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アートを通して人々とテクノロジーをつなぐ

チームラボのメンバー紹介をするインタビューです。インタラクティブチームに所属するJasper Degensに、彼がチームラボに行き着くまでの話と、これからの展望について語っていただきました。

インタラクティブチーム / Jasper Degens

2014年、米国タフツ大学コンピュータサイエンス学部を卒業。
ロンドンやベトナムにて、ITコンサルタントやエンジニアとして勤務したのち、2016年チームラボのインタラクティブチームのメンバーに。

■ チームラボの「インタラクティブチーム」とは?
リアルタイムでインタラクティブに動くデジタルアート作品などの制作を担当しているチーム

インタラクティブエンジニア
チームラボのインタラクティブなアート作品を世界へ!インタラクティブチーム
【Story of the Forest, National Museum of Singapore】 シンガポールとその周辺地域に生きる花々や木々、動物を、デジタルコンテンツで表現。 高さ約15mのドームと、その空中にかかる橋と回廊で構成される、大規模なインスタレーション空間。作品入口から出口まで鑑賞者が移動する距離は全長170mを超える。 https://www.teamlab.art/w/story-of-the-forest ■制作範囲 ・インタラクションの設計、開発 ・演出の開発 ・各種Shaderの開発 【Crystal Universe/クリスタル ユニバース】 「インタラクティブ4Dビジョン」という独自の技術を用い、宇宙空間における光の動きを表現したインタラクティブインスタレーション。 鑑賞者はこの空間に歩きまわることができ、スマートフォンを通じて光の宇宙を創ることができる。 https://www.teamlab.art/w/crystaluniverse ■制作範囲 ・LED制御システムの開発 ・演出作成ツールの開発 ・演出の作成
チームラボ・チームラボエンジニアリング


チームラボではどんなプロジェクトに関わっている?

インタラクティブチームのエンジニアとして、鑑賞者や周囲の現象に反応するリアルタイムのデジタルアートを開発しています。 例えば、「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」の「花の精霊」プロジェクトは、花が人々の動きに反応するもので、「Walk, Walk, Walk: 探し、遠ざかり、また 出会う」は匿名で多様な肖像群が美術館内を自由に歩き回る作品で、同じく人々の動きや別の作品に接触することで、インタラクションが発生する作品です。


チームラボに入る以前の経歴は?

学生時代はボストンにあるタフツ大学で、音楽工学を中心にコンピューターサイエンスを専攻していました。
テクノロジーは教育や芸術など、他の分野と掛け合わせることで、人々にとても大きな影響を与えることができると、昔から信じていました。学生時代からエンジニアとして、テクノロジーと他分野でのコラボレーションの可能性を模索し続けてきました。
卒業後は、ロンドンの金融ソフトウェア会社のコンサルタントとしてキャリアをスタートし、セカンドキャリアではベトナムへ移り、地元ミュージシャン向けにソフトウェア/ハードウェアの設計・開発に取り組みました。
チームラボに参加する直前は、シドニーのデジタル教育会社のファシリテーターとして働いていました。

チームラボにはどのように辿り着いた?

香港への出張中、たまたま町中でインタラクティブなインスタレーションに遭遇しました。僕が出会ったのは、鑑賞者がスマートフォンで好きなオーナメントを投影できる、LEDで構築された大きなクリスタルシャンデリアのような作品でした。僕も大学時代にLEDを使って作品を作ろうとしたことはありました。しかし、実際の町中で、LEDを大量に使うことで創り出された、音楽と空間演出の組み合わせは、圧倒的に心が動かされる特別な体験だったと、今でも覚えています。

その作品を見た当時は、チームラボという存在について何も知りませんでした。デジタルアートという新しい分野の可能性があるということは知っていましたが、それがまだ十分に世界で認識されていないと思っていました。公共スペースをインタラクティブにし、テクノロジーを使用することで人々を結び付けるというのは、僕にとってとても魅力的な体験でした。このインスタレーションを作った人はテクノロジーの新しく確かな可能性を見つけ出していて、それは僕が昔から模索し続けていたことと限りなく近いと感じ、制作者を探しているうちに、『チームラボ』に辿り着きました。

