※この記事は2017年5月に掲載されたものです
3人で0から始めた会社ですが、4カ国の拠点、35名(うち3名インターン)の規模になりました。
はじめは福岡のアパートの1室にて創業。
東京にもスタジオを設立しまして、台北の拠点はビルの4フロアになり、複数のスタジオ機能があります。最近起業後にはじめて自分の家が会社とは別で持てました。家って人間に落ち着きを与えることを改めて認識しました。
気持ちが変わった今だからほんとにぶっちゃげ話すと、はじめは1億円くらいのキャッシュが入る程度で売却できればと思っていました。ただ最近は優秀なメンバーのおかげで会社経営(これまで生きるのに必死で経営なんて概念はなかった)ができるようになってきて、それが面白くみんなが挑戦して成長していくことが何よりも自分が求めていることだと感じるようになってきました。恐らく今後も考えが変わっていくと思いますので、3年後の現状で思うところを忘備録にまとめます。
1. 3-5年計画は作ってみる
設立時に金融公庫さんからお金を借りているのですが、当然事業計画書というものを提出する必要があります。インターネットサービスは特にヒットするか、しないか、によって大きく違し予想し難いので、「こんな意味のないもの、、、」と思っていました。ただ最近当時の計画を振り返ってみて驚いたのが、事業内容に関しては全く違うものになっているのですが、数字の計画はほぼ同じような数字の軌跡となっていました。偶然なのかもしれませんが、計画出来ないor夢が描けないものはそもそも実現出来ないので、事業計画は大切なものだと思いました。
2. ピボットすることを躊躇わない
現在はソーシャルビデオという軸で事業展開していますが、3年の間に多くの事業転換を繰り返しました。現在の事業はゲーム攻略サイトをやっていたときにYoutuberという人たちと関わり、この人達のパワーがすごい、と思ったのがきっかけでした。もっと違った未来があったかもしれませんが、事業判断をスピードを持って行うのは自分としては大切だと思うことでした。
3.経営の決定権は出来るだけ1人に集約し、株式もマジョリティを持つ
設立時はパートナーと2/3, 1/3をそれぞれ出資し、僕が66.6%の株式を持つ会社でした。結論、上記の通りなのですが、はじめの段階でパートナーに強くお願いしてもっと持つようにする、もしくはそれを了承してもらえないのであれば諦める、という選択肢を取っていてもよかったと思います。多くの人が言っていましたが、自分と彼は絶対だいじょうぶ、と思ってました。約半年後に意見の食い違いから気まずくなり始め、1年経つ前に別れることになりました(現在も連絡をとっていて彼は別の会社を立ち上げ順調に進んでいるようです)。悩みだしたときに多くの人に聞いたのですが、身の回りで共同創業(特に株式の等分持ち合いとか最悪)でそのままうまくいっている人は1組もおらず、共同創業の成功は世間にも多く知られるものの、失敗はこっそり知られてないようです。自分で経験してから他の人にもアドバイスをしますが、アドバイスを聞いてもらえず、その後うまく行かない事例が100%(3件だけですが3 / 3!!)です。もし迷ってる方がいたら力強くお話しますので、ご連絡ください。
多少話しはズレますが、起業後しばらくしてから政府の創業補助金という制度で300万円(700万円だったかも)の補助金(認定されている経費項目を後からもらえる)を申請、選んで頂きました。ただ選ばれてからの手続きも膨大(僕にとっては)だと思え辞退しました。知り合いの起業家が成功の条件の1つは政府関連からお金をもらわないこと、と言っていましたが、それでいうと最低条件はクリアしました。税金を使うため手続きが複雑になることは仕方ありませんが、現状の形式だと相当な無駄金になっているというのが印象でした。個人的には起業から1年間の住民税免除とかって補助制度があると有り難い。前職年収で計算されるため当時の手取り給与額より住民税が高かったです。
4.ビジョンとかあってもなくてもいい。ただきっと創業者はずっと考える。
学生時代にイラク戦争を止めたかったときがあって真剣に考えたんですが、当時の僕(今もまだ、、、)にはどうやっても、自殺して訴えても、止めることは出来ないなあ、、と思ったことがありました。そんな状況を変えたく30歳までに起業することを決めて創った会社のはじめのビジョンは「Better World」。はじめ1年は数人だったのでそこまで意識することなく飾りとしてはよかったのですが、人数が多くなってきて会社はほんとに「Better World」を成し得ているのか。社員の現在の仕事と離れすぎているのではないか。と思うようになってきました。
