小田急線の湘南台駅からわずか1分の場所にある学生寮、NODE GROWTH 湘南台 (ノードグロース湘南台 以下、NGS)。
まちに開いていく学生寮がどのようにして生まれ、今、どのような想いで運営されているのか。立ち上げから関わってきた企画担当と、現場の最前線に立つ運営担当が、その舞台裏と「これからの景色」を語り合いました。
プロフィール(写真左上から時計回り)
鈴木:事業企画部SDU ゼネラルマネジャー。複合施設や線路跡地の開発など、まちづくりと生活者の視点からあったらいい空間やサービスの企画を手がける。
伊藤:事業企画部 NODE GROWTH湘南台 コーディネイターとして運営を担当。過去の寮運営の知見を生かしながら活躍中。
中川:事業企画部 NODE GROWTH湘南台 シニアコーディネイター。寮運営のみならず、エリアマネジメント拠点も含めた統括に携わる。
三浦 :事業企画部SDU ゼネラルマネジャー。入社当初は海外案件を担当。現在は学生寮 、コリビング、コワーキング、共創施設など、幅広い領域においての企画を行う。
ーNGSができるまでの経緯について教えてください。
鈴木: NGSのプロジェクトが動き出したのは2013年頃でした。当時、小田急電鉄さんが保有する沿線駅前などの土地活用検討を進めている中で、この湘南台駅前の土地についても議論がスタートしたんです。
単なる不動産活用ではなく「まちのショーケース」という考え方で、地域のヒト・コト・モノを集めて編集するような活用ができないかと考えていました。沿線にはそれぞれ特徴のあるまちがつながっているので、通勤通学以外の「目的」が生まれれば、小田急線に住む楽しさはもっと増すはずだ、という考えがありました。
湘南台はもともと学生が多いまちですので、多世代交流のシェアハウスやワークラウンジ、カフェの複合施設という案などの中から「学生寮にチャレンジしてみないか」という話が出てきて。UDSとしても未知の領域でしたが、もともと考えていた構想とも通じるものがあるし、新規事業としてチャレンジしてみようと。それが2014年頃のことでした。
初めての学生寮事業ということで、まずは既存の寮を徹底的に研究しました。単なるコピーでは意味がない。私たちUDSだからできる学生寮は、ということをかなり議論しました。
ーUDSならではの点はどんなところにあるのでしょうか。
三浦:学生寮は朝と夜の食事を提供する食堂がありますが、 一般的には利用者が学生さんに限られているこの食堂を、まちに開くことにしました。これは「まちづくり」を事業の柱にしているUDSだからこそのスタイルです。「親御さんの安心」は第一に、居住スペースとの境界のセキュリティを万全にするために検討を重ねました。また、居室にはバス・トイレ付きの個室タイプに加えて、UDSがノウハウのあるシェアハウスやホステルの視点を応用して、水回りが共用で一般的な部屋よりも賃料を抑えたシェアタイプを設けました。158室のうち約3分の1が水回り共用の居室ですが洗面台はきちんと室内に設けたりベッド下に収納を備え付けたり。狭くても心地よく過ごせる感覚は、様々なタイプの住まいやホテルを手がけてきたUDSならでは、だと思います。
鈴木:特徴の出し方に関しては、近隣にキャンパスもある慶應義塾大学SFCの学生さんたちとのワークショップを通してブラッシュアップしていきました。彼らはグループワークをすることが多いので、そのための大きなテーブルが欲しいなとか。アンケートも実施して、そんなリアルな声を反映させました。
ーソフト面での特徴はどんなものがあるでしょうか。
伊藤: 基本的なことかもしれませんが、まずはひとりひとりを覚えることが最初の一歩だと思っています。そのうえで「おはよう」「行ってらっしゃい」とこちらから声をかけていくことで、家のように感じてもらえることを心がけていますね。
また、入居者の中から学生リーダーである「ノードコーディネーター(NC)」を選出して、寮運営スタッフの声が届きにくいフロアの風通しを良くしたり、イベントを企画したり、学生ならではの動き方で主体的に活動してもらっています。この役割は当初は違う名前だったのですが、彼らたちが自ら「名前を自分たちで変えたい!」と言い出して、自分たちで新たに「NC」の名称を設定してくれました。
以前、NCが「マルシェをやりたい」と言って個人プロジェクトとして始めてくれたことがありました。地域との交渉などどうやっていいのか分からない部分は僕たち運営スタッフもサポートして実現しました。
中川:私たちコーディネイターはこうした学生との関わりを大切にしながら、時代に合わせて常に運営体制をアップデートさせています。NGSもこの春で9年目。開業時のコンセプトを守りながらも、今の学生のニーズに合わせてシステムを見直したり、新たなコミュニティ施策を検討したりと、常に「今のベスト」を模索し続けています。
ー実際、入寮をされている方からの反響はいかがですか?
三浦: 開業前に「大学推奨寮」の認定をいただくべく営業に回りましたが、当時は寮運営の実績がなかったこともあり、なかなか提携には至らず、開業当初は入寮希望者を集めるのにも一苦労でした。
ですが、「施設のクオリティが高い」「食事が美味しい」といった入居者の声が広まり、2年目には大学側から留学生向けに「数部屋単位で借り上げたい」と打診をいただくまでになったんです。
中川: 今でも学生同士や先輩後輩間で口コミで勧められているという話はよく聞きます。NGSの食堂はRelax食堂 湘南台という名前なのですが、ランチとティータイムはまちに開いていて入居者以外も利用いただけるので、実際に食べに来てもらって「こんなご飯が毎日食べられるなら」と引っ越しを決めて頂いた方も少なくないです。おかげさまで、今年(※2025年度)の稼働率は年間93%と好調です。期待にお応えし続けられるよう、Relax食堂運営担当のメンバーもよく打ち合わせをしていて、館全体としての一体感とブラッシュアップを図っています。
ー今後、さらに学生寮を展開する計画などはあるのでしょうか。
三浦:1回やってみることで次はこんな学生寮を作ってみたいという想いが出てきます。例えば、次はワンフロアをホテルにして短期留学生をもっと受け入れやすくしたいなとか。UDSはホテルもやっているのでホテル運営でのナレッジもありますし。そんなことを実現していきたいです。
中川: 学生時代に住んだまちって、いつまでも愛着があるんですよね。NGSを卒寮する際に「本当はこのまちで働きたかった」と言ってくれる学生もいますし。そういったまちづくりの文脈でも、学生寮が地域に寄与できる部分があるなと感じています。
せっかくなので、これを読んで興味を持っていただいた方がいらっしゃったら、まずはRelax食堂 湘南台のご飯を食べに来てもらえるといいなと思います(笑)
※Relax食堂 湘南台の詳細はこちら:https://relaxshokudo.com/shonandai/