「技術力×リーダーシップで部門のアウトプットを最大化させる」というミッションのもと立ち上げたテックリード。2020年4月に立ち上げてから1年。テックリードとしての成果を振り返りました。
左:KSさん(エンジニアマネージャー)/2014年新卒入社。大学ではメディアコミュニケーションを学ぶ。システムエンジニアとして入社後は、商品のバージョンアップ、Webマガジンなどサイト全般の運用開発を経験。現在はマネージャーとしてエンジニア組織のマネジメントを担当。
中央:Aさん(テックリード)/2015年新卒入社。大学院では脳波データの解析など脳科学を研究。入社後は、Wedding Parkのサイトパフォーマンスの向上、Web APIをPHPからGoに、PHPのフレームワークをZend FrameworkからLaravelに、検索エンジンを内製化といったリプレイスや、複数あるメディアの会員基盤の統合などを担当。現在はテックリードを務める。
右:KYさん(テックリード)/2016年新卒入社。大学と大学院ではコンピューターグラフィックスを研究。入社後は、PHP5系→7系のバージョンアップから始まりサイト運用を幅広く経験。現在は、サイトに蓄積されたデータの活用をメインに、サイト全般の運用やエンジニアの働きやすい環境整備などを担当。
「テックリード」の1年を振り返る
ーーまず、1年を振り返る前に、テックリードの立ち上げ背景を教えてください。
KS:「技術力×リーダーシップで部門のアウトプットを最大化する」をミッションにテックリードを立ち上げました。目的は大きく分けて2つありました。
ひとつは、日常的な開発レベルをあげる「育成」。若手メンバーも多い組織の中で、中堅層となるメンバーを育てること。もう一つは、「技術改善」。サイトのシステムについて、技術課題の解決や技術推進をすることです。ふたりには、それぞれ担当するチームの育成や技術改善をしてもらっています。
ーーテックリードを立ち上げてから1年。運用開始からの1年を振り返ってみてどうでしたか?
KS:まず、めちゃくちゃよかったです!技術的側面を大事にしたいと思って作った「テックリード」の役割が果たせていると思っています。この1年、はじめてのフルリモートに試行錯誤している中でも、クリエイターチームがレベルアップしてアウトプット量が増えましたし、現在進行中の技術基盤の改善プロジェクトがはじめられたのも成果としては大きいですね。
ふたりにテックリードを任せたのも、「技術」と併せて「人」や「チームでの連携」を大事してくれていたからで、だからこそ、「育成」と「技術改善」のふたつのベクトルでの改善ができたと思っています。また、メディアづくりを行うチーム全体で、システム面でのリスクなどが議論されやすくなりました。
KY:「テックリード」という役割があることで、より案件ファーストじゃなくてシステム上の課題を適切に会話ができたり決断にも直結されやすくなったりといった変化を感じます。
リモート下で、メンバーの個の力と組織力を高める
ーーテックリードのおふたりは、この1年いかがでしたか?
A:テックリードになったのは新型コロナウイルスの影響でリモートワークを基本とした働き方にシフトした時期でした。リモートになるとコミュニケーションが自チームだけにとどまることが懸念としてあったので、気軽に相談できる環境を意識してきました。
質問が気軽にできるオープンなミーティングを設ける中で、エンジニアはもちろんディレクターから技術難易度や実現性といった質問も多く来るようになり、開発チーム全体のシステム理解を深める機会にもなりました。テックリードのふたりで大きな根幹に関わる開発にアサインされたり、技術推進委員会としてメンバーの技術推進をやったりと幅広く関わらせてもらいました。技術評価の準備もしてきて、それをついに取り入れることになったので楽しみです。
KY:変化の多かった中で、思った以上にテックリードが上手く機能したんじゃないかと思います。自分自身も楽しく働けた1年でした。心理的安全性が確保できる環境とメンバーが責任を持って自主的に進められるサポートを意識してきました。
オフィスで当たり前だった「上手く実装ができたから誰かに聞いてほしい」とか「悩んだ時は相談に乗ってもらえる」といったことが1on1の実施などで変わらずにできました。また、どんどん挑戦してもらえるように、メンバーが自分で出した結論に自信を持って、自分で決断して進められるようなサポートを心がけていました。
僕が管轄しているチームは、事業部の人数が少なくエンジニア同士よりも事業責任者やディレクターとコミュニケーションを取ることが多いので、どうしても技術的挑戦や設計のこだわりよりも、案件を安定して進めることが優先になってしまいがちだったんです。それをテックリードが入ることで技術的チャレンジをアシストできるようになりました。
A:KYさんがメンバーの成長に繋がる良い動きしてくれてたなと思うのが、「ぷろてく」(技術提案から決裁・スケジューリングまでを行う技術提案会)の実施サポートですね!
