フェムテック企業として女性のライフステージにおける課題を解決するブランドBELTAを運営するベルタ。今回は新卒1年目の社員が代表の武川に、ベルタがフェムテック企業として目指す未来についてインタビュー。
インタビューを通して、ベルタとお客様との関わりやベルタがお客様や社会に対して抱く想いが見えてきた。
「あなたがあなたを好きになれる社会のためのBELTA」
このワードに、当時大学4年生で就活中だった私は心惹かれた。
私は、自分の体がずっとずっと嫌いだった。
5歳の時、スイミング先生に「どうしたのそのまんまるなお腹〜!何食べたらそうなるの〜笑」と言われたこと。
15歳の時、誰よりも日焼けに気をつけていたのに「誰よりも黒いじゃん」と言われたこと。
変わっていく自分の体と、それに対する目や言葉がすごく嫌だった。
自分の体や傷ついている心をなるべく隠して、自分でも見えないようにしてきた。
そんなことを繰り返していたら、いつしか自分の感情や「好き」という気持ちがわからなくなってしまった。
そんな幼少/思春期を抱えた新卒社員が、
「私たちは、世界40億人の女性が 私、周り、世の中を好きになれる社会を目指す」
という理念を掲げているフェムテックD2C企業、株式会社ベルタの代表にインタビューをした。
あなたがあなたを好きになれる社会のためのBELTA
ーまずはベルタの理念についてお聞きしたいです。ベルタでは「女性のライフステージ課題を解決する」というミッションと「世界40億人の女性が、私、周り、世の中を好きになれる社会」を作るというビジョンを掲げていますよね。なぜ、ライフステージ課題を解決することではなく、好きになれる社会を目指しているのでしょうか?
究極、課題を解決したらまた次の課題が出てくるよね。なので解決はきりがないと思っていて、解決したところで幸せになる人もいれば、そうでない人もいるだろうなと。
こう思う背景には、ずっと自分が思っているところがあって。
個人的になるけれど、自分が死ぬ時には自分が生まれた時よりも、良い世界にしたいという思いがあるんだよね。それは何かを解決するというよりは、皆が「世の中って最高、好き」と思える状態なんだよね。な話
ー「解決」することに重きを置いているのではなく、「世の中が好き」と感じている人を増やしたいのですね。
そう。でも自分のことで悩んでいたり自分のことが嫌いな人は「世の中って最高だ」とは思えない。
だからこそ、まずは自分のことを、そして自分から周りに、周りから世の中にどんどん好きが広がっていくことが最高な世の中を作れると思って、このビジョンを掲げたんだよね。
目の前のお客様の課題を解決したい、その先にあった「フェムテック・フェムケア」という領域
ー13年前に前身である株式会社ビーボを創業した時は、フェムテック・フェムケアという言葉自体がそもそもなかったと思うのですが、どのようにしてフェムテックD2C企業であるベルタが出来たのでしょうか?
流れとしては、一番最初に美容とかダイエットを目的としたお客さん向けに酵素ドリンクを出していたんだよね。
その時から、お客さんは酵素ドリンクを飲みたいのではなく「こうなりたい」という目的を達成するために商品を買ってくれる、だからその目的達成に向けて徹底的にサポートしようというカスタマーサクセスの概念はあって、実際に自分自身もお客さんと密にコミュニケーションを取っていたんだよね。
ー武川さんが直接お客様と電話で話していたのですか?
そうそう。お客さんとのコミュニケーションの中で、産後ダイエットをしているお客さんと話すことが多くなって、妊娠中や産後の課題がぼんぼん出てきたんだよね。
そうしたリアルな話の中で、妊娠や出産のしんどさも、出産の素晴らしさも知ったんだよね。
ーお客様から出てきた課題というのは、どういったものがあったのですか?
大きく分けると身体的なものと、精神的なものの2つ。
特に精神的なところが大きくて、妊娠してお腹が大きくなる、つわりが始まるとかの身体的な変化に伴って、生活スタイルや交友関係、夫婦関係のコミュニケーションと環境面も色々変わっていくんだよね。そうすると、孤独を感じたり、何が正しい情報なのかわからず不安になったり…そうした精神的な課題を抱える人も結構いたりする。
ー自分自身だけではなく、周りのありとあらゆるものも変化していきますよね。
そう。そうした悩みを聞いて、出産に向けての準備はもちろん、妊娠中のケアって世の中全然進んでいないんだというのをすごく感じた。
出産って一人の人の人生を作ること。すごいことだよね。妊娠期間は人の人生を作る神秘的で素晴らしい時間であるにも関わらず、なぜこんな不安を抱えなければいけないのだろうと考えていたね。
ーBELTAブランドの成り立ちは、目の前のお客様からスタートしたのですね。
そうだね。その中で社員も妊娠する人が増えてきて、身体的な変化はもちろん気持ちの変化まで、目の前で見るようになって、改めて妊娠中からコミュニケーションを取って精神的にサポートすることが大事だと認識したんだよね。
それでBELTAがこの領域をやるべきだとなり、葉酸サプリとか妊娠中のお客さんにアプローチする商品やサービスが始まったんだよ。
BELTAブランドの「ライフステージに寄り添う」想いの原点は、目の前のお客様のライフステージの変化だった
ーBELTAブランドはコンセプトに掲げているように「女性のライフステージに寄り添う」ことを大切にしていますが、ライフステージに沿った商品やサービスの展開の原点は、今のお話に繋がるのでしょうか?
