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「攻めのカスタマーサポートにする」 組織を劇的に変化させたマネージャーが1年半でやったこと(前編)

ホワイトプラスHRマネージャーの田中です。
ホワイトプラスでは、2017年7月から組織の状態を定期的に測るためwevox(組織診断ツール)」を導入しています。
導入した背景としては、

①人事がさまざま取り組みを行うなかで、組織の施策を高速でPDCAを回していくためには結果を数字で語れるようにしたい
②次のフェーズに組織が拡大しても、事前に課題を抽出できるように準備しておきたい

という2点です。

運用を開始してから2年が経ち、現在も4週に1回の頻度で社員にアンケートを取っていますが、回答率は開始当初から平均90%と非常に高い状態を維持しています。

開始した当時は、スコアは部署によってさまざまな状態でしたが、今回は 「リネット」のお客様相談室を運営するカスタマサポート部門 がこの1年半でスコア改善を行った内容をグループマネージャーの角田(すみだ)に話を聞いてみました。

コストありきから、KPI達成ありきへ思考を転換

--角田さんが入社した時のカスタマーサポートの組織はどんな感じだったのでしょう?

角田:
「リネット」は、繁忙期と閑散期の波が非常に大きいため、人員配置がとても難しいサービスと言えると思います。カスタマーサポートのコストの8割は人件費なので、コストありきで運営しようとすると、繁忙期に十分な体制にすることが難しい状況でした。

私が入社したのは2017年4月でちょうど繁忙期の真っ只中でした。

ちょうどその頃は、正社員(管理者)の人数も増やし、問い合わせ対応の運用ルールを整備し始めた頃で体制が良くなり始めていましたが、まだまだ 繁忙期には問い合わせに返信しきれない状態が発生し、健全なオペレーションができているとは言えない状態でした 。その結果、KPIも達成できない状態に陥っていました。そうなると、オペレーターのモチベーションは低くなり、離職を招き、組織は安定せず成長しずらい状態となってしまい、なんとか繁忙期の「負のスパイラル」を解消したいと考えていました。

--その状態で、まずは何から取り組んだのでしょうか?

角田:

まずは土台作りから始めたのですが、結果が出るまでには1年はかかりました。具体的には、リソースの再設計から着手しましたね。ボトルネックとなっていたコストありきの考え方をKPI達成ありきで考えていくようにしたんです。

そして、繁忙期と閑散期の波に対応するため、短期の派遣を活用して必要な時期に適正な人員を配置するようにしました。
最初からそうすればいいじゃないかと思われると思うのですが、短期派遣を入れるとなると、育成や研修の難易度が上がります。その課題に対しては研修プログラムから見直し、体系化することで研修期間を半分以下にしてお客様対応デビューができるように仕組み化しました。

これは私がマネージャーになった頃には正社員の人数も増えており、土台作りをする上で協力してくれる仲間がいたから実現できたものでした。

--カスタマーサポートのKPIはどんなものなのでしょうか?

角田:
KPIとしては、

①受電率(着信数に対し、電話を取って対応した数の割合)
②返信リードタイム(お問合せメールの受信から返信までの時間)
③再利用意向率(お客様相談室を利用後に送信するアンケートで「また利用したい」という意向を示したお客様の割合)

