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yutoriのゆとらないトークセッション vol.1 『この時代にブランドをどう創るか』 foufouマール・コウサカ × yutori片石貴展

ZOZOにハーフジョインしたyutoriの「ゆとらない採用」プロジェクトの一貫で「ゆとらないトークセッション」を開催しました。

3本立てとなっており、今回は第一弾として『この時代にブランドをどう創るか』というテーマでfoufouマール・コウサカ × yutori片石貴展のトークセッションとなります。

左:yutori片石   右:foufouマール

片石:
初回は『この時代にブランドをどう創るか』で、foufouのマールくんにきてもらっています!早速話していきましょう。

マール:
よろしくお願いします!

片石:
それぞれ自己紹介していきましょう。まずはぼくから、yutoriという会社の代表の片石です。ぼくらは2つのメディアと4つのブランドを運営していて、最近ZOZOグループにハーフジョインしまして上場を目指してます。ばちこりと!(笑)

マール:
マール・コウサカと申します。foufouというブランドのデザイナーと代表をやっています。foufouはD2Cのスタイルで、卸はせずに直販のみで展開していて、「健康的な消費のために」というコンセプトでやっています。今月末に本も出すのでその番宣でも来ました(笑)

片石:
芸能人みたいだね(笑)お願いします!

マール:
では質問でも来てたのだけど、ブランドを始めたきっかけについて。大学生の当時、クレジットカードの使用限度額ギリギリまで服にお金を使っていた時代があって。ファッションに使うお金を減らさなきゃなって思っていたけど、ファストファッションだと満足出来ないし、ヘルシーじゃない生産構造で多くのメーカーさんがやっていた。

そこで、自分ならインターネットで、お客さんに商品を届けられて満足させられるものを提供できるんじゃないかって考えて立ち上げました。

アパレルD2Cブランド「foufou」

片石:
店舗運営だと大量に在庫並べてセールしてゴミになって...っていうサイクルになってしまうけど、オンラインをベースにするとヘルシーなサイクルはやりやすいってあるよね。

マール:
サスティナブルについての質問もきてたんですけど、ものづくりっていうものは究極に言うと悪で、今使っている素材が環境に優しいかでいうとそうではないし、物流会社さんが配達するだけで環境問題が発生しちゃうとかもある。サスティナブルって言葉が一人歩きしちゃって、目的と手段が逆になってしまっている感もあるから、自然と手に取った商品が環境に良い商品だったっていう方が良いし、それが健全な姿だと思う。

片石:
在庫が余るっていうのは環境にとっても会社にとっても悪。現実的には不必要なものはつくらない、在庫は余らないようにするぐらいしか現実的には難しいような気がするよね。改めてブランドの話に戻って、きっかけの話から次はブランドの変遷を教えて欲しい!3期くらいに分けるとどんな感じだろう?

マール:
「ハンドメイド期」・「ひとりで100着発送してた期」・「nutteと取り組み始めた期」・「ゴリゴリ生産回してる期」の4期くらいに分けられるかな!

片石:
それぞれ詳細お願いします!

マール:
ハンドメイド期は、古着とかぼくが好きなBrooks Brothersとかおじファッションをインスタグラムに載せたりしてたら800人くらいフォロワーが増えて。小さなコミュニティが形成されているなっていう感じがあった。

そのコミュニティの人たちを見て、「ファッションを純粋に楽しむっていいな」って思ったの。自分が学校に通ってた時はアカデミックなファッションについてしか学べず、純粋にファッションを楽しむっていうことが出来ていなかったから、こういうファッションを純粋に楽しんでいる人に洋服を届けたいなって思った。

で、手作りで服を4着つくって試しにBASEで販売してみたらすぐに売り切れて。たった4着だったけれど「これはいける」って直感的に思った。そこから、4着を10着に増やしたりしたけど、10着でも手作業だからめちゃくちゃ大変で。

そこで検索したら、縫って欲しい人と縫えるよって人をマッチングさせる「nutte」ってサービスを知ってそれを使って販売してた。

nutte

100着くらいまで行った時にキャッシュが回らなくなって。経営の勉強も全くしてなかったから銀行から借入も出来ず、カードローンでお金を借りてて150万くらい借金もしてたけど、それでも服は売れるから止めたくはなくて。nutteさんにもお金を支払えなくなって交通費もギリギリの中で謝りにいって。けどnutteさんが「うちでお金貸すから、ブランド続けませんか?」と言ってくれて。それで3,4ヶ月後にはお金も返済して、その後は試着会とかライブ配信とかもやって今があるって感じかな。

