こんにちは!ブランド戦略室、髙野です。
今回はProVisionの中でQAサービスを担うQI事業部の事業部長である梨本健太さんへ『QAの今後と市場におけるProVisionの強み』についてインタビューを実施しました!
執行役員兼QI事業部事業部長 梨本 健太
2007年にProVisionへ入社。システム運用や改修を経験の後、QAマネジメント職へキャリアチェンジ。現在は執行役員兼、QAサービスを展開するQI事業部にて事業部全体を統括する事業部長を務めています。
QAという職種が、1つの人格として認められてきた
—— 早速ですが、ITやQAのマーケットの現状や今後をどう見ていますか?
まずITの分野に関してですが、今まで紙を使用したり人の手で行っていたことが、ITの力を借りてPC上でできるようになるという流れは現在も加速を続けていますし、今後もその勢いが衰えることはないだろうなと思っています。その上でQAのお仕事というのは、必ずITのものづくりとセットになるので、ITの市場が伸びている以上QAの市場も同様に伸びていくのは必然かと思います。
例えば最近の有効求人倍率で見ると、全体の数値は1.6倍程度なのに対して、情報処理や通信技術者といったIT系の職種でいうと2.3倍とか。他の職種と比べても、IT系の求人数は増えていることは明白ですし、それだけ世間でもそういった人材が必要とされている事実はまだまだ変わらないのではないでしょうか。
あとはこれは数字ではなく僕が肌で感じている部分ですが、求人サイトなどを見ると、昔はプログラマーや社内SE、エンジニアとか、そういう系の求人募集が多かったじゃないですか。でも最近は、QAという言葉での求人がめちゃめちゃ増えているなと感じます。大手求人サイトの中でも本当に多く目にするというか。そういう部分からみても、QA という職種がより一般的なものになってきたように思えます。
もっと言うと、昔はQAというと開発の新人さんが一番最初にやる作業と思われがちだったり、ゲームを開発したメーカーさんがアルバイトなどにやってもらうのが普通だったと思うんですけど、最近はそういう認識ではなくなってきていて。QAエンジニアが、1つの職種、人格として、しっかりと社会に認められてきたなと感じています。
その背景には、QAの仕事の重要性や専門性が高まってきたことがあるかと思いますね。
QAのお仕事って、ものづくりをしている人がものを作り終わってお客様にお届けする手前で、本当にお届けしていいものなのかをチェックする役割なので、よりユーザーに寄り添った製品を作る為にユーザーと開発側との橋渡しとしての重要度が非常に高まっていますし、QAがうまく機能しないとせっかく作っても製品が思うように売れないという影響もあります。
コストの面から見ても、世の中に打ち出す前の開発工程で不具合を発見・改修するのと、打ち出した後に不具合を改修するのとでは何十倍もの差が出てきますしね。そういう意味でも、QAが司る品質に対する気運や意識は当たり前に高まっているのかなと感じています。
—— QAってものづくりにおいてはかなり大事なポジションであることを社会が認知し出したのですね!QAという職がメジャーになってきた中でもデバッカー、テスターというのは一般的に見てもイメージしやすいかと思うのですが、もう少し専門性の高いスペシャリストなQAもありますよね?
そうですね!
QAといっても仰る通り、実際に様々な項目のテストを行うテスター・デバッカーと、それよりも上流工程で、そもそもどういう品質を世の中にお届けするのか、何をどこまで担保しに行くのか、この製品の品質をどう定義するかなどを、企画者・開発者に提案したり共に考えるQAコンサルがいたり、品質を担保する為のテスト計画を立てたり、その計画に対してきちんと実行できているかを管理・モニタリングをするQAマネージャーや、人の手でやっているテストをツールなどを使って自動化したり、何を自動化するか検討するエンジニアがいたり。
テストアナリストと呼ばれる、品質に関わる様々な情報を分析し、次のテストや次の開発に生かしていくような職も出てきています。
一言でQAといっても、非常に多種多様になったなと思います。深さがあって、夢があるんですよね!笑
—— 確かに、すごく夢がありますね…!ちなみに、QAを経験した後にものづくりの企画側、ディレクターにまわる人もいると聞きましたが、それは本当ですか?
