── なぜ今、僕たちはAIで事業変革を起こすのか
2026年、アライドアーキテクツは大きな転換点を迎えている。創業20年、デジタルマーケティング支援のパイオニアとして歩んできた当社が、「マーケティングAX(AI Transformation)企業」への変革を宣言した。AI活用が一気に浸透したこのタイミングでの変革に込めた思いとは何か。取締役社長・村岡弥真人に、包み隠さず語ってもらった。
目次
「実行支援だけでは、もう生き残れない」
「5,000万件のデータが、ずっと眠っていた」
「業務と業務のつなぎ目」を、人間が遮断している
コンサルでも代理店でもない、「ハイブリッド」というポジション
「AIは仕事を奪わない。バディだ」
「不確実性の高い問いに、向き合い続けられるか」
「実行支援だけでは、もう生き残れない」
── 創業20年、順調に成長してきた会社をなぜ変えようとしているのですか?
正直に言うと、危機感です。僕らは創業から20年間、マーケティングの施策実行支援をずっとやってきました。これはすごく良かったんですけど、最近になって、これだけではアライドも価値を出しづらいし、クライアント企業様の価値も増幅しづらくなってきている。これが市場全体の大きな変化として、まずあります。
その背景にあるのが、AIです。広告代理店や制作会社の「実行」のほとんどはAIに代替されていく。たとえば代理店が手数料を得て請け負っていた仕事を、AIでもできるようになっているのに、そのコストを払い続けるのか、という問いが市場全体で起きている。施策実行の支援だけでは生存戦略として生き残れない。これはアライドだけでなく、あらゆるマーケティング支援会社に共通することだと思っています。
── クライアント企業側の変化はどうですか?
もう一つ大きな変化があって、生活者のニーズが多様化したことで、成長企業はブランドやプロダクトの多角化が不可欠になっている上に、コミュニケーション戦略も加速度的に複雑化している。今までは優秀なエース人材が商品戦略やコミュニケーション戦略の多角化に対応してこれていましたが、求められる幅や難易度が、限られた優秀人材に依存するには限界に来ているように見えます。
複雑化していく案件に、いくら優秀な人でも一人では対応しきれないですよね。一方で、しかもそのエース人材の恩恵を受けられる企業はごく一部にすぎない。多くのブランドが、複雑化する市場の要求に追いつけないまま取り残されていく——。こういう問題が積み重なってきたというのが、転換を考えるようになった理由です。
「5,000万件のデータが、ずっと眠っていた」
── 変革への確信はいつ、どこから来たのですか?
一番大きなトリガーは、やはりAIの急速な成長です。創業から20年間で、僕らは約5,000万件のUGC(User Generated Content)やVOC(Voice of Customer)データを貯めてきました。これ、実は『宝の山』だとずっとわかっていたんですよ。でも人力で5,000万件を分析するなんてできない。ずっと宝の持ち腐れ状態だった。
AIが急速に発達したことで、このデータ資産をコミュニケーション戦略へ昇華することが、初めて可能になったんです。今まで優れたマーケティング能力を持つトップ層しか発想できなかったような戦略の方向性が、膨大なデータの活用が可能になることで、感覚や経験値ではなく、生活者が実際に語ったデータに基づいた戦略を、誰でも導き出せるようになったんです。しかもある程度高いクオリティで平準化されて出てきます。つまり、戦略立案を僕が出そうが、他の誰が出そうが、アウトプットは変わらない。これはすごい変化だと思っていて、『今がタイミングだ』と確信しました。
「業務と業務のつなぎ目」を、人間が遮断している
── マーケティングAXの本質とは何でしょうか?
よく「AIで業務を効率化する」という話がありますが、それはもう当たり前の話だと思っています。本当に大切なのは、業務と業務の『つなぎ目』から人間の属人性をなくすことだと思っています。
例えば調査会社が出したレポートを分析担当が解釈して、その解釈をプランナーも自身の解釈で調理して、プランナーが代理店に伝えて、代理店が自身の経験則も加味して実行する。この各つなぎ目で、情報が分断されていくんです。受け取る人によってクオリティや理解度にばらつきが出る。戦略が実行段階で途切れる。現場と経営層で解釈がズレる。これがほとんどの会社で起きていることです。
── 具体的に、どんな場面で気づいたのですか?
アライドに入社してから15年ほど広告支援をしてきて、クライアントから最も要望をいただくことって、実は『一気通貫でやってほしい』なんです。これがなぜかと言うと、全部が繋がっていれば情報がブレないからなんです。でも現実は、いろんな会社にバラバラに発注せざるを得なくなっている。
たとえば、僕らがVOCを分析してコミュニケーション戦略を立案し、他の代理店が実行する、というケースが何度もありましたが、これは、ほとんどのケースで成功しないんです。なぜかというと、僕らが持っている思想や生活者の文脈が、レポートという形で渡された瞬間に途切れてしまう。受け取った代理店は点でしか受け取れない。これは本当に機会損失だと感じていました。
── AIはその「つなぎ目」をどう変えるのですか?