片石:
牛島くんスタイルだ(笑)

よく質問で「どうやってブランドつくるんですか?」とか「計画ってどんな風に立ててるんですか?」ってきたりするけど、初期の頃であるほどそこまで頭回ってないことが大半だよね。

マール:
うん、あと「大変だったでしょ」って言われる実は全然そんなことなくて。当時は無我夢中すぎて大変とか感じなかったし、ゆくゆく”こんなことがあったよエピソード”としてコンテンツになるなって考えてたりしたから楽しかった。

片石:
貧乏な時ってやってる時は苦ではなくて、むしろ何をしたらいいかわからないとか暇な時とかがよっぽどきついよね。

マール:
大義がない時ほどゆるっとしちゃうよね。
かたぴはどういうブランドをつくっていったの?

片石:
まず会社を期に分けると、「古着女子つくった期」・「会社として明大前にオフィスでバイトと役員だけの地獄期」・「下北にオフィス移したけど、戦略決まらない迷走期」・「事業も人も風が吹いてきた賑やか期」・「コロナ期」・「ZOZOグループジョインしたぶち上げ期」かな。かなり抽象度高いのだけど(笑)本格的にブランドっぽくなったのは去年の秋くらい。それまではずっと古着を売り続けてた。

マール:
ブランドにしなきゃっていうので古着以外も動いてったの?

片石:
メンバーが勝手にオリジナルの洋服を作ってて。今もカットソーメインで受注生産でも10日くらいで発送できるサイクルを実現できてるのだけど、それにあった生産背景がたまたま合致して欲しい人に欲しいものを届けられるっていうサイクルが安定できるようになって。最近はカットソーだけでなく型からも服をつくるようになってって感じかな。

2019年7月に販売したオリジナル商品

マール:
そのオリジナル商品の企画は、ロジカルにPDCA回してってやったのか、それとも現場の温度感の「それかわいい!」から生まれたりしたのかでいうとどっちだろう?

片石:
わりとメンバーが若くてSNSネイティブだから、現場の温度感がどうかかな。”どういうものが伸びるか”のアンテナがやっぱりある。企画会議が盛り上がっているかどうかが売上につながっているなってモロに繋がっているなって感じることも実際あるから、メンバーが意気揚々と喧々諤々と議論することを大事にしているかな。

マール:
僕らも仮企画の段階で担当者全員が「あ、それかわいい!」っていうものがやっぱり売上も伸びるからすごいわかる。数字を見たりすることが大事っていうのもあるけれど、案外直感で提案したもので現場が盛り上がるものは、やっぱりいけるんだよね。それがゆくゆくの自分たちのスタンダードになったりすることもある。

片石:
数字ベースで全て判断して勝ちパターンを重視してしまうと、デザインが全部似通ってしまうよね。そうすると、お客さんに消費されていって殺されてしまう。お客さんの求めているものに応えつつ、1つどこか裏切るとか裏をかくような部分をつくらないといけない。

マール:
「これが欲しかったんだよね!」は100点。100点だと想像通りだから飽きられちゃう。「あ、私が欲しかったのこういうのかもしれない」「私でも着れるかもしれない」っていう商品を出し続ける。ただ、とはいえそこばかりだとお客さんを置いていってしまうことになるからそこのバランスをとるためにお客さんとコミュニケーションを取ってたりする。

SNSでお客さんとコミュニケーションを取る

片石:
恋愛みたいなもんですな。(笑)Webだと数字がどうこうっていうのが細かく回収できるから、データに基づいたものが正義って風潮もある。けどブランドは本来メディアの考え方と真逆な考えが必要だから、そこを混同して考えると成立しない。

マール:
デジタルマーケティングだけに特化してる人ができるかでいうと難しくて、「俺の世界見て!」っていうのがある人じゃないと成り立たないところはあるよね。ブランドって不合理なものを受け入れて最適化していかないっていう選択が大事になってくる。

片石:
ちなみに「ブランドとはこういうものである」っていうのある?

マール:
「唯一無二の偏愛」かな!Appleとかも、画面がガラスで割れてしまう素材で「なんで割れにくい素材じゃないのか」っていう意見もあるかもしれない、けどそこにはガラスの方が美しいっていうAppleの偏愛が現れていると思う。

片石:
ブランドのエッセンスのルーツとかってどんなところにあったりするの?

