「AIがもたらす変革の波を乗り越えなければ、企業として生き残れない——そんな危機感から、wevnalでは全社的なAI活用を進めています。」
そう話すのは、wevnalでCTOを務める鈴木和男さんです。
近年、技術の進歩として爆発的な成長を遂げ、短い時間で世の中に普及し、定着してきたAI。エンジニアがAI時代を生き抜くために必要なものは何なのか、仕事はこれからどう変わっていくのかを鈴木さんに聞きました。
目次
- 生き残るために全社でAIを活用していく
- AIと役割分担して、より大きな価値提供を目指す
- AIを使いこなし、開発スピードを上げていって欲しい
生き残るために全社でAIを活用していく
——wevnalでは2025年2月から全社的にAIを導入されています。なぜいま、AIを積極的に活用しているのでしょうか?
端的に言えば、「AIを使いこなせなければ、企業の存続が危ぶまれる」という強い危機感があるからです。
ユヴァル・ノア・ハラリさんが「サピエンス全史」や「NEXUS」という書籍で指摘されているとおり、 これまで人類は、約7万年前の認知革命に始まり、農業革命、科学革命、産業革命など多くの大きな変化を迎えてきました。そしていまAI革命が起き、人ではなくAIがエージェントとして仕事をする時代が来ています。
そんな時代の中を一企業として戦い生き残っていくためには、AIに投資するのが必須だと考えました。
そこで今期の目標に入れたのが「AIの活用」です。もちろん「使う」ことを評価基準に入れることで、使うこと自体が目的になるリスクがあるのは承知しています。しかしまずは全社員に「使う」というスタート地点に立ってもらわなければ、全体の底上げは叶わないと判断しました。
いまは社員教育も含め、会社全体にAIの活用を浸透させていくべく、いろいろな施策を進めています。
——wevnalはフルリモートで働く社員も多い中、全社員にAIの活用を浸透させること、そしてAIについての情報をキャッチアップさせることは難しいように感じます。どのような工夫をしていますか?
確かにフルリモートで働く社員が多くなると、日々の雑談の中から新しい情報をキャッチアップしていくという動きを、取りにくくなる企業は多いかもしれません。
だからこそ当社では、Slackを活用して、フルリモートでもオフィスにいるのと変わらず他愛もない雑談ができるような文化をつくり上げてきました。出社の良いところは雑談の中から気づきがあることだと思うので、それをSlackのtimesチャンネルで疑似的に再現しているのです。
timesチャンネルでは、まずリーダー陣が積極的につぶやいてメンバーにもどんどん話を振り、気軽につぶやける空気感をつくっていきました。その甲斐あってか、いまはかなり活発にメンバー同士がコミュニケーションしています。
それを組み合わせて、AIに関する最新の論文レベルの内容も含めてSlackのtimesなどのチャンネルでキャッチアップやコミュニケーションができるようになっています。
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——技術選定の観点から、AIを導入する際に重視したポイントはありますか?
PythonやTypeScriptなどAIによるコーディングで精度が出しやすい言語を新規サービス開発時の技術選定時に利用すること、その一方で使用するツールの指定をしないことです。
AIはとてつもなくはやいペースで新しいツールが出てくるので、ツールを固定することにはリスクがあります。。こちらは「このツールを使ったら、こういうふうに業務効率が上がる」などのナレッジを共有するのみ。あとは自分で取捨選択してもらっています。
とはいえ、各チームのレベルに合わせてAIの活用を推進することは意識しています。チームによってAIの活用レベルは異なりますし、AIの活用が難しい領域に取り組んでいるチームもありますからね。
それぞれのレベルや状況に合わせてAIを取り入れられるようにすることで、極力誰も取り残さず一緒に成長していくことを目指しています。
AIと役割分担して、より大きな価値提供を目指す
——wevnalの事業やプロダクトにおいて、どのようにAIを活用していこうとお考えですか?
