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COO 金海憲男インタビュー:「常に期待以上の顧客価値を創出したい」、Energizeを身につけ、さらなる高みへ

取締役COOとしてClipLine事業を統括する金海憲男は前職の経営コンサルティング会社で代表の高橋と出会い、そこでの経験を活かす形でClipLineにジョインしました。積み上げてきたキャリアや今後目指すことについて聞きました。

プロフィール
日本航空にて整備部門における予算策定・管理業務、エンジニア職等に従事後、コンサルティング企業のジェネックスパートナーズに参画。様々な業界において代表の高橋とともにクライアントの内部に入り込むハンズオン型での支援に従事し、多数の財務成果を創出。2016年ClipLineに参画。大阪大学大学院基礎工学研究科卒。

鳴かず飛ばずだったコンサルタント業で飛躍するまで

―まずはClipLineに入社されるまでの経緯を教えてください。

ClipLineに入る前はジェネックスパートナーズという経営コンサルティング会社でコンサルタントをしていました。企業活動を分析して課題やその解決策を割り出していくのですが、顧客をリーダーにたてて後ろからサポートをしていくという業務特性が自分に合っていたし、大企業の業績向上に直接的に関わることができる、意義の大きい仕事だったと思います。

―金海さんは前職で大手飲食企業のターンアラウンドで多数の財務成果を創出したほか、SixSigmaによる全社的な組織変革・オペレーション改革の支援など様々なプロジェクトに携わり、具体的な成果を積み上げてきました。最終的には、経営層である「パートナー」のポジションまで辿り着いたわけですが、なぜClipLineに入ることになったのでしょう?

今でこそコンサルタントは天職だと言えるかもしれないんですが、実は最初からうまくいっていたわけではなく、転職直後の1年は鳴かず飛ばずでした。入社して間もなくチームが解散し、本来の予定とは違う分野の業務に携わることになったりと不利な要素もあったのですが、それにしても成果実感がない状態が続きました。

今考えると、私自身が自分の仕事が生み出す本当の価値を理解しきれていなかったのが原因のひとつです。例えば、あるチェーン店のマニュアルの刷新に携わったことがあったのですが、作業内容は理解できてもマニュアルを作り直すことの価値がいまいちわからない。「作業」と「仕事」の区別がついていなかったんです。何の役に立てているのかわからないから、顧客に労ってもらっても、かいた汗の量に対して言われただけだと感じてもやもやしていました。

ある日、犬の散歩をしながら妻に「次の案件で結果が出せなかったら他の道を探そうと思ってる」と話したことがありました。父親が亡くなったり子供が生まれたりとライフステージの変化が重なった時期で、「自分の腕で食べていかなきゃいけない」という焦りがあったと思います。

そんな状況の中で臨んだ次の案件が、高橋のチームでのプロジェクトでした。

―最後になるかもしれないプロジェクトだったんですね。どんな内容だったのでしょうか。

あるチェーン店の経営改革で、ミッションは衛生管理のレベルアップでした。当時の高橋はプロジェクトマネージャーという立ち位置で、私ともうひとりとで2年弱、その後は高橋とふたりで取り組みました。高橋のサポートを受けながらも最後まで自分でやり切ったことで、手元の作業がこういう結果になるのだと理解でき、ようやく作業と価値が自分の中で繋がったんです。

死ぬほど働いたな!と言えるぐらい頑張ったので、直後は「溺れながらようやくゴールまで泳ぎ切った」状態で、成功の実感値としては浅かったんですが、新人に一連の流れを振り返りながらプロセスを教えていく中で徐々に「再現性のある型」として自分の中にインストールされていった感じですね。これが転機というか、一皮むけた実感を得られた出来事だったと思います。プロジェクトとしても大成功で、クライアントに大きく貢献できた案件でした。

―高橋さんとの仕事で、印象に残っている助言などはありますか?

