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枠組みを超える発想力が武器になる。類設計室を牽引する先輩に聞く、類設計室のイノベーティブな企業文化

「活力ある社会を設計する」を理念に掲げ、1972年に建築設計事務所としての一歩を踏み出した株式会社類設計室。3年後の1975年には教育事業を、1999年には農園事業をスタートさせ、社会のさまざまな分野で活躍を続けています。

今回は企画から設計、建物の営繕まで、戦略パートナーとしてあらゆる側面からお客様に寄り添い、提案し続ける設計事業部を経て、現在は会社の中枢を担う経営統括部を牽引する山根氏にインタビュー。新卒入社して以来、多彩な物件を手がけてきた山根氏が感じる設計事業部の経営戦略と強み、業績好調の理由、働き方の改革、そして求める人材像とは。そこには「社員一人ひとりに大きな裁量を任せる」企業文化がありました。ぜひご一読ください。

■経営統括部 経営企画課長
山根 教彦(一級建築士)
東京大学大学院 新領域創成科学研究科

– 主な業務経歴 –
2013年、入社。設計事業部の意匠設計として東京設計室に配属。区立小学校・幼稚園の複合施設や養護老人ホーム、学生寮など多彩なプロジェクトに参画。 
2016年、志願して同企画部に異動。数多くのプロポーザル〜設計を担当し、2年半で勝率8割を誇る。『荒川区立尾久図書館(新建築掲載)』『本の森ちゅうおう(新建築掲載)』などの公共施設から民間企業のイノベーション施設、事業所の移転・建替事業までを広く担当。
2021年、経営統括部 人材課 課長に抜擢。採用や人材育成の体制改革を担いながら教育事業部の類学舎と企業をつなぐ取組みに関わる。
2022年より経営統括部において広報人材課長・経営企画課長を兼任し、事業統括部の戦略企画チームにも参画。新規事業の立上げや組織改革の推進役を担う。

──まずは、設計事業部の役割を教えてください。

山根:当社の設計事業部は、業界でも高い提案力があることで知られています。地方自治体などが業務を外部に委託する際に利用する発注方式としてコンペやプロポーザルという企画提案形式の競争入札がありますが、当社の勝率は平均して6割を誇り、業界平均の3割を大きく上回っています。この実績は2014年9月から2023年9月の日経アーキテクチュアによる調査でも明らかになっており、業界内での当社の評価の高さを裏付けています。

また現在は、新エネルギーや新素材、AIの台頭といった変化に、社会全体が戦略的に進化を遂げなければならないときです。この大きな社会構造・産業構造のパラダイム転換を迎えているのが現在の日本だと感じています。そうした時代の先端をリードするような会社がクライアントに大勢いることも、当社の特長だといえます。当社では、常に次の10年・25年の未来を見据えた『新たな業界のスタンダード』を目指して追求しています。昨秋からは、教育事業部と共創し、小学生から高校生までを対象にものづくりやデザインの面白さ・深さを伝えるこども建築塾を主宰するなど、業界全体を底上げしていくような事業にも挑戦しています。

──中でも、どのような建物に強みがあるのでしょうか。

山根:特に教育施設と企業の研究・生産施設に強みをもっており、東京大学や同志社大学をはじめとする国内トップクラスの大学や、幼稚園から高校までの教育環境整備を手助けするようなプロジェクトを数多く手がけています。

例えば東京大学では、2011年に『21KOMCEE West(理想の教育棟)』を手がけました。理想の教育棟というくらいですから、これまでにない先導的な教育環境を整備すべく、学生たちが自ら情報を探索し答えを出す日本で当時最先端の『アクティブ・ラーニングスタジオ』が実現しました。その後の追手門学院中・高等学校の建て替えでは、キャンパスの移転構想から参画し、新たな学びを実践する若い先生と共に「未来教育プロジェクト」を立上げ、1年かけて新教育のあり方を追求しました。そこでは設計事業部に加えて、教育事業部も参加しながら議論を行い、最終的に建物の計画に反映。脱・教室を掲げて、どこでも学べる校舎を実現しました。

