The Chain Museum設立の背景
株式会社The Chain Museumは、2018年7月に、株式会社スマイルズの(当時)代表取締役・遠山正道と、株式会社パーティーの共同出資のもと、設立されました。
■The Chain Museumを設立したきっかけは?
発端は、3年くらい前かな。
スイス・バーゼルのアートフェアへ訪れたとき、現代アート市場の在り方にショックを受けたんです。超一流アーティストの2億円の作品に、コレクターとメガギャラリーが中心にいて、一般人はとてもじゃないけど立ち入れない空気で。
もちろん彼らがトップにいて、現代アート界を牽引してくれるからそれはそれでいい話なんですが、それだけじゃないな、と思ったわけです。音楽でいえばインディーズとかオルタナティブにもおもしろい作品はたくさんあるし、みんなに購入のチャンスがあってもいいんじゃないかと。
それで、現代アートに出会える”高速道路”のようなものを、デジタルで通してみようと。
その構想の結果、現代アートのアーティストや作品が世界に通じるための新しいプラットフォームをつくろうと決めました。
それがThe Chain Museum設立の原点です。
The Chain Museumについて
■「The Chain Museum」ではどんな事業を展開しているんですか?
The Chain Museumは、『「芸術か 生活か」 気付きのトリガーを、芸術にも生活にも。我々は芸術を愛するビジネスパーソンとして、新たなプラットフォームを創造し、世界とつながるチェーンを希求する。』というミッションのもと、3つの事業を展開しています。
【ArtSticker事業】は、気付きのトリガーを世界中に伝播させるために、アーティストと鑑賞者の新しい関係性が生まれる場をつくる事業として。
【Gallery事業】は、アートとのより多様な関わり方を提案するために、自らが展示を企画しギャラリーを運営する事業として。
【Coordination事業】は、生活の中にアートを散りばめるために、ホテルや商業施設、オフィスなどの空間をプロデュースする事業として。
■「The Chain Museum」の名前の由来は?
「The Chain Museum」という名前は、私がSoup Stock Tokyoというチェーンストアをやっていることから、唯一性のアートとチェーンストアという真逆の立場を重ねたら面白いものになるのではと名付けた、ちょっと不思議な存在です。
チェーン店に加えて、アーティストと作品、鑑賞者を結ぶチェーンの意味も込めています。
The Chain Museumと「ArtSticker」
■"The Chain Museum"で始まった最初のアート事業である「ArtSticker」とはどんなサービスですか?
私が構想していた「現代アートのアーティストや作品が世界に通じるための新しいプラットフォーム」をまさに形にしたサービスです。
現代アートの近況が分かるアートイベント情報から、アーティストやギャラリーの情報、更にはEC、チケッティング、音声ガイドなど、様々な機能やコンテンツを有する現代アートの総合プラットフォームです。
■ArtStickerの価値を通して、今後世の中がどう変わっていってほしいですか?
日常の生活の中にももっとアートに出会う機会ができるといいなと思っています。
一昔前は、ブログを公開することや、インターネット空間に自分の考えを公開することにも抵抗感があったはず。それと同じで、ArtStickerを通して日常にアートが介入する世界を身近にすれば、その敷居もなくなってくるだろうと思っています。
実際、このプロジェクトをギャラリーやアーティスト、作家関係者に話すと皆すごく関心を寄せてくれるんですよ。
日の目を見ずにうまく才能が引き出されていないアーティストは少なくありません。ArtStickerを通して、個人とアーティストを繋ぐ新たなプラットフォームを構築すれば、アート作品の表現としての場、コミュニケーションとしての場が生まれます。
そうすれば、アーティストはもっと活動の場が広がったり、売ることに注力しなくても作品作りに専念できたりしますよね。一方で、アートに対して敷居の高さを感じていた個人が興味を持ち、親近感が生まれることもあります。
■なるほど。これまで以上にアーティストの表現の場が増えれば、さらに注目される人も増えそうですね。
何か変えていかないといけない。もっと新しいことを取り入れたり、チャレンジしたい。こう思うのは何も、アート業界の人たちだけでなくビジネスマンも一緒です。今のままでいいとは誰も思っていないでしょう。
だからこそ、イケてる場を作ることでアート業界に新しい風を吹かせたい。
アートの唯一性を尊重しつつ、日常生活の中にアートが入り込む世界の創造。これが、われわれがArtStickerの事業をしていく上で伝えていきたいメッセージですね。
■ArtStickerは今後どの様に展開していくのですか?
今は日本国内がメインですが、アジアから欧米と世界に向けてどんどんと広げていきます。
世界の中で、日本のアートはまだまだほとんど知られていません。日本人は元々勤勉で器用で真面目で歴史の風土もあります。
現代アートの作家も、そのコンテクストの構築、技術力、真面目な丁寧さ、コンテンポラリーな表現性など、非常に高いレベルの作品ばかりです。
日本人の作家や作品を是非ともアジアや世界に認識してもらいたいと切望しています。
The Chain Museumの新たなチャレンジ
■The Chain Museumでは、ギャラリー事業も展開されていますよね?
はい、デジタルだけでなくリアルなギャラリーも展開しています。
自社ギャラリーである六本木の「アートかビーフンか白厨」は、ギャラリーの中で美味しい台湾料理が食べられます。今まで、ギャラリーとBARが同じ空間にある場所は世の中にありましたが、本格的な食事が楽しめるギャラリーはなかったと思います。本来なかなか相入れない難しいバランスだと思いますが、とても良い手応えを感じています。
2023年11月末には、森ビルが開発する「麻布台ヒルズ」で「Gallery & Restaurant 舞台裏」を出店しました。
森美術館が運営する麻布台ギャラリーやPace Galleryが出店するエリアで、我々も上質な環境をつくることに日々努めています。
また、東京藝術大学の近くの上野に「上野下スタジオ」というアーティスト支援のためのアトリエを開きました。
アーティストの「三重苦」とも言われることがありますが、若手アーティストの多くは、作品を「制作する場所」「保管する場所」「展示する場所」の確保に苦労している。そこで、企業の使っていない物件を我々が借り、制作スペースを提供しつつ、定期的にスタジオビジットやトークイベントを開催することができる場所です。単なる場所の提供でなく。アーティストと地域の方々が出会い、相互に「気づき」を得られるような場所を目指せるといいなと。
■今後、The Chain Museumの代表として、アートという文脈の中で、どの様に社会と関わっていきたいとお考えですか?
自分自身、ビジネスマンとアートコレクター、そしてアーティストという複数の立場があるので、「アート」と「ビジネス」の橋渡し役を担えたらと思っています。
アーティストとビジネス、さらにはテクノロジー、サイエンスが絡んでくると、さらに高い次元のものができるはずです。我々が作るシステムによって、アーティストが新しい表現や発想を生み出せたら、アートとビジネスはもっとコラボレーションできるのではないかと思っています。
その新しい発想や体験こそが、アートとビジネスの掛け合わせの面白さであり、私がThe Chain Museumの事業を行う上でも大事にしていることそのものです。
参考記事
The Chain Museumと遠山正道について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▼会社設立時のインタビュー
▼アート×ビジネスの魅力について語るインタビュー
▼遠山正道× アーティスト 対談
▼動画でみる、遠山正道×アートイベント主催者 対談
▼遠山正道による、現代アートの楽しみ方のススメ
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