日々仕事をする中でやり方が身についていったという感じですね。その中でひとつ印象に残っているのは、全体から見たら小さい話ではあるけど、ファシリテーターの立ち回り方についてのアドバイスです。

会議の進行はホワイトボードに書きながら整理していくケースが多いと思うのですが、高橋は「会議が8割がた進んでから書き始めても意味がない。2割進んだ時点で、残りの8割を想像して書くんだよ」と言うんです。正直、言われたときには「何言ってんだ?」という感じだったんですが、今になってみるとその通りなんですよね。

実は会議の「枠組み」は2割も話が進めば見えてくるんですよ。ファシリテーターの役目は、議論から意味を抽出し、議論の枠組みを作る軸を見つけることなんです。

例えば旅行先を決めるときに北海道と沖縄で意見が分かれた場合、ただ「北海道がいい」「いや沖縄だ」と言い張っていてはいつまでも決めることができません。「じゃあ距離的に中間の関西で」とすればいいかと言えば、そうではないですよね(笑)。「暖かい場所に行きたいから沖縄」「温泉に入りたいから北海道」なら、「暖かくて温泉がある別府にしよう」といった具合に、議論の枠組みから双方折り合いのつく選択肢を絞れるわけです。

この「軸探し」がファシリテーターの仕事だと当時は理解できていませんでしたね。こういう学びを積み重ねていったわけです。

ClipLineでサービス業に革命を起こしたい

―その後ClipLineに入社されるまではどうだったのでしょうか。

前職で経験を積む中で、企業に価値を与えられる施策は一定レベルでできる感覚を持てるようになりました。しかし、最終的に施策を実行するのは現場であり、本部から100の指示を出しても現場では10しか実行できないケースもあることを知りました。

少し詳しくお話します。いろいろな企業をご支援する中でわかったのですが、チェーン店がキャンペーンなど全社規模の大きな施策を実行するとき、本部が丁寧に教えるのは店長までであることが多いんです。店長から先、店舗のアルバイトスタッフ数十人には、店長が自分のやり方で教えないといけない。話がうまい店長ばかりではないし、シフト勤務で全員に会うこともできない環境で何十人に繰り返し教えるうちに、内容にムラやバラツキが出て、いわゆる「伝言ゲーム」になるのです。本部が発信した情報の正確性は、現場に届くまでにかなり薄まってしまう。その結果、スタッフひとりひとりの理解や能力がバラつき、店舗ごとに品質がバラつくのです。

顧客側から見ると「チェーン店なのに店舗や人によって品質が違う」ことになり、企業の生命線である顧客満足度の低下に直結します。


このように、「ラストワンマイル=顧客接点をつくる現場スタッフ」への伝達は何より大事なものなのですが、ここをうまく実現するツールというのはありませんでした。この状態ではキャンペーンなどの施策の結果が悪かったときに、施策自体が悪かったのか、それとも指示が伝わりきらなくて実行不全の状態だったのか正しい検証ができません。


「お店のばらつきを解消しなければ、良い戦略も絵に描いた餅」ログミー

だから高橋がClipLineの原型をもってきて「次のステップとしてラストワンマイルに取り組もうと思うんだけど、一緒にやらないか」と誘ってもらったときは一も二もなく飛びつきました。これが普及したらサービス業の大改革になると思いました。

一つ自負していることを話しておくと、高橋と組んで失敗したプロジェクトは今まで1つもないんです。高橋はアイデアマンで色々ユニークなことを思いつくのですが、実行段階で躓づくこともそれなりにあります(苦笑)。私はどちらかと言うとアイデアをゴールまで持って行くのが得意です。

ClipLineを見たときに、これは世の中に価値を生み出す製品になると確信する一方で、高橋ひとりでは世の中に出せないかもしれないな、私が手伝ってあげた方がいいのかな、と少し考えました(笑)。

あとは、パッとしなかった私を最終的にコンサルティング会社で共同経営者になるまでの礎を築いてくれた恩人でもありますから、単純に恩返ししたいという想いがありました。

―入社後、COOに就かれるまでにはどういった経緯があったのですか?

