NYではBtoCの連絡手段としてSMSが主流
テテマーチ公式ニューヨーク派遣員のYUKAKOです。ニューヨークのマーケティングやサービスなどの最新トレンドを調査しています。
NYにきて驚いたことの一つに、「SMSの一般化」があります。日本では、お気に入りのカフェ情報やクーポン情報などは、企業や店舗が運営しているLINE@アカウントを登録するケースが多いです。しかし、ニューヨークでは、スマホの電話番号を使ってメッセージのやりとりができるSMSの方が一般的なのです。
NYで新しく友達になった人と連絡先を交換する際は、もちろんSNSを交換するシーンが多いです。インスタグラムやフェイスブック、ワッツアップ(アメリカで主流のチャットアプリ)を使ったりします。もちろん、電話番号だけを交換して友達同士でSMSでチャットをする場合もあります。
しかし、今回の記事ではCtoCではなく、BtoCにおける連絡手段としてSMSが浸透していることにフォーカスを当てています。
なぜSNSやメールではなくSMSで、どのように活用されているのでしょうか?
ケーススタディ:BtoCでのSMS活用事例4つ
BtoCの連絡手段として、SMSが浸透していることは、アメリカではもはや当たり前のことすぎて記事化すらされていません。しかし、日本からNYへ引っ越してきたばかりのフレッシュな感覚をもつ私は、その効率性にSMSの可能性を再認識させられました。
まずは、どのようなシーンでSMSが使われているのかを紹介します。
①レストランの待ち時間と順番の連絡がくる
グルメの街、NYにはたくさんの人気飲食店があり、週末になると2時間待ちになることもしばしばあります。そんな場合、レストランやカフェにて「待ち順に名前を書いて待つ」のではなく、「名前と電話番号を伝えてどこかで時間を潰しながらお店からのSMS連絡を待つ」というのが一般的です。
ここで特筆しておきたいのは、SMSにて順番をお知らせする機能を自動化していることです。
画像をみていただくとわかる通り、SMSのメッセージにはボット機能が仕込まれていて、お客さんは指定のキーワードをリプライするだけで必要な対応や連絡を受けることができます。
例えば、この画像では、「3」を送信すると自動で待ち順を取り消すことができ、「Stop」を送信すると、今後お店からの通知メッセージを停止することができます。
日本でも電話番号を伝えておけば、順番がきた時に電話をくれる親切なお店はあります。しかし、SMSで順番を自動送信する機能があればオペレーションは格段に楽になります。
②クレジットカードの不正利用確認もSMSだと迅速
アメリカといえば、クレジットカード文化です。現金NGなカフェもあるほど、こちらでは支払い方法としてカードが主流です。支払い方法のうち、おおよそ70%でクレジットカードやデビットカードが使用され、現金の使用率は約30%です。(参照:Payment method statistics)
私の体感では90%がカード支払いなのですが、上記の調査では70%なのですね。笑
実は、NYにきて1週間も経たずに、クレジットカードを紛失してしまったのですが、その時のクレジットカード会社のSMSメッセージ機能にとても感動しました。
日本ではクレジットカードが不正利用された場合、支払い請求がきた後に気づき、電話で問い合わせし、停止、不正利用分の申し立てを行う必要があります。つまり事後対応になってしまいがちです。
しかし、アメリカでは、「いつもの購買行動と異なる行動をした場合」や「高額な金額を利用した場合」などに、クレジットカード会社から不正疑いのメッセージがSMSで届くので事前対応が可能になっています。
ここでもBotが仕込まれているので、クレジットカード会社からの疑いメッセージに「yes(この利用は認識しています)」と返信をするだけで対応が完了します。もしここで、身に覚えのない利用内容であれば「no」と返信するだけでカードを止めることができるのです。
③Amazon Treasure Truckへカンタン登録
ニューヨークでは頻繁に出現するamazon Treasure Truck の出現情報もSMSで届きます。
最初に「24193」宛に「Truck」とメッセージを送るだけで、amazonから必要情報が送られてきます。
ここで便利だなと思うのは、長ったらしいメールアドレスやURLを入力する手間は必要なく、たった5つの数字に連絡をするだけで良い、という点です。
ユーザーは必要最低限の労力で必要な作業を済ませることができるのでストレスレスでスムーズです。
登録が完了すると、その日からamazon Treasure Truckの目玉商品や出現場所が送られてくるようになります。
SMSメッセンジャーの特徴として文字数が限られているので、必要な情報のみを短文で送られてくるため要点をつかみやすいです。
④ディズニーランドのアトラクションにSMSで参戦!