VOYAGE GROUPとしてどのようなビジョンでどこに向かっていくのかと聞かれますが、当社では未だビジョンは掲げていません。なぜならば、ビジョンを描くことで変化への対応が遅れてしまうかもしれないからです。また、同時にどこに向かって進んでいくのか、自分たちで決めることができるところがベンチャー企業の良いところだとも思います。しかし、だからといって「世界を変えるようなスゴイことをやる」という創業時の想いは変わりません。そこで当社では、創業時の想いをソウル(魂)として経営理念の中に盛り込み、これを常に立ち戻るべき出発点として持ち続けていきたいと思っています。
【VOYAGE GRUOP 公式ホームページ 経営理念 SOUL - 創業時からの想い 360°スゴイ】
しばらく経営理念を出せずにいると、社員たちとの関係も悪化していきました。そのとき、西川が「社長はあんただから、やりたいようにやればいい。経営理念なんて考えている暇なんてない、今は売上を作ることに頑張らなきゃいけないって思ってるんだったら、それでいいんだよ」って言ってくれたんです。この言葉で、目が覚めました。社員たちに「経営理念なんて作らない!」「作ったとしても、毎年変えるから!」と伝えるミーティングを開催しました(笑)。だって、当時はまだ2ヶ月くらいしか経営していませんでしたからね。理念も何もないじゃないかって思って。
【赤坂優さんが振り返る、エウレカ起業後3年間の5 HARD THINGS】
うーん。。。いろいろ考えていたのですが、上記の起業家大先輩方の話しをみていると、必ずしも決める必要はなく、自分と社員がしっくりいかないビジョンではなく、本当に会社が経験してきたこと、社員が見て、聞いて、話して元気になるような言葉がいいかと思い、会社のバリューとして3つ決定しました。
①ボーダー(限界や国境)を超える
②全ては成功のために(メルカリさんを参考にさせてもらってます^^;)
③家族のように
①はYoutuberの三原さん(台湾のネット世代で1番有名な日本人になりました)の人生がそれを体現していたのでムービーにしました。全てのサービスやアクションで意識したいことです。
②は人数が多くなり、部署など別れてくると衝突が見られるようになり何のために議論しているか、という話しをする機会があり、意識付けが必要なことだと思いました。
③はこれまで何人かの社員をクビにしたことがあり、それを後悔していることから決めました。ある時期から弊社役員が僕が厳しい評価をしている人に対して、おれが見るから再度チャンスをあげたい、と言ってくれて、その当時は99%無理だろう、と思っていたものの、その役員の経験にもなるから、と任せてみました。”その社員はいま弊社エースの1人です。その後も1人、、、また1人、、、と「おれがみる」社員が増えて、みんな成長して活躍してくれてます。①の挑戦する機会や舞台は以前から提供出来ているのですが、恐らく「安心感」を会社が提供出来るようになり活躍出来る人が多くなったのかと思っています。
5. 人材大切。人材大切。人材大切。
大事なことなので3回書きました。わかってはいたつもりなのですが、実際に1人、1人とキーマンが活躍してくれることで、新しい事業のブレイクスルーになったり、雰囲気が変わったりします。社会人になってから約10年、仕事120%で結構忙しい日々(もしくは仕事が下手だった)を送っていましたが、はじめて経営的なタスクに多くの時間を割ける(言い換えればヒマ、、、)ようになりました。この良いサイクルを続けていくために、1Qにはじめて自社集客で会社説明会を行い2Qに10名が入社します。Youtuber関連事業は消費者向けメディア的なこともあり、求職者からの弊社知名度はそこそこ高かったのですが、500名が応募、200名が説明会に参加してくれて大成功でした。【2017年Q1招募說明大會活動圓滿落幕,感謝大家熱情參與!】1時間半の会社説明の後にケータリングで社員交流会と合わせて3時間の交流を経て面接フローに進んでもらいます。ものすごーく大変だったのですが、台湾ではフォックスコン(シャープ親会社)のような会社でなければ自社説明会を行うことはなく、フォックスコンも社長は出て来ないので、求職者の満足度も高くミスマッチも起きにくいはずです。採用後にもクオーターごとのレビュー及び昇給(降給もしています)など最大限に人材にはリソースをかけてかけています。
最後に弊社の広告です。
台湾では最大の売上規模を持つYoutuber関連企業(自社調べ)になりました。台湾でのマーケティングを検討されている方はご連絡ください。ha[AT]capsulecorporation.cc (※ (at) は @ に置き換えて下さい) また中国での事業も開始しており、以前上海のネット広告代理店に5年いた自分が担当となり注力しております。