COOになったというより、私が担当している業務内容を見た結果、「金海がCOOをやるのが自然だよね」という話になったんですよ。入社当時はまだ社員が一桁台しかおらず、私は導入してくれたお客さんをナビゲートして価値を出す、今でいうカスタマーサクセスを担当しました。高橋がプロダクトを作り、取締役の遠藤がチームを作って映像制作を担当。3人で営業に回るというスタイルで仕事を進めていきました。

コンサルチームでコンサルを行い、カスタマーサクセスを作り上げ、業務内容の距離が近いということで営業の責任者を務めることになり、さらにはマーケティングも紐づけたほうがいいよね…と流れ流れて今の立場に落ち着きました。今はコンテンツ制作チームも私の管轄です。

そういうわけでCOOになりましたが、やってきたことの結果がそうなっただけですので、私自身、肩書にはそれほど興味がありません。名前は重要ではないと思っています。

事業と共に成長したい人と働きたい

―いま注力していること、今後チャレンジしていきたいことは何でしょうか。

理想のCOOは事業をどんどん伸ばせる人なのですが、そのためには社員の成長が欠かせません。社員同士の理解を深め、成長機会のきっかけづくりに注力してきました。

私は長らく個人の能力をいかに伸ばすかに関心を抱いてきました。部下に対してもそうで、要求レベルが高い厳しい上司かもしれません。私自身が相手からもらっている対価以上の価値を出すことを重視してきたため、部下にも常に自分の仕事にシビアであってほしいと思っています。

今でも、つい個人の質向上に目が向いてしまうところがあるのですが、見るべきはその先で、個をいかに掛け合わせて付加価値を増やしていくのかをもっと考えていかなければならないと思っています。社員のエンゲージメント向上も含め、まだまだやるべきことがたくさんありますね。

今後の目標としては、アメリカのGE元会長ジャック・ウェルチ氏が、リーダーに必要な要件として挙げている「4E」の「Energize」を身に着けることです。


私はCOOになった今、この4つのEを身に染みて理解できるようになりました。今の私の課題は「Energize」、つまり周囲の人にエネルギ―を与えられる力です。リーダーに必要なスキルとして身につけていかなければならないと考えています。


―大企業からClipLineのようなベンチャー企業への転職を考えている人へ、アドバイスはありますか?

結局は本人の覚悟や納得感が重要で、正解不正解はケースバイケースだと思います。ただひとつ言えるのは、「大企業=役割分担が強固で、若いうちに裁量権がない」に対し、「ベンチャー=役割分担が緩く、若くても裁量権が与えられる」というイメージは持たない方が良いということですね。

むしろ、ベンチャー企業のほうが人数が少ない分、その道のプロが集まっている精鋭揃いといったケースも多く、少なくとも当社はそういった企業だと自負しています。そのため、「大企業での経験をベンチャーで活かしてあげよう」という目線では痛い目を見てしまうかもしれません。プロと仕事をすることで自分の経験を一気に拡張して成長したいという方であれば、ベンチャー企業での仕事を楽しめるのではないでしょうか。

―最後に、ClipLineで一緒に働きたい方はどんな方でしょうか。

プロフェッショナル意識を持って一緒に事業を大きくしていきたいという意欲のある方ですね。当社は創業9年目を迎え、比較的順調に成長を重ねて一定の成果も出し続けてきました。しかしまだまだ伸びしろがあって、今後を見据えると、今をやり切るだけではなく、サービスやプロダクトを飛躍的と言えるほど磨き込んで、新たな価値を創造していくことが求められます。

国内のサービス業の従事者は2,000万人以上いるとされますので、その生産性を変えるということは日本経済に影響を与えるということです。さらにその先にはグローバルという舞台もある。スケールの大きな仕事を体験できる会社ですので、ともに日々成長していきたいですね。

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