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人生を渡り歩くコツは、劇団四季に合格するまでにやったアルバイトで学んだ
人生を渡り歩くコツは、劇団四季に合格するまでにやったアルバイトで学んだ僕は就活完全負け組、社会人生活をフリーターとして迎えた人間だ。何を思ったか、23才で劇団四季に合格するという夢を持ちそこからクラシックバレエを習い始めた。そして28才手前で劇団四季に合格。35才で劇団四季の主役までのし上がったという変わった経歴を持っている。好きな言葉は雑草魂(メジャーリーグの上原浩治と同い年の現在39才)。劇団四季に合格するまでの5年間には夢をあきらめたくなかったので様々なアルバイトをした。ちなみに「佐藤さんを劇団四季のメンバーとして迎えます」と血が沸騰するような劇団四季から合格の連絡を受けた時は、銀座8丁目の交差点でリアルに客引きをしていた。土木作業員から人体実験まで本当にいろいろなアルバイトをやった。そして、そこには様々な人間模様があった。様々な人間がいた。大学を卒業してそのまま就職して会社勤めをしていたら決して出会わなかった人と出合う事ができた。僕はそこにいた様々な人達を「人生のお手本」や「反面教師」にして、人生をうまく渡り歩くコツを掴んできた。学生時代にやったものも含め、その貴重なアルバイトの体験のありのままをここでシェアしたい。そしてこの記事を読んでくれたあなたの生き方に少しでもプラスになれば、これほどうれしいことはない。僕が携わった、思い出せる限りのアルバイト~目次~※1~7は学生時代。1・深夜の読売新聞積み下ろし作業員2・駅のホームにある売店建設員3・パブレストラン4・高級カラオケボックス店 5・浅草すき焼き屋給仕 6・喫茶店員7・人材派遣営業8・テレホンアポインター9・引っ越し作業員10・ポスティング11・フォークリフト誘導12・土木作業員13・セメント工14・チラシ配り15・モニター各種(アンケート、ウィンカー、髭剃り)16・車両整備17・チラシ広告制作18・人体実験(治験)19・携帯電話販売員20・五反田データ入力21・五反田プログラミングチェック22・美術モデル23・バス添乗員24・ETCチェック係り25・インターネットルーター営業26・浅草観光ツアーガイド27・六本木のクラブ28・銀座のクラブおまけ 劇団四季で主役やった後、食品宅配の飛び込み営業をやることに…1・深夜の読売新聞積み下ろし作業員深夜の読売新聞のトラックへの積み下ろしの仕事。22時30分位に箱根駅伝の復路ゴールである大手町の読売新聞本社へ軍手だけもって行き、ベルトコンベアから流れてくる新聞の重い束をひたすら、トラックに積み込むという単純作業。大手町が終わったら都内の別の印刷所に移動し、そこが終わったらまた別の印刷所へ移動して、そこから軽トラックで家まで送ってもらい夜中の3時30分位に業務が終了する。業務終了時は、身体中にインクの臭いがかなり染みついている(笑)。日当7000円。この仕事は基本的にドライバーさんと二人組になってトラックに新聞を積み込む業務だ。一日の合計は10~15台程… ドライバーさんにはいろんな人がいた。・初めから終わりまで一言もアルバイトと口を聞かないおじさん。・初めから終わりまでずーっと話し続けるおじさん。・突然キレ始めるおじさん。・プロレスラーを目指しているお兄さん。ほとんどのドライバーさんに共通しているのが、昼間に別のお仕事をしていて深夜のこの仕事を掛け持っているということだった。サラリーマン家庭で育った僕は、昼も働いて夜も睡眠を削ってこうして働く人がいるということを初めて知ってショックだった。この仕事場には、今井さんという強烈な人がいた。アルゼンチン代表の”カルロス・テベス”(写真参照)にそっくりな顔つきだった。今井さんの仕事内容は、恐らくアルバイトの管理。今井さんは基本的に何を言っているのかよくわからなく、いつも現場をウロウロしていた。何のために現場にいたのか未だにわからない謎の人だった。おまけに子指の第二間接から先が無かった。この今井さん始め、いろんなタイプのドライバーさんとうまくやるには、コツがあった。まずとしっかりと話を聞く。そして「そうなんすか」と実感して返事をする。それをしてれば、揉めたり怒られたりすることはまずない。本当だったら睡眠をとるはずの深夜という特別な自分の時間を切り売りしてお金に変えているという感覚は20才前後の僕にはまだなかった。「頑張っても頑張らなくても同じ」という意識が気づかないうちに根付いてしまっていた。これが、時給で働くアルバイトの実に怖いところである。帰りの送りは、ゴーストタウンと化した深夜の都心部を猛スピードで突っ走るトラックに、全身インク臭いまま乗って、家まで送ってもらう。もし事故ったら確実にフロントガラスを頭から突き破って死ぬな、と思うくらいのスピードだった。 2・駅のホームにある売店建設員古くなった駅のホームの売店を解体して搬出し、新しい機材を搬入して0から組み立てるアルバイト。労働時間が5時間ほどで、日給14000円。しかも現金をその場でもらえた。大型のプラモデルのように売店を組み立てる。一つ一つの部品を運ぶのだが、腰が砕けそうになるほど重い。おまけに持ちにくい。地上から現場まで距離があるとそれだけで倒れそうになった。