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ビジネスが嫌いだった自分が起業して、業界No1を目指す理由 -スタークス創業ストーリー-

ビジネスが好きじゃなかった

経営者の自伝には「いつも1番でないと気が済まなくて、子供の頃から自分で作ったものを売るくらい商売が好きだった」といった話がよく出てくるかと思います。私もそういう話が出来たら良いのですが、実は全く逆でビジネスが好きではありませんでした。

消防士と看護師だった両親の姿を見ていて子供ながら「仕事とは困っている人を助けること」だと思っていました。そんな子供だったので「お金を稼ぐために競争したり、成功のために誰かを踏み台にするような仕事」には嫌悪感を抱いていたかもしれません。

高校生や大学生の頃のアルバイトでは誰の役に立っているのかも分からないルーチンワークが退屈で、ひたすら我慢していました。「仕事とは我慢の対価にお金をもらうもの」そんな風に考えてしまっていたと思います。

でも、こうした「ビジネス」や「仕事」に対する考えは、大学時代に注目を集めていたサイバーエージェント、楽天、ライブドアといったベンチャー企業に触れたことで一変します。

大企業ではなく、新しい会社で若い人達が情熱を持って「世の中に大きな影響を与えるような仕事」に取り組んでいる姿は、それまでの「仕事」のイメージとは全然違いました。これがきっかけになり、ベンチャー企業に興味を持つようになりました。

ベンチャー企業で体感したビジネスの面白さ

大学卒業後、当時社員20人の広告代理業のベンチャー企業に入社しました。入社後、新規事業として立ち上げたインターネット広告事業部に配属されました。インターネット広告は市場成長期で、多くの競合が市場に参入してきており、差別化が難しい状況だったので、新卒で経験もない自分は営業で成果を出せずに行き詰まってしまったんです。もしも大企業であれば同じような状況で新卒の自分が出来ることはかなり限られていたと思います。でも、ベンチャーには自分で新しい商品を創るチャンスがありました。

どうにかして競合他社にはない価値を顧客に提供しようと思い、当時広告枠としての扱いがなかったニッチなメディアを集めて今でいうアドネットワークのような商品を自分で創ったんです。結果的にこの新しい広告は高い成果を上げ、顧客から高く評価され、セールスも好調、最終的には既存商材よりも高い利益を出せるまでになりました。

競合他社との競争ではなく、新しい商品が生み出す独自の価値で顧客に喜んでもらい、自社も多くの利益を得る事ができたこの時の経験が転機になり「自分の創意工夫次第で、顧客に喜んでもらえて多くの利益を出せて面白い!」とビジネスに次第にハマっていきました。

その後、営業で訪問したとある老舗の通販企業(今でいうサブスク型のD2C企業)との出会いが、自分のビジネスに対する考えの変化を決定的に変えました。その会社は地方都市に本社がありながら、業界トップクラスの売上を上げており、地元に大きな雇用や納税を生むだけでなく、素晴らしい商品を提供して購入者から手紙が届くほど感謝されていました。働く人からも「誇りとやりがいを持って仕事をしている」ということがしっかり伝わってきましたね。

売り手良し、買い手良し、世間良しといった三方良しなビジネスというものが綺麗事なんかではなく、実際に実現できているのを目の当たりにしてすごく興奮したのを覚えてます。その時、「ビジネスとは関わる人すべてを幸せにする仕組みなんだ!」と直感的に確信したんです。

こうして、子供の頃はビジネスが嫌いだった自分が、次第に「ビジネスは面白い」「良いビジネスが増えれば、世の中はもっと良くなる」と考えるようになり、そんな想いを実現するために「仲間を集めていつか会社を創ろう」と決意します。

そして2011年3月11日、東日本大震災が発生し大きく人生が動きだします。

起業、そして業界No1へ

             被災から1週間後の三陸海岸(2011年3月18日)

東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにして、誰もが限られた時間を生きているという事実を改めて突きつけられたことが、起業を決断する大きな転機になりました。

起業準備中に、ソフトバンクの孫正義社長が当時の自分と同じ28歳の時に行った講演の録音を聞いて、孫さんが成長するベンチャーの条件は「成長市場」✕「まずはニッチトップでいいからシェアNo1を取る」✕「社長が情熱が持てる事」これしかないと言い切っていて、その話が非常にしっくりきて、その言葉を参考に創業時の事業を始めようと考え、市場や自分の考えを整理していきました。

当時からEC・D2C市場が伸びることは確信していましたが、中でもまだNo1プレイヤーのいない「EC・D2C ✕ サブスクリプション(定期販売)」というニッチ市場に絞り込み、自分が情熱を持っていた「関わる人を幸せにするビジネス」を創ろうと決意します。こうして東日本大震災から1年半後、スタークスを創業し、「EC・D2C ✕ サブスクリプション市場向けクラウドサービスの販売代理店」としてスタートを切ることになります。

