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ホテル最大手への密着型ブランディング支援

数々の大企業に対して「コンサルティングxクリエイティブ」で領域不問の課題解決を行うJBA。でも「JBAって何屋さん?」と聞かれると、一言では答えにくいんです。

そこで、実際のお客さまとの具体的なプロジェクトを通して、担当した社員は、何を考え、どんなことをしたのか。やりがいや苦悩や仕事観に至るまでをリアルにお伝えする「事例紹介」シリーズです。

こんにちは、2015年入社のコンサルタント、諏訪です。今回は、学生時代に起業していた私がどうしてJBAに入社を決めたのかという話と、現在、お客さま企業のブランディングにどんな風に関わっているかについての事例をご紹介します。

学生起業家という道

 子供のころの夢はパイロットになることでした。航空大学校を受験するためには大学2年間の履修が条件なので大学進学しましたが、2年目の秋に行った1年間のイギリス留学で大きな刺激を受けて、方向転換してしまいました。石油ビジネスをしている人や世界を飛び回る商社マンに出会って、ビジネスって面白そうだな!と感化されてしまったのです。

帰国後、留学で作った借金を返すために居酒屋でバイトをしていたのですが、そこで飲食店にとって大切な「回転」に目を付けたビジネスを思いつきました。居酒屋って、19時に予約が入ったらその席は17時にお客さんを入れないと使えないんです。そこは値下げをしてでも埋めたい席。それは一方で、お客さんにとっても安く飲めるチャンスです。その双方のメリットをマッチングできるのではないかと思い、仲間と共に起業しました。

すぐに成果は出ませんでしたが、大手チェーンから個人商店までありとあらゆる飲食店に電話をかけてアポを取り、提案に出向きました。若さの勢いと粘り強さで事業は徐々に軌道に乗っていきましたが、途中から、そのまま続けることに限界を感じはじめました。学生なりに受注までのシナリオを全力で考えていきましたが、必死で作っていった企画書を大きな企業にどんどんたたき切られるなかで、今の自分達には何かが足りないと気付いたのです。人生を長い軸で見たとき、一旦社会に出て鍛えられる時間が必要かもと思いました。

JBAに決めたわけ

いつかまた同じ仲間で起業しようと約束して「クライアントが大手企業であること」を条件に就職活動をすることに決めました。お客さまが大手であれば、関わるプロジェクトの規模も大きくて、挑戦も学びも大きいのではないかと思ったのです。

就職活動としては遅い、4年生の年末近い時期でしたが、私は幸い、すぐに超有名ベンチャー企業X社とJBAとに内定をもらいました。

そこでX社の内定を断ってJBAにした理由の一つは、X社が独自の商品を持つ販売会社だったからです。商品を売る仕事はその商品を好きになれなければ終わりです。起業時代、販売代理業にも手を出しましたが、必死で契約を取ったにも関わらず、自信を持って売れない商品を扱うことにすごく辛い思いをしたのです。

JBAは、それまで名前も知りませんでしたが、検索していていきあたった「大手企業×クリエイティブ」というコピーに惹かれて何となく説明会に行きました。でも、行ってみると、200名規模の会社なのに超有名な大企業ばかりを相手に、考えることが勝負の幅広い仕事ができそうだと感じました。海外拠点も作っていこうという夢のあるビジョン。そこで中心選手になれたらすごく面白そうだと思ったんです。

そして、その予感は大当たりでした…という、私が今関わっている仕事の話に入ります。

ホテル業界のトップ企業のブランディング

私がホテル業界のトップを走るA社さまの担当になったのは入社2年目の終わりごろのことでした。

最初のご依頼は、小さなブランドブックの製作でした。社員に向けて経営理念を分かりやすく伝えたいということで、JBAは、実際の役員や社員の方を登場させる漫画形式のコンテンツを提案しました。経営理念を堅苦しいものではなく身近なものとして感じてもらうための工夫です。最初はよくある外部コンサルとして、ウェブで公開されている情報を調べるところからの小さなスタートでしたが、徹底的な取材を通して生き生きとしたコンテンツを作れるよう、力を尽くしました。

頑張ったかいあって、ブランドブックは大好評。まもなく、今度は社員向けのグループコミュニケーションマガジンも作ってもらえないかというお声がかかりました。

A社さまは、富裕層に特化した超一流企業です。ビジネスも給与も一流。しかし会員制ビジネスなので、一般向けのCMなどは展開していません。経営層の方々は離職率を0に近づけたいと考えていて、そのためには、ホテルやレストランの現場で働く若手のメンバーに対しても、ブランドブックで採用した漫画のような分かりやすいアプローチで、自分たちの仕事の凄さを伝えたいと考えられたのです。

また、後から知ったことですが、最初の提案の際に、私たちが、ホテル業界だけではなく幅広い業界のインナーブランディングの特徴をまとめたデータを提示して、その中で御社の課題はこうではないでしょうかという仮説を立てて提案したことを覚えてくださっていて、「経験と専門知識が豊富なJBAにお願いすれば間違いないだろう」と思われたとのことでした。小さい案件でも全力でご提案をして本当によかったと思いました。

誠実な努力の積み重ねで信頼を得る

それから3年間のうちに、発行マガジン累計は10号を超え、全役員の方の取材をして、合計2,000人近くの社員の皆さまにも会ってきました。A社さまの提供するサービスを体感するために、国内各地の15のホテルを訪問しました。取材のたびに現地ホテルに宿泊し、料理からエステに至るまでA社さまのおもてなしを体験します。朝5時からの朝食研究に同席させていただくことも。(役得ですね!)

