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雑誌 Software Design 2023年10月号:インタビュー 「ポケコロの舞台裏で繰り広げられてきたチャレンジ」 趙龍植・洪銀美【後編】

この記事は「Software Design 2023年10月号」に掲載された記事を許諾を受けて転載しています。

Web3の新時代を拓くココネのエンジニアリング力を探る

世界に愛されるデジタルワールドでトップレベルの実績

第4回 ポケコロの舞台裏で繰り広げられてきたチャレンジ

2011年のリリースから多くのファンに愛好されている着せ替えアプリ『ポケコロ』。当初は伸び悩んだものの、ガチャ導入で潮目が変わった。急成長に合わせて開発体制をどのように転換したのか。『ポケコロ』の立ち上げ当時を知る趙龍植氏と、長らく『ポケコロ』に携わり現在は開発チームリーダーを務める洪銀美氏が過去と現在を語る。

━━自己紹介をお願いします。

趙龍植(以下、趙) ココネ サービス基盤開発室 趙龍植(チョウ ヨンシク)です。

洪銀美(以下、洪) ポケコロ開発のチームリーダー 洪銀美(ホン ウンミ)です。

大規模利用に合わせてフレームワークや全体構成を改良

━━ガチャ導入あたりから人気に火がついたとのことですが、新しく生じた課題はありましたか?

趙 「メジャーになったな」とうれしい反面、開発体制やインフラ環境を強化していく必要が出てきました。当初はiOSとAndroidを別々に開発していましたが、2013年にiOS用で使っていたフレームワーク「Cocos2d for iPhone」を「Cocos2d-x」に変えることでiOSとAndroidの一本化を実現しました。

洪 「Cocos2d-x」は「Cocos2d」をベースに、C++向けに移植したものです。オープンソースでクロスプラットフォームに対応しているため、iOSとAndroidのアプリ開発を同時に進めることができます。

趙 2014年にはシステム全体を刷新しました。私たちはCAプロジェクトと呼んでいます。

洪 DAU(Daily Active Users)が伸びていく中で当時のサーバシステムでは耐えられない可能性もあり、CAプロジェクトではそのあたりも強化しました。

趙 しかし当時はチームにサーバ担当のエンジニアがいなくて、クライアント担当がサーバ担当も兼ねていました。そこでサーバに詳しいエンジニアに加わってもらい、サーバとクライアントを合わせた全体の構成(図1)を刷新することにしました。

━━2013〜2014年で大規模利用に耐え得る地盤固めをしたのですね。その後の追加機能で主要なものは?

洪 『祭』という、1画面に最大25体を表示してワイワイと賑やかに楽しめる演出のイベントを実施した際、重くならないように小さく表示する専用のアバターを開発しました。今は1画面に最大で25体表示できます。

趙 『祭』とは別に、友だちが同時に集まってリアルタイムで遊べるフレンドルームもあります。チャットしたり、一緒に写真を撮ったり、友だちの前で着替えたりできます。

洪 フレンドルームだと同じ画面に入って遊べるのは6体までで、見るだけなら20体まで表示できます。快適に遊べる限界を見ながら設定しています。

━━直近で主要な変化を挙げるとしたら?

趙 先に挙げたCocos2d-xのバージョンアップです。2021年にv3にしました。

洪 毎週のように新しいアイテムをリリースしているので、本番環境を止めるわけにはいきません。トータルで1年くらいのプロジェクトになりました。

趙 ただしこれで終わりではなく、最終的にはv4に移行します。一足飛びにv4に進めないので、まずはv3にバージョンアップしました。v3以降はそんなに大変ではないと考えています。

洪 バージョンアップする理由はApple(iOS)のMetal(低オーバーヘッドのコンピュータグラフィックスAPI)に合わせるためです。iOSで性能を高めることが期待できます。

『ポケコロ』はメタバースを先取りしたようなもの

━━これからどんなことに取り組みたいですか?

洪 リリースから長年が経過しているため、さまざまなシステムがちょっとバラバラなところがあります。2023年にやりたいことは、使っていないものは捨てるなど、レガシーをきれいにすることです。

趙 これまで「これやってみたい」と機能追加を繰り返してきたため、秘伝のタレのようなカオス状態になっていますからね(笑)。

━━ところで洪さんは韓国からの移籍であり、女性エンジニアでもありますが、ココネの多様性をどう見ていますか?

洪 日本に10年もいられるのは働きやすさがあるからだと思います。いやだったら韓国に帰っています。ココネだと私が外国人なので、みんな自然とシンプルな日本語で話してくれますし、優しさを感じます。

趙 女性エンジニア交流会も開催していますよね。

洪 女性エンジニアはまだ少ないので定期的に集まり、意見交換をしています。もし困りごとがあれば助け合えるようにしていますが、女性ゆえの苦労や相談はまったく聞いたことがないですね。ただおいしいものを食べて話すだけの会になっています(笑)。

━━あらためてココネで働くことや『ポケコロ』開発の魅力は何でしょうか?

趙 『ポケコロ』はアバターを通じたコミュニケーションをメインとしたアプリの先駆けであり、この領域を開拓してきた歴史も実績もあります。多くのファンに愛されているので、やりがいは大きいと思います。また、自分の代わりとなるアバターが仮想世界にいて、友だち同士でコミュニケーションを楽しみ、デジタルなアイテムでのビジネスも成立しています。これはメタバースと同じです。10年以上前からメタバースの世界を先取りし、実践しているともいえます。
今からWeb3やメタバースに参入しようとしても、プラットフォームやアイテムに認知度がなければビジネスとして成功するのは難しいでしょう。しかしココネには『ポケコロ』で培ったノウハウがあり、実際に『ポケコロ』のWeb3版となるアプリもリリースされています。アバターアプリだけではなく、Web3に興味があるエンジニアにはチャレンジしがいがあると思いますよ。

前編はこちら

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