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越境ECで日本の伝統工芸を世界へ!作り手を元気にする海外Webマーケティングのいろは【スペシャル対談】

こんにちは、世界へボカン株式会社 採用担当です!

4月18日に当社代表・徳田初の書籍となるはじめての越境EC・海外Webマーケティング(WAVE出版)が発売し、その記念としてYouTubeにてトークイベントをお届けいたしました。今回は、その配信でお話した内容を対談記事形式にてお届けします。

また、以下よりアーカイブ動画の視聴も可能ですので、ぜひチェックしてみてくださいね!

<出演者>
●河野 貴伸様:ブランドの立ち上げから実装、ブランドビジネスの自走までを支援するトータルブランディングパートナー・株式会社フラクタ代表。

●徳田 祐希:世界へボカン株式会社代表

河野 貴伸様(以下:河野さん):みなさん、こんにちは!本日はゲストに世界へボカン株式会社の徳田さんをお呼びしています。徳田さんはこのたび書籍を出版されたということで、今回はその発売記念イベントという形で色々を話を聞いていけたらと思います。まずは簡単に書籍の紹介をお願いします。

徳田:このたび、「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」というタイトルで書籍を発売しました。
初めて越境ECに取り組むという方が最近増えてきている中、なかなか上手くいかないという方や、お客様から「越境ECってどうなんですかね」と聞かれる代理店さんなどに手に取っていただきたいというイメージで執筆しています。越境ECにおいてどういうことを押さえなきゃいけないのかが網羅的に理解できて、マーケティング担当者がお客様に基本のポイントを説明できるようになれる本だと自負しています。

越境ECで困っている人の助けになりたい。執筆のきっかけ

河野さん:世界へボカンの徳田さんといえば、僕の中ではYouTubeで様々な動画をアップされている印象が強いんですよ。普段動画という非常に分かりやすい媒体で発信している中、どちらかというと長く使っていただく書籍を書いてみようと思ったきっかけは何だったんですか?

徳田:そうですね、2つほどきっかけがあります。

1つは先程の話にも繋がるのですが、越境ECを担当されている方って苦労されている方が多くて。やらなきゃいけない事がたくさんあるけど、全体像が見えていない中で模索しながらやっていくというか。国内EC担当と越境EC担当を兼務するケースも多いので、越境ECを任されると通常のEC業務にも負荷がかかってしまったりするんですよ。実際にそういう方から深夜にメールの返信が届くこともあったりして……そんなケースが1つでも減るといいなと思っていたんです。必要な業務の全体像がちゃんと見えて、今やろうとしていることが現実的なのか無茶なのか判断ができるように、正しい情報をお伝えしたいなという気持ちで書かせていただきました。


2つ目は、実は河野さんに関連があるんですよ。仕事で地方に出向くことが多い中、ある包丁屋さんを訪問した時の話です。僕が入店した時にちょうど海外のお客さんの応対中だったので、僕はバックオフィスのような場所で待つことになったんですが、そこに河野さんも共同著者である「Shopify運用大全」が置いてあって。その時「本ってこうやって困ってる人の手に届いて、役に立つものなんだ」とすごく感動して、ここに並びたいなと思ったんです。YouTubeでの発信だけではリーチできない人たちもいるので……例えば「君は今日から越境EC担当ね」と上司に言われて、あわてて書店に行った時に見つけてくださるとか。もちろんそこからYouTubeに来ていただくというルートもあるでしょうし。越境ECで困っている人に対して、ちょっとでも明日会社に行くのが楽しみになるような力添えができたらなと思っています。

河野さん:素晴らしいですね!そう言っていただけると僕も「Shopify運用大全」に関わらせていただいた身としてはすごく嬉しいです。たしかに、インターネット上のコンテンツって検索で見つけやすいというメリットはありますが、後で見直したい時にサッといかなかったりしますもんね。

越境ECで押さえるべき4つのポイント

徳田:この本では、越境ECにおいて押さえておくべきポイントを大きく4つに分けて解説しています。

ポイントその1:越境ECにおけるリサーチの重要性

徳田:まずは【海外の市場に参入するときの調査、戦略立案】についてです。どのように調査をしてそこの市場性を見るのか、ボカンで僕らが普段やっている手法を全部公開させていただきました。例えば(Shopify推奨のやり方ではないですが)ベンチマークしているShopifyのサイトで月初と月末に購入すると、月何個売れているかが把握でき、月の売上目安が分かります。さらにどういうチャネルからの集客をしていて、どのくらい売り上げているかとかというのをコンバージョンレートから見たら、だいたいどういうサイトなのか理解できます。そこから「この市場って独自ドメインで勝負して良いんだっけ?」「Amazonもやらなきゃいけないんだっけ?」ということを考えていきます。