そうだね。最初からライフステージを描いていたわけではなくて、お客さんとコミュニケーションを取っていく中で、ライフステージ変化の課題を聞いて知ることが多かったかな。
ちょうど展開し始めた更年期の方向けのサービスもまさにそう。
葉酸サプリを販売して10年くらいになると、妊娠出産を終えて45歳過ぎたあたりから更年期に入ってきたお客さんが増えてくるんだよね。お客さんのライフステージ変化を受けて、ライフステージづくりを会社としてやっていこうとなったんだよね。
ー今までのお話を聞くと、目の前のお客様の声を聞いて解決のために事業拡大やサービス展開をしていく中で、振り返ってみたらフェムテック業界にいたのでしょうか?
最初はそう。今は意識的にやっているかな。だから「女性のライフステージ課題を解決する」というミッションを掲げてやっているんだよね。
お客様とずっと手を繋ぎあっているフェムテック企業でありたい
-世界的にもフェムテック業界は急成長しており、2019年から2027年にかけてその市場規模は3.2倍にものぼると言われています。そんな成長遂げているフェムテック業界の中で事業をしていくことに対して、何か特別な難しさを感じていることはありますか?
事業は何をやっても難しいからね。ただ、フェムテック業界でやることの難しさがあるとしたら、まだ顕在化されていない領域が多いことかな。予防医療に近いところもあって、目の前に起きていることではない&まだ問題になっていない未来に向けたものだから、そこの難しさはあるかな。
-なるほど。未来のことだからこそ自分ごとになるまでが遠いのですね。フェムテック企業やサービス、商品は色々とありますが、今後業界の中でBELTAはどのような存在でありたいと考えていますか?
何か一つのプロダクトがすごい!という存在にはなりたくないと思っていて。一つの商品で解決出来るものって、変化するライフステージには寄り添えないから、自分たちがお客様と一回繋がったらずっと一緒にいられるような存在でいたいと思うかな。ずっと手を繋いて歩いていきたい。
-お客様と手を繋いでいきたい。その感覚が、やっぱりすごくお客様と密な関係性だからこそ出てきた言葉なのかなと。
かもしれないね。この商品を届けたい!じゃなくて、ずっと手を繋いでいたいし、繋いでおいてあげたい、みたいなそんな存在でありたい。
プロフィール:武川克己
1984年京都府生まれ。株式会社ベルタ代表取締役社長。
2010年9月に株式会社ビーボを設立。健康やキャリアなど様々な領域から女性が抱える課題にアプローチする事業を複数展開する。2013年には、プレコンセプションケアから更年期まで長きにわたり女性のライフステージ変化をサポートするD2CブランドBELTAを立ち上げる。カスタマーサクセスに力を入れ、これまで96万人の女性をサポート。2020年12月に分社化を行い株式会社ベルタを設立して以降「女性のライフステージ課題を解決する」をミッションに掲げサービスの展開を行う。
プロフィール:IJU
23年新卒社員。自身の過去の経験から「あらゆる女性・こどもたちが"この社会に生きていてよかった”と思える社会」を実現したい、という強い思いを抱き、株式会社ベルタに入社。現在は、ベルタのブランディングを担う部署に所属し、日々ベルタの価値観を届ける業務に携わっている。
~インタビュー後記~
正直なところ「企業がお客様にできることって、商品を届けて終わり」だと、思っていた。
でも代表である武川の言葉一つ一つから、今年で10年目を迎えるBELTAの根幹の思いが見えてきた。
お客様が抱える悩み、それも体や心の、あまり人には言いづらい悩みに企業がこんなにも向き合い続けることができるのか、と。
あなたがあなたでいることを好きになってもらえるように、あなたの人生を共に手を繋いで歩んでいけるように。そんなブランドでありたいBELTAの一員として、お客様とお客様の抱える悩みに向き合っていきたい。
過去の私が、今と未来の女性たちが「自分のことが好き!」と胸をはって言える世の中を、ここベルタから作っていく。