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胚培養士から「胚培養士をサポートする立場」へ。製品普及の要となるトレーナーの役割

株式会社リプロライフの製品は、高い生存率を誇るクライオテック法を用いた卵子・胚の凍結融解キットです。製品の導入時は、必ず胚培養士に対してワークショップを開催し、製品を正しく使っていただくためのレクチャーを行っています。このとき活躍するのが、胚培養士のトレーナーです。

今回は自身も胚培養士の経験を持ち、現在トレーナーとして活躍している阿部さん、渡辺さんのお二人にお話を伺い、トレーナーの仕事について教えていただきました。

胚培養士の経験と知識を活かせる新しいポジションに魅力を感じた

―最初に、お二人のご経歴について簡単に教えてください。

阿部:私は大学院で修士課程を修了した後、一度不妊治療クリニックに入職しましたが、ミスマッチを感じてCROに転職。安全性情報を担当しました。1年ほど勤めて、やはり大学院で学んだ知見を活かしたいという思いが強まり、別のクリニックに胚培養士として入職しています。4年ほど勤めた頃、結婚を機に引っ越すことになったため転職を検討し、リプロライフに入社しました。

渡辺:私は大学卒業後に不妊治療クリニックに入職し、胚培養士を5年近く務めました。そこから2023年2月にリプロライフに転職した形です。

―なぜ、リプロライフへの転職を決めたのでしょうか?

阿部:実は大学院の頃にリプロライフの桑山会長の論文を読む機会があり、すごい人だと尊敬していたんです。私は生殖医療の領域の中でも特に卵子や胚盤胞に関わっていきたいと考えていたことも相まって、リプロライフの求人を見つけてすぐに興味を持ちました。

もちろん別のクリニックで引き続き胚培養士を続けて、現場で患者さんに寄り添う道もありました。ただ、胚培養士自身は目の前の胚の生存率を下げないことを第一優先にするので、なかなか自分で施設内のプロトコル改善には取り組めません。

この点、リプロライフで胚培養士をサポートする立場に回れば、全国の施設を巡ってよい良いやり方を普及し、不妊治療全体にアプローチすることが可能です。胚培養士とは違う、新しい働き方に面白みを感じたのも転職理由ですね。

渡辺:私はこれまでのキャリアで、胚培養士として一通りの知識、経験を積めたと感じていました。学べることはあるといえ、ある意味キャリアの限界を感じていたのが正直なところです。

そんなときにクリニックで、リプロライフのワークショップを受けて。当時、自分のクリニック以外の方から指導される機会はほとんどなかったため、かなり刺激的な時間でした。「自分もこんな風に胚培養士をサポートする立場になりたい」という思いが湧きましたし、胚培養士以外のポジションで働く魅力も感じて転職を決めました。

全国の施設を飛び回り、胚培養士向けのワークショップを実施

―お二人は胚培養士のトレーナーとして活躍されていますが、具体的な業務内容について教えてください。

阿部:リプロライフの製品である卵子・胚の凍結融解キットを普及するために、営業とともに施設を訪問。ワークショップという形で、導入に向けた製品の使い方を胚培養士の方々に指導するのがメインの業務です。もし凍結融解に関してお困りごとがあればアドバイスしますし、必要であれば会社側にもフィードバックします。クリニックからのご要望があれば、導入時以外にも定期的に訪問・指導を行うケースがあります。

あとは年に数回開催される学会でブースを出展し、製品の使い方を体験していただくような活動もしています。学会の企画で、凍結融解のハンズオントレーニングにもトレーナーとして参加します。

―施設へはどの程度の頻度で訪問していて、ワークショップにはどれくらい時間がかかるものなのでしょうか。

阿部:時期によって変動しますが、例えば今月は1ヶ月で国内17施設に2人で手分けして訪問しました。施設は北海道から沖縄まで全国にありますから、出張は多いですね。ワークショップにかかる時間は、大体2時間が目安です。

渡辺:今度阿部さんは、岡山と広島の施設を4日間かけて訪問する予定にしていますね。

阿部:遠出をするのが好きなので、空き時間に現地の美味しいものを食べるのがちょっとした楽しみです(笑)。

―現役の胚培養士の方々にレクチャーをする立場として、何か取り組まれていることはありますか?