リサーチすることによってどこにいくら投下すべきかということが如実に見えるので、例えば「年商1億目指す」という目標が現実的なのかも判断できるようになります。その市場のトップランナー的なサイトが月1000万売っているならあり得ますが、そこが月50万しか売っていなかったら無理な話になってきますよね。
市場性を確認するのはもちろん、本当に越境ECが現実的なチャレンジなのかどうかということを判断するのにも使えるやり方です。そういう、ちょっとした裏の手法もいっぱい載せています。

※参考コラム: https://www.s-bokan.com/blog/post-25055/

河野さん:まずは市場を調査するというか、手応えを見ることはとても重要ですよね。

ポイントその2:越境ECサイト制作の作法

徳田:そして海外市場調査をした次に来るのが【越境ECサイトの制作】です。僕らはShopifyでやらせていただいていますが、物流・言語・カレンシーなど細かいポイントがたくさんあります。日本語サイトをベースに作るのか、英語サイトを独自に作るのか、URLを同一にするのか、サブディレクトリでやるのか。LangShop、Langifyが良いのか、Weglotが良いのか……など、色々な可能性がある訳ですよね。その中で「僕たちはこういう風にやっていますよ」というところや「これだけはやっちゃダメですよ」というポイントをお伝えしています。

河野さん:色んなサブドメインでやる方法もあれば、スラッシュでJAとかENみたいに言語を分けるというパターンもあるでしょうし、完全に別サイトのパターンもありますもんね。

徳田:実は同一URLで言語を出し分けるパターンが結構多いんですが、その構造だと日本語のコンテンツはインデックスされる(検索結果に表示される)んですけど、海外のコンテンツはインデックスされないんです。するとPPC(PayPerClick)広告でも受け皿がよくわからなくなってしまいますし、SEO(検索エンジン最適化)についてもインデックスされていないと意味がないんですよね。「Webサイトを作ったんだけど、全然海外からの流入が来ない」というご相談をいただいてサイトを確認するとこの言語切り替えが問題だった、というケースがだいたい年間10件くらいあります。
サブドメインとサブディレクトリのどちらかが良いのかということは検討が必要になりますが、まず同一URLは絶対ダメです。アクセス解析のしやすさという観点で、僕はサブドメインの方が良いかなと思っているんですが、それは人の好みやサイトの仕様によって変わってきますね。

河野さん:なるほど、そういった越境ECサイト構築の作法が2つ目のポイントとして書かれているんですね。

ポイントその3:製造業の海外Webマーケティング

徳田:次は【海外Webマーケティング】です。ここでは「そもそもお客さんってどんな人なのか」ということやマーケティングの基本となるフレームワークなどを一つひとつ整理して解説しています。

例えば僕たちがよく使っている「価値を定義するマトリクス」というフレームワークがありますが、これは自分たちのプロダクトは認知があるのかないのか、情緒的な価値があるのか機能的な価値があるのかといった基準で商品の価値を分類する考え方です。認知があって、他社で取り扱っていないものなら売れる可能性は高いですが、他社でも扱っているものなら自分たちの商品独自の“売れる理由”を作らなくてはいけません。

※参考コラム: https://www.s-bokan.com/blog/post-19183/

徳田:また、「海外向けと国内向けマーケティングは全然違う」と理解して取り組むことの重要性についてもお伝えしています。
日本でバンバン売れていて、月1000件のコンバージョンが発生しているようなサイトでも、海外向けに全く同じコンテンツを出すと月3件というケースもあります。

「日本でできていることを海外でも実現する」ことと、既存のサイトや施策をそのままコピーするということは全然違う話じゃないですか。海外にも実店舗を持つとか、海外のインフルエンサーをつけるとか、現地のニーズにマッチした商品を開発するとか……それまで日本向けにローカライズしていることを海外向けにもローカライズしていかないといけないんですよね。そういったことをやり切らずに「売れない」と嘆くのは、何もやっていないのと一緒だと。

河野さん:徳田さんからの厳しいお言葉が書いてあるってことですね。(笑)

徳田:厳しい言葉が書いてあります、はい。(笑)

河野さん:でも本当にその通りですよね。越境ECって、実は「簡単に売れるでしょ」と思われることも結構多いのかなと思うので、そうじゃないとしっかり伝えるのは重要ですよね。

