株式会社インフォバーン / イノベーションデザイン事業部
湘南ベルマーレ アニュアルレポート
湘南ベルマーレ「アニュアルレポート2025」を、クラブの“決意表明”として再設計。J2降格という厳しい現実を起点に、2030年に売上35億円を目指す「ターゲット35」へ向けて、クラブが長年の「サバイブ(残留)体質」から「自立と成長」へ舵を切る——その“経営の意志”を、ステークホルダーに伝わる形で可視化するプロジェクトでした。 従来のファン向け冊子ではなく、スポンサー企業・行政・地域社会などビジネスサイドのステークホルダーに向けたコミュニケーションツールとしてアニュアルレポートを再定義。戦略整理からプロジェクトマネジメント、経営層への壁打ち、パートナー対談の企画・取材、原稿執筆、デザインまでを一気通貫で支援しました。外部コンサル(KPMG等)が算出するSROIやKPIなどの定量データと、クラブが積み上げてきた定性的な想いをつなぐ「翻訳役」として伴走した点も本プロジェクトの特徴です。 制作で重視したのは、情報の“きれいな整理”ではなく、クラブのリアルを信頼に変える編集設計。過去8年間を「残留期」と位置づけた上での赤字や債務超過リスクなど、都合の悪い情報も含めて「すべてを天日干し(開示)にする」という経営の姿勢を受け止め、単なる羅列ではなく「なぜそうなったのか/次はどうするのか(ターゲット35)」の文脈の中に配置しました。具体的には、財務情報をあえて手前に置き「数字で見るベルマーレ」として経営の現実を直視させる構成を提案・実装し、ネガティブを“誠実さ(Integrity)”として伝わる形に変換しました。 また、サステナビリティ活動「Bell-Being」では、SROIなどの数値をそのまま見せるのではなく、「誰に、どうなってほしいのか」という人起点で再構築。活動回数ではなく参加者の変化や地域にもたらす価値へ焦点を移し、無機質なデータを「クラブが地域に存在する意義」として感じられるストーリーへ翻訳しました。加えて、経営と現場の視座のズレが生じた局面では、双方の意見を整理し、オフィシャルクラブパートナーであるフジタ様との対談を「スポンサー紹介」ではなく「共創」の文脈で設計。クラブの目指す“ビルドアップ型”の関係性を、言葉と構成で立ち上げました。 完成したアニュアルレポートは、気合と根性の営業から、論理と共感でパートナーと価値をつくる「ビルドアップ営業」の武器へ。さらに制作プロセス自体が、クラブが掲げる新たな行動指針「5C」(部門横断や情報開示等)を実践する場となり、組織の学習と浸透を促す装置にもなりました。