マール:
Mr.Children。ライブも毎年行ってるし。巨大な市場で消費されるポップミュージックに対して彼らは真摯に向き合っていて、その姿勢に痺れる部分がある。消費とか自分は刹那的なものに共感することがあって、ブランドも終わりがあるものだなって思ってて、時代とともにブランドは移り変わっていくものだと思うし、その方がヘルシーかなって思う。

片石:
最近、1つのブランドの売上目標のトップラインを半分くらいにしたんだけど、規模の拡大だけを追っていくのは、ある意味ブランドが早く殺すというか、寿命を前借りすることになるなと思っていて。であれば数字目標のトップラインは下げて、その分ブランドが長く続けばいいなって考えになった。目標下げた分のギャップはもう1つブランドを作って補えばいいっていう思想。

yutoriオリジナル商品をつくっていこうという思想を表現したクリエイティブ

マール:
寿命を前借りするっていうのはすごいわかる。「そんなに早くバズらなくていいよ」って思う部分があって、苦しいね。

あとモデルさんの中にも事務所から強要されて「コンテンツ自分でつくらなきゃ!」っていう人もいると思って。ただ、モデルさんやアーティストさんって、自分でコンテンツをつくる必要がない時もあって、ヒトがつくったコンテンツを活かす仕事もある。誰かがつくった服を綺麗に着るとか、誰かのつくった歌を歌うとか。

芸能界で巨大広告塔をやるような大物の人も、様々な起用の仕方があると思う。それは何かをブランディングできるという”隙間”があるから成り立つのであって。

けど、コンテンツメーカーとして自分の世界だけ固めている人は、隙間がないからブランディングを任せることもできず。で、そういう人たちはコンテンツとして消費されていってしまうと思う。

片石:
今の時代の人ってバズらなきゃいけないっていう切迫感や焦りがあって。ブランド始まるのってこれまでファッションに対しての知見とかの積み上げがめちゃくちゃあって、そこからのレバレッジで生まれているものだったりする。今の時代の人は少ない材料で掛け算をしようとするから、深みが生まれず消費されちゃうっていうのもあるかもしれないね。マールくんはどういうマインドセットなの?

マール:
それでいうと弱者のマインドセット。誰かと比べたら自分が劣っているっていうのをダイレクトに感じちゃう。から、誰ともフィジカルでぶつからないように舵切っている。だから淡々と、飄々としているって見えてしまっているのだと思う。

片石:
めちゃくちゃわかる。他の人がやってなくて、自分のスピリットから出たものをやれば自然と目立つ。俺も自信がないからレッドオーシャンには行かない。D2Cってジャンルだとコスメとかサプリとかヘアケアとかもあるけど、そこには強くて賢い人がたくさんいるから、きついなって(笑)

アパレルD2Cだと基本みんな仕入れだし無機質なテイストのものが多い。逆に俺らはストリートをポップにしていく感じはなかなかいないから、そこで戦っている。生存戦略的に意識してて、そこは共通していると思う。

「ストリート×ポップ」テイストのオリジナル商品

マール:
世代が上の方と”社会”って捉え方の規模感が違うかもしれないけれど、僕は僕なりに社会を変えたいなと思ってて。インターネットって波を使って自分たちの取り組みをインフルエンスさせていく、武力で闘って伸ばすってよりはウイルスのように自然と広まっていくようなイメージ。かたぴはわりと武力で戦ってるイメージがあるのだけど、どうだろう?

片石:
会社としてはスケールするのを目指しつつ、不自然なスケールは避けるように経営したいって感じかな。

マール:
陰湿な過激派だ(笑)
気付いたら、「あ、このブランドもyutoriがやっているんだ」みたいな。

片石:
そう(笑)今回のZOZOとの資本提携を機に、上場も目指して新しいアパレル会社としてのあり方を世の中に示していきたいなって思っていて、リアル店舗のやり方だけじゃなくてもっと時代にフィットさせにいくことが重要だなって思ってる。

オンラインでやるのが自然な形で成立するのであれば、それを解として成立させて「こういうやり方でやればうまくいくじゃん」っていうのを発信してより世の中にブランドを始める人ももっと増えたらいいなって思ってる。

マール:
そこは近い思想で、foufouみたくブランドを始める人がいてもいいなと思っていて、ぼくらのようなインターネットの焼け野原世代が基盤をつくって、次世代のスターが出た時に気持ち良く通れるようにしてあげたいって思ってる。今の時代はオンラインでお客さんに気に入られれば成立するから、それがサイクルができるようになれば、より僕自身も周りも豊かになるなって思ってるから頑張ってる。

片石:
昔は、アパレル業界の人たちが流行をつくってるから、そこの人たちに認められれば売れるっていう時代だったけど、今は買ってくれるお客さんと直接繋がれちゃうから若者にとって良い時代になってきたなって感じだよね。

真面目な話もしすぎちゃったから、質問で「小さな頃、何をするときワクワクしましたか?それは今のブランドづくりに反映されていますか?」っていうのきているけどどうだろ?