徳田:そうですね、参入してくださる方が増えたら良いなとは思っていますが、きちんと難しさや大変さも理解したうえで参入していただきたいなと。Shopifyもどんどん普及していって、他にも海外対応ができる選択肢が増えてきています。ですが「できる」ことと「成果を出せる」ことは違うので……どうせだったらお客様と長くお付き合いできるように、成果を出せるところまで持っていっていただきたいなと思っています。

河野さん:変に誤解をして「たくさんお金かけたけど全然売れない」となってしまうよりは、大変だけど地道にやるべきことを積み上げて売上が上がったほうが、商売としては絶対良いですもんね。

ポイントその4:海外進出における税金・契約の落とし穴

徳田:4つ目のパートでは、【海外進出に伴う関税や契約】について知っておくべきポイントを、国際弁護士や国際税理士などの専門家にもご協力いただきながら解説しています。

河野さん:ぜひ聞いてみたいなと思っていたことがあるんですけど、例えば商標とかって、日本国内でECを始める時には考えない人のほうが多いような気がするんですけど、やっぱりそういう点も含めて全部のポイントを押さえていったほうがいいんでしょうか?

徳田:そうですね、商標も気をつけたほうが良いです。もちろんどこまでやるかというのは際限がないので、自分達なりに納得感があるところに着地すると思うんですけど。

以前あったケースですが、BtoB取引を開始したお客様が、ある国に対してその商品を卸して……はじめはすごく順調に売れて喜んでいたら、あるときにパタリと売上が止まったんです。「おかしい、どうしたんだろう」と確認したら、卸した会社がまったく同じものを作って売っていたんですよ。残念ながらそんなことも起こりうるので、自分たちのビジネスを続けるためにはもちろん、作り手の雇用を守るという観点でも商標や契約はとても大切ですね。

河野さん:なるほど。日本にいるとあまり聞かない話ですけど、文化の違いもありますし、越境ECならではの事件というのもあるんですね。

徳田:はい。少し極端な話ですが、展示会などに来るバイヤーたちは真似しに来ているとも言われています。良さそうな商品は仕入れてテストマーケティングして、売れたら自分たちで作って……みたいなハイエナのような人たちも実際います。
商標について相談している弁護士の先生も本当にいろんなケースを見てきたそうで、「海外は甘くない」という話をよくされていました。安易に契約書にハンコを押したらものすごく不利な契約になってしまっていたとか……基本的にイーブンな契約というのは存在しなくて、それが6:4なのか7:3なのかは分かりませんが、どちらかが有利な契約になっているものだと忠告されましたね。

河野さん:そういうところひとつ取っても、全然日本国内のECと越境ECって違うんだなと感じますね。

徳田:関税に関しては、本で書く内容と対面でアドバイスする場合にお伝えすることが多少違ってくる可能性があります。関税はかかる場合とかからない場合があったりして、伝え方が少し難しいんですよ。専門家の方に書いていただいている部分に関しては、「最悪のケースだとこうなるので、こう対策してください」という厳密な解説をしていただいています。

消費税還付については、税理士さんに書いていただいています。実際海外に売った時に一部の消費税が戻ってくるというルールがあるんですが、知らないとお金を捨てていることになってしまうので、これも知っておいたほうが良いポイントですね。

河野さん:税金や契約のことって、何も知らずに始めちゃったりすると本当に怖い部分ですよね。
言ってしまえば、越境ECってやろうと思えばできちゃうじゃないですか。でも実際には落とし穴がいっぱいあって、そこに落ちてしまったら「もう越境ECなんてやるもんか」となってしまうし。この本は、その落とし穴に落ちないようにしてくれるという認識で合っていますか?

徳田:転ばぬ先の杖です。

河野さん:転ばぬ先のボカンですね。

徳田:……それ僕今言おうとしたんですけど、意味がわかんないなと思って言いませんでした。(笑)

河野さん:確かに、僕も言っててよくわかんなかったですね。(笑)

伝統工芸の未来も救う、越境ECの可能性

河野さん:お話を伺っていて、改めて越境ECに取り組む企業さんがどんどん増えていったらいいなと思います。日本では国内向けだけに売っていてもある程度やっていけちゃうという前提がありますけど、先々のことを考えていくと海外にも売っていくべきという現実もあるのかなと。この本をきっかけにチャレンジしてくださる方が増えたら良いですし、僕自身ももっともっと勉強したいなと感じましたね。

