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【業界分析】東南アジア最大級のECサイトShopeeの成長率が凄まじいので分析してみた。

さて、今日も東南アジアのイケてるスタートアップについて見ていきましょう。今回は東南アジア最大級のECサイトであるShopeeについてです。

実は東南アジアって1000以上の会社がECをやってるらしく、今後ネット人口の増加やインフラ整備が進むにつれて、ますます伸びていく市場となりそうです。

その中でも今回は、サービス開始からわずか3年未満で年間GMV(Gross Merchandize Sales=取引総額)3000億円超えという驚異のECサイト「Shopee」の事業内容や戦略について見ていきましょう。

Shopeeとは?親会社のSeaってどんな会社?

Shopeeは、Forrest Liというシンガポール人によって2009年に設立された"Sea"という会社が提供するECサービスです。当初はGarenaという社名で、PCやスマホのゲームを手がけていました。日本からは孫泰蔵さんがアドバイザリーに加わったことで話題になりましたね。

Seaは主に3つの事業、Garena、AirPay(モバイル決済)、Shopeeを手がけています。それぞれの事業ローンチの流れは以下の通り。なんとShopeeのローンチは2015年で、競合のLazada(2011年)やTokopedia(2009年)等と比べるとだいぶ後発な市場参入となります。


Seaは東南アジア最大のユニコーン企業として有名でしたが、2017年10月にNASDAQに上場を果たしました。創業直後から全調達ラウンドにおいて中国の3大巨頭の一角Tencentから資金を調達しており、Tencentが手がけるゲーム事業とのシナジー等によって急速な発展を遂げています。ちなみにECの競合Lazadaは2016年4月にAlibabaによって買収されているので、東南アジアECマーケットにおける、中国の覇権争いの熾烈さが伺えますね。

そもそもECってどんなビジネスモデルがあるの?マネタイズ方法は?

Shopeeの売上などを見る前に、まずはECのビジネスモデルについて軽くおさらいしましょう。ECは「直販型」「マーケットプレイス型」の2つに大きく分けることができます。

直販型はECサイトが自社で商品を買い取って、販売をするビジネスモデル。AmazonやLazadaが直販型の代表例です。

対するマーケットプレイス型は売り手と買い手のマッチングのみを行い、自社で商品を仕入れるようなことはしません。日本ですと楽天(店舗出店型)やメルカリ(フリマ型)が有名ですね。実はShopeeも、このマーケットプレイス型を採用しています。

どちらのECのビジネスモデルも、以下の公式で理解していきましょう。

ネット売上 = GMV (取扱高) × テイクレート

ネット売上は決算書における売上総利益に当たります。次の章ではこれらの数字に注目しながら、決算内容を読み解いていきます。

決算資料を見てみよう

上記の公式を考慮すると、ECの売上を上げるには、

① GMVを上げる
② テイクレートを上げる

の2通りが考えられます。

それでは、まずはGMVについて見ていきましょう。

マーケットプレイス型のECでは「いかに多くの売り手と買い手を囲い込めるか」がGMVを上げるうえでとても重要となってきます。例えば楽天は当初出店料を5万円(固定)にして、売上手数料は取らずに運営することで、多くの買い手・売り手を手に入れることに成功しました。

2018年3月に公表されたIR資料によると、Shopeeは「注文数」と「GMV」共に、東南アジアで1位となっています。注文数は驚異の前年比244%成長。マーケットごとに見るとインドネシアが圧倒的に大きいですね。前回、GO JEKについて書いた記事でも述べましたが、インドネシア市場は今後ますます成長が期待できそうです。


GMVについては以下の決算資料を参照しましょう。2017年の4QではGMVが$1.5B(1700億円ほど)となっており、2017年の年間GMVは4000億円近くとなっております。前年比206%成長と、とにかく驚異的な伸びですね。


以上より、ShopeeのGMVがいかに大きいかを理解いただけたかと思います。

ではテイクレート(取引総額に占める売上の割合)はどうでしょう。いくらGMVが大きくても、テイクレートがゼロだと、Shopee側の売上はゼロとなります。

まずは、Shopeeの収益源から。Shopeeは以下の方法で売上を出しています。Performance Based Advertising(Shopee側が代理で配信する広告がクリックされるごとに店舗側が支払う広告費)とTransaction Comission(取引の際の手数料)が主な収入源のようですね。


さて、その割合は一体どれくらいなのか。実は、Shopeeの売上は決算資料に記されていません。え?って感じですよね。GMVすごい!とか注文数No.1!って言われても、結局じゃあどれくらい売上あるんですか?って所については、Shopeeは言及していません。

TECHINASIAの記事によると、Shopeeは2017年に台湾・インドネシアで収益化を始めたばかりで、それまでは無料で売り場を提供し、とにかく売り手・買い手を増やすことに注力していたとか。なんだかGMVと注文数が前年比200%超えって部分も頷けますね。なんせ無料で提供しているのですから。

ですがこれ、実はマーケットプレイス型のECではよく見られる戦略で、楽天やヤフーも最初は無料、もしくは超低価格で売り場を提供し、ユーザーを獲得。その後ユーザーが離れていかないような形で出店料を引き上げ、もしくは広告収入で収益化し、現在に至ります。

Shopeeは今後どのように収益化していくのか

Shopeeが今後どのような形で収益を上げていくのか、注目していきたい所ですね。例えば、同じマーケットプレイス型のYahoo!ショッピングは、Yahooの広告事業を活用し、出店料や手数料を取らず、広告収入のみで成長してきました。Shopeeはどうでしょう。Seaが手がけるAirPayと連携してうまく収益化していったら面白いですね。

今回の記事、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、シバタナオキさんの「決算が読めるようになるノート」での分析方法を参考にして行いました。

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