売店がだいたい出来上がり、出勤するサラリーマンがぽつぽつと現れる位の時間になると、そこに外注の電気屋さんが必ずやってくる。ドリンクをいれる冷蔵庫や売り子さんの頭上の蛍光灯、Kioskというお馴染みの看板を内側から照らす電気を通すためだ。電気屋さんはいつも同じ人で、中山さんという方だった。中山さんはポケットがいっぱい付いたつなぎをいつも着ていて、やさしい職人肌のおじさんだった。僕は中山さんと仲良くなり、いろいろ話すようになった。中山さんの言葉は今でも忘れない。「おじさんはね。第一種電気工事士という資格を持っていて、手に職があるんだよ。おじさんは一生懸命勉強して、この資格を取った。そして働きながら今の技術を体で覚えた。こんな汚いつなぎを着て、こんな地味な仕事をしていても、(傍らを通る)あの綺麗なスーツを着た人達よりもはるかに稼いでいるんだよ。」さらに中山さんはこういった。「いい大学を出て、大企業に入らなくても、あの人たちと同じくらい、いやそれ以上稼ぐことはできるんだよ。収入の流れが多数あるから、一つしかないあのスーツを着た人達よりある意味強いかもな。10本の収入の柱を持っていて3本がやばくなったとする。でもね、残りの7本をきっちり守りながら3本をまた増やしていけばいいんだ。彼らは会社にいらないって言われたら収入の流れがすべて絶たれ、路頭に迷っちゃうんだよ。」ちなみにこの頃はバブルが弾けた後で、日本では大手の証券会社が潰れたりしていた時期だったので言葉にリアリティーがあった。自分の強みを磨いて、手に職をつける意識を持つ。会社に依存しないで自分の力で生きる。取引先は複数にする。僕が、こういった意識が今でも強いのはこの中山さんの影響だ。売店が完成すると、とても嬉しい。自分の作った売店が通常業務をしているのをみると、嬉しくてニタニタ立ち止まってよく見入ってしまっていた。地下鉄のホームにあるこの売店を見ると、中山さんの言葉とこのアルバイトのことを思いだす。3・パブレストランのボーイお酒を料理と共に楽しむお店のボーイ。綺麗な絨毯とレトロな内装。お客さんのボトルをキープし、フランス料理を提供する結構敷居の高い店だった。とくに綺麗なお姉さんがお客につくというような店ではなかったのだが、サービス料を20%もとる立派な水商売。客層はお茶の水周辺にある大企業の役員やお金を持ってそうな男性客がメイン。たまに訳有りの怪しいカップルなどがくる感じだった。時給はたしか850~900円くらい。や、安い。小皿や灰皿やグラスの素早い洗い方、拭き取り方、カクテルや生ビールの上手な作り方(初めてシェイカーを振った時の感動は忘れられない)。ホールでのトレーの持ち方運び方、料理皿を一度にたくさん持つ方法。すべてここで覚えた。この店にはいろんな個性ある人間がいた。まずオーナー。70近い爺さんだが、たまにふらっとやってくる。みんなオーナーが来るとぴりぴりして、店の空気が一瞬で変わるのが不思議だった。酔っ払うと非常にタチが悪く、酔って機嫌が悪いときは空いたボトルを店の鏡に投げつけて鏡を破壊したこともあった。僕は酔っても全く変わらないとよく人に言われる。アルコールが入ると目がすわり態度が豹変する人がたまにいるが、そうならないように気を付けているのはこの時の体験があったからかもしれない。つぎにゼネラルマネージャー。通称ジーエムと呼ばれるこの人はかなり強烈だった。40過ぎの小太りのこの男は仕事中は愛想よくお調子者でアルバイトを笑わしたりしていたが、仕事が終わった瞬間に、客椅子に足を投げ出して片手でネクタイをほどき目もあわせず口も聞かず、やくざな顔に豹変するという癖者だった。この通称ジーエムは、多額の借金を抱えていた。カードでお金を借りて返せないので他のカードで借りて返す。そこがまた返せないのでまた他で借りて返す。これを繰り返したらこうなったと誇らしげに話してくれた。自転車操業という言葉もこの時初めて教えてもらった。僕は、このような悪い借金をしたことがない。友人からお金を借りなければいけない時も100円でも極力すぐに返す。それは、このジーエムの姿を見てしまったからだ。まさに反面教師。最後にムッシュ。料理の世界ではムッシュという地位は相当高いらしくみんなこの人には一目おいていた。それにしても厨房の世界は、本当に厳しい。若手にどなるのは当たり前で、僕らも厨房に入らなくてはいけないときはいつもドキドキしてた。一日のごみをまとめるため厨房に入るときは大声で「失礼します!!」と言ってからでないと入れない。ムッシュは、声が聞こえると、こちらを向いて鋭い目でコクッと頷いてくれる。ムッシュは厨房の中では鬼のような顔だが、仕事が終わるとやさしい顔になる。その姿はかっこよかった。ジーエムのような態度ではなく、ムッシュのような働く姿勢こそプロではないかとこの時感じた。相手や状況によって態度を変えずに、自然体でいる大切さも学んだ。時給が安かったのと、お店側のシフトの入れ方が強引だったため、労働時間が長くなり、大事なことを疎かにしているような気になっていた。自分の時間を切り売りして対価に変えているという感覚はまだなかった。次回に続く_________。次回は、高級カラオケボックス店のアルバイトSTORYから ~いじめの回避法~この記事が面白かったら「読んでよかった!」も押してみて下さい ↓ ↓ ↓FBシェアして友達に読んでもらう、ワンクリックコメント大歓迎。