さらには、企業の変革を期待する研究施設の建て替えやイノベーティブな施設のご相談を受けることも多くあります。(AGC SE-1、島津製作所 Shimadzu Tokyo Innovation Plaza など )

学校などの教育環境を考えることと企業のオフィスや研究所をつくることには、「人材育成の場である」という共通点があります。教育の場とは、すなわち人を育てるための場所。アイデアが生まれやすい形、仲間同士で議論がしやすい形、イノベーションを創発するような空間構成など、さまざまな仕掛けが存在します。教育施設と先端的な企業の施設の両者を手掛けていることは、実は人材育成という観点でつながっているというところが面白いと個人的には感じています。

©野口兼史

──事業の成長ぶりも目覚ましいですね。

山根:2016年から2022年にかけて売上は47.1億円から52億円へと増加し、約10%の成長を遂げています。こうした成長の背景には、単なる売上の増加だけでなく、提案の質の向上と業務の生産性の上昇による受注単価の増加という大きな要因があります。当社が独自に培ってきた提案力と技術力が高い評価を受け、その結果として案件単位の受注額も一層高くなっているのです。また、提案力と技術力が高い評価を受けたことで、特命受注比率も向上しました。それにより設計室の生産性が上昇し、業務の中身に対する期待も大きくなっているとひしひしと感じています。

──業績好調の背景には、類設計室ならではの企業文化もありそうです。

山根:当社の創業理念である『自分たちの生きる場を自分たちでつくる』を体現しようという企業文化が浸透していますので、全社員が経営に参画し、提案力を高めていくというスタイルが根付いています。思い返せば私自身も、入社1年目の頃から多くの意見を実際の提案に採用してもらっていました。学生時代の友人に話すと『そんなこと、普通はありえないよ!』と驚かれたこともあったほどです。

最近でも、入社6年目の社員が大学の先生と共同研究を開始したり、当社の大阪本社ビルの大規模改修プロジェクトにおいても入社5年目以下の若手メンバーがディレクターとなって全体像を描いたり、社内外の統合を担ったりしています。年齢が若いことや経験が浅いことが必ずしもハンデになるというわけではありません。常識にとらわれることのない発想力やエネルギッシュな推進力が、組織を大きく活性化しているといえます。

──一方で、人材採用においては過去に課題もあったと聞いています。

山根:受注する案件が似通ってしまったことで挑戦的なプロジェクトが少なくなり、挑戦意欲の高い30代・40代の中堅世代の人材不足は深刻でした。このような状況を打破するために、2017年に企画部を体制として確立し、より上流の提案を可能にするような組織改革を行ってきました。高い外圧化に置かれた先端企業の期待に応えられるプロジェクトに挑戦し、社員の挑戦意欲を引き出してきました。そして、社員の挑戦を後押しするためにも、『開かれた人材育成』を大切に組織全員で人材育成に力を入れてきました。たとえば、入社後は、意匠部・構造部・設備部等の各部門に配属され、『人材育成ロードマップ』に基づき、入社6年目までそれぞれの領域で経験を積みます。入社7年目からは他職種の部署で経験を積む『ローテーション』配属を行い、他部門への視野を広げながら、統合力を飛躍的に高めていきます。また数年のローテーションを終えた後は、元の部署に戻り、部門の統括役・推進役に成長していきます。

──昨今の「働き方改革」に則るような動きもありましたか。

山根:さらに2022年度からは抜本的な働き方改革に乗り出しています。離職率がとりわけ高かった子育て世代の社員の心配を払拭できるよう土日の休みを確保したり、休暇の調整も柔軟にできるような仕組みを整えました。社員に提示できる働き方のバリエーションが少なかったことが要因で離職の多かった中堅人材が劇的に増えるようになり、現在ではやりがいのある仕事と大切な家族と過ごす時間とを両立させながら過ごしています。また、給与面においても大手ゼネコンと同等の水準を目指して再整備しました。

