この記事は「SWITCH Vol.41-No.6」に掲載された記事を許諾を受けて転載しています。
PHOTOGRAPHY: GOTO TAKEHIRO
TEXT: KAWAKAMI HISAKO
石渡真維 取締役 副社長
上智大学法学部法律学科を卒業後、二〇〇二年十月に弁護士資格を取得。以後、弁護士活動に加えてメディアへの出演など幅広く活動する。ココネに入社後、二〇二三年に取締役副社長に就任
仕事だけではなく、人生のために
━━石渡さんがココネに入社された経緯を教えてください。
「以前は弁護士として活動をしていて、特定の組織に所属したことはありませんでした。ココネでも最初は弁護士として法務に関わっていたのですが、会社の方向性を伺う中でとても面白そうな会社だなと思うようになり、その後入社のオファーをいただきました」
━━『ポケコロ』や『リヴリーアイランド』など、アバターを通じて人々に癒しや喜びを与えるアプリを発信していることに共感されたそうですが、石渡さんが感じるココネのアプリの魅力とは何でしょうか。
「お客様と対話する中で強く実感したことがあります。それはアプリ内の世界は拡張されたもう一つの現実世界であり、居心地の良い場所であるということです。現実とアプリ、その両方でコミュニティがあり、他者と出会える。ココネのアプリは単なるアプリではなく、大切な自己表現の場であり仲間がいる場所なのだと思います」
━━単純にアプリとしてだけではなく、利用している方々の居場所として機能しているのですね。
「そうですね。コロナでオンラインの活動が増えたこともありますが、時代の流れとしてもデジタル上のスペースが拡張されることで、生き方や自己表現の選択肢が増えていくと感じています」
━━ココネは福利厚生が非常に充実していますが、社員の方々の“幸福度”を上げることがアプリをつくる上で重要だと考えていますか?
「まず、弊社が提供している様々な事柄に対して『福利厚生』とは呼ばないようにしています。福利厚生とは業績を向上させるために企業が用意する手段に近いと思うのですが、私たちは働いてもらうために設備や制度を提供しているわけではなく、一日の大半を会社で過ごす中で、その人が幸福な状態でいられるような環境を提供したいと思っているのです。もちろん、根を詰めて、寝食を忘れるような環境でもよいクリエイティブが生み出される場合もあるかもしれませんが、社員の方々の健康に気を遣い、充実度が高い環境を提供することで質の良いサービスを提供できると信じて進んでいます」
━━社員の方々の幸福度を高めるために、努力されていることはありますか?
「先程お伝えしたように、働いていると会社にいる時間はどうしても長くなってしまいます。その状況を逆手にとって、出社すれば最高の体験ができるようにしようと考えました。具体的には社食であるデリを無料で提供することや美味しいコーヒーを提供するカフェの設置。ジムで運動もできますし、ピラティスなどのレッスンを充実させたり、マッサージ師を数人常駐させたりもしています」
━━デリは日替わりで二種類のメニューから選ぶことができるんですね。
「そうですね。サラダバーも付いていて健康面にも配慮しています。一般的な企業は社食を外注しているところが多いのですが、ココネでは外注をせずにシェフを直接雇用しています。ココネでは様々なチームが日々、色々な取り組みをしています。シェフも社員の一員であることでどのチームいつ忙しいのか、大変な時期なのかを把握してくれるので、提供する時に一言かけてくれたり、内容を工夫してくれたりします。そういったフィジカルでの関わりは非常に重要だと感じています」
コミュニケーションに重きを置く
━━単なる企業の制度ではなく、血の通ったあたたかさを感じますね。
「そうなんです。ジムも当初は利用者が少なくて私自身悩んでいた時期がありました。その時、ココネの創業会長の千に『フィットネスのスタッフがジムを出て声掛けに行かなきゃ。ジムに座っていても誰も来ないよね』と言われて目が覚める思いでした。そうだ、サービスを提供するってそういうことだった、と。そこからは、「3分ストレッチ」というTシャツをつくってトレーナーさんに着てもらい、職場を巡回しながらその場でストレッチを教えるような仕組みにしました。そういったことを経て、段々とジムが認知されていったんです」
━━デリやジムなどの設備が社内のコミュニケーションの一環を担って、社内の風通しが良い環境が生まれていますね。
「そうですね。人が集う場所があって、顔を見れば誰かが声がけをしてくれる。あたたかいコミュニケーションが取れる場所になってきているかなと思います」
━━弁護士として長年ご活躍されていた石渡さんが、ココネという企業で働く中で感じられたことはありますか?
「弁護士という仕事は自分で完璧に準備をして相手と相対しなければならず隙が許されなかったんですが、ココネ入社直後に『そこまで完璧に準備しなくてもいいんだよ』と言われたことがありました。ココネではみんなで話し合いながら一つのサービスの精度を上げていくことが大切なんだとそこで気がつきました。それと、ココネでメインとなっているデジタル資産のデザインやプログラミングといった仕事は私にはできません。ただ、ブロックチェーンなどの新しい技術に対する法律的な後押しはできます。時にはデザイナーやプログラマーの判断を待たねばいけない場面もありますが、それらを調整して、法的な側面で物事を考えるといった仕事はすごく楽しいですし、独りではないと思えるんです。そういったココネの“かけら(一部)”として活躍できている現在の状況が、有難いなと日々感じています」
━━ココネはIT企業と聞いた時にイメージする機械的な企業像ではなく、常に学びながら新しいことを発掘していく場所のような印象があります。
「そうですね。実際に韓国では大学と共同で起業家育成スクールをつくったり、日本でも幼児園を運営しています。人が育つ環境を生み出したい、そういった熱意がココネの根底に流れているのだと日々感じています」
SWITCH Vol.41-No.6, スイッチ・パブリッシング
【関連記事】
・雑誌SWITCHインタビュー『ココネの新しい冒険~』 ココネ株式会社代表取締役社長CEO 高谷慎太郎
・雑誌SWITCHインタビュー『「かたち」と「つながり」を思考する』ココネ株式会社 取締役CCO 土屋淳広