その後は、メンバーになるまでの選考フローが特殊で印象に残りました。
当時は、海外向けのリクルートページがまだ公開されていなかったので、チームラボがアーティストとして所属しているニューヨークのPace Galleryに連絡してみたところ、メンバーの1人に繋いでもらい、創業役員CTO(田村哲也)とオンライン面接を設定して貰えました。1回目の面接ではなかなか上手く意思疎通することができず、2回目の面接では、英語の話せるメンバーが通訳として同席してもらい、再度役員と面接しました。2回目の面接には、面接用にアプリを開発しておき、デモを見せたりすることで、言葉で伝わらない部分を補おうとしました。

次の面接が最も印象的で、僕が今所属しているインタラクティブチームのメンバー10名とオンラインで面接をしました。無事チームのメンバーに気に入って貰えたことで、東京のオフィスに招待してもらい、これから実際に働くことになる環境が、僕のイメージとちゃんと合っているか確認され、無事に内定を貰いました。

当時のチームラボでは、日本語が一切喋れないメンバーを採用したことが無かったので、できるだけ色んな角度から、僕のスキルや人間性を見ようとしてくれたのだと思います。

チームラボ史上最も長く、最も多くの面接官と話す選考フローだったんじゃないかと、今でも思っています。

チームラボに入ってみて、自分のやりたかったことはできている?

学生時代から今でも、自分が考えていることはあまり変わっておらず、テクノロジーと空間を使って人々をデジタルツールと結び付ける方法の模索です。チームラボのプロジェクトはチャレンジングな試みが多いですが、プロジェクトで経験を重ねるごとに、少しずつ自分の目指していたことの実現ができるようになってきている体感があります。使用する空間は、50万平米の自然に溢れた御船山楽園や世界遺産の下鴨神社、またはアイススケートリンク屋内10万平米におよぶ広大なスペースまで様々です。また、開催地も上海から、シンガポール、パリ、サンフランシスコまで世界各国に渡り、プロジェクトはいつも非常にユニークです。

それでも、チームラボに入って一番良かったと感じていることは、今のチームメンバー達と出会えたことです。入社当時は日本語が一切喋れず、コミュニケーションができませんでしたが、その言葉でのコミュニケーションできなかった時期にチームメンバーと築けた強い関係性こそが、僕にとっては大きな財産になっています。

デジタルアートの最前線で活躍するチームラボのインタラクティブチームは、個々のメンバーがそれぞれ強力な才能を持っている人たちばかりでした。入社した当時は、3DCGやアート制作の経験が浅く、メンバーの才能にただただ圧倒されていましたが、メンバーは僕を暖かく迎え入れてくれ、たくさんの刺激を与えてくれました。僕にとって、チームメンバーはただの同僚ではなく、友達や家族のような存在です。みんなのおかげで、今の自分があります。

東京での生活はどう?

東京はとても住みやすい街です。新しい体験をするチャンスがそこらじゅうに転がっています。例えば、チームメンバーの一人がDJとVJの趣味を教えてくれました。それ以来、二人でDJ & VJユニットを組み、仕事後の時間を使って外部でイベントを開催しています。つい最近も両親が東京に遊びにきてくれましたが、その際に新しい趣味を直接披露することができて嬉しかったです。

チームラボの環境は、どんな人に向いている?

僕は、特に学生の皆さんには、枠にはまらず、広く自由な考えを持ってほしいです。特にアメリカでは、コンピューターサイエンスを専攻すると、ほとんどの学生がシリコンバレーか大手のIT企業に就職します。もちろん、素晴らしいことですが、多くの学生がその考えに囚われているような気がしています。一度、外の世界に目を向けてみると、そこには思いもよらなかった環境があり、大きな可能性が転がっている、ということを知ってほしいです。

もっと自由な表現ができて、挑戦的で、型にはまらない何かをしたいなら、チームラボは最適な場所だと思います。ここには、そういう経験をするために必要なツールや、リソース、刺激をくれるメンバーやプロジェクトが揃ってます。誰もがクリエイティブな活動を自由にできる場所です。

最後に、何か伝えたいことはある?

日本語を一切喋れなかった自分が、チームメンバーにサポートして貰いながら、これまで関わってきた多数のプロジェクトは、一つ一つ本当にやりがいがあって、チームラボとしても個人としても成し遂げられてきたことを誇りに思っています。

テクノロジーとアートの融合には多くの可能性があるということを人々に体験して知ってもらうために、今までたくさんの努力を続けてきました。それでも、ここまではまだ小さな1歩を踏み出したに過ぎないと思っています。

チームラボに入る前も、入った後も、僕の人生はこれまで予想外なことばかりでした。そんな経験を繰り返していくうちに、人生は予想外な出来事がが多い方が面白くなるのでは、と思うようになっていました。

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