Facebook「いいね!」が集まれば、大きなチカラになる。
以前所属していたウェブ制作会社でどっぷりその世界に浸かっていたので、僕らはインターネット業界のデメリットも痛い程感じていました。
スマートフォンやPCでいつでもどこにいても仕事にアクセスできる環境は、会社からの逃げ場がないのと同義。人々は外にいても家に帰っても、会社の仕事に追われています。またパソコンの機能の向上によって、昔なら数人のチームでやっていたことを、ソフトを駆使して全て一人でやってしまえることで、個人が抱え込む仕事の量はどんどん増えています。IT技術によって様々なことが便利になる反面、それが人間を肉体的、精神的にも追い詰めています。
それでも、僕らはこの世界にインターネットがあって良かったと思っています。
誰でも世界とつながる手段があるのは、やっぱりありがたい。僕らは「YADOKARI」の活動で、大いにそのメリットを活用しています。便利なものは使いようで、凶器にもなるけれど武器にもなるのですから。
ハウスメーカーに務めていたこともなく、建築を勉強したわけでもない、家を作る業界のなかでは何者でもない僕らが、それにもかかわらず多くの人にアイデアを伝えられたのは、ウェブページを作ってSNSで拡散させたから。なかでもFacebookの力は絶大でした。
震災の後、日本の家をダウンサイジングするために「YADOKARI」を結成したとはいえ、素人の僕らがすぐに具体的なアイデアを思いつけたわけでも、周囲の人に信用されたわけでもありません。僕らはまず自分が素晴らしいと思うスモールハウスを世界中から探しては、主催するウェブメディア『未来住まい方会議』に投稿、掲載し、Facebookでシェアしていました。
「未来住まい方会議」で小さな家の事例を発信し始めた頃には、10から15の「いいね!」がつくことで、共感者がいることに喜んでいた僕らでしたが、それが急速に50から60になり、100から200になり、500から600になり、その後8000を超える事例も登場したりしました。
もちろん漫然と投稿していたのでは「いいね!」は増えません。写真の見せ方を変えるだけで3倍のリアクションがあったりするので、ビジュアルやメッセージ、投稿時間などを工夫して、どんどん改善していった結果です。
前回も書きましたが、とにかく1年は欠かさず投稿を続けようと決めて、毎日1記事、交互に担当して投稿していきました。そういうことは僕らが以前所属していたウェブ制作会社でやってきたことですし、結果が見えることにやる気を掻き立てられる質なので、全く苦になりません。本業の納期が迫って徹夜になりそうなときも、熱が出て寝込んでいるときも、毎日必ず記事を更新する。もちろん二人の間でカバーし合っていましたが、正直体力的にはキツいときもありました。それでも打てば響くように反応を返してくれる人がウェブブラウザの向こうにいるのが嬉しくて、モチベーションが下がる暇はなかったのです。2万人ぐらいまでは、全ての人のプロフィールをチェックして、お互いに報告していたくらいでした。
投稿を続ける中で気をつけていたことは、自分達がいいと思うもの以外は、絶対に掲載しないということ。世界中から集めた小さな暮らしの事例が、僕らが運営する「未来住まい方会議」の人気コンテンツなのですが、テーマに合致するものであっても、自分達が実際に住みたいとか、欲しいとか思わないものは、紹介しないことを鉄則にしていました。
だからでしょうか。初期の頃から、僕らの情報に「いいね!」してくれる人は年齢や性別は様々でも、感性が似ている人が多かった。多様性がありながら、目指す方向が同じ人が集まるのは、Facebookの仕組みの力もあるのかもしれません。
Facebookは誰の情報でもフラットに表示するわけではなく、「友達」としてつながっている人が「いいね!」した情報が優先的に表示されます。そのなかでも、お互いの投稿にコメントを書きあったりする、仲の良い人の情報が最優先。なぜなら仲の良い人同士は趣味志向が似ていることが多いので、一方が気に入った情報をもう一方も気に入る可能性が大きいからです。
Facebookでは、その配信システムによって、口コミ的に情報が広がって行くので、不特定多数の人に広がるマスコミのプロモーションよりも、同質の志向を持つ人に絞られ、効果的な伝わり方をするのです。
僕達が幸運だったのは、スタート当初の段階で、「未来住まい方会議」を面白がってくれた人が、とても素敵な人達だったことにあります。Facebookでシェアした情報に「いいね!」するだけでなく、コメント欄にメッセージを残してくれたり、積極的にアドバイスをくれたり。初期の読者にはマスコミや広告、住宅関係の仕事をしている、僕らよりちょっと年上の感度の高い人が多く、そういった人達に「未来住まい方会議」は育ててもらったといってもいいくらいです。
