「すべてを突破する。TOPPA!!!TOPPAN。」をキャッチフレーズに、企業変革を進めている凸版印刷。社名から印刷の会社というイメージを想像する方が多いと思いますが、実は、顧客の営業活動のDX化やBPOなど多彩なソリューションを提供する、戦略提案コンサルティング企業だということをご存知でしょうか。私たちの生活における様々なシーンで、もっと便利で快適にするための挑戦をしています。
今回ご紹介するのは、店舗窓口の業務効率化プロジェクト。2017年から約2年かけて企画提案が進められた長期・大規模DXプロジェクトです。顧客が抱える課題に対して、どのようなソリューションを提案したのか?受注するにあたって心がけたことは?凸版印刷ならではの強みとは?など、当社ならではの働く醍醐味を知ってもらえたら幸いです。
金融機関の課題を解決するために、凸版印刷ができること
──今回から受注した「申込受付システム」の概要について教えてください
加藤:
国内大手銀行様に「申込受付システム」の企画提案を始めたのは、2017年になります。凸版印刷では、以前から金融機関や流通会社向けの「申込受付」を簡易化するASPサービスを展開していました。従来の紙による申込書での新規申込みでは顧客の記入負荷がかかりますし、チェックする事務作業も時間も膨大になります。そこで凸版印刷では、デジタル化による業務効率化やペーパーレス化などの時代の流れを考慮して、タブレット端末やスマホ・PC向けの専用アプリを使った「申込受付」への切り替えを様々な企業に提案していました。その提案活動の中で、お客様から受注したのが、「銀行の新規口座開設アプリ」「クレジットカードとデビットカードの申込アプリ」「ローン申込アプリ」です。
加藤朗子
情報コミュニケーション事業本部 セキュア事業部
ハイブリッドBPOセンター ハイブリッドBPO企画本部
2015年に入社。前職はSIerでSE・PGとしてシステム開発に携わっていた。凸版印刷への入社以来、金融機関向けのスマートフォンアプリやWebサイトの企画・開発を担当。受託案件の他、自社サービスの開発・運営にも取り組んでいる。
──国内大手銀行様では、当時どのような課題を抱えていたのでしょうか
相川:
お客様とは、凸版印刷として長年のお付き合いがあり、通帳などのセキュリティデバイス製造などを中心に、これまで様々な部署の方々と多数のプロジェクトに取り組んできました。その流れで、ある部署の方から店舗の窓口における「口座開設の業務効率」に課題があるということをお伺いしたのです。
日本全国に多数の店舗を持ち、窓口社員の皆様は多岐にわたる業務を抱えておられます。その中でも、少人数で対応している店舗ではその忙しさは想像以上でした。お客様の特徴でもあるのですが、他の銀行と比べて外国人のお客様の口座開設が多く、外国語対応や外国語で書かれた書類の確認など、かなりの業務負荷がかかっていました。口座開設に1人あたり30分以上要することもあるなど、まさに窓口業務の効率化が課題となっていたのです。
相川紗愛
情報コミュニケーション事業本部 セキュア事業部 第四営業本部
2015年に新卒入社。学生時代は物理学を専攻。幅広い商材を扱う凸版印刷なら、いろいろな人と関われると考えて入社した。入社後は、営業として郵政グループの印刷物提案や大型セキュリティデバイス導入などのプロジェクトを担当。現在は、銀行業界向けのDX案件や新窓口開拓などを行っている。
──提案から受注までに約2年かかっているそうですね。何か障壁があったのでしょうか
水飼:
日本全国の店舗の事務業務の効率化が目的だったのですが、企画提案の途中で日本の法制が変わったことが、受注までに期間を要した理由です。口座開設をする際の本人確認が厳格化されたことによって、システム要件の変更が余儀なくされました。当然システム開発費も変更となるため、新しい予算を先方社内で取ってもらう必要も。社内稟議を通してもらったり、各関係部門の皆様への説明や意見や意向のヒアリングと調整などで、当初よりも時間を要することになりました。
また、同時並行でシステム導入される現場の人たちに意見を聞くことを、かなりの時間を使って進めていました。提案するシステムが現場に導入されることで、これまで事務作業をしていた担当者の仕事の進め方自体が変わってしまうので、ここは慎重に進めました。
水飼肇
情報コミュニケーション事業本部 セキュア事業部 第四営業本部
2021年に新卒で凸版印刷に入社。学生時代は体育会系で、部活に明け暮れる日々だった。入社後は営業として銀行業界を担当。クレジット・デビットカード申込サイトの構築、ダイレクトメール発送の事務局運営、チラシ・パンフレット等の印刷系販促物の製造などを担当している。
