ワークスタイルラボの村上です。
今回は、コンサル業界 について語りたいと思います。
■ マクロトレンド
さて、まずコンサル業界のマクロなトレンドですが、活況です。
コンサル市場は、全体で7,000億ほどで、年5%の成長をしていると一般的に言われています。加えて、今後は、デジタル領域のコンサルが拡大するだろうとも言われています。
ただ、私の肌感としては、年率5%どころの成長ではないだろうという感覚はあります。
・アクセンチュアやマッキンゼーは拠点を拡大
・デロイトやPwCはオフィス移転 + 増床
・BCGもMcKも日本を注力エリアとして設定(確かどこかに記載)
こういった動きが傍から見ているだけでもわかります。。
コンサルはビジネスモデル的には、超単純化すると、人材提供 でしかないので、人が増えている = ビジネスが好調 と捉えることもできます。
・超単純に捉えていることだけは、再度断りを入れたいですが…
・新卒・中途の採用人数が増えていることもよく耳にするので、コンサル業界がどこも調子がいいのは、その通りだと思います。
では、コンサル業界、なんで拡大しているのか という背景なのですが、
数値的な根拠はないものの、以下のような原因かと思います
・特にデジタル領域における、自前主義の限界
― 事業環境の変化スピードの急速化がさらに裏にある背景
・顧客ニーズの多様化に対応する形で、提供されるサービスが拡充し、
“コンサル” の定義が拡張
― 結果、コンサルが一般化し、拡大
― いろんな規模、フェーズでのコンサルが登場
・単に、人手不足
― 採用したいけど、そもそも採用できない
― 一旦、労働力のアウトソース で逃げる
いろいろと言いましたが、要は、
・コンサル業界 絶好調
・コンサル = 机上で分析、プレゼンして終わり ではなく、何でも屋 状態
ということです
その活況の中、コンサル会社各社は、サービスのフルラインナップ化で、
事業を拡張しようとしています。
・戦略の部分だけでなく、実行の部分まで担う
・上から下に降りていくプレイヤーもいれば、下から上に上がろうとするプレイヤーもいます
・いずれにせよ、戦略 “だけ” 、実行 “だけ” で戦うのは、厳しい戦いになっている印象です。
・ちなみに、この傾向は直近の話、ずいぶん前からの動き
■ クライアント目線
逆に、クライアント(=コンサルを使う会社)目線でいくと、コンサルサービスの多様化に対応しきれていないのが実情かと思います。
・本来的には、得意領域に合わせ、切り分けて、発注すればいいのですが
・切り分け方がわからない、お金あるし面倒だから纏めて発注で構わない
・切り分けてしまうと、そこのすり合わせがそもそもコスト 等
コンサルの使い方コンサルみたいなのがあってもいいくらいだと思います
多分、そういうニーズに応えるプレイヤーは出てきていると思います。
というか、上流側にいるプレイヤーはそういった対応をしてますね言われてみれば。
・上流だけ設計し、後は、◯◯社さんにお願いしてください 的な
ただ、非常に高いサービスなので、お客さんサイドもどうにかフィーを押さえたいと常に思っており、かつ、本当に支払う必要があるのかということを常に考えております。
・この高い対価は、何に対して支払われているのか?
・予算消化的に支払っているが、本当に意味があるのか?
・期間的にも、人数的にも、よりスポットで専門人材を雇えないか?