マール:
小学校の頃はゲームメイクみたいなのが好きで。小学生の頃はゲームボーイを家から持って行っちゃいけなかったから、ノートにマサラタウンとかトキワシティとか書いて、すごろくみたいにしてオリジナルのポケモンゲームをつくって友達と遊んでた。勉強も運動もできるわけじゃなかったから、面白いことができるやつっていうポジションを取りににいって友達を増やしたりしてて。今は生産や供給の仕組みを作る側になっているんだけど、当時のゲームメイクとも通ずる部分があるかなって思う。

片石:
俺も、小6の時にモバゲーで友達紹介するとポイントやWebマネーがもらえるっていうのがあって。掲示板とか使って友達と稼いで、稼いだ額でサイト作成を外注してより数字増やしていったりしてて。その商売経験が今に活きてる感じあるかなぁ。

マール:
小さい頃の商売経験って大事だよね(笑)

片石:
あと中高生の時も自分に自信がなくて、とにかく服に詳しくなろうっていうので当時は周りよりめっちゃ詳しかったけど、中高生時代ってあんまり周りはファッションに関心ないからボロボロのジーンズとか履いていくとむしろ馬鹿にされて。

そういう経験から、”自分の中に何か表現したいものがあるけれど、まだスポットライトが当たっていない人にフォーカスする”っていう古着女子のWHYに繋がっている部分もあるかなぁ。

yutoriのWHYを表現したポエム

片石:
あと別の質問で「10年後のオフラインショップの縮小が見込まれるが、オンラインで勝ち抜くための戦略を教えてください。」ってきてるんだけど、オンラインとオフラインってどういう風に捉えてる?

マール:
コロナを機にオンラインを軸にブランドをやる人も増えてくると思ってて、けど出口としてオフラインに辿り着くのを考えるって大事だと思う。今foufouは代々木上原に無人試着室があって、事前にインターネットで予約してもらうのだけど、全く予約が途切れない。

片石:
フェスとライブみたいな感覚と近いのかもね。一見さんが多くてはしゃぐが目的のフェスと、お気に入りの音楽を聞きにいくっていう一見さんがいないライブみたいな。今後はブランドもワンマンライブ化してくんじゃないかなって思ってる。ちなみにうちも店出そうかなって悩んでて。ブランドとしてコミュ二ティができている感覚あって、かつリアル店舗って今テナントが安いからビジネス的にもチャンスかなって思ってて。

マール:
僕的にはyutoriは人通り多いイメージがある。人通り多い中に、異質なものがあっていいかなって。yutoriはブランドとしては開放的なんだけど、知っていくとそこには深みがあるというか、偏愛が感じられる。人によって楽しみ方が変わるから、ど真ん中でもいいと思う。

片石:
それいいね。そのままやるかもしれない(笑)オフラインも今後増えていくかもなって思ってて、LEBECCA boutiqueディレクターの赤澤えるちゃんや低身長女性向けブランドCOHINAも東京ガールズコレクション出てたりで、オンラインからオフラインへの逆流入もあるんじゃないかなぁって思ってる。

マール:
大事なのは、いかに自分たちのスピリットから出るオフラインができるかってところで、「オンラインで数字が出てるからオフラインはいいや」っていうのも違う気がしてて、そこのバランスが難しい。

片石:
そうだね、別々に考えちゃいけないよね。では、そろそろ時間なので最後になにか(笑)

マール:
月末にfoufouのブランドのこれまでとこれからについて話している本が出るので、よければ是非買ってください!(笑)

「すこやかな服」Amazonにて予約販売中


片石:
一応これはゆとらない採用プロジェクトっていうところで、ZOZOにハーフジョインして今後高い目標目指していく中で、ゆとってない人に是非来てもらって一緒にしのぎを削りながら新しい時代をつくっていきたいなって思っているので、よければ応募ください。

ゆとらない採用

というわけで今回はマールさんにお越しいただきました、ありがとうございました。

ばいばい〜。

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