DX提案で一番心がけたのは、導入イメージを具体化すること
──今回受注に至った一番の要因はどこにあると思いますか
加藤:
提案時に一番注力したのは、「システムを導入したらどうなるのか?」ということをお客様にイメージしてもらいやすくすることでした。今回の場合は、実際に導入提案したいシステムのデモアプリを開発して、社長や経営陣に申込受付システムの整備と後続事務フローの改善を提案できたことが決め手になったと思います。
実際にデモアプリを見ながら、皆さんから意見をいただいたり、事務フローについても「もっとこうしたい」などの活発なディスカッションができるようになり、受注に向かって建設的な打ち合わせが進んでいきました。
水飼:
私は「クレジットカードとデビットカードの申込アプリ」の営業担当だったのですが、とにかくUI設計の観点を強く意識して提案しました。金融機関の申込サイトは堅苦しいイメージがあり、申込者として入力しにくい印象がありました。その点、凸版印刷が自社サービスとして展開しているASPサービス『Speed Entry Lite(スピードエントリーライト)』は、画面のデザインや操作性が他社サービスよりも優れていると自負しています。
Speed Entry Liteのユーザインターフェースは、「分かりやすさ」と「操作のしやすさ」を重視。従来の申込フォームは入力項目が1ページで全部表示されますが、Speed Entry Liteは「1画面1入力項目」が基本でレイアウトを標準化。「入力すべき内容」と「入力すべき場所」がすぐに判断でき、視覚的なストレスを減少させています。これもデモ画面を見てもらったことで、百聞は一見に如かず。使いやすさをすぐに分かってもらえました。
相川:
凸版印刷の強みでもあるのですが、長年の歴史の中でお客様との深い信頼関係が出来ているので、コミュニケーションの密度という観点では、他社の営業よりも濃いと思います。お客様のことを隅々まで理解できている点がパートナーとして信頼されている理由だと思います。営業観点で言えば、稟議が通るためのフローや障壁となるもの、キーパーソンなどの内部事情もすべて把握しています。担当営業として頻繁にお客様先をお伺いし、会う回数を増やすなどの地道な活動で、何でも相談でき話せる関係性はつくられていきました。そんな点も、今回の大型プロジェクトを受注した要因の1つだと思います。
▼「クレジットカード申込受付システム」 イメージ
──受注してから大変だったことはどんなことですか
加藤:
途中で仕様変更が発生したのが、一番苦労した点ですかね。今回のプロジェクトでは、銀行業界では事例の少なかった口座開設時のeKYC利用を提案していました。
※eKYCとは「electronic Know Your Customer」の略称で、オンライン上で本人確認を完結する技術のことを指します。 従来の対面/郵送での本人確認を「KYC」と呼びますが、オンライン上で行う意味を表す「electronic」という単語を追加したものがeKYCです。
当初予定していたのは、本人確認書類と容貌を撮影して、裏側で点検作業を行う流れでしたが、システム開発が始まって半年程で、銀行口座の不正利用が社会的にも大きな問題となりました。お客様も被害に合われており、「口座開設時には更なる本人確認の厳格化が必要」という経営層の方針から、本人の顔写真と免許証などのIC情報との整合を図る方法に要件変更となったのです。仕様変更に併せて、事務作業を行う管理画面の変更や業務フローの見直し、開発エンジニアのリソース確保など、プロジェクトメンバー総動員で関係各所と調整を行い、進めていく必要がありました。
相川:
今回のプロジェクトは、お客様内でも複数の部署にまたがる案件だったため、部署間の連携を取ってもらったり、営業担当としてはその間に入ってサポートするのが一番大変でした。お客様の各部署の関係者をいかに動かすかという調整業務に奮闘しました。
提案開始を始めてから長い年月は経ちましたが、無事にリリースできて本当に良かったです。リリース後にまた新しい課題が見つかって、追加開発なども決定しており、さらに良いシステム・サービスが実現できるように取り組んでいきたいです。
セキュア事業部の強みは、どんな課題も解決できる商品と社内体制
──ずばり、凸版印刷セキュア事業部の強みはなんだと思いますか
水飼:
