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【CEOインタビュー】顧客起点で課題解決に拘る営業魂が生み出した、「コンサルを内部に持たない」ビジネスモデル


「コンサルを内部に持たない」ユニークなビジネスモデルを構築し、リーダー育成の先駆者として走り続けてきたセルムを影で支えてきたのは、泥臭いとも言える営業魂。いかにして持続的競争優位を発揮し続けているのか、その秘密を代表 加島の言葉から紐解きます。

代表取締役社長 加島 禎二
大学卒業後は映像事業を手がける会社に入り、8年間営業として活躍。その後セルムへ入社し、「理念と戦略に同期した人材開発」を提唱。20年にわたって次期経営リーダーの開発や人材開発体系の構築、グローバル人材育成や理念浸透、組織風土改革などに携わってきた。


営業の神髄に立ち返り、0から1を創り出す

── セルムに入社するまでの経歴を教えてください。

加島:大学卒業後は映像事業を手がける会社に入り、8年間営業の仕事をしてきました。例えば新入社員研修で使うビジネスマナーの動画や、マネージャーが使うケーススタディ動画といった内容のもので、ほかにもコンサルタントや研修講師もやりました。

── セルムで働こうと思った理由やきっかけを教えてください。

加島:入社3年目ぐらいから営業のコツを掴み、4年目からはトップの成績になりました。しかしいつのまにか、お客様に喜んでもらうことではなく、物を売ること自体が目的になっていました。「自分達が扱っている物から考える癖が出来上がってしまうとお客様が見えなくなる」と気づいた瞬間でしたね。そういう物売りの仕事から卒業しようと思ったのが、転職のきっかけになりました。セルムは売る商品が何もない業態で、顧客の課題を起点にビジネスを考える思想がありました。しかも当時は社員が4人だけ。ベースが何もないところからのスタートでしたので、自分にとってチャレンジできる環境があるのではと思ったわけです。


── セルムで新しいスタートを切ったわけですが、思い描いていた仕事はできたのでしょうか?

加島:それが、入ってみたらお客様に全然会ってもらえなかったんです。単に物を売るのではなく、自分を売るつもりで営業という仕事に向き合ってきたつもりでしたが、お客様は僕ではなく会社を買っていたのだと気づかされました。入社してしばらくはまったく仕事が取れず、まさに食うや食わずの状況で、個人としても会社としてもとにかく必死に実績を積み上げていかないと生き残れないという殺伐とした緊張感がありました。

── そこからどう壁を乗り越えていったのでしょうか?

加島:まずは、企業理念である「笑顔の創造」「社会的意義の確立」「自己実現の追求」に立ち返ろうと社員全員で語り合ったんです。やみくもなアプローチではなく顧客をしっかり選別してサービスを届けようと議論をしていくなかで、大企業こそ我々のサービスを届けるべき相手としてフォーカスするという今の方向性が決まりました。人や組織の仕事は顧客と中長期視点に基づいて、持続的に取り組むべき仕事。人員や予算の兼ね合いから持続的に課題にアプローチをし続けたい意思を持ったお客様にフォーカスした方がより、我々の価値が届けられると考えました。大手に特化したビジネスをしていくことで、長くお付き合いができる顧客を増やし、安定した経営基盤を築こうと考えたんですね。その辺りから、より自分たちが届けるべき価値に集中する意識が醸成され、社の雰囲気も変わっていったように感じます。


お客様の課題を解決し続ける「営業魂」で切り拓いたユニークなビジネスモデル

── そこから、成功の方程式とも言える現在のビジネスモデルをどのように構築していったのでしょうか?