ここまでがクライアント側の目線。
■ コンサルタント(個人)側の変化
続いて、コンサルタント(個人)サイドの目線。
・ファーム単位の目線ではなく、一個人の目線です
・特に、マネージャクラスくらいまでの人の目線 という意味での “目線“
・要は、会社を率いるレベル(パートナー 等る)の目線ではないです
どういうファームにいるのか、どのポジションにいるのかにも依りますが、
コンサルタント自身は、自分自身、ないしは、自社を特別とは思っていないことが実態だと思います。
私の同年代の友人なので、まだ下のポジションにいるメンバーですが、こんな言葉が聞こえてきました。
・誰も自分たちを特別だと思っていない (外資系トップファーム)
・“やればできる“ ことをやっている感じがある(IT系コンサル)
・自分たちがどんな価値を提供できているかわからない(米系ファーム)
また、マネージャクラスの人材も、決して楽ではない働き方の中で、次の動き方を模索しています
・優秀なマネージャ(中間管理職)というのは、どこの業種・規模の会社を見ても、常に不足
・昨今の働き方改革のしわ寄せは見事に中間管理職に集中
つまるところ、
・ファームへの帰属意識がさらに低下
― 若手は、“コンサル“ という業種に対し、ある種の見切りをつけており
― 元来、業態的に帰属意識は弱いですが、業務内容のコモディティ化で、その見切りが加速
― 面白さが少しでも薄れれば、今にも離れてしまうような人材ばかり
― (少なくとも今は)ある程度優秀であれば、他社でもひっぱりだこ
・働き方改革というトレンドは全員に降りかかり、働き方を考え直す人増加
・当然ですが、誰もがより良い機会を求めているのは、間違いない
こういった状況が、どこのコンサルファームでも発生していると思います
コンサルファームというより、プロフェッショナル領域という方がいいかもしれません。
■ フリーコンサルという働き方
さて、こういったクライアント側、コンサルタント側の目線が交差するところにある一つの形が、“フリーコンサル“ です
(ちなみに、個人的にはフリーコンサルという呼び方に代わる呼び名をずっと探しています。どうしてもフリーとつくと、エンジニアやデザイナーのイメージが強くて、コンサルとマッチしない…)
フリーコンサル という形態のメリットとして、以下のようなものがあります
コンサル目線
・自分が得意なタイプの案件のみ、興味ある領域の案件のみも可
・少なくとも短期的には稼ぐことが可能(月150万の売上は普通に可能)
・時間の使い方がだいぶフレキシブル(週3日 みたいな働き方も可能)
企業側(=活用する側)目線
・採用難への一時的対策
・スポット業務への対応 ≒ 固定費の削減
・機動的専門性の確保
ちなみに、トップティアのコンサルファーム所属者ほど、“フリー“という響きに対して抵抗感があります。
というのも、業界の歴史的に フリーコンサル = “街コン” = 活躍できなかった人材の末路という捉え方が一部で残っているためです。
・街コン = 街で小さい事務所を抱えているコンサルタント 的な意味
・街コンは、情報がアップデートされず、淘汰されていく存在 くらいに捉えられていた
ただ、実態は、そうでもなくなっています
・情報のアップデートが簡易になったのは、言わずもがな
・最先端の案件ばかり入ることも可能なので、情報がむしろ新鮮
― AI領域のプロジェクトばかり担当するフリーコンサルの方もいます
こういう状況において、フリーコンサルと企業のプロジェクトをマッチングする事業は自然と活発になってきています。wantedlyで人材を募集しているコンサルサーチ(https://consulsearch.com/)もそういったサービスの一つ
非常に刺激的な日々で、例えば、僕と同年代のフリーコンサルの方も活躍しています
・起業しつつ、日銭稼ぎとして、フリーコンサルとして業務
・次のキャリアを模索するために、“寄り道“ して、複数の案件を担当
人様の生き方を目の当たりにすることが多いので、非常に勉強になることばかりです。フリーを選ばれている方は、芯が通っている方が多く、とても清々しい。
このフリーコンサルの領域は、今後確実に大きくなると踏んでいます。
ただ、もちろん、課題はいくつもあります
・コンサル文化の浸透はまだ余白があり、コンサル不慣れな企業も多い
・コンサルの数が圧倒的に不足で、クライアントニーズに応えきれない
・コンサルタントの長期的なキャリア形成への支援が弱い
コンサルサーチを運営する私たちワークスタイルラボ、及び、同業界の面々は、こういった課題に真正面に取り組んでいる最中ではあります。
■ 今後のコンサル業界
さて、今後ですが、フリーコンサルの活用は、より一般的になっていくと踏んでいます
・実際、当社でも、誰もが知るような大企業から声がかかり始めています
・大企業 = 自前主義の姿は崩れており、できる人がやるという色が強くなっています
この先の展開は、またの機会にお話できればと思いますが、コンサル業界の姿は、まだまだがらっと変わっていくと思います。
Newspicksでコンサル3.0 という特集がありましたが、僕らの会社はコンサル4.0(少なくとも3.1)くらいは見ていると思います。少なくとも、海外でのコンサル業界の変化に関する知見は、国内でも随一ではないでしょうか。
ということで、今後のコンサル業界の行方が気になる方、コンサル業界の変革の波に、コンサルという立場ではなく関わりたい方、面談のお申込みお待ちしております
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