神戸大学大学院 / 人文系
バーチャルユーチューバの三つの身体:パーソン・ペルソナ・キャラクタ
2017年の終わりごろ、にわかに人々の耳目を驚かし、少しづつ人口に膾炙しはじめたバーチャルユーチューバ(VTuber)というものたちがいる。動画では、3Dあるいは2Dモデルのキャラクタが動き、企画やトークを行なっている。それらは、あらかじめ決められた演技を行うような3Dアニメーションとはあるていど異なっている。というのも、それらのキャラクタの動きは、演者の意図した動きから、不随意な動きまでもトラッキングすることで生成され、たとえば、ライブ放送においては、演者とキャラクタの動きのリアルタイムな同期が行われているからだ。それらはアニメーションにおけるフィクショナルキャラクタのようでもあり、また、Twitterやライブ放送でのオーディエンスと双方向的なコミュニケーションを行う様子からすると実在の人物のようでもある。 バーチャルということばにこと寄せて、実在しないが実質的に存在するような、実在しないが仮想的に存在するような、そこにはいるがどこにもいない存在として語られるだろうそれらについては、しかし、こうした箴言めいたことばではなおも説明し足りない多くの謎がある。 本稿では、わたしたちがバーチャルユーチューバをどのようにして鑑賞しているのかを、コミュニケーション研究と美学の知見を手がかりに分析する。 結果として、本稿は、バーチャルユーチューバの鑑賞のされ方について、それがもたらしうる倫理的問題について、それにとどまらず、バーチャルな世界に参入したさいのわたしたちのあり方について考えるためのいくつかの手がかりをもたらすだろう。 第一セクションはバーチャルユーチューバを分析するための概念の導入と理論の構築、第二セクションではそのまとめと事例への適用を行い、第三、第四セクションでは、作品分析と倫理的問題の整理への理論の応用を試みる。