加島:創業者である松川好孝が担当していたとある企業との取り組みがきっかけです。厳しい経営環境のなかで銀行団からのプレッシャーでリストラも余儀なくされ、複雑な資産査定を基に経営を立て直さなければならない状況でした。そこでかつてマッキンゼーで活躍していた専門家の助けを借りたことがあったんです。そうしたら、難題であったにもかかわらず、ものの見事にやってのけたんです。それを目の当たりにして、やはり専門家には到底敵わないなと。それと同時にお客様の課題や要望を汲み取り、適切な専門家と組み合わせて解決に持っていったセルムもその事案では大変感謝されたのです。その出来事をきっかけに、自分たちで無理にコンサルティング機能を持つことに拘るのではなく、社外に専門家であるプロフェッショナルタレントのネットワークを作る一方、セルム自身は顧客の理想や課題解決に向けた「要件定義に徹する」ビジネスモデルが誕生しました。いくら専門性があったとしても、顧客の課題が曖昧だと専門家も充分に価値を発揮できない。大企業であれば経営や組織をテーマにした課題というのは常に生まれてくるものです。顧客のぼんやりとした潜在的な課題を中長期的、持続的視点で具体化し、顧客と一緒に要件定義し続けるセルムの存在がとてつもなく大きい価値になることを確信しました。

とはいえ、最初は数人のプロフェッショナルタレントしかいませんでしたので、課題解決の幅を広げるために適した人材を見つけてこなければと、私がヘッドハンティングするような形で一人一人口説いていきました。当時はこうしたビジネスモデルはまだありませんでしたから、第一線で活躍されている方にとってみたら、我々はどこの馬の骨とも分からない存在なわけです。当然、断られることも多く、悔しい経験もたくさんしました。

しかし、断られても諦めずに通いつめ、少しずつ優秀なタレントネットワークを作っていったんです。今があるのは、僕の根っこに営業魂みたいなものがあったからだと思っています。営業とは決してセールスではありません。セールスは物を売ることですが、営業というのはその言葉通り事業を営むこと。お客様の課題を解決し続ける伴走者になる。お客様の課題解決を起点に、走り続ける。これこそが私がイメージする営業です。


キーワードは「リーダー育成」。「企業内大学」が企業を新たなステージへと引き上げる

── タレントを見つけながら、事例を一緒につくりながら、着実に事業を成長させていったのですね。上手く回り始めたという手応えが得られたのはいつからでしょうか?

加島:お客様がお客様を紹介し始めたタイミングですね。正直、初めの頃は、僕自身も大手企業がこんな小さな会社とお付き合いをしてくれるのかと疑心暗鬼でした。しかも、同業他社からは「講師を外部から引っ張ってくるだけで、品質保証もなければ商品開発もない。そんな乱暴なビジネスが成り立つはずがない」と言われ、ブローカーだと揶揄されていたんです。でも、やがてお客様がお客様を紹介してくれるということが起きたんです。最初の10社、20社ほどは、それこそ営業魂で取ってきた仕事でしたが、そこから先は口コミですね。大手企業は信用・信頼のネットワークのようなものがありますので、実績が信頼へと繋がっていったのだと思います。妥協することなく顧客の課題に向き合うことで品質が評価され、その顧客から別の顧客を紹介してもらう好サイクルが回ったことが最強のマーケティングだったと思います。


それからもう一つ大きかったのが、リーダー育成市場が日本において立ち上がってきたこと。社長がイニシアチブをとって、次世代の経営層を育成するという「企業内大学」のようなものの黎明期が2000年代初頭に日本で訪れたことが起点になりました。

── 「リーダー育成」はどのような経緯で始まり、大手企業にとっての重要なキーワードとなっていったのでしょうか?

