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ゴールは決めない。仲間が、ファンが、思い描く「Fanion」を創り続けるリードエンジニア

開発部でリードエンジニアを務める城 弾。「Fanicon」の生みの親のひとりとしてその立ち上げに関わり、プレーヤーとして、マネージャーとして、成長のプロセスを一番近いところで見守ってきました。アプリ開発の過程を振り返りながら、現在地から見渡す風景、思い描く未来の自画像について語ります。

全体を底上げしてサービスをスケールさせることが、リードエンジニアの責務

大学卒業後、ヤフー、DeNA、リクルートライフスタイル(現リクルート)と渡り歩き、デザイナー・エンジニアとしてフロントエンドとバックエンド、それぞれの領域で経験を積んできた城。THECOOへの入社は、大学時代からの友人であり、Fanicon事業本部の本部長を務める星川 隼一に誘われたのがきっかけでした。

城 「西新宿の高層ビル街をふたりで散歩しているときに、『新しいサービスを始めるから、うちの会社に来てくれない?』と。そんなよくある青春のひとコマみたいな誘われ方をしました。

星川君とは、学生時代、同じサークルで夢中になってネットサービスを作っていた仲。言葉にすることはありませんでしたが、『いつか一緒にサービスを作りたい』という気持ちは互いに持っていたと思います」

2016年に入社し、6年目を迎える現在、開発部のリードエンジニアとして、システム面を管理する立場にある城。大切にしているのは、プロダクトにコミットすること。そして、PM、デザイナー、エンジニアといったメンバーが、それぞれ持てる力を存分に発揮できる環境を作ること。

城 「メンバー同士が、どうやって横の連携を生んで、全体のパフォーマンスを底上げしていくかを考えることも、リードエンジニアの役割。不必要なプレッシャーがかかるようなところは極力自分が引き受けたり、ミスがあったときにフォローしてあげたり。そうやって、一緒に働く人たちが本来の能力を出せるような状態にしてあげたいと思っています」

アプリ誕生の裏側。盟友とふたりで駆け抜けた「Fanicon」黎明期

THECOOの根幹をなすサービスであるファンコミュニティアプリ「Fanicon」。城は星川と共に、その立ち上げから携わりました。

城 「アプリの構想を立てたのは、星川君です。当時彼はアメリカに修行に行っていて、帰国したときには青写真がすでにできていたようで。合宿みたいな形で平良さん(代表取締役CEO:平良 真人)の別荘に5日ほどこもり、形にしていきました。

『こういうやつ』みたいな感じで、4コマ漫画を星川君が描いて、それをもとに僕が設計していくんですが、お世辞にもうまい絵とはいえなくて。でも、付き合いが長いから、お互いの考えていることがだいたい想像つくんですよ。

僕は企画屋というよりは、誰かが考え出したものを表現していくところにおもしろさを感じるタイプ。開発に関わりながら、『このアプリが世に出て、お客さんが流入してきたら何が起こるんだろう』と、わくわくしたのを覚えています」

初期段階では、ファンコミュニティ運営の方向性が争点になっていたという城。

城 「ファンクラブというサービス自体が、どこか昭和風で旧態依然としているから、それを今のビジネスやアプリの形態に合わせていきたいよねと。あとは当時、インフルエンサーマーケティングを手がけていたので、シナジーもある。そんなことを話し合っていたような記憶がありますね」

星川と共に、新しいプロダクトをゼロから創り出した城。意外にも、苦しいと感じる場面はなかったと振り返ります。

城 「たとえば、初めて触るAndroid向けに、あと1週間でアプリを作らないといけない状況になって、急いで本を買って勉強したり、知人に頼みこんで教えてもらったりすることもありました。

ゼロイチでやるとなると、確かに面倒は多いんですが、苦労みたいなものは、時間が経つと忘れてしまう。だから、いつも楽しさのほうが勝っていたと思います。

予算や目標もあったはずですが、思考が乱れるのが嫌だったので、聞かないようにしていました。言語も、たまたま僕が得意だったJavaScriptを使っています。技術的に難しいことをしているわけではなかったですし、何より新しい学習にコストをかける気がなかったから」

「Fanicon」の立ち上げが決まってからは、人集めにも奔走したという城。

城 「僕が入社したときの社員数は確か15人ほど。そこから友達伝いに人を集めていきました。サービスができる前だし、華やかな技術を使っているわけでもないので、なかなか首を縦に振ってくれる人がいなくて。

