2022年12月入社の吉田 響さん25歳。産まれた時から難病を患っており、多い日には今も1日16錠ものお薬を飲んでいるそう。
そんな吉田さんは現在、harmo株式会社でFlutterエンジニアとして、「harmoおくすり手帳」のtoC向けアプリの開発をしています。以前は、ご自身で使うためのお薬手帳のアプリを一人で開発するなど、多彩な経験を積み重ねてこられました。
harmo株式会社に入社した背景や理由などをインタビューしました。
素敵な想いを持ったエンジニアさんです。是非ご覧ください。
Q.harmoに入社した理由はなんですか?
技術を生かして社会貢献できると思いharmoに入社しました。
「エンジニア」と言われる職種には2通りの考え方が存在すると思っています。
①学んだ技術を活かすことが目的のエンジニア
②学んだ技術を使って何かを作る・生み出すことが目的のエンジニア
私にとっては、エンジニアの技術は手段の一つでしかないと考えます。学んだ技術を使って何かを作る・生み出すことが目的のエンジニアである私からすると、自分の技術が使えるならどこの会社でもいい、という訳ではありません。
私は、生まれた時から難病を患っており、現在も多い日には1日16錠ものお薬を飲んでいます。
その経験から、自分自身が欲しい服薬管理アプリを開発することで、同じように服薬で困っている人の手助けができると確信しました。
Q,薬はいつから飲んでいましたか?
ずっと昔から飲んでいました。
生まれた時に心臓病が発覚。幼少期は体を動かすと疲れやすく、歩く・食事をとる等の生きる上で必要最低限の動作ですらヘトヘトになっていました。また、同時に血管・血液系の病気も患っており、その症状で朝起き上がるときに体の痛みが酷く、幼少期から日常的に痛み止め薬を飲む生活でした。
Q.その後、ご病気・お薬とはどのように付き合っていかれたのでしょうか。
血管・血液の病気を幼少期に発症。多い時で年4回ほど血管・血液系の病気の手術を受けていました。他にも中学3年生で心不全になり、2021年 当時23歳で心膜炎に罹りました。特に、心膜炎の時には一気に体調が悪化し、服薬量が増加。2021年以降、多い日には今でも1日16錠もの薬を飲んでいます。曜日ごとに飲む薬が異なるので、服薬管理は一苦労です。
Q.いつが一番大変でしたか?
2021年の心膜炎で入院・手術をした時ですね。
心膜炎の症状の一つでお腹に水が溜まってしまい、妊婦さんのような状態になり、会社を休職して入院することになりました。
そして入院中、お腹が破裂して溜まっていた水が噴き出てしまったのです。病室をたまたま巡回していた医師に、慌てて助けを求めて応急処置をしてもらいましたが、この時は本当に死ぬかと思いました。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で親・友人の面会ですらNG。
同じ病室の患者同士で話すこともなく、1日数回、様子を見に来る看護師さんと少し関って一日が終了します。ベッドの上で退屈な生活。「生きているのかな?」と疑問を抱く毎日。精神的な苦痛が一番辛かったです。
この時が今までの人生で一番地獄でした。
Q.大変なエピソードでしたね。そこからどのようにお薬手帳の開発に結び付いたのですか?
人生で初めて死ぬかもしれない、と思う経験をし、「やりたいことをやって生きよう」と本気で思いました。そこで思いついたのが電子お薬手帳アプリの開発だったのです。
私自身の服薬経験から、自分が欲しいと思う服薬管理のアプリを作ることで、同じように困っている人の手助けができるかもしれないと思いました。
当時働いていた会社は、大企業で安定していましたが、個人の裁量が小さく、やりがいを感じられなかったんですよね。
2ヵ月半の入院を経て退院後は、会社を退職することに。お薬手帳アプリを作って、食べていけるようになることが理想でしたので、2022年の1年間は、転職活動や仕事のことは考えず、お薬手帳のアプリの開発に没頭しました。
Q.すでに普及しているお薬手帳アプリは使わなかったのですか?
使いました。すでに世の中には沢山のお薬手帳アプリがあります。
しかし、使いづらさを感じていました。
例えば、午前中に診察を受けて、新しい薬が処方されたとします。その後、夕方に薬局で薬を受け取り、1日2回 朝夕食分の薬を夕方から飲み始めます。すると、夕方から薬を飲み始めるにも関わらず、アプリ上では朝の分も必ず記載しなければ保存ができません。
また、1回の服薬が半錠(0.5錠)の薬が存在しますが、アプリ上での単位は最低で1錠からしか登録できない、など不便を感じることが多々ありました。
半錠の管理に困る経験などは、実際に薬を数多く飲んでいる人にしかわからないですよね。
だからこそ服薬経験のある私自身が使いやすいと思うお薬手帳アプリを開発することで、世の中の役に立つのではないかと思い、開発していました。
Q.そこからharmoとどのように出会い、入社まで至ったのですか?
2022年10月末、お薬手帳アプリが一通り完成。アプリの運用を副業にし、持っているこのスキルを活かして働ける会社を探し始めました。
エンジニアの求人媒体に登録した途端、人事の佐野さんからDMが届きます。
「お薬手帳のアプリ開発をしませんか」という内容でした。 あの時は衝撃を受けましたね。私が持っているスキルを活かせる上に、お薬手帳のサービスを手掛けられる環境に魅力を感じ、選考へ進むことに。
10月末にアプリが完成し、11月に面接。11月末には最終面接で代表の石島さんと話しました。今思うとすごいスピードですね。笑
話を聞くと、harmoはただアプリを出しているだけでなく、スマートフォンをお持ちでない方のためにカードがあり、すでに医療機関や薬局との繋がりもあるなど、将来性のある会社だと思いました。
そして代表の石島さんとは、頓服薬や半錠の管理を今後どうしていくか、という話題で非常に盛り上がりました。病気・薬のことを理解しあえる環境があるのも入社理由の一つです。
Q.お薬手帳を開発する技術を活かして今後、社会にどのように還元していきたいですか?
究極の理想を言うと、ハンディキャップを乗り越えられる社会を作りたいです。
世の中には後からどうにもならないことが存在します。
毎日お薬を飲むことや、家庭環境、出生地等は生まれた後に覆しようがないのです。
ある日、「病気ですね。完治しません。」こう医師から告げられても、明日からも私の人生は続きます。たまったものではありません。仕方がないと頭ではわかっていても、心には「なんで自分なんだろう」と疑問が残ってしまうのです。
お薬手帳アプリは、世の中でどこまで貢献できるのか現時点ではまだわかりませんが、たとえ病気が完治しないと言われても、うまく付き合っていく生き方を見つけていかなければいけない。
だからこそ、私はお薬手帳アプリを通して、世の中の服薬で困っている人にとって、使いやすいサービスを作っていきたい、ハンディキャップを乗り越えられるような世の中にしたいと心から思っています。