KS:メンバーがテックリードに提案を壁打ちして、実現する為の現実ラインに一緒に落とし込んでくれたことが成功の秘訣だったとも思いますね。
KY:ありがとうございます。「ぷろてく」では、テックリードが第三者的な立場から入ることで認識のずれを防いだり後押ししたりする中で、提案した技術の必要性がより伝わって決断に繋げられたと思います。「ぷろてく」で沢山の提案が実現したことは、エンジニアが解決したい課題を考えて提案することを促進するきっかけになったんじゃないかとも思います。
ーー新しくはじめたことはありますか?
KY:「育成」でいうと、設計・開発・リリース、障害まで対応できることを目指してチーフエンジニアという役割をつくりました。今まで影響範囲の広さから本番環境でリリースするのはマネージャーのみでしたが、自分が開発した物をリリースするのは、やりがいと責任を感じる瞬間だと感じているからです。
チーフエンジニアのメンバーは、エンジニア同士が技術的なトークで交流をする「WPhouse」(Zoomで交流しSlackでログを残す)もはじめてくれました。
KS:中堅メンバーに安心して役割と責任を担ってもらえるようになったのも、テックリードがいたからこその大きな変化でしたね。「技術改善」でいうと、テックリードとマネージャーで1年間、課題やアーキテクチャについてすり合わせてきた結果、システムの設計を変更するという判断に至りました。現在は、技術基盤改善プロジェクトを発足して進行中です。
A:テックリードという役割があることが推進力になって、この技術基盤の改善が決断できたんじゃないかと思います。
KS:そうですね。「組織」と「技術」をマネジメントする各々の立場から議論できたことが前進に繋がったと思います。それに、スピード感を持って決断・実施できたのは、テックリードの2人に「技術」の領域は任せられる信頼があったからです。
KY:関係性が構築できていたからこそ、必要な所ですり合わせをしながらも適切に任せてもらえて、スピード感をもってやりやすかったですね。
ーー当初の目的への成果はいかがでしょうか?
KS:「育成」に関してはチーフエンジニアも立てられたし、職位グレードの上がったメンバーも増えたし、一定の成果が出ています。「技術推進」に関しても、技術基盤改善のプロジェクト開始という意思決定・プロジェクトの始動ができました。
今後は若手の立ち上がりスピードをよりアップさせて仕事の楽しさを早期に感じられるようにしていきたいと思っています。
クリエイター組織の未来を、組織×技術でつくる
ーーマネージャーとテックリード、ウエディングパークでのベストプラクティスは?
KS:エンジニアの組織では、「組織」と「技術」は切っても切れないものだとこの1年で改めて感じています。テックリードのふたりが「組織」を意識しているからこそ、このテックリードもワークしたと思います。「組織」をマネージャー、「技術」をテックリードが責任を持って牽引しながらも、一緒に作っていくことが重要だと思います。
A:完全に分断できるものではないので、オーバーラップし合うことが重要なんじゃないかと思いますね。
KY:マネージャーと技術者層が対立するという課題が出なかったのも、クリエイターの行動指針となる「クリトラ」をもとに「どういう組織にしたいのか」という目指すビジョンやゴールを共有してすり合っていたからこそだと思います。「人」と「技術」を別物として見ると、ぶつかることもあるかもしれません。同じゴールを目指す「クリエイター組織全体」を見て話ができることが重要だったのだと思います。
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