徳田:海外の方にとっては、日本の商品って今「安い」と認識されているんですよ。
そこから少し話を広げると、日本の伝統工芸の職人さんって……簡単に言ってしまうとそんなに待遇が良くなくて。伝統工芸品が国内で売れていないというのもありますが、職人さんが1日に作れる個数のことを考えると、例えば上代が1万5000円で1日1個しか作れなかったらその職人さんに支払われる金額って7500円とかもっと少なくなりますよね。すると20営業日働いたとしてもお給料は15万円くらいなんです。上代が頭打ちになってしまっていると、いつまでも職人さんの待遇が改善されない。すると職人を続けられなくなってしまう人が出てきたり、後世に継いでいくことが難しくなってきたりしてしまう。せっかく越境ECで調子があがってきたのに、作り手がいなくて困っているところもたくさんあるんですよ。

そのときに問題が2つあって、1つは作り手の育成、もう1つは今売れているとしても「これって値上げしても売れるのかな」という不安から値上げができないという点があります。でも独自ドメインのECを通してしっかりと価値を伝えていき、それに伴って単価も上げていくということに取り組めば、職人さんの待遇も改善されていくはずなんです。そして職人が生き生きと働ける仕組みができれば、「職人っていいな」と思う若者が増えるという好循環につながっていく。燕三条や岩手、高知などでそういうことを実現しようと職人さんをまとめている企業さんがあったりして、僕たちも応援させていただいています。

越境ECをやることによって海外の方に日本の商品の価値を伝え、より職人が存分に腕をふるえるような金額で売っていく。それができると日本国内がもっと潤っていくんじゃないでしょうか。今ちょうど海外の人が「日本の商品は安い」と思ってくれている段階なので、お互いWIN-WINの関係を築けるタイミングでもあるのかなと思います。

河野さん:日本ってすごく良いものがすごく安く手に入る国だと思うんですよ。食べ物ももちろんそうですし、例えば日本酒とかもよく例にあがりますよね。日本酒って世界的にすごく需要はあるのに、1本200万300万と値段がつくようなワインとは違って、ほぼ値段が一定じゃないですか。

徳田:高級なものでも、1万円以下のものが多いですよね。

河野さん:そのことについて以前、日本酒のメーカーさんや酒蔵さんに聞いてみたことがあるんですけど、やはり地元の人たちに消費していただくことを想定して「そんな値段で売ったら裏切ることになる」と回答される方が多かったんですよね。身の回りのお客様や支えてくれる方を大切に思っていらっしゃることは素晴らしいと思うんですけど、一方でビジネスの持続性を失ってしまうくらい安いことはどこかで認めなきゃいけないというか……「自分たちの作っているものはもっと価値のあるものだ」と示していく必要があると思いますね。

ブランディングはビジネスの持続性にも影響する

徳田:“ビジネスの持続性”という言葉が本当にまさにそうで、「地元の方の手に取りやすい価格で良いんだ」と思っていても、持続できなかったらそれすらできなくなってしまう訳ですからね。

あと職人さんの話に戻ると、南部鉄器の製造メーカーさんで、これまで何十年も卸だけでやってきたところが最近越境ECサイトを立ち上げたというケースがあって。やってみて気づいたそうなんですけど、DtoCをやっていないとお客様の気持ちが分からなくなって、どんどんユーザー目線の感覚が鈍っていたんですよね。ですが越境ECを始めたらお客様の生の声がダイレクトに届くようになって、「自分達の商品が本当に海外のお客様に届いて、喜んでいただけているんだ」というのを肌で感じられるようになり、結果職人さんたちが元気になったそうなんです。プロダクトアウト的な形で作ったものがマーケットからのフィードバックを得て、マーケットにちゃんとアジャストしていくみたいなところってDtoCの醍醐味のひとつなのかなと思います。

また海外では形だけ南部鉄器に似たものが半額程度で売られていて、どちらの商品がより優れているのかという情報もないため、自分達の商品がなかなか売れないという問題もあったそうです。そこで品物の背景にあるストーリーや南部鉄器の歴史、職人の顔や製作風景、こだわり、鉄器の仕組みなどをサイトに掲載するようにしたんです。かっこいい写真も撮ったりして……そうして“モノ×コト”での販売を始めたら「本物が欲しい」という方が買ってくれるようになって売上が上がったという嬉しい流れになったんですよね。そういう本物が欲しい人に、じゃあ“本物”ってどういうことなのか?ということを伝えていくことも大切です。

