◆ はじめに
新卒研修もいよいよ終盤。各部署への配属を目前に控えたメンバーたちが向かったのは、東京都庁でした。
目的は、単なる見学ではありません。
現役の都議会議員・笹岡ゆうこ氏を前に、自分たちが考え抜いた「東京の課題解決策」をプレゼンし、本気で議論を交わすこと。
さらに今回は、通常は入れない本会議場のフロアにも特別に足を踏み入れました。
視座が一段引き上がった、密度の濃い一日。その裏側をレポートします!
都庁前にて
◆ 研修の狙い: 東京を理解し、自社のリソースを接続する
今回のミッションは、「これから東京都民として働く自分たちが、東京をどう理解し、自社の強みで何ができるか」を定義すること。
基礎スキルを学んできた今だからこそ、あえて「正解のない大きな問い」をぶつける。実社会の複雑さに触れる機会として実施しました。
事前課題:自社と社会の接点を探る
- 東京都と「自社・自分」の接点はどこにあるか?
- 東京都のために、「自社・自分」ができることは何か?
今回は、フレッシュな視点を持つ新卒メンバーに加え、日々の生活を通じて当事者意識を持つ既存社員も参加。それぞれが異なるバックグラウンドや問題意識に基づく独自の仮説を携え、当日の議論に臨みました。
都議会議員・笹岡様との熱いディスカッションを通じて生まれた4名の提案と、そこから得られたリアルな学びをご紹介します。
都議会議員 笹岡ゆうこ氏とディスカッションの様子
◆ 現場のリアルに迫る。4つのプレゼンテーション&ディスカッション
当日は、新卒メンバーと中途社員が、それぞれの視点から調査・分析した社会課題について発表しました。さらに、都議会議員・笹岡様とのディスカッションを通じて、行政の最前線だからこそ見える課題や、その先に広がる可能性について学びを深めました。
01. タワーマンションの「垂直物流」問題
- 提案:高層ビルにおける「配送ロス」の削減
- 館内配送拠点の設置:建物内に中継拠点を設け、館内スタッフが各戸へ届けることで、ドライバーの拘束時間削減と責任分散を図る。
- AIによるエレベーター混雑回避:過去の稼働データから混雑予測モデルを作成。配達員に最適な移動時間を提示し、安価かつ即効性のあるタイムロス削減を目指す。
- 笹岡様からの回答:現実を動かす「合意形成」の要諦
笹岡様からは「都の一律ルール化よりも、自治体ごとの地域ルールを支援する方が、住民合意も得やすく実現が早い」との示唆をいただきました。 - 学び
社会実装には、トップダウンの強制力よりも、現場に近い単位での「地域最適の合意形成」と、それを促す「インセンティブ設計(補助金等)」の組み合わせが不可欠であることを学びました。
02. 災害時の物流とBCP
- 提案:システム導入によるBCP策定の自動化と情報統合
- 現状の課題:物流事業者のBCP策定率は2割程度と低く、行政の災害データ(優先道路等)が現場の配送システムに反映されていない。
- 解決策:配送システムに「行政データ(道路・倉庫情報)」を統合し、リアルタイムで情報共有を行うことで、導入するだけで実効性のあるBCPが構築される仕組みを提案。
- 笹岡様からの回答:現場の混乱を防ぐ「超地域密着型」連携
笹岡様からは「都の計画は人命優先で物資輸送の細部まで手が回っていない。能登半島地震の教訓からも、自治体レベルでの細かい協定と連携こそが迅速な対応の鍵になる」との評価をいただきました。 - 学び
災害という広域課題においても、真に機能するのは広域計画(トップダウン)ではなく、自治体単位で結ばれた「地域ルールに基づく民間連携(ボトムアップ)」であり、そこに現場のシステムが組み込まれる重要性を学びました。
03. 自動運転レベル4社会実装に向けたインフラ課題![]()
- 提案:混在期シミュレーションによる自動運転投資の可視化
- 現状の課題:自動運転の普及には車両センサーだけでなく、路側センサーなどのインフラ整備が不可欠。また、企業側も導入効果が見えず投資に踏み切れない。
- 解決策:自社のシミュレーション機能を活用し、「有人トラック・自動運転車・配送ロボ」が混在する物流網を構築。いつ・何台導入すれば労働力不足を解消し利益を出せるかの中長期ロードマップを企業に提示する。