ただ、僕の結婚式に参列していた他の会社のデザイナーを、星川君が勧誘していたときは驚きましたけどね(笑)」

改修につぐ、改修。地道な活動の結果、いまの形、いまの規模に

そうしてTHECOOは、2017年に「Fanicon」をローンチ。当初は、付き合いのあったインフルエンサーにアイコン(「Fanicon」を利用するアーティストやタレント)になってもらうケースが多かったといいます。

城 「『Fanicon』をリリースして間もないころは、インフルエンサーマーケティングのお客さんに利用してもらっていました。早い段階から生の声を集めることができたのは、良かったと思います。星川君はオフ会にも積極的に顔を出して、お客さんの声を聞いてくれていましたね。

あるとき、不具合が起きたときがあって。どうしても理由がわからず、使ってくれている方の自宅を訪問し、バグが起きる場面を教えてもらいながら、その場で直したこともありました」

そうやって声を拾い上げながら、機能に少しずつ磨きをかけていったという城。

城 「改修につぐ改修という感じで、ファンの方に楽しんでもらえる機能を見つけては実装していきました。試行錯誤を繰り返し、ライブ機能などが加わって、現状のような形になったのは、ローンチから2年目くらいのこと。いまはエンハンスをかけているフェーズですね」

現在でこそ開設コミュニティ数が2,300超、ファン数が18.1万(※)を超える「Fanicon」。一気にスパイクするというより、地道な活動が功を奏してきたといいます。

城 「1,000人のファンを抱えるコミュニティが突如として始まったりだとか、ターニングポイントはいくつかあったと思います。いいエンジニアがジョインしてアプリが洗練されたり、サーバーが強化されたり。また、ビジネスサイドでも大物アイコンと契約できたりして、少しずつシステムやサービスがスケールしてきた印象がありますね」

2021年12月22日、マザーズ上場(現グロース市場)を果たしたTHECOO。しかし、「とくにこれといって変化はないですね」とクールな城。

城 「上場して社名は売れたかもしれませんが、開発側としては、社会的責任がともなうようになったなと思うくらい。

とはいえ、たくさんの方がアプリを使ってくださることはとても嬉しいですし、今後、システムやサービスがどんなふうに育っていくんだろうと考えるのは、開発者として非常に楽しいですね」

※2022年3月末時点

「Fanicon」の可能性、そして自分の未来

アプリの完成度は上がっていると感じているものの、やりたいことは無限にあると話す城。

城 「だいたいはでき上がってきているようにも思いますが、気になるところはまだまだあって。ファンがもっと楽しめる機能がどこかに眠っているかもしれないし、さらなるマネタイズの可能性もあると思っています。世間で注目を集めている分散型のWeb3などにも興味があるし、試してみたいことは尽きませんね。

実際、開発当時には、アプリとしてのゴールは決めていませんでした。強力な仮説は必要にしても、リリースした後にユーザーの反応を見るまでは何もわからないと思っていましたから。これからも引き続き改修を重ね、情報を拾い集めながら、描くイメージを表現し続けることが大切だと思っています」

そんなアプリの行く末と重ねるかのように、城がエンジニアとして描く将来の自画像もまた、彼らしい飄々としたものです。

城 「プレーヤーかマネージャーか、正直なところ、どっちでもいいんですよ。前職時代も含め、これまで、それぞれのタイミングでいちばん必要だと思う仕事をしてきました。今後もそのスタンスを変えるつもりはなくて、場面ごとに大事なことを自分で判断していければいいかなと思っています。

良いことかどうかは別にして、稼ぎたいという気持ちもないし、ビジネスにもあまり興味がなくて。ただ、CEOだったり星川君だったり、チームメンバーだったり。彼らがやりたいことがあるんだったら、手伝いたいなと」

開発部を束ねるリードエンジニアとして、城が考える、THECOOにフィットする人材は、“ものづくり”を楽しめる人。

城 「作ること自体を楽しめる人に向いている会社だと思っています。壮大なことを成し遂げたいと考える必要はなくて、『プログラミングでシステムを作るのが好き』とか、『アプリのこの画面をとことんきれいにしたい』とか。そういうレベルのモチベーションがある人が、楽しく働いている印象がありますね。

変な政治もないから、自分を飾る必要がなく、素の自分のままでいられると思います。立場上、一人ひとりの感情の動きなどにも注意を払って見ていますが、何かに束縛されて苦しんでいるような人はいないんじゃないですかね」

「肩の力を抜いて、時流に合ったサービスをずっと創り続けながら終わりを迎えたい」。そういいながら、だしぬけに無邪気な笑顔を見せる城。終着点は、決めない。予測不能な未来へ──信頼する仲間、そしてTHECOOとともに。

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