河野さん:そうですよね。日本ってものづくりは得意だけどマーケティングやブランディングは苦手だからものが売れないという文脈もあると思うんですけど……僕はまずものづくりがあって、その上にマーケティングやブランディングが乗っかると思ってるんですよ。ものが良くないのにマーケティングやブランディングで売れるってことはやっぱり無いですし。なのでものづくりに真摯に向き合っている人たちには自分の仕事に誇りを持っていただきたいですし、そういう人を応援していきたいと思います。海外のファンがたくさんつくようなブランドや企業が増えていくと、みんなの勇気になっていくでしょうね。

徳田:はい。国内でもタッチポイント(顧客接点)を持つというのはとても重要ですが、海外の人にも直接手に取っていただく機会とか、海外の方の声をダイレクトに聞く機会とかが必要だなと思っていて。河野さんが仰ったように、こだわりのある良いものがあって、その上にブランディングがしっかりと乗っかってくることが本当に大事だと思います。

河野さん:日本の企業やブランドがそういう発信をしきれていないというのは間違いないですよね。3、4年前くらいに、シャンパンとかベネチアングラスのように世界的にファンがいる海外ブランドの調査をしたことがありまして。直接色んな国に行って話を聞いたんですけど、やっぱりみんな上手いんですよね。当然のながらものづくりへのこだわりもあるんですけど、それを実際にお客様に体験してもらってお金を出してもらうまでが非常によく設計されていました。今はコロナでなかなか海外旅行ができなくなっていて、だからこそ日本の商品を手に取って興味を持っていただいて、コロナが落ち着いたらまた日本に観光で来てもらうとか……そこまで考えられると日本の未来にとっても明るいなと思いますね。

徳田:インバウンドが復活してきたり、逆に僕らが渡航できるようになってくるとまたタッチポイントの持ち方なども変わってくるでしょうね。やっぱり空中戦だけだと厳しくて、オフラインでの接点を持つこともすごく大事ですから。

河野さん:そういえば、先程のベネチアングラスのブランドさんからお話を伺った時に「なるほど」と思ったんですけど、海外の方がベネチアに来て買ってくれる商品と地元の人たちが買う商品は違うそうですよ。やっぱり地元ではどちらかというと派手さよりもトラディショナルなものが流行るらしいんですけど、海外の方は「ベネチアングラスといえばこうだ」という彼らなりのイメージを持っているので、そのイメージにあったものを求められるそうです。なのでそこは割り切って、完全に分けてマーケティングしていると。

日本も文化を残す手段の一つとして、海外向けには分かりやすい形で“日本らしさ”を表した商品を売って、国内では昔ながらの手法で作ったものを届ける、というやり方ができたら良いのかなと思います。

徳田:面白いですね。確かに南部鉄器も、シックなものよりちょっとかわいい柄が入っているもののほうが売れたりとかしているので、海外向けに振り切った商品を作るというのはアリだと思います。

ゲームも作っちゃいました!書籍にこめた想い

河野さん:今日のお話を伺って改めて思いましたけど、やっぱり越境ECってすごい可能性を秘めているけど、同時に色んな落とし穴があるから、それらをうまく回避して地道になっていかなきゃいけないんですよね。ただ世間一般の人たちからは、少し両極端な捉え方をされてしまっているなと感じていて。「すごく簡単に売れるんじゃないか」という幻想と「めちゃめちゃ難しくて手が出せない」という考えがどちらも存在しているというか。越境ECをやるうえでの心構えを改めて教えていただけますか?

徳田:売れる過程の途中でやめてしまう方や、全体像が見えないがゆえに優先度が低いことに注力してしまっている方が本当に多いんですが、やるべきことをやって頑張れば売れるようになるんですよ。「なにをやったら良いのか分からない」、「優先順位がわからない」、「アクションができない」という3つの課題があるんですけど、少なくともこの書籍を読んだら「なにをやったら良いのか分からない」というところは解消してもらえたらと思います。

ECサイトを作るだけでは、魚のいない池で釣りをしているのと一緒になってしまいます。そこの市場に顧客はいるのか?その顧客は誰で、どのSNSを使っていて、なぜ今は競合製品を買っているのか?ということ一つひとつをきちんとリサーチしてから取り組むことが重要です。

河野さん:リサーチの重要性ですね。改めてこの本をどういう人に手に取ってもらいたいですか?

