ミッション、ビジョンというと立派な内容で、社員の現場での業務から正直かけ離れていると感じる人もいるかもしれません。and TRUNKは新ミッションとビジョンによる2022年度が始まりましたが、どのような想いと背景で決まったのか。当事者として社員が会社に参加する文化とは。木原社長と清水部長にインタビューしました。
「社会に対して還元するより今は自分」というジレンマ
-今回大きくミッションとビジョンが変わった背景を教えてください
木原:会社を経営する上で、社会に対してパーパスを掲げることが大事だと言われます。でも、本当に心から社会貢献を考えるのは結構ハードル高いなと。僕も経営者の中では若い方に分類されますし、当社のスタッフも20〜30代の若手が中心なので、「社会に対して還元するより今は自分」という人の方が圧倒的に多いというジレンマがありました。
とはいえ「社会貢献しなくていいんですか?何のために会社が存在しているんですか?」って話になるじゃないですか。
だからそこに何を設定するのかを改めて考えたときに、一番納得がいくのが「働くみんなのために」ということだと思いまして。働くみんなの満足度を上げていく、所得が上がる、環境が良くなるようにやっていけば働く人自身が幸せになる。それは間接的に社会が良くなることにつながるので社会貢献になると思うんです。
だから、その辺りを強く頭に置きながら、幹部合宿でミッションとビジョンを決めていきました。朝から晩までもう脳みそから煙出るんじゃないかっていうぐらい、一語一句突き合わせましたね。
ビジョン:やりたいをカタチにするコミット集団
-ビジョンについて紹介をお願いします
木原:私たちはビジョン=目指すべきもの、and TRUNKのあるべき姿というふうに解釈しています。それで「and TRUNKをどんな会社にするか」と話し合っていたんです。
その中で全員一致だったのは「やりたいことをカタチにできる風土は作りたいよね」ということ。
その一方で、コミット力が弱いのが課題感としてあった。もう幹部会議するたびに「優しい集団の集まりになっちゃったよね」という話が出ていました。
だからやりたいと思うことを実現できる会社であると同時にコミットするチームでありたいと。その想いを込めて「やりたいをカタチにするコミット集団」というビジョンになりました。
-コミット集団というワードが印象的です
木原:当事者意識を持って欲しくてコミット集団というワードを選びました。集団といってしまえば一人残らず誰もがその一員になるじゃないですか。「君もコミット集団の1人なんだよ」と。これめちゃくちゃいいよねって盛り上がりました。
ネットでも調べましたが「コミット集団」と謳っている組織は見つからなかったのも唯一無二で良かったです。
清水:昨年から始まった社内プロジェクトの取り組みとも符合してバシッと決まった感じですよね。
今までは社員には基本的に査定しかやらせてこなかったけど、社内報だったりオウンドメディアだったり工場のマニュアル作成だったり、査定以外の様々なことにチャレンジする機会がプロジェクトによって生まれて。関わるスタッフが大きく成長するのを目の当たりにしました。
考えてみれば、私たち幹部も最初は査定から仕事を始めて、組織が大きくなる中で査定とは関係ない仕事をするようになった。つまり、今いる一般の査定士もプロジェクトに関わる中で、私たち幹部がたどったのと同じ道を歩んでいると言えます。
そしてプロジェクトでは社員自身がやりたいからやる、参加するというのが基本姿勢としてあるので。やりたいをカタチにする、結果を出す、積極的に関わるっていう意味で、「やりたいをカタチにするコミット集団」というビジョンは本当に何かバチンときました。
木原:幹部合宿で「やりたいと思ったことをカタチにしてくれますよね、否定しないですよね」という言葉が出ました。それはそうだよねって。社員がやりたいと思ってこっちもいいと思ったことは形にしたいし、経営層である自分たちもやりたいことって出てくるじゃないですか。経営とか事業へのチャレンジも含めて、社員のやりたいことを全員でフルコミットしようと思います。
やりたいという言葉を生み出すために
-やりたいと言える環境はどのように作っていますか
木原:やりたいという言葉は当事者意識がないと出てきません。当事者意識を巡る3要素を踏まえて、当事者意識を芽生えさせる仕組みを落とし込んでいます。
当事者意識を巡る3要素とは、
・チームを小さく分ける
・それから責任を明確化して与える
・参画感を持たせる
この3つを実行してもらうのに社内プロジェクトはうってつけでした。
何か新しいことをやるときに一見別にチームを組むほどではないようなものでも、チームを組んでプロジェクト化します。
プロジェクト化したらタスク管理アプリを使って全員でタスクを共有し、タスクに一人一人アサインしていきます。これによって責任を明確化して与える事になる。
さらに会議をしなさいよと。チーム内で集まって話し合って決めることで参画感が生まれます。
これを繰り返すことでプロジェクトやチーム、部署に対してめちゃくちゃ当事者主義がつく。そうすると自然とやりたいことが社員から出てくるんです。この順番を徹底することでボトムアップの文化になっていると思います。
ミッション:全従業員、お客様、そして「自分も」満たされる会社を創る
-ミッションについて紹介をお願いします
木原:冒頭でも話しましたが、社会貢献を掲げてもみんなまだまだ心から共感できない。共感できないミッションは意味ないじゃないですか。じゃあどんなミッションなら共感できるのか。
明日入ってくる社員でも共感できるものは何かと考えました。
まずは働く人は物心両面で満たされたいということ。お金も欲しいし働いて楽しいと思いたいのは、誰もが共感できることです。
次にお客様から見たときの満たされるというのは、あの会社なくなったら困るよねというサービス提供を行うことだと考えました。
そこで、全従業員、お客様というのを定義した。さらに全従業員ってわざわざ言うということは社長である私も含まれます。つまり全員なんですよね。私も満たされる会社を作りたいし、自分自身で変えたいし、社員を満たしてあげたいしという思いには、多分誰もが共感できると思うんです。
最後に「そして自分も」とわざわざ入れた。全従業員の中に自分が入ってるから別に入れる必要は本来ないんですが、わざわざ入れたのは全従業員の中に当事者として自分も入っていることを改めて認識して欲しかったというか。
自分が満たされる会社を作りたくない人は多分いない。ここに共感できない人は多分いないと思ったんです。
でも言葉として「全従業員」だけだったら、「いや僕はいいですよ」という人も1人くらいいるかもしれない。「お客様」だけだったら、「いやいや、俺そんな利他の精神ないです」と言う人ももしかしたらいるかもしれないじゃないですか。
でも、全従業員とそして自分が満たされる会社を作りたいかどうか聞かれたら、「それは作りたいです」と言うと思うんです。それでわざわざ「全従業員、お客様、そして『自分も』満たされる会社を創る」という書き方をしました。幹部みんなで頭を振り絞ってたどり着いたミッションです。