そうですね、そういうキャリアチェンジをする人も珍しくはないかもしれません。
理由としては、テストのフェーズってものが出来上がる一番最後の工程で、開発とユーザーを繋ぐ部分なんですよね。
そのテストを担うということは、そもそもこの製品がどう動かなければいけないのか、という開発側の知識や意図を知らなければならないし、実際にユーザーが使ったときに良いと思うものはどういうものか、といった仕様周りにも詳しくなるアドバンテージがある。
実際、開発の最後のテスト工程で不適切な仕様を検出するよりも、開発をする前の企画の段階で適切な仕様を考えられる方がプロジェクトとして健全であることは間違いありませんから、QAで培ったユーザー観点や品質についての知識を持って、実際に開発をするより前の、ディレクターと呼ばれる企画側に回る人も増えてきています。
日本におけるQAの価値を向上させたい
—— 今後もQAの職はますます大事になってくるように思えますが、QAの仕事の仕方などは自動化やAIの普及によって変わってくるのでしょうか。もう既に変わっている部分だとか、こういうことを想定しているなどありますか?
AIであったり、RPAであったり、DXと呼ばれるルーティーンワークを自動化できることがスタンダードな社会になりつつあるので、その中で決められた業務を決められた通りに行うだけの作業者であれば、ニーズは縮小していくだろうなと思っています。
ただ結局どんなサービスであれ、それを使うのは人間なので、機械が自動でできるものと、人の手でやらなければいけないものは両方混在していくと思います。そしてそうなった時に、“何を機械でやるのか”、“何を人の手ででやるのか”といった部分をデザインするのは人間でしかできない部分なので、ここはAIやRPAの普及が進んだとしてもなくならないだろうと考えています。
そう思っているからこそうちの社員には、実際のテスト実施やテスト設計などの経験を経て、より上流工程のQAコンサルやQAマネージャー、もしくはより専門性のあるテスターになってほしいんですよね!
ちなみに…日本だとまだ人気の職業ランキングにQAエンジニアは入っていないんですけど、アメリカだと昨年の最良の仕事ランキング第16位がQAエンジニアらしいですよ!
—— え!すごーい!!なんでですか??
やっぱり海外の方がQAの立ち位置って高いんですよね。QAがOK出さないと製品を世に出せないので、何か新しいものを世に出すという一連の工程の中においては高い立ち位置にある。そういう意味で人気も高いですし、アメリカのQAなんかは日本のQAの平均年収の倍近い額だったりします。アメリカでは本当にステータスのある職業なんですよね。
ただ、日本では正直まだそこには至っていない。その事実に対して、せっかく私はこの会社の中でQI事業部(QAサービスを担う事業部)を司るポジションにいるので、日本の中でもQAの地位をあげていきたいなという想いはありますね。多くの人が憧れる人気の職業にしていきたい。
Appleとか、Googleとか、AmazonにFacebookなど、アメリカには名だたる企業が多くある中で、QAという職種は事実、非常に高い立ち位置を確保できている訳で。アメリカだろうと日本だろうとものづくりの現場は変わらないと思うので、日本でも同じことが実現できると思っています。
—— アメリカで実現しているのであれば、日本でもできるような気がしますね!そんなQAの理想の姿を実現しているアメリカと日本の違いや、日本の課題って何だと思いますか?
それはQAという職種の認識の違いと、担っている役割の違いだと思っています。
先程触れたように、日本のQA職には、IT未経験の人でも入り口として入りやすい業務がまだあります。ただ実際にはそれは入り口に過ぎなくて、キャリアとしてはそこからどんどん上にいくことはできるのですが、そのキャリアを実現してる人は日本にはまだ少ないんですよね。
実際のアメリカのQAエンジニアと呼ばれる人たちは、何を品質とするか、その品質を担保するためにどういう活動をしていくべきなのか、その活動が計画通りに実行されているのかというような上流工程に携わっている認識なので、そこがまず大きく違うのだと思います。勿論実際に手でテストを行うテスターが存在しない訳ではありませんが、QAというと上流のイメージが主となっていることは間違いないですね。
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