営業担当としては、お客様に提案できる商材が多いということが挙げられます。凸版印刷ではDXソリューションを数多く手掛けているのですが、お客様の課題を聞いた時に、その課題を解決する打ち手として提案できる商材の数が本当に多いので全く困りません。お客様的にも、困ったことがあれば「凸版さんに相談すれば何とかしてくれるだろう」というイメージができているので、営業しやすい点があります。
相川:
セキュア事業部として提案できる商品数が多いのは、確かに強みですね。あと挙げられる強みと言えば、加藤さんが所属する開発部門の皆様が心強いので、営業としては何でも提案できる安心感があります。今回の「窓口の業務効率化プロジェクト」でも、仕様変更や開発期間の長期化などの状況変更に対しても、柔軟に対応していただけました。
営業担当は、クライアントと開発部門の間に立って調整を行うのが役目ですが、今回のプロジェクトが無事にリリースまで行ったのは、開発部門の強さがあってこそだと思います。皆が同じ方向を向いて、同じ意志を持って取組めていけたことが、プロジェクトの成功につながりました。
加藤:
それから、凸版印刷は印刷物やDTPなどで数多くのお客様と長年の信頼関係を築いてきたこともあり、お客様の受付業務をよく理解しているという点は、強みだと思います。当社の場合、お客様からいただいた要件ありきで提案するのではなく、これまでの歴史の中で積み重ねた信頼関係や業務理解を踏まえてお客様と議論ができるため、勝てる提案ができるのではないでしょうか。
経験年数は関係ナシ。個人の裁量が大きいから、達成感も大きい
──セキュア事業部で働く魅力を教えてください
水飼:
私はまだ新卒2年目なんですが、裁量権が大きくて任される部分が多い点が、働く魅力だと思います。セキュア事業部の営業は、決まった商材だけを持ってむやみやたらと訪問するような営業ではありません。お客様の課題に対して、自社の数あるソリューションの中から、何を提案するかは本人次第。自身の判断で提案した結果、、それが受注に繋がったときは嬉しいですし、達成感も一際大きいです。大手企業だから組織の歯車に…ということが全くありません。
相川:
お客様との関係性の観点だと、長年のお付き合いがあったり、当社のことを知ってくれている企業が多いので、何か新しい商品・サービスを提案したり、商談をお願いする際に、しっかりと話を聞いていただけます。凸版印刷のブランド力が、営業としての武器になります。
加藤:
私は中途入社なのですが、凸版印刷は特に"助け合いの文化”が浸透していると思います。上司や同僚に案件の相談をすれば、みんな前向きに向き合ってくれます。例え、案件の難易度が高かったり規模が普段より大きかったりしてもしても、協力を惜しまないような風土があります。だから、仕事はとてもやりやすいです。
気軽に相談できる人が社内に多いんですよね。悩みは抱え込まなくていいし、余計なストレスを感じることなく仕事ができる。いわゆる「心理的安全性」が非常に高い職場だと言えるのではないでしょうか。
水飼:
確かにそれはありますね。金融機関がメインクライアントなので、営業は4,5名程度のグループ単位で営業活動を行っています。ですので、業務で分からないことがあったり、過去の提案内容などを知りたい場合は、同じグループの先輩に相談しながら営業活動を行っています。先ほどお伝えしたとおり個人の裁量権は大きいですが、完全な放任ではないので、そこは安心できますね。実は私もまだまだ課長や先輩に頼る機会が多いです(笑)。
──最後に、どんな人と一緒に働きたいですか
水飼:
裁量の大きな仕事であるので、凝り固まっていない自由なアイデアを出せるような人であれば活躍できると思いますし、一緒に働きたいです。これまでの経験などは関係ないです。私も文系出身で、学生時代は野球しかやってこなかったような人間なので(笑)。1つのことを突き詰めたいという方よりも、幅広いことを提案していきたいという方のほうが、営業として活躍しています。
加藤:
経験はもちろん大切ですが、当社のビジネスに必要なスキルに関しては入社してからでも身に着けることが可能です。社内の皆でフォローし合う風土があるので安心してください。異業種の方も大歓迎です。、むしろ新しい観点でのアイデアを出せることが強みになるかもしれません。実際、異業種から転職して活躍されているメンバーもたくさんいますよ。
相川:
本当にそうですね。これまでの経験よりも、やる気と元気があれば良いと思います(笑)。
営業としては、扱う商材が幅広いですし、日々新しい商材が出来たりするので、毎日コツコツと勉強して、前向きな気持ちで頑張ってくれるような方であれば、最高です。同じ目標に向かって一緒に力を合わせて努力していきたいです。