こうした数々の改革によって社員のモチベーションと定着​​率は飛躍的に向上しています。実際、10年目までの定着率は69%(2024年7月時点)と建設業界の平均57.5%を大きく上回る結果となっています。『もっと夢中で仕事がしたい』という気持ちも、『休息したい』と願う気持ちも、当社にとってはどちらも大切なもの。会社から『もっとやれ』と強制されるようなことがあっては社員のクリエイティビティにも悪影響をもたらします。当社のよいところは、無理にやらされているような感じがないところ。それぞれが期待する通りのメリハリを実現しながら働くことのできる現在のような環境こそ、社員が求めていたものだろうと思っています。

──新たな人材の採用に向けて、どんなことを期待していますか。

山根:当社が理想とする人物像は、仲間とともに前向きな仕事を創造していきたいというマインドのある方です。当社では、働く社員の能力や活力そのものが生産の主人公です。先にも述べた大阪本社の大規模改修プロジェクトの中でも印象的な出来事がありました。

発端は、ある社員が『応接室に土壁を使いたい』と発言したこと。奈良にある自社農場のこだわりの土と、三重の自社農場にある藁を織り交ぜた土を使って日本古来の風合いを演出したい、という情熱的なアイデアに周囲も賛同しましたが、土壁職人は今や希少な存在で、制作は難航。自力で探し回った末に、淡路島の壁材屋さんに依頼することができたようでした。現在では、外部から訪問されたお客様をおもてなしする大きな部屋の壁一面に、職人の珠玉の手技ともいえる独特の波模様が美しく輝いています。初めは無謀にも思えた提案でしたが、今では任せてよかった!と自信をもってご紹介できるエピソードです。

加えて当社では、部門の壁を越えた協働も大変盛んです。社内イントラネット内には社長を含む全社員が日々の活動記録や週次投稿(その週の気づきや課題と次週に向けた方針)を行う掲示板がありますので、どの社員が今何を思い、どんな仕事をしているのか、互いにリアルタイムで共有することができるのです。入社1年目の後輩が書き残した内容を同じチームの先輩がチェックして『あの件、大丈夫そう?』などと声をかけて相談に乗る様子も多く見受けられますし、入社6年目のある社員は教育事業部と広報人材課のコラボレーションについて熱心に企画提案していたりもします。

こうした環境の当社ですので、自分だけのアイデアで自分だけの作品を生み出そうとするよりも、やはり組織の仲間と力を合わせて一緒に創るということに喜びを見出せるような方が最適ですね。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。

山根:みなさんにお伝えしたいのは『類設計室の仕事って、こんなに面白いんだよ』ということです。プロジェクトには主体的に関わることができ、提案した意見はそのままカタチにできる。国立・私立の有名大学、図書館など人の暮らしを支える施設、先端企業の大規模な研究施設など、クライアントは実にさまざま。同じ建物でも用途が異なれば空間のあり方も設備もまったく違う。つまり、ずっと『学び』の連続なのです。だからこそ成長できる環境があります。学ぶ機会に恵まれなければ、その人のキャリアは途端に停滞してしまうことでしょう。当社でならば、毎日の仕事を通じて必ずや自分の世界を広げることができます。こうした働き方を一緒に楽しんでいただけるような方と働いていきたいと思っています。

約半世紀前に設立して以来、建築設計事業を中心に成長を遂げてきた類設計室。教育事業・農園事業とのシナジー効果を原動力にしながら、今後はさらなる新事業にも乗り出す計画も進んでいます。2024年から2025年にかけてを準備の年として、2026年頃には一層の飛躍を予定している当社。さあ、あなたも類設計室の一員として、ともに充実した仕事を創っていきませんか。




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