- 笹岡様からの回答:一歩進んだ「地域特化型」の社会実装
笹岡様からは「インフラ整備を一律に進めるのは難しいため、臨海地域などの推進区域や、武蔵野市のような市レベルで、地域の特性に合わせて導入の仕方を変えていくのが最善であり最も早い」との見解をいただきました。 - 学び
最先端技術の社会実装だからこそ、全域での一斉スタートを目指すのではなく、「特定の特区・地域に最適化したスモールスタート」を積み重ねることが、結果としてインフラ整備と普及のスピードを最大化させる近道であると学びました。
04. 子育て・介護支援における「プロアクティブ型行政」への転換
- 提案:パパ目線・当事者視点で挑む「申請主義」の打破と窓口分断の解消
- 現状の課題:東京都の支援制度は手厚いものの、住民が自ら調べて申請しなければ届かない「リアクティブ(後手に回る)型」であり、子育てと介護の窓口分断も重なり、本当に必要な人に届いていない。
- 解決策:複数部門の制度を横断するデータ基盤やダッシュボードを構築。住民向けの直感的なアプリ開発を通じ、行政から先回りして案内を届ける「プロアクティブ(先回り)型」行政への転換を自社技術で支援する。
- 笹岡様からの回答:データ主権の壁とシステム標準化のリアル
笹岡様からは「先回り案内は重要だが、住民データを持つ基礎自治体(区市町村)の壁や、国が進めるシステム標準化による改修コスト増大という現実がある。都主導の一律アプリより、各自治体が作った住民目線のアプリを将来的に連携させていく形が望ましい」とのリアルな裏事情をいただきました。 - 学び
当事者として「あるべき理想の行政システム」を追求する一方で、行政DXには「個人データの保有権(都と自治体の役割分担)」や「既存システムの改修コスト」という巨大な構造的課題が存在することを知りました。理想論だけで終わらせず、国や自治体の動向、コスト構造まで見据えたシステム提案を行う視点の重要性を痛感しました。
◆ “議員同行”だから実現した、特別な都庁見学
ディスカッション終了後は、都庁舎内を見学しました。
今回は笹岡議員のご案内のもと、通常は傍聴席からしか見ることのできない「本会議場」の中に入らせていただくという貴重な機会にも恵まれました。
日本最大の自治体である東京都の意思決定が行われる現場に立ち、その独特の緊張感と重みを肌で実感。社会を動かす仕組みを間近で感じることで、自分たちがこれから関わっていく「社会」の大きさと責任について、改めて考える機会となりました。
◆ 現場配属を前に、得たもの
今回の研修で特に印象的だったのは、「理想だけでは社会は動かない」というリアルな手触りを伴った学びでした。
- 地域ごとに異なる課題や事情があること
- 制度やデータにはさまざまな制約があること
- アイデアを実際に形にするためには想像以上のエネルギーと時間が必要であること
参加者たちは、行政の現場で起きている現実を通じて、その難しさを実感しました。
しかし同時に、そうした制約や課題を理解した上で、なお「どうすれば実現できるのか」を考え続けることの重要性も学びました。
社会課題を構造的に捉え、多角的な視点から解決策を導き出す力。それこそが、現場配属後にプロフェッショナルとして価値を発揮するための大きな武器になります。今回の経験は、その第一歩となる貴重な機会となりました。
◆ 最後に
当社の研修は、単に知識を学ぶための場ではありません。自ら課題を発見し、考え、議論し、解決策を導き出す力を養うための実践の場です。
現場に入り、自分の頭で考え、物事を構造的に捉えながら価値を生み出していく。その積み重ねが、一人ひとりの成長スピードを大きく加速させます。
「与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら価値を創り出したい」
そんな想いを持つ方にとって、当社は挑戦と成長の機会にあふれたフィールドです。
今回の研修で得た学びや気づきの続きは、これから始まる現場での挑戦の中にあります。
次は、ぜひ皆さんと一緒に。その続きを創っていけることを楽しみにしています。
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