徳田:まずは先程も話した、僕が河野さんの本を見かけた包丁屋さんのような方たちですね。自分たちでShopifyを立ち上げて越境ECを始めてみたけど、売れなくて悩んでいる方。そういう人たちの本棚にこの本が置いてあったらめちゃめちゃ嬉しいなと思います。パッと開いて夜な夜な読み進める中で、「そういうことか!」と思える解決策が1個でも見つかったらと。

あとはその支援を行うマーケティング担当者などの方たちにも、お客様に自信をもって「越境ECってこうですよ」と説明できるようになっていただけると嬉しいです。

河野さん:僕個人としても、越境ECってすべてのポイントを網羅することがすごく大変だなと思っていたて、こういうバイブル的な本が欲しかったのですごくオススメです。
これから先、日本では絶対に越境ECが必要不可欠になっていくと思うんですよ。全世界の中でいうと、今までの日本は非常に裕福かつ人口も多く、国内だけの商売で十分やっていけましたが、今後は人口減少や円安によって内需だけでやっていくのは難しくなる。そうなると大変でも越境ECにチャレンジしていかなきゃいけない。

僕らも次は越境のブランディングに取り組んでいくので、僕自身も改めてこの本に書いてあることを全部答えられるようにしたいと思うんですけど……なんとそれに役立つ答え合わせゲームがあるんですよね?

徳田:はい、書籍発売記念にミニミニゲームボカンクエストを作りました!

徳田:世界へボカン株式会社のインターン生になって、越境ECに関する課題を解決していくという設定のゲームで、書籍の知識をもとに作っているので、自分の知識試しとしてぜひプレイしてみてください!
昔なつかしの、ゆるふわドット絵RPG……と思いきや、割と難易度ガチ目のゲームになっております。(笑)

※「ボカンクエスト」プレイはこちらから: https://www.s-bokan.com/news/post-26681/

河野さん:やばいゲームですね!(笑)というわけで、あっという間にお時間になってしまいましたが今日は本当にありがとうございました。ぜひ皆さん、書籍「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」を手に取ってみてくださいね。

徳田:ありがとうございました!

おまけ:視聴者からの質問コーナー

質問1:日本で売れない商品が海外で売れるパターンはあるか?

河野さん:ここで、視聴者の方から質問です。「日本では売れない商品が海外で売れるというパターンはあるのでしょうか」……いかがですか?

徳田:IP(版権)ものだとありますね。海外でも人気のあるアニメや有名キャラクターのライセンスを取って伝統工芸品と組み合わせた商品とかは、日本人にとっては少しやりすぎな印象でも、海外では売れる場合があります。例えばですが、「南部鉄器×エヴァンゲリオン」みたいな組み合わせですね。

河野さん:確かに、日本人からするとすごく濃い味のものを組み合わせるみたいな感覚になりますね。(笑)でも海外の人からは、分かりやすく日本らしいものが組み合わさって、ちょうど良い具合に見えるのかもしれないですね。

徳田:おっしゃる通りですね。

質問2:出品するプラットフォームや国によって価格を変動させるべきか?

河野さん:2つ目の質問いただいています。「販売価格は出品するプラットフォームや国によって変動させたほうが良いのでしょうか?現在なるべく同じぐらいの価格に合わせていますが、自社ショップに誘導したいので価格差をつけたいと思ってました。」

徳田:例えばeBayで販売していて、独自ドメインのサイトでも同一の商品を販売している場合は、戦略的に価格差をつけて顧客リストを獲得するという取り組みをやらせていただいたりしていますね。モールで販売するよりも独自ドメインの方が、メールアドレスを獲得できるほか伝えられるメッセージの量も多いので、独自ドメインの方に誘導するための施策というのは行ったほうが良いかと思います。

河野さん:日本国内の場合でも、価格差をつけるというのは全然やったりしますよね。同じ商品に値段差をつけることに抵抗がある場合は、百貨店向け、モール向け、自社EC向けにそれぞれ少し違う商品セットを作って価格差をつけたりとか。

徳田:そうですね。結構eBayやAmazonから引っ張ってくるのが難しいので、自社サイトでも販売していることを積極的に伝えたり、その商品の使い方・ケアの仕方などの既存客向けのコンテンツを自社サイトに充実させるなどして誘導することも重要です。

河野さん:ちなみに、例えば価格を変動させてはいけないという法律がある国はないんですか?

徳田:eBayの商品の価格と独自ドメインの商品の価格を一致させなければいけないということはないと思います。

はじめての越境EC•海外Webマーケティング
越境ECの基本となる調査、制作、プロモーション、税務、法務を網羅。
YouTubeと連動し、更に細かい情報が獲得できます。

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