AIが果たすべき最も重要な役割は、業務と業務のつなぎ目にある属人性をフラットにすること。120点の成果を出さなくていいんです。意思決定に必要な情報とフレームワークをAIに読み込ませておいて、70点の回答が自動で出て、人に伝えるフォーマットも自動化できれば、伝達コストがなくなるし、解釈のズレもなくなる。
結果的に人間は何をやるかというと、正解がすでにある事柄はAIに任せて、不確実性の高い領域——たとえばコミュニケーションでこういう方向にやった方がいいんじゃないか、マーケットでここにチャンスがあるんじゃないか、といった創造的な問いや判断——にフォーカスできるようになる。これが僕らのやっているマーケティングAXの本質です。
コンサルでも代理店でもない、「ハイブリッド」というポジション
── アライドが目指すポジションを教えてください。
僕は、マーケティングは経営とほぼイコールだと思っています。そうすると、マーケティング支援をするということは、経営コンサルティングと同じことをやっているということになります。
そこで僕らが目指しているのは、マーケティングのプロフェッショナルのコンサルティングファームと、AIの開発能力を持つ開発会社の『ハイブリッド』というポジションです。コンサルは戦略を立案して終わる。開発会社はシステムを作るけど、マーケティングのスペシャリストではない。代理店は実行はできるけど、戦略の仕組み化は専門じゃない。それぞれ単独では、今の企業が求めることに応えられない。
僕らは、生活者のVOCデータをもとに意思決定を早くして、それを企業の戦略にして、その戦略が一気通貫のループで循環する仕組みを企業様に提供する。開発もできるし、戦略もできるし、実行もできる。コンサルでも代理店でもAIスタートアップでもない、そこが唯一のポジションです。
── それが実現すると、クライアントにとって何が変わりますか?
分かりやすく言うと、手間が下がってコストが下がってスピードが上がる。これだけです(笑)。でも、これが劇的な変化なんですよ。今まで調査会社に発注して、分析して、プランナーが考えて、代理店に発注して——という工程にかかっていた時間とコストが、大幅に圧縮される。しかも情報が途切れないので、戦略の質も上がる。
「AIは仕事を奪わない。バディだ」
── AIで仕事が奪われるのでは、という不安を持つ候補者も多いと思います。
AIは人の仕事を奪わないんですよ。補完してくれるものです。いかにAIに仕事を任せて、自分自身の最大価値を発揮できるかが重要で、付き合い方次第だと思っています。
実は今、僕の仕事の半分ぐらいはAIが代行してくれています。Slack上に自分のボットがいて、プロジェクト管理も、タスクの確認も、会議の議事録の作成も、次のアクション示唆も、全部やってくれる。僕はそれが的確に動いているか確認する、みたいな(笑)。そのAIにありがとうって言ったりするんですよね。AIによって半分仕事がなくなって何をしているかというと、クライアント企業様の価値を上げるにはどんな打ち手があるかを考える時間に使っていて、そういう分業ができてきた感じがあるんです。ルーティンはAIに任せて、自分はお客様の事業の本質的な問いにだけ向き合う。毎日AIの新しい使い道を試しながら、できることが広がっていく感覚がある。
そういうの、なんか楽しいじゃないですか。この好奇心とか、次何が起こるんだろうというワクワクを持てるかどうかが、AI時代を生きる上での一番大切な素質だと思っています。怖さよりも、今までできなかったことがよりできるようになる——それだけです。
「不確実性の高い問いに、向き合い続けられるか」
── どんな方と一緒に働きたいですか?
とにかく『アーキテクト(建築主・創造主)』の集まりにしたいんです。事業を作ることでも、クライアントと一緒に新しい価値を想像することでも、AI社会の中で新しい社内の仕組みを作ることでも、新しい価値を想像し続けられる人。純粋無垢というか、いろんなことに好奇心や興味がある人と一緒にやりたいですね。
あと、今の僕らのメインターゲットであるメーカー企業様の経営改革に、現場で伴走できることに価値を感じる人。10年後に集まった時に、『あの会社の事業、自分たちと一緒に作ったよね』と言えるような、生々しいことに現場で触れることができる。そういう経験に魅力を感じる人と働きたいです。
── アライドアーキテクツを検討している方へ、メッセージをお願いします。
キャリアモデルや人材モデルが大変革しているこのマーケットで、みんなどういうキャリアを歩めばいいかって、とても不安だと思うんです。僕なりの答えは、この不確実性の高い、答えのない問いに向き合い続けられるかどうか。これしかないと思っています。
答えがあるものはAIが全部答えを出す。不確実性の高いことは、事業作りと経営だけなんです。その事業運営感覚・経営感覚を養うチャンスが、アライドにはある。すごくいいビジョンを持ったお客様の経営改革に現場から携わる経験は、AIが来ても、ロボットが来ても、価値は絶対なくならない。AIと共存する社会の中でいかに自分の腕を磨けるか——それが、今このタイミングでアライドを考えている方に伝えたいことです。
【プロフィール】
村岡弥真人(むらおか・やまと)
アライドアーキテクツ株式会社 取締役社長。2004年に創業し、20年以上にわたりデジタルマーケティング支援の最前線を牽引。約5,000万件のUGC・VOCデータ資産と独自のAIプラットフォーム「Kaname.ax®︎」を基盤に、「マーケティングAX企業」への変革を推進中。