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ミニ連載A第4回:なぜデジタルアーカイブの会社が「まちづくり」人材の育成? 〜"まちづくりの誠勝"が目指す未来〜

こんにちは。社長室室長・上級デジタルアーキビストの寳德真大(ほうとく まさひろ)です。

ここまで私の拙いミニ連載にお付き合いいただいた方、感謝申し上げます。今回は私たちが、なぜ、まちづくり人材の育成に取り組むのか、そのミニ連載の最終第4回目となります。

連載記事【なぜデジタルアーカイブの会社が「まちづくり」人材の育成?】
1:問題提起
2:博物館法改正
3:サステナビリティ"という経営課題をどう考えるか
4:まちづくりの誠勝"が目指す未来←← 今回はココ!


これまでの投稿の要約は以下です。

今回の記事では、総まとめとして 「まちづくりの誠勝」が目指す未来に”ついてお話していきます。


【目次】
このままだとデジタルアーカイブが、どんどん世の中から消えてしまう
200年後の世界へ向けて
"文化を継承するアメーバ"を創る。

-- このままだとデジタルアーカイブが、どんどん世の中から消えてしまう

本連載第1回目でも書いた通り、これが私たちが「まちづくりの誠勝」に取り組む出発点となった問題意識です。

増えれば増えるほど維持管理の費用がかかってしまう貴重書や文化財。だから利活用〜新しい価値を創出するためにデジタルアーカイブ化することに意義があったはず。

しかし、そのデジタルアーカイブですら「利活用のロールモデル」が社会的に不足しているーーこの状況が続けば、後世に継承するべき貴重書や文化財が、どんどん世の中から消えてしまいます。

私たちは「貴重書や文化財に関わる職業を目指す学生」「企業のサステナビリティ活動」という点に絞って、大学・高等教育機関や企業・団体が持つ貴重な史資料(貴重書や文化財)を、地域や社会の課題解決に活かす事業をスタートさせました。繰り返しになりますが、これが「まちづくりの誠勝」サービスです。

ただし私たちは、「まちづくりの誠勝」サービスを軌道に載せることが最終ゴールだとは思っていません。言わずもがな、それだけでは文化の継承が保証されたとは到底言えないからです。

-- 200年後の世界へ向けて

最近「DAO(自律分散型組織)」という言葉をよく耳にすると思います。その意味の表現の仕方は様々ですが、一つの共通の価値観のもと、中央管理者や統率者を設けずに、自律した人々がそれぞれ、価値観のコミュニティを運営する上で何が必要かを自律して考えた上で、意思決定・協調・行動してプロジェクト等を実現していく理想的な組織です。

最近の例で近い概念があるとすれば、2019年のラグビーワールドカップ時に「Same Page」という言葉。とある場面で、自チームの他の選手が何を考えているか「阿吽の呼吸」でわかるという、ある意味DAOととても近い概念ではないでしょうか。

しかしこの「DAO(自律分散型組織)」には一つ欠点があります。「価値観が違うDAO同士が対立・分断するリスク」です。

本来価値観の違う者同士が、意見の相違を認めつつ議論することで、新たな価値観が生まれ、発展していくことが理想です。一つの価値観だけだと、いずれ陳腐化するリスクもあります。

しかし、日本・世界の政治でも保守・革新の支持層同士で起こっているように、残念ながら今、価値観が違うコミュニティ同士で起こっていることは、「自律・協調」よりも「対立・分断」が目立ちます。

価値観と志を同じくする人が自らコミュニティの発展を考えて、自律・協調・行動することは素晴らしいことですが、数多の価値観同士の衝突が先鋭化するリスクも抱えているのではないでしょうか。

「DAO(自律分散型組織)」の良さを生かしつつ、異なる価値観が交わり合って、新たな価値観が発展していくための鍵ーーその鍵こそ、「歴史」にあると私たちは考えています。

どんな国や地域でも、大学でも、企業でも、その歴史の中に何らかの「対立・分断」はあったでしょう。そしてそれを乗り越えてきたからこそ、今も存在して活動できているはずです。

そして、どんなに中央集権的な組織であっても、ワンマンな組織では生き残れません。ほぼ必ずといって良いほど、組織の対立危機の歴史の中に「自律した行動」が存在するはずです。

そうした歴史の知恵を、DAOが学んで実行することこそが、「対立・分断」を未然に防ぎ、異なる価値観同士の健全な対話と議論を促すのではないでしょうか。

これは一朝一夕では成し得ないでしょう。DAO(自律分散型組織)が歴史を必要とするまで、200年はかかるかもしれません。

しかし、その200年後に必要とされる歴史を確実に後世に伝承すること、そしてそのために貴重書や文化財の利活用とそのための環境・デジタルアーカイブ化を整えていくことは、今から取り組んでおかないといけません。

そしてそれこそが、「まちづくりの誠勝」の先にある、私たちの使命だと考えています。

-- "文化を継承するアメーバ"を創る。

これが私たちのミッションであり、最終ゴールです。

“文化を継承するアメーバ”とは、誰かに依存することなく、自分たちで自律して文化を継承する人であり、仕組みであり、社会であります。

誰に言われるともなく、皆が文化を継承することの意義と有用性を感じ、自然と文化が後世に継承されていく社会ーーそんな社会を目指して行動することが、私たちの念い(おもい)です。

「まちづくりの誠勝」はそのための一つのマイルストーン・踏み台にすぎません。そしてしっかりと「踏み台」としての役割を果たせるよう、私たちは日々邁進しているところです。

本連載第1回目でも書きましたが、今私たちはこんな疑問をお客様から頂いています。

「貴重な資料を保存する大切さはとてもわかる。でもそれは何の役に立つの?」

もし“文化を継承するアメーバ”が創られれば、こうした疑問は「発展的に解消」していくことでしょう。そして“文化を継承するアメーバ”はこの先200年、対立と分断ではなく、対話と議論を促す役割を果たすはずです。

私たちのこのような念いに共感し、力強く行動していただける方を巻き込んでいき、必ずこのような未来を達成したいと考えています。

今後の事業拡大に伴い、IT分野から学芸員・司書分野まで幅広い人材を随時募集していく予定です。少しでもご関心のある方は是非フォローしていただければ幸いです。私たちと共に歩んでいただける方を、心よりお待ちしております。


連載記事【なぜデジタルアーカイブの会社が「まちづくり」人材の育成?】
1:問題提起
2:博物館法改正
3:サステナビリティ"という経営課題をどう考えるか
4:まちづくりの誠勝"が目指す未来←← 今回はココ!
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