阿部:胚培養士の業務は幅広く、凍結融解自体はその中の一分野というポジションです。だからこそ、リプロライフに入社するにあたっては凍結融解について学び直しました。凍結融解に関しては胚培養士として領域の最前線を走っている先生にも負けないくらいの知識を身に付けるため、日々の勉強も欠かしません。

渡辺:私も阿部さんと同様です。私はこれまで一つのクリニックで働いた経験しかありませんし、年齢も若く、どうしても胚培養士としてはキャリアが浅いと言わざるを得ません。「何も知らないトレーナーだ」と思われないようしっかり勉強していますし、手技に関しても綺麗にわかりやすくできるように、練習を重ねました。

クライオテック法のメリットを実感してもらえるのが何よりうれしい

―リプロライフでクライオテック法を普及するメリットについては、どのように感じていますか?

渡辺:クライオテック法のメリットは、卵子、初期胚、胚盤胞の全てを、同一のプロトコルで凍結融解できる点です。トレーニングも一つの方法だけを覚えればいいだけなので、胚培養士の方にとっては非常に習得が楽なのではないでしょうか。

また、当社の新製品「Ready to Use」は、フィルムをめくるだけで使用準備を完了できます。分注の操作がありませんから、こちらも胚培養士の方の負担軽減につながります。

―では、トレーナーとしてやりがいを感じるのはどんなときでしょうか。

渡辺:ワークショップを行った際に、胚培養士の方から「使いやすい」「わかりやすかった」と喜んでいただけることでしょうか。特に、これまでのプロトコルに比べて簡単になったとコメントいただけると、本当にうれしいですね。私自身も胚培養士として同じような苦労を経験してきましたから、共感できる部分が大きいです。

阿部:ワークショップもそうですし、実際に製品を使って卵子がきちんと生存するところまでを確認してもらうと、やはり満足につながりますよね。その結果「この製品を使っていきたい」といったお声をいただけると、製品の良さを上手く伝えられたのだと安心しますし、トレーナーの仕事にもやりがいを感じられます。

渡辺:同感です。そういえば私の出身は静岡で、先日静岡のクリニックでワークショップを行ったんですよ。後日、私の母の知人がそのクリニックで不妊治療をしたところ、無事に妊娠したと聞いて。本当に、広い範囲で患者さんを救う事業に自分が関われているのだと実感しました。

国内シェアの拡大に貢献し、近い将来は海外にも目を向けたい

―お二人が今後、リプロライフで実現したい展望などがあれば教えてください。

渡辺:製品の国内シェアを広げていくのが第一ですね。ワークショップを受けた胚培養士の方から良い口コミが広がり、当社製品を導入したい施設が増えてくれればうれしいです。もちろんその後は、海外にも行ってみたい思いがあります。

阿部:現在国内シェアは4割程度なので、まずは5割を目指して日本の不妊治療のスタンダードになるのが、一つの目標ですね。

個人的には、トレーナーとして全国を巡る中で、凍結融解に限らず不妊治療に関する情報や知識を広く知りたいと思っています。海外に目を向けると、国によって全く成績が異なる統計も出ています。そういった現地の話を聞いた上で、クライオテック法を普及するための足がかりにしていきたいです。

実際に学会で海外に数ヶ月出張する機会があるにはあったのですが、そのときは言語の壁がありなかなか思ったように情報が得られず、苦い経験をしました。将来に向けて語学力をしっかり磨き、世界中の胚培養士の方とコミュニケーションを取れるようになりたいです。

―最後に、胚培養士の方々に向けたお二人の思いをお聞かせください。

阿部:胚培養士という職業を外から見るようになって感じるのは、どの施設もやり方やこだわりは違っても、不妊治療に悩む患者さんのために成績を上げたい思いは共通しているということです。そういう意味で胚培養士の方々を尊敬していますし、当社製品で貢献していきたいです。

渡辺:胚培養士はこなすべき業務が多く、朝も早い大変な仕事です。彼らが一番のやりがいにしているのは、阿部さんが言うように「患者さんのために」という思いであり、だからこそ日々努力を重ねています。現在ではより一層現場を意識しながら自分の仕事に努められるようになり、『胚培養士は命を預かる大切な存在なのだ』と、改めて感じます。今後も彼らをしっかりサポートしていきたいですね。

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