そして彼らの友達からその友達へ、Facebookのシステムを介して、素晴らしい輪がどんどん広がっていきました。
僕らには忘れられない思い出があります。「未来住まい方会議」の読者と対面しようと、最初に読者パーティーを開いたときのことです。
この会は「YADOKARI Meeting」として、今でも定期的に行っていますが、その第一回は、音楽業界、不動産業界、フードディレクター、スポーツ関連、デザイナー、大手広告代理店の社員の方が集まり、バラエティに富んだ異業種交流会のようになったのです。参加者は15人ぐらい。まだまだFacebookやウェブも盛んでなく、僕らのウェブサイトにも読者がそれほど多くない頃に、海のものとも山のものとも分からない僕らのために、匆々たるスキルを持った方々が集まってくれました。
なかでも、IT企業の会社員でホームパーティースタイリストとしても活躍している虻川あいみさんは、会ったことのない僕らと「YADOKARI」サポーター達のために、なんと自分の部屋を会場に提供してくれて、手料理まで振る舞ってくれたのです!あまりのことに僕らは、虻川さんに「一人暮らしの女性が、初対面の僕らのパーティーのために部屋を貸し、知らない人を招くなんて大丈夫ですか?」と思わず尋ねてしまったほど。すると虻川さんは「普段から『未来住まい方会議』を読んでいれば、あなた達が信用できる人だと分かるから、大丈夫」と。僕らよりも年上で、しかも既にホームパーティーについての著書もある虻川さんに信頼してもらえたのです。
その他にも、来てくれた人から口々に「『未来住まい方会議』の更新楽しみにしているよ」「『YADOKARI』のコンセプトメッセージに心を打たれました」など、嬉しい励ましの言葉をいただき、僕らは舞い上がりました。
「こんなに素敵な人達が支持してくれているのだから、今までの考えは間違っていなかったんだ」2人でそう言い合って、草の根でつながるSNSの力を改めて頼もしく感じたのです。
Facebookに「いいね!」を押してくれている読者も、いまや9万人になりました。これだけの読者に支持されているということが、個人で活動している僕らにとっては、コツコツ活動してきたことの証明であり、自信の源となっています。
「クラウドファンディング」は、夢を共有する仕掛け
僕らは元々素人の若い男ふたりの集まり。それでも自分たちのタイニーハウスをつくるというつくるという大きな夢を実現できたのは、Facebookなどでつながってくれた”人”が資本になってくれたからです。僕らは最初のタイニーハウス『INSPIRATION』を作るとき「クラウドファンディング」で資金を募ったのです。
今や多くの人が活用されているクラウドファンディングですが、僕らが仕組みを活用したのは日本でその仕組みが広まってから間もない段階でした。
おかげさまで多くの支援をいただき、無事目標金額だった300万円まであっという間に達成できました。最初は「YADOKARI」のファンの人から、そして時間が経つ毎に今まで僕らを知らなかった人からも出資してもらいました。今でもその支援者の方々とはつながっていますし、身銭を切ってプロジェクトを見守ってもらっていると感じるだけで、身が引き締まる思いがします。更に宣伝効果も大きく、このチャレンジをしている間は、本当に多くのテレビや雑誌に取り上げてもらったものです。
この方法は、資金を得る以外にも僕らのような若い企業にとって、多くのメリットがあります。どこかの企業や大口の投資家に頼るのとは違って、多くの人に少しずつ融資してもらうのですから、自分達のアイデアを誰にでも分かりやすくプレゼンテーションしなければなりません。その過程で足りないことに気づき、プロジェクトを見直したり、改良するきっかけにもなります。支援者との交流も行えるので、細かなニーズや要望を開発段階からキャッチできるという点も大きなメリット。
さらに、SNSとの相性もよく、支援してくれた人がそれを拡散してくれる仕組みがあるので、資金を募ること自体にひとつの宣伝効果があったりもします。
そういうわけで、このチャレンジは僕らにとって良いこと尽くめだったのですが、目標の資金の調達がなるかどうか、期間中気になって仕方がなく、しょっちゅうサイトを覗いては、やきもきしていたのは、内緒ですが(笑)
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