市場の成長にも後押しされ、創業からの5年間は順調に成長を続け、スタークスはEC・D2C業界で取引社数1,000社、取引シェアNo.1にまで成長できました。さらには販売代理店を担っていたサービスの運営会社の上場にも大きく貢献し、自社で事業開発した物流事業者とEC事業者をマッチングするサービス「クラウドロジ」もサービスローンチから3年で年間流通額500億円の規模にまで急成長します。

しかし順風満帆に見えた成長は長くは続きませんでした。「関わる人を幸せにするビジネス」を創るためにスタークスを起業したにも関わらず、いつの間にか「誰かの不幸せの上に成り立つビジネス」をしてしまっていた、そのことに後になって気がつきます。

経営危機を経て、立ち返った原点

2018年、EC業界全体を揺るがす出来事が起きます。市場の成長に伴って増え続ける配送物に業界全体が対応し切れないことが明るみになったのです。スタークスも大きな取引をしていた提携物流会社から「もうこれ以上スタークスと仕事が出来ない」と取引停止を告げられました。物流サービスの成長を見込んで投資をしていた事もあり、想定していた売上が突然失われ「倒産」の二文字が頭を過りました。

もちろん以前から物流業界で配送網の強化や人材不足の解消が大きな課題になっていることは知ってはいました。でも結局はスタークスとして物流会社が抱える課題に向き合わず、顧客の成長や自社の成功だけを考えて事業を拡大してしまっていたんです。

さらに悪いことは続き、その1年後には新型コロナウイルスという世界的な危機が経営を直撃します。困難が続く中で、度々立ち返ったのが創業の原点である「関わる人を幸せにするビジネス」を創りたいという想いでした。

原点に立ち返り、物流サービスのクラウドロジは、顧客、パートナー、自社がともに成功できるビジネスモデルに再構築したことで、業績は回復を遂げます。さらにコロナ禍に伴うEC市場の急成長によって生じていた「顧客対応のDX化、コールセンターの人手不足」という課題を解消すべくリリースした新規事業「リピートライン」も順調に成長をしていきました。

コロナ禍という苦しい状況でも自社のことだけを考えるのではなく、顧客、パートナー、社員、全員にとって良いビジネスを粘り強く創れたことで、感謝され、信頼を得ることができたんだと思います。

度重なる経営危機を乗り越え、スタークスは再び急成長の軌道へと戻ることができました。一時は気持ちがバラバラになりかけたメンバー達が、改めて気持ちを一つにして再起できたのは「関わる人を幸せにする」というスタークスの原点に立ち返れたからだと思っています。

「関わる人を幸せにする」ビジネスが好きだ

度重なる経営危機の中で、苦しく不安な時間が長く続きました。過去に物流業界が苦しみ、そして今度は自分たちが苦しんだように、常に誰かを不幸にして成り立つようなビジネスを終わらせるには一体どうしたらいいのか、そう考え続けました。「誰のせいでこうなったのか?」「誰を恨めばいいのか?」と思い詰め、ビジネスが嫌いになりかけた瞬間もあったくらいです。

そして悩み抜いて行き着いた答えこそ「関わる人を幸せにするビジネス」というスタークス創業の原点でした。顧客、社会、社員…関わる人を幸せにできる三方良しのビジネスを創ることでしか、誰かを不幸にして成り立つようなビジネスを終わらせることはできない。そして、三方良しのビジネスでなければ、変化の激しい時代において持続的な成長は実現できないのだと分かりました。

もちろんEC市場をとりまく課題はまだまだ解決していません。それどころか2030年には50兆円規模へと成長を続ける日本のEC市場は、一層の少子高齢化や労働人口の減少の影響で誰かに負担や不都合を押し付けざるを得ないような課題は増え続けています。課題の数だけ、そして課題の大きさだけ「関わる人を幸せにするビジネス」を創る成長機会があるはずです。

「売上」は誰かから搾取した結果だと思っていたぐらい「ビジネスが嫌い」な子供だった私は、起業、そして幾度の経営危機を経て、今改めて「関わる人を幸せにするビジネスが好き」だと心から思えるようになりました。人々の生活は様々なビジネスで成り立っています。売上は搾取の結果なのではなく、そうしたビジネスをアイデアやテクノロジーで革新し、関わる人を幸せにできた結果なのだと思います。

これからもスタークスはより多くの「関わる人を幸せにするビジネス」を創り続け、社会にとって必要不可欠な存在になれるように成長を目指していきます。

「自分も関わる人を幸せにするビジネスを創りたい」そう思ってくださった方とお会いできることを楽しみにしています。


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