先日、フロリダのオーランドにあるディズニーランドに行ったのですが、モンスターズインクのLaugh FloorというアトラクションでSMSメッセージ機能を使ってショーに参加できるものがありました。
アトラクションの待ち時間中に、天井から吊らされているテレビに写し出される5つの番号(42319※毎回番号は変わります)に、指定のワードを含むダジャレを送ると、本番のショーでモンスター達にピックアップされお披露目してもらえる、というものです。
たった5つの番号に、自分が考えたダジャレを送るだけで良いので、参加ハードルも低く、気軽に参加できます。
また、普段なら嫌な長い待ち時間も、家族全員でダジャレを考える時間に変わるので、皆とても楽しそうでした。SMS機能を使えばこのようなキャンペーンにもカンタンに1ステップで参加できて良いですね。
LINEやメールではダメなのか?
以上のように、BtoCの様々なシーンでSNSやメールではなく、SMSメッセージ機能が使われているケースを頻繁に目にします。もちろんLINEなどのSNSやメールを使うことでお客さんとコミュニケーションを取ることもできます。しかし、いくつかの点に置いてSMSの方が優れていると感じた理由があります。
LINEなどのSNSは個人間の連絡手段を目的として使われている
LINEなどは基本的に個人間の連絡手段を目的として使われています。友達との個人チャットを楽しんだり、グループでの連絡手段としてとても便利です。LINEから通知が届くと「誰からだろう!」と心が踊ります。そんな友達とのコミュニティの中に企業アカウントの通知が届くようになるとそれはヘイトへ繋がりがちです。実際に、企業アカウントを追加しているが、企業アカウントからの通知をミュートにしている人は多いのではないでしょうか。
双方向コミュニケーションを楽しむ場所に、一方通行コミュニケーションが参入すると少し違和感を感じてしまいます。
SMSはメールより気軽
皆さんは1日に何回メールをチェックしますか?人によって複数のメールアドレスを使い分けている人もいるかと思いますが、SMSに比べるとメールは確認頻度が低くなりがちです。
それは1通あたりの内容量が関係しているのではないかなと感じます。
メールの場合、内容量が多くなりがちで、チャットUIであるSMSメッセンジャーの場合は、文字数制限があることもあり、短文で要点が明確であり、フランクな口調でも許される雰囲気があります。「チャットUIであること」が心理的にハードルを低くしてくれている気がします。
SMSはデフォルトで備わっているツール
また、世代や国によって使うアプリが異なるという点があります。日本でも高齢者になるとLINEを使っていない、もしくは使いこなせない人がいたりしますが、SMSはスマホにデフォルトで備わっている機能なので、SNSアプリをインストールしていなくても老若男女が使えるツールなのです。つまり、SMSであれば、企業はスマホをもつ全ターゲットとコネクションをもてるわけです。
SMS文化で感じたメリット
最後に、SMS文化で感じたメリットをまとめて終わりにします。
- 数字にメッセージを送るだけ。メールアドレスより入力が楽。
- 文字数制限があるため基本的に短文。読むのが楽。
- Bot機能があり、最小限の労力でレスポンスができて楽。
- Bot機能があり、レスポンスが早い。
- Bot機能があり、企業側のオペレーションも楽。
- スマホのデフォルト機能のため、アプリのインストールが不要。
今後もアメリカでは一般化されているが、日本とは違う文化を見つけたら発信していきます。日米の差分を調査することで新しいサービスを考えるヒントになりそうですね!
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