当社はすでにAIを活用したプロダクトとして「BOTCHAN AI」「BOTCHAN AICALL」を出しており、今後はこれらを軸にほかのプロダクトも展開していくつもりです。
特に音声領域でコールセンターの業務を担えるBOTCHAN AICALLは、多くのニーズを感じています。コールセンターの業務は人々から苦情などのマイナスな言葉を聞く機会が多く、その業務に従事する人は、精神的な負担が大きく、疲弊しやすい傾向にあります。そこをAIが担うことで、メンタルが削られる人を減らしていきたいと考えています。
そのほか、全ての既存プロダクトにおいて、現場と連携しながら「どこにAIを活用できるか」を随時検証しています。
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——現在、wevnalでAIと人間はどのように役割分担していますか?
あくまで一例ですが、最近はどのプロダクトにおいても、多くのコードがAIによって書かれています。私に関しては、ほぼすべてのコードをAIに音声入力で指示して書いてもらっており、キーボードを叩くことすら減っています。
こうした変化によりアウトプットが増えた一方で、最終的なレビューは人間が責任を持っています。AIの活用の結果、レビューするコードの量が多くなって大変ですが、ここで人間がボトルネックになってしまっては本末転倒なので、今後はそうならないための工夫が必要になってくるでしょう。
——あらゆるプロダクトでAIの活用を進めているようですが、AIの活用により既存の提供価値やビジネスモデルはどのように変化していくとお考えですか?
2024年ごろから注目されてきた “SaaS is Dead.” という言葉が、いま現実味を帯び始めています。従来型のSaaSだけで差別化を図るのは難しくなりつつあり、AIによる自動化やエージェント技術の進化によって、単なるツールとしての価値は急速に薄れています。
これからの時代、AIを活用して「プロダクトそのもの」以上の体験や成果を提供できなければ、「いっそAIエージェントに任せた方が効率的だ」と切り捨てられてしまうリスクがあるのです。
当社の場合はマルチプロダクトを提供しているため、お客様のサービスでユーザーが入会〜退会するまでの行動データを取得することができます。このデータを活かして、プラスαの価値を出したいと考えているところです。
AIを使いこなし、開発スピードを上げていって欲しい
——鈴木さんは、AIによってエンジニアの仕事は今後どう変わっていくとお考えですか?
多くのエンジニアはAIに指示を与えるようになり、プロダクトマネージャーのような役割や能力が求められるようになるでしょう。機能を追加する際にはその機能を分解してAIに指示を出し、最終的にAIが出してきたアウトプットを承認することがエンジニアの役割になってきています。。
そうなったとき、手を動かすだけのエンジニアは、プラスαの価値を提供できないかぎり厳しい立場になるかもしれません。。
言い換えれば、自分の業務を丁寧に言語化し、まるでチームメンバーに指示を出すようにAIに適切な指示ができるエンジニアは、「AIを効果的に活用できている」と評価され、今後もより重要な役割を担っていくことができるのではないでしょうか。
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——では、wevnalのエンジニアにはAIを使いこなす上でどんなことを大切にして欲しいですか?
問題解決能力を磨き続け、本質的な問題と深く向き合うことを大切にして欲しいです。
AIを活用することによって仕事の内容や仕方は変わり、AIに実装などの仕事を任せられるようになりました。だからこそ、そこから生まれた余白の時間を使って提案やプロダクトの質を上げることに注力してもらいたいです。
またAIにより、いまはほんの数日あれば一人でPoCレベルのプロダクトをつくれる時代となりました。AIをより活用することで、プロダクトの開発速度はもっと上げられるはずです。
PDCAもより速く回せるようになり、はやく失敗してはやく修正できるようになりました。この環境を活かして、10日考えて1個つくるのではなく、とりあえずやってみるという意識で、トライアンドエラーを高速で繰り返しながら開発をしていって欲しいです。
wevnalはもともと広告代理店だった企業がSaaS企業になり、いまAI企業になろうとしています。この激流のような流れに乗って、開発のスピードもどんどん上げながら個人と会社の成長を一緒に楽しんでいってくれたら嬉しいですね。
wevnalでは現在、事業の拡大に伴って、あらゆるポジションの方を募集しています。 会社にご興味を持っていただいた方は、まずはお気軽にご連絡ください!
取材協力:CASTER BIZ recruiting