M・Kさん/デジタルイノベーション本部 Designユニット(2017年入社)
2020年にDesignユニットに異動となり、エンジニアからデザイナーに転身したMさん。プロジェクトの実務を通じて、デザイナーとして着実に成長していったMさんの軌跡を追いました。
「情報量の多さ」が保険サービスをデザインする面白み
――Mさんは2017年入社ということですが、入社当初からデザイン業務に携わっていたのでしょうか?
いいえ、入社当初はエンジニアで、アプリなどのフロントエンドの開発に携わっていました。デザインに関わるようになったのは、Designユニットに所属した2020年からです。
――どのような経緯から、Designユニットに所属することになったのでしょうか。
自らDesignユニットへの異動を希望しました。もともと、フロントエンドの開発に携わっていたため、UIについて考える機会が多かったのだと思います。自然とUIのデザインに興味を持つようになりました。特に、保険サービスのUIデザインは、他業界のUIに比べて独自性が高いため、面白いなあと感じていました。
――具体的に、保険サービスのデザインはどのような点に独自性がありますか?
他業界の商品に比べて、保険商品は保険業法などを始めとした各種法令により様々な規制がかけられています。そのため、保険サービスを契約する際などは、お客様に非常に多くの情報を事前にお伝えしなければいけません。つまり、保険サービスのUIをデザインするときには、文字量がとても多くなるんですね。
デザインの経験がある方はわかると思いますが、文字のサイズや太さ、色、レイアウトを工夫したり、必要に応じて図や表を掲載したり、補足的な内容はツールチップを使用して見せるなど、いかに情報を整理するかが重要になってきます。
そうした点を工夫して、お客様にわかりやすく情報をお届けするのが、保険サービスにおけるデザインの特徴です。
約1年半の初めてのプロジェクト。試行錯誤を経て、無事アプリのリリースに成功。
――2020年にDesignユニットに異動してから、どのようなお仕事に携わられましたか?
異動してから約1年半は、団体保険の加入を募集するアプリのUIデザインを担当していました。様々な法人の団体保険が展開される「団体保険のプラットフォームサービス」のようなアプリです。デザイナーとして初めて担当したプロジェクトということもありましたが、このアプリのUIデザインには一苦労しました。
――どのような点が難しかったのでしょうか?
様々な法人が利用するプラットフォームサービスということもあり、ターゲットが多様で、どのような人物に向けてデザインをすればよいのかに悩みました。多様なターゲットの要望にすべて応えられるように汎用的なデザインにすると、結果として誰にも響かないデザインになってしまいがちです。そのため本プロジェクトでは、ターゲットの真のニーズを探ることに力を割きました。
――どのようにしてターゲットを明確化したのでしょうか?
利用者を抱える法人の方々とお会いし、直接、お話を聞くことにしました。それまではプロジェクトのオーナー部門の担当者がヒアリングをして、その内容をもとに要件定義などをしていたのですが、それでは利用者が本当に何を求めているものは何なのかが、曖昧になったり、齟齬が生まれたりしてしまうことが多くあります。そこで、オーナー部門の担当者の協力を仰いで、法人の方々に直接ヒアリングさせていただき、ターゲットを明確化していきました。結果として、この取り組みは奏功して、私としても満足のいくデザインでアプリをリリースにすることができました。
――アプリの反響はいかがでしょうか?
まだリリースされて間もないため、ユーザーの声は届いていませんが、リリースから数日で数百人のユーザーに利用され、保険加入者も着々と増えているようです。私自身、初めてのプロジェクトとしては十分な手応えを感じています。
将来の理想像は「開発者の気持ちがわかるデザイナー」
――デザイナーとして成長を実感したエピソードがあればお聞かせください。
私からオーナー部門や開発者の方に提案できるようになったことですね。Designユニットに異動した当初は、周囲から言われたことをこなすだけで精一杯でした。しかし、経験を積むなかで、次第に自分のアイデアをデザインのなかに盛り込むことができるようになっていきました。右も左もわからず、漠然と仕事をしていた当初のことを考えると、大きな成長だと感じています。
――一方で、現在の課題はなんでしょうか?
まだ、CX・UXの設計など、上流工程の業務には携わったことがないことです。ゆくゆくは定性的・定量的なデータをもとに要件定義をするような業務にも携わりたいので、着実に経験を積みながら、プロのデザイナーとして成長していきたいと思います。
――今後の目標やキャリアの展望について教えてください。
デザイナーとしてスキルを上げていくことはもちろんですが、開発コストも考慮できるデザイナーになりたいと考えています。
限られたリソースの中でアプリやサービスを開発するには、費用対効果も意識しなければなりません。そのため、画面部品の種類を必要以上に増やさないようにしたり、既存の画面部品を活用して新しい画面をデザインしたり、ときには開発者にも相談しながら、より効率的な開発を実現できるデザインを心掛けています。
ユーザー目線を大切にすることは前提として、こうした開発者目線も兼ね備えたデザイナーでありたいと思っています。
――最後に、この記事を読む方にメッセージをお聞かせください。
保険・金融業界は、まだまだ、紙文化が根強いです。それをデジタルにシフトさせることが、Designユニットのミッションの一つなのですが、それにより生み出せる付加価値は非常に大きいものです。ある意味では、Designユニットの仕事は、保険・金融業界を革新する意義深いものだと思っています。そうした姿勢に共鳴し、共に新たな価値を作り上げていける方にぜひ仲間になっていただきたいです。