加島:2000年代初頭はバブルの後処理が終わり、「さぁ、ここからもう一度頑張らなければいけない」というタイミングでした。その中で生まれたのが「ビジネスリーダー」「変革」という言葉です。バブル以前の日本企業というのは「現場力」「品質」を重視していて、しっかりと組織のピラミッドを維持していれば事業は動くと思い込んでいました。ところがバブルの崩壊によって、それだけではここから先上がれないということで、リーダー育成の市場が形成されていったんですね。

当たり前ですが、リーダーはOJT(On the Job Training)では生まれませんから、リーダーを育てる専門機関が必要だということで、大企業が同時多発的に立ち上がり始めたんです。当時、リーダー育成のプログラムを用意していた会社は僕らともう1社しかありませんでしたので、それを機会に一気に事業が拡大していったのです。


無限のリソースを糧に、独自のプラットフォームを構築する

── 「リーダー育成」の市場が一気に拡大していくなかで、セルムの独自性、優位性というのはどういうところにあったのでしょうか?

加島:リーダーをつくるといったときに、まずは分かりやすいパッケージ型のMBA・ビジネススクールに注目が集まりました。しかし、我々は既存のカリキュラムに沿って講師が教えるのではなく、講師自身のリアルな経験に基づいてビジネスリーダーを育成していくという、徹底してカスタマイズした内容で打ち出したんです。お客様にとっては悩みに寄り添って多種多様なタレントをアサインしてくれるだけでなく、カリキュラムの内容をもカスタマイズしてもらえる魅力がある。一方で、講師にとっては自分自身の経験や実績を生かして伸ばせる機会となる。大企業の伴走者とタレントエージェントという両方の側面を持っているというところが、ユニークな点だったのではないかと思います。

我々は、お客様の課題を解決するために、誰とどんなやり方をしようかと考える訳ですが、そのリソースは外部に持っているため、限りがないですよね。当てはまる人材がいなければ新たに探してきますので、どんどんとリソースが増え、自然にプラットフォームが育っていきました。様々な課題解決の中で蓄積されたナレッジとタレントのプラットフォームを構築できたという点が、強みになっていったのだと思います。


ビジネスモデルの構築には、お客様とのパートナーシップが必要不可欠です。お客様のために、自分たちに何ができるのか。ビジネスパーソンの原点に立ち返り、日々考え続けています。


リーダーの想いを「意思」へと変える伴走者でありたい

── あらゆる企業でますます「企業内大学」の重要性が増してきているということですが、それはどういう背景があってのことなのでしょうか?

加島:大企業では持続的価値を向上させるために、さまざまなコーポレートアクションが必要となります。バブル崩壊以降の時代は「失われた30年」とも言われていますが、一方で企業の経営アクションはダイナミズムを増してきていると思います。M&Aや海外展開などによって会社の形が変わっていくと、どうしても遠心力が働き、一つの方向性にまとめることがより難しくなります。そういった組織をどのように一つの方向に持っていくのかが「企業内大学」のミッションです。

会社の方向性や理念、コア・コンピタンスについて対話をしながら磨き合い、次のアジェンダを決定する。「企業内大学」は、まさに次世代の経営を議論する場であり、CEOの重要なミッションなのです。しかし実は、日本企業のリーダー育成への投資額は、欧米企業に比べると1/10とも言われており、まだまだ小さい。世界で戦える企業を増やすためにも、我々がそれをしっかりとサポートし、日本企業を変えていく存在になりたいと思っています。


── ここから先、セルムはどんなビジョンのもと、どのような活動をしていきたいとお考えでしょうか?

加島:日本企業の可能性が動き出すような瞬間を、たくさん創っていきたいと思っています。強い企業をつくるためには、経営を担うリーダーたちが想いを共有してワンチームになることが何よりも大切です。リーダー1人が5人をリードし、その5人がまた5人をリードすると25人に想いや意思が連鎖していきますよね。こういう「Willの連鎖」がなされている企業が最強だと、私は考えています。リーダーの想いを具体的な意思に変え、その意思の力で更なるリーダーを創って巻き込んでいく。そんな場をつくるための、良き伴走者でありたいですね。リーダーが「自分の代で企業を変革したい」と考えたときに頼りにされるような、リーダーにとっての第一想起ブランドになりたいと思っています。

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