「言葉」を大事にする「お知らせ」に|アカツキ Customer Experience|note
皆さん、初めまして。アカツキでゲーム内お知らせを書いている髙橋と申します。はしごだかの髙橋です。 CXチームや業務内容については、ほかのメンバーが見応えある記事を書いてくれているので、私の仕事である「お知らせってどういうことやっているの?」に触れる記事をお届けしようかなと思います。 ...
https://note.com/aktsk_fuk/n/n9505ba601ec0
※ この記事は、アカツキ福岡・アカツキゲームスCXが初めて挑戦をした『アカツキCX アドベントカレンダー2022』の中で執筆された内容を転載した記事となります。
皆さん、初めまして。
アカツキでゲーム内お知らせを書いている髙橋と申します。はしごだかの髙橋です。
CXチームや業務内容については、ほかのメンバーが見応えある記事を書いてくれているので、私の仕事である「お知らせってどういうことやっているの?」に触れる記事をお届けしようかなと思います。
業務に触れるにあたって、昔話をします。
私は小学生の時、自分の名前が嫌いでした。
当時ドラマでやっていた原作小説のメインキャラクターの名前で、ミステリーホラーだったために悪い印象が強く、そのドラマを見た小学生の無邪気な言葉で傷つくことが多かったからです。
ひねくれていた当時の私は、「同じ名前でこんなにいやな思いしてるって、原作者に文句言ってやるんだ!」と、図書室で原作小説を手に取り、文句を言うために読書を始めました。(笑)
その本は、恩田陸さんの『六番目の小夜子』です。
よく、文章を褒めるセリフとして「その光景が脳内に広がってきた」というものがありますが、人生ではじめてその体験をしたのがこの本でした。
小学生にも理解できる文面で、その先はどうなる?を読み進めたくなる展開。悔しいことに、いやな思いをさせられた作品は「面白かった」のです。
本を閉じた瞬間、私は恩田さんと、恩田さんの作品を好きになっていました。
この日から、私の夢は「小説家」になり、大学は作家・編集者を多く輩出している日本大学芸術学部文芸学科に入学し、4年間「書くこと」をメインに学んできました。
面白かったのは、語彙を増やすという目的で「1分間で、八百屋さんにある野菜とくだものを書き出しなさい」や「彼氏・彼女(が居る前提で)のいいところを10個書き出しなさい」ですね。後者のお題に関しては、男性は外見のいいところを書く、女性は内面のいいところを書くという分かれ方をしていたのが今でも印象に残っています。
あとは和歌を複数人で組んで連歌をやったり、放送禁止用語の、禁止になるまでの歴史や意図を学んだりも勉強になりましたね。
ほかにも多くの経験をさせていただきましたが、最終的に思ったことは以下の通りでした。
・印税で食っていくには、村上春樹レベルのブームを年3回起こさなければいけない
・そもそも読書をする機会が減っている
(今の小学校は朝読書タイム自体設けてないところが増えているらしいですね)
作家専業ってきついんだなあ。二足のわらじじゃないと厳しいなあ。
でも、文章に携わることはずっとしていたい。
小説は何歳になっても書ける。文章で人に伝える仕事はないかなあ。
そう思いながらいくつかの仕事を経て、アカツキにやってきました。
面接してくださった方に「文章を書きたい」という前提で入ってくる人は珍しいと言われました。文字数制限を設けないと、この記事も大変なことになるので控えます。
「お知らせって何やってるんですか?」とよく聞かれます。
「文章を書いている」というフワッとした回答をよく返します。
お知らせは
・ゲームのイベント、ガチャ、キャンペーン情報
・更新内容やアップデート内容
・不具合や告知お知らせ
など、カテゴリはさまざまです。
去年は平均して1日に2本お知らせを作成して、ゲームに出していました。
毎日何かしらの文章に触れているんですね〜。
お知らせのほとんどは、新規情報や追加情報になります。
その上で、私は「情報が0の人、まったく知識のない人に理解してもらえる」お知らせを心がけています。
開発用語、運営知識は遊んでいる側は知りませんし、分かりません。一般用語を使用して、伝えたいことが100%相手に伝わるように日々考えています。
伝えたいことが100%相手に伝わるように、というのはお知らせに限ったことではなく、あらゆる人の日常に必須な考えだと思っています。
“たかが言葉で作った世界を、言葉でこわすことがなぜできないのか。引き金を引け!言葉は武器だ!”
寺山修司さんの言葉です。
言葉は武器です。幼少期の私を傷つけた刃でもあり、武器は自身や他人を守る防御の道具でもあります。
人の言葉で一喜一憂したこと、誰しもがあるんじゃないでしょうか。
このゲームのお知らせを読んでいて、
「分かりやすい」「読みやすい」「楽しい」「ユーモアがある」
「このゲームをずっと好きでいたい」
そう思ってもらえるような、人を傷つけないパワーある言葉を、人に届けたいです。
言葉によって信頼してもらえる人、運営、会社であり続けられるように。
その上で、「お知らせって何やってるんですか?」の次によく聞かれるのが「お知らせは日本語がきちんと読んで書けないと、できない仕事?」という質問です。
そんなことはありません。世界の言語をすべて比べた際に、日本語が一番難しいと言われています。日本人ですら、一から十まで日本語を正しく使えている人はいないと思っています。情勢や時代によって意味合いが変わる言葉や差別用語に当たるとして、使えない表現も増えていますしね。
適材適所で、そのときにふさわしいと思う言葉を選んで扱っていますし、新たな意味や表現を知る驚きや学びを得ることも多い日々です。
この記事を書くにあたって、多数のゲーム界隈に居るオタクな友人10人に「ゲームのお知らせって見る?」と聞いてみました。
なんと、全員が「自主的には見ない」と返答してきました。(かなしい)
読むとき
□バグや不具合に当たった時だけ確認する
□プレイする上の環境変化や仕様変更の時のお知らせは見る
□運営じゃなくてキャラクター同士の掛け合いみたいな特殊なお知らせは面白い
□SNSで取り上げられてたら見ちゃう
なんで読まないの?
□家電とかと一緒で説明書読む前に触っちゃう
□「書いてる人本読んでないな」って思うような変な日本語や文章だと読む気無くす
□デザインとか色つけたりとかしてない長文が無理
□SNSでかいつまんで書いてるもので足りちゃう
一般のプレイヤーは基本読まないんだあとしょんぼりしつつ、自分にとって必要だと思う情報をピックアップして読む人が多いようでした。
私は業務上、勉強の一環として他ゲームのお知らせをよく読むようになりましたが、そこのスタッフによって文面の特徴があるので、面白く読ませてもらっていますし、アカツキでも使えそうな要素はどんどん吸収するようにしています。
自分が普段遊んでいるゲームや、話題のゲームなど、いろいろなジャンルのゲームがありますね。十人十色のゲームには、同じく十人十色のお知らせがあります。
癖の強い書き方している所もあれば、すっきりとした簡潔な所もあり、お茶目でユニークな出し方をしている所もあります。
ゲームそのものの面白さはもちろんのこと、運営の”らしさ”が反映されている場所のひとつなので、コンテンツの一部として、愛してもらえたらいいなと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
画面の向こうに居る運営スタッフの1人が、こんな気持ちで業務に携わっているんだなあと思ってもらえたら幸いです。
ゲーム会社だから、さぞ面白い仕事をしているんだろうとイメージされがちですが、シンプルな考えのもと、仕事にも日常にも不可欠な「言葉」を大切に扱ってお客様に届けようと毎日奮闘しています!
この記事の何かしらや、言葉のひとひらが、読んでくれた方の心に残りますように。