A社さまはディテールへのこだわりが強く、あらゆる品質について決して妥協をしません。高い品質やこだわりについていけるだけの「感性」を磨き続けるため、私はプライベートの旅行でも、5つ星ホテルに泊まったり、世界最高峰の建築や料理、美術品などを見ることが趣味のようになってしまいました。

一つひとつ案件を重ねるたびに、期待値越えのご提案をしようと世界観の理解に努めてきました。毎週打合せをする担当者さまとは、恋人以上に多くの時間を共に過ごしているかもしれません。よくお会いする方の中には、娘さんのキャリアについてご相談をくださるような方もいらして、もはやビジネス以上の信頼関係を築けているように感じています。

振り返ると失敗も

しかし、ここにくるまでに悔しい思いをしたことは何度もあります。担当になった当初は上司とともに提案に出向いていたのですが、当時の私は「A社さまの仕事を完全に自分のモノにしたい」と野心を燃やしておりました。チャンスはすぐに訪れます。ホテル総支配人含む重要な会議に、上司が間に合わないという緊急事態として。

自分がファシリテ―ターとして、自分の親のような世代の立場の高い方々からの信頼を得る大チャンスだと思いました。しかし、その場に立ってはじめて、自分の力不足を痛感しました。議論が拡散していくのを収拾できない。意見を求められても答えられない。気合だけじゃお客さまの期待に答えられない、もっと知識や技量を身につけなければと思いました。

お客さまにこっぴどく叱られたこともあります。A社さまの社長と世界的に有名なスポーツ選手を招いたビックプロジェクトで、初期の打ち合わせで自分の企画を伝えたところ、担当者さまから開口一番「諏訪さんはこのプロジェクトどうしたいの?」「どれだけ当日をリアルにイメージできてる?」と怒られたのです。正直、はじめは「なんだこの人、いきなり怒るなんて」と腹が立ったのですが、話を聞いているうちに、そのプロ意識を自分が全然理解していなかったことに気が付き「お金のかかったプロジェクトだからミスをしてはいけない」と無難に収めようとしていたなと気が付いたのです。その手抜きがお客さまにも伝わってしまって「諏訪さんと仕事をしても面白くない」と言われてしまったのです。

大手企業を相手に暴れてやると意気込んでJBAに入社したのに、自分って案外面白くないな、無力だな、と心底落ち込みました。でも、同時にやる気が満ち溢れてきたことを、今でも覚えています。明確な意志を強く持っていないと人は動かせない。そのためにはもっと勉強しなくては。圧倒的な当事者意識を持って、A社さまの基準をJBAが作るような仕事をしてやるぞ、と、闘志が湧いてきました。

お客さまが気づいていないところまで理解する

ホテル業界の仕事というと華やかな側面もありますが、実際はひたすら足を動かし、苦い経験を積みながら泥臭く信頼関係を築いてきました。その努力の甲斐あって、現在はマガジン発行だけではなく、医療事業の営業・採用ツールの制作など、インナーブランディングに関する幅広い支援をさせていただいています。

これまで役員から社員まで2,000名と会い、A社の強みから弱みまで多面的に理解できているからこその関係性として、社員の方から自社の情報を聞かれることもあります。たとえば、現場経験のない採用担当者の方から「A社の魅力ってなんでしょうか」と聞かれるような状況が起こります。

いま、私が最も力を入れて取り組んでいるのは、圧倒的な才覚で事業を成功させてきたカリスマ創業者の考えの言語化です。世代交代は、どの大企業にとっても命運を賭けた重要な課題です。特に創業者からの世代交代では、その事業を成功に導いてきた創業者の価値観・考え方・哲学を上手く言語化して後世に伝えていかねば、再現性のあるビジネスが成り立たなくなり、やがて衰退してしまいます。

「各レストランによって照度が細かく定義されている」ということは既に社内で徹底されていますが、「なぜその明るさなのか」という根底の部分は、社員は分かっていません。そんなひとつひとつの課題を洗い出し、JBAは創業者さまに対して100時間にわたるインタビューを実施しました。多くの名言が得られました。

「一流のホテルは、一流の立地・一流の設計者で決まる」「ロビーは顔。ロビーを見て感動してもらえれば、滞在自体が感動に変わる」「一流を目指すなら、働く人も一流でなければならない。あるレストランに3年ぶりに訪れた時、ワインの種類・好み・食べた料理を全て覚えてくれていて感動した。その水準を目指したい」・・・経営の細部に宿るこだわりの理由が、それらの言葉の中に隠されていました。

この言葉を聞いただけで創業者と同じ判断ができるようになるわけではありません。一流の立地はどうやって見極める?一流の設計者の提案をどのような判断基軸でジャッジする?そこは創業者さまご自身も言語化したことがなく、自然のセンスでされてきたことです。そこから先の細かい視点や精神までもを言語化していかねば、次世代への伝達は叶いません。

さらに上の未来を目指して

JBAがやろうとしていることは、創業者ご自身が自然な感性で実践している部分までを言語化して再現可能なものにすること。不可能とも思えるミッションですが、インタビューを繰り返し、トップの言葉を記録し、それらに分析を加えて分かりやすく再構築することで、未来のA社さまの発展に大きく寄与していけると信じています。

この記事を書いている今から5年後には、周年イベントプロデュースの依頼もいただいています。期待のハードルはどんどん上がっていきますが、新たな挑戦を経て自分が成長する実感も得られる、楽しい仕事です。これからも、企業のブランド価値を高めるコンサルタントとして「諏訪さんと仕事をするのは面白い」と言っていただけるよう、誠意を尽くしていきたいと思います。

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