吉田 慎一(よしだ しんいち)/エンジニア、PM、スクラムマスター
大学卒業後、Slerへ新卒入社。約10年間、様々な業界へ出向しバックエンドエンジニアとして携わる。特に日本最大級のインターネットショッピングのECサイト開発において活動し、商品登録・検索に関連するバックエンドシステムの開発、Webアプリケーション開発に携わる。2016年にSun*へ入社し、現在エンジニア、PM、スクラムマスターとして活躍。
目次:
- Sler時代に感じた、アジャイルの可能性と心地良さ
- ベトナムの圧倒的なリソースと、日本の機動力
- 「ユーザー」を主語にした新規事業推進を
- アジャイルプラクティスで見つける、自分達の開発スタイル
- 失敗の中で見えた、ベトナムとのコラボレーション
Sler時代に感じた、アジャイルの可能性と心地良さ
私が社会人をスタート頃は、まだそれほど日本ではアジャイル開発が普及していませんでした。新卒でSlerに入社してからエンジニアとして様々な業界を経験しましたが、アジャイル開発を取り入れている企業はそう多くありませんでした。Sler時代に主に活動した、大規模なインターネットショッピングモールを展開する企業での開発経験が、アジャイル、スクラムに関心を持ったきっかけです。自分が当時担当していたプロダクトは、スピード感を持ってユーザーのニーズをキャッチアップし改善し続けなければいけませんでした。その中で、臨機応変に自分のチーム内で「とりあえずこれをやってみよう」という感じで、スクラム開発を試せたのが良い経験になりました。仕事を進める上で意思決定スピードが早く、自分達で考えて決めたことを実行でき、小さいチームながら仕事がしやすかったです。
そうしてSlerに入社し10年ほどが過ぎた頃、エンジニアとして活躍できる新天地を探し始めた頃に、Sun*と出会いました。
ベトナムの圧倒的なリソースと、日本の機動力
Sun*はベトナムに巨大な開発拠点を有し、日本とベトナムとでアジャイル開発に取り組んでいるところに興味を持ちました。実際にどうやって開発しているのか気になり、また社員に強いエンジニアが揃っていたのもあって「この人たちと一緒に働いたら純粋に面白そうだな」と思い入社を決めました。
実際に入社してみるとエンジニアとしての仕事だけではなく、ベトナム拠点のBrSEと一緒にプロジェクトを進めるPMとしての役割も担うようになりました。PMの仕事はそれまで経験がなかったのですが、良い経験になると思い、エンジニア兼PMとして様々なプロジェクトに入りました。
「ユーザー」を主語にした新規事業推進を
現在は、スタートアップや大手企業の新規事業立ち上げタイミングのリーン開発等を主に担当しています。まだ何もプロダクトがないゼロベースの状態から「ユーザーにどういうプロダクトを届けるべきか」プロダクトのコンセプトメイキングから関わり、実際に開発するまでをワンストップで支援しています。リーン開発ではまず仮説を立て、ユーザーインタビューをし、小さくプロダクトを作り、ユーザに使ってもらいながら検証を繰り返してスケールさせていきます。
自分にとって新しい事業を0→1でつくるのは初めてで、事業アイデアは出るけどプロダクトの方向性を考えたり、何を作るべきかを決めるのが難しかったです。今まで知らなかったリーン開発、リーンキャンパスの考え方に触れ、日本拠点のメンバー達と試行錯誤しながら一緒に仕事をするのは難しいながらも楽しく、何よりミッションに共感していました。
一方で、日本拠点だけではなく、多種多様な事業・プロダクト作りをするためには、ビジネス・テック・クリエイティブのあらゆる人材が必要です。Sun*はそこを一気通貫ででき、ベトナム拠点にいる1,000人ほどの優秀なメンバー達と一緒にグロースさせることでこそパワーを発揮し、より良いプロダクトが作れるな、と。
アジャイルプラクティスで見つける、自分達の開発スタイル
プロジェクトを進める上で、同じ考え方やマインドを持ち、アジャイルプラクティスで自分達の開発スタイルを見つけていくことが重要です。自分自身そこに課題意識を持っていて、そのミッションに挑戦したいと思っていました。そんな時、日本とベトナムの30人ほど関わるプロジェクトにスクラムマスターとして参加する機会がありました。2021年4月にリリースした日産カーレンタル初となるアプリ開発のプロジェクトです。初めてのスクラムマスター挑戦ということもあり失敗だらけでしたが、この経験で得られた手応えは大きかったです。
アジャイルでは「コラボレーション」が大事なので、まずはこうした取り組みを通じて「日本とベトナムで一緒に仕事をする」という一体感を高め、ベースの部分を大切にしました。自分は「ユーザーに何を届けるのか」をメンバー一人一人が自分で考えて進められるチームが強いと思っているので、スクラムマスターとしてプラクティスや考え方の示唆は与えるけど、チームの意思決定には関わらないように意識していました。
失敗の中で見えた、ベトナムとのコラボレーション
プロジェクトが始動する前にあらかじめ決めていたゴールは、「日本とベトナムがコラボレーションすること」、「ユーザーに価値あるものを提供する」でした。これらはアジャイルをする上で大事な観点ですが、いざプロジェクトが始まると上手くいかないことだらけで。
「ユーザーに価値あるものを提供する」が特に難しかったとな、と。1つ目は、日本の文化やサービスがベトナムにはないことです。そのため、マーケット・KGI・KPI・ペルソナ・ターゲットを時間をかけて説明しました。その結果がアプリケーション修正内容の提案やテストシナリオの作成時に表れてきました。2つ目は、基幹システム側の開発がウォーターフォールであったため、小さく作ってユーザー検証を繰り返すようなプロセスを試せなかったことです。この点においてはユーザー検証プロセスはプロトタイプのみで行い、開発としては一気に全てを開発しました。基幹システムのウォーターフォール型開発とSunのアジャイル開発を同時に進めることは非常に難しかったですが、Sun*ベトナムチームの柔軟な対応と提案によりなんとか乗り越えられました。
一方で、このプロジェクトを通じて「日本とベトナムがコラボレーションする」というゴールについては、確かな手応えを得ました。当初個人的に課題を感じていたのが「ベトナム拠点内でのコミュニケーションの少なさ」です。ベトナムではバックエンド、iOS、Androidなどチームが細かく存在し、役割がはっきり別れていることもあったのですが、良いものを早くよく作れるチームは、他のプラットフォームのことも考えつつ、お互い話し合いながら作れるチームではないかと思い、それも含めて改善に取り組みました。
今後は、エンジニアとして技術を極めるだけではなく、スクラムマスターや全社にアジャイルを促進していくポジションでやっていきたい。そのためには多くの経験が必要なので、ベトナムのメンバーと一緒に経験し、世の中に価値あるサービスを作り続けていきたいです。