なる熱”が最も燃え上がるのは、どんな瞬間ですか?
変態だと思われるかもしれませんが、逆境に追い込まれれば追い込まれるほど、燃えますね。 『やるしかない』という状況が、一番アドレナリンが出ます。
前期も、プロセスが全くうまくいかない時期がありました。でも、僕は『必ず最終的に一番になる』と決めていた。その状況から『どう巻き返すか』を考えることに、燃えていました。
『このままでいいのか!?』と、常に自己暗示をかけ、一番になるという目標だけは握りしめていましたね。
…ただ、これは本当に、運も大きかった。MVPは、上長やチームメンバー、森川さん、弘さん、本当に多くの方の協力があって、その“運”を掴めた結果です。もちろん、頑張った自分も認めますが、それだけでなれたとは、微塵も思っていません。
ー『職人肌』として、『完璧な仕事ができた』と納得できるのは、どんな時ですか?
正直、今の自分で『完璧なアウトプット』は、まだ出せないと思っています。 なぜなら、一度“完璧な作品”を作ってしまうと、それに固執して、それ以上成長できなくなる気がするから。
だから、僕にとっての『良い仕事』とは、むしろ『今までの自分の常識を、自分で壊せた時』です。 新しい知識を得るたびに、過去の自分を壊し、再構築する。提案資料も、お客様に言われる前に、自分で作って、捨てて、また創り直す。
自分の考えを、自分で超えていく。そのプロセス自体が、僕にとっての“職人”としてのこだわりです。
ー『全く論理的ではない』けれど、欠かせない“願掛け”のようなものはありますか?
あります。日曜日の夕方、近所のごみ拾いを1時間やることです。 これは、もう2年くらい、大晦日だろうが、雨だろうが、旅先だろうが、毎週欠かさず続けています。
大谷翔平選手もやっていますが、僕の場合は『徳を積んでいる』というより、『やると安心する』んです。今週どれだけトラブルがあっても、『まあ、ごみ拾いしたし、最終的には丸く収まるだろう』と(笑)。
神様には頼りませんが、『こんだけやってるの、僕ぐらいじゃないですか?』という、最後の“安心材料”ですね。もう、やらないと気持ち悪いです。
ーMVPのパフォーマンスを支える、“最強の休日の過ごし方”とは?
最強かどうかは分かりませんが(笑)、僕の休日は、ほぼルーティン化されています。 8時までに起きて、スムージーを飲む。そこから、その週に着たシャツ全ての洗濯とアイロンがけ。他の洗濯も回し、12時頃に一段落。
そこから、読書とアニメタイムですね。最近は『ヒロアカ』とか。15時頃に1週間分の食材を買い出しに行き、作り置きを完成させます。
夜は、趣味である経済や政治の勉強。本や動画でインプットします。お風呂にのぼせるくらい浸かって、22時からは『モンハンパズル』というゲームを1時間。23時には寝ます。これが、僕の完璧なサイクルです。
ー最後に、未来の仲間に。MVPを目指すために必要な“たった一つの資質”とは?
『決断する』こと。これだと思います。 MVPを取るなら、上に頼ってばかりではダメ。自分で『決断』し、その責任を取り切る。その覚悟です。
決断は、大きなことだけじゃありません。『今日、何食べるか』『デートの店をどこにするか』、そういう小さな決断を、日々、他人に委ねず、自分で決めていくこと。そこで『嫌だ』と言われたら?次の提案をすればいい。間違いを恐れず、とにかく“決める”ことが大事です。
この会社は、チャレンジを歓迎してくれます。動きながら考えられる人、たくさん失敗して、それでも燃えて向き合える人。そういう人と一緒に働けたら、最高ですね。