の3つを設定しています。
当時はこのKPIがかなり高く設定されていました。

この課題に対して、段階を踏んで最終的なKPIを達成できるように、最初は目標を下げてトライするように変えました。

そして、3つをすべて意識するのではなく、受電率⇒返信リードタイム⇒再利用意向率の順で取り組むようにしたんです。

80を超える施策を試行錯誤。その結果、KPIもエンゲージメントスコアも改善

--確かにすべてが未達だと、何からどうすればわからないですものね。課題を1つに絞れば頑張りようもありますものね。他にやったことは、どんなことですか。

角田:
1年半でやったことは、細かいものを含めると80施策以上になるんです。大きくわけると、「生産性を上げる取り組み」と「心理的安全性を高める」ことでしょうか。

まず、生産性については、もともと管理はしていたんですが、 さらにブラッシュアップし、一人ひとりの対応量の把握と品質を上げるところに着手しました。スキルを上げるだけではなく、全体最適を図るようにしたんですね。
業務を分解し、やらなくていいことを省き、一定基準までオペレーターに権限を委譲もしました。
他には、 前任者が実施した問い合わせ受付時間の短縮に加えて、 お昼の時間帯は電話受付を停止して全員で一斉に昼休みを取るようにして、休憩交代のタイミングで起きる稼働の不安定さを解消しました。
一見、受付時間は出来るだけ長いほうが良いような気がしますが、稼働を安定させること(営業時間中は常に電話が繋がりやすいこと)のほうがお客様にとっても良いのです。
また、一斉に休憩を取ることでメンバー間のコミュニケーションも活発になりました。

そして、心理的安全性に関しては、とにかく「情報のオープン化」を心がけて行動に移しました。
例えば、自分が出ている会議で聞いた情報は、即座に部署に展開しました。会社が考えていること、部署に依頼されそうな事柄はいち早く伝えること、さらに決定前でもメンバーに伝えて、意見をもらうようにしたんです。
新しいサービスが決まってから意見を聞くより、検討段階から知ることで部署全員で懸念事項を洗い出して準備することができます。そうすると、いざ実施となったときの納得感が変わってくるんです。
お客様のことはいつも対応してくれているオペレーターが一番良く知っているので、とにかく頼っていました。

--信頼関係が築けていたんですね。何か心がけていることはあったのでしょうか?

信頼関係を築く上では、何か問題を見たり、聞いたりした瞬間に解決するようにしています。
その当時は狙ってやったことではありませんでしたが、「自分だったらこうしてほしい」を実行した結果、小さな施策の積み重ねによって、少しずつ皆の不満や不安が解消され、徐々に組織の雰囲気が良くなっていきました。

組織が健全にまわるようになったら、次は組織を成長させるために進むだけです。
アルバイトや派遣の方々にもKPIの説明をしたり、正社員には全社視点で俯瞰して見られるようにKGIや他部署のKPIの説明をしました。常に意識できるように、室内の見えるところにポスターを貼り出したり、ディスプレイにはKPIをスライドショーで常に表示させて、意識してもらうようにしましたね。

また、業務スキルだけでなく、マインド育成も同時に行っています。
心持ちで仕事の質は大きく変わります。ホワイトプラスには大事にしている3つのバリューがあるので、部署内に浸透するよう働きかけは常に行っています。

1年半でwevoxスコアは55⇒86と、31ポイント上昇

--数々の取り組みの結果、KPIをすべて達成したのはいつ頃からですか?

角田:
2018年6月です。以降は毎月達成し続けています。

マネジメントで気をつけていることはごくシンプル。「何があっても責任を持つ」という気概で仕事を任せる

--最後に、角田さんがマネジメントをする上で気をつけていることを教えてください。

角田:
基本的なことですが、この2つを心がけています。

・ネガティブなことは言わない
・部下から声をかけられたら、必ず手を止めて顔を見て聞く

あとは、仕事を任せるときには、そのまま投げるのではなく、自分ができることをやって見せて、「もっと良くしてね」と渡すようにしています。そして、「何があっても責任持つから」という気持ちで任せています。

カスタマーサポート部門を激変させた角田は、2019年7月からマーケティング部CRMグループのマネージャーとして、「リネット」のお客様に長く使い続けていただくための取り組みをする部署に異動となりました。

後編では、その後任としてカスタマーサポート部門を引き継いだマネージャーのお話をご紹介します。

角田 岳大(すみだ たけひろ)
2003年 明治大学経営学部卒。飲食専門コンサルタント会社にてフードコンサルタント(メニュー開発)を経験後、
ソムリエ兼バーテンダーとして接客スキルを磨く。
2007年より株式会社ドコモCSにてコールセンターのオペレータからSV(スーパーバイザー)まで経験。
2017年4月に株式会社ホワイトプラスに入社し、カスタマーサポートチームのマネージャーとして組織改善に取り組む。
2019年7月からはマーケティング部CRMグループに異動し、グループマネージャーを務める。
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