目次
1. 新規のお客様と接する【オープン・マーケット】での重要ポイント
2. 既存のお客様と接する【クローズド・コミュニティ】での重要ポイント
3. 2つの空間を彩りプロデュースしていく醍醐味
ラルズネットは、全国の不動産会社様に、ポータルサイト『不動産☆連合隊』という「法人向けの定額サービス」を提供している会社です。
ということで今回は、いま熱い分野である「法人向けシステムの定額サービス」(=今風のカッコイイ用語で言うと「BtoB の SaaSビジネス」!!)についてのお話です。
WEB系企業を目指されている方で、SaaS・定額制ビジネスに興味がある方、もしくは、「いつか自分でそういうサービスを立ち上げたい!」と思っている方には、ぜひ読んでいただきたい内容だと思っています。
専門書に書いてあるようなことではなく、当社が今日も現場であーでもないこーでもないと四苦八苦しながら、日々、ゴリゴリとやっているリアルな現場の感想を元にお話します。
新規のお客様と接する【オープン・マーケット】での重要ポイント
すべての企業にとって、お客様は2つに分類することができます。
それは、「まだご契約をいただいていないお客様(=新規のお客様)」と「すでにご契約をいただいているお客様(=既存のお客様)」です。
「新規」のお客様との接点は、誰もがアクセスできるオープンな空間にあります。
一番イメージしやすいのは、自社コーポレートサイトや商品紹介サイトです。
そこに掲載されている情報を見て、興味を持ち、お問い合わせいただくという形です。
そして、新規のお客様に興味を持っていただくのに効果的な方法は、「無料トライアル」です。
これは、どのSaaS企業も行なっている方法で、まず、無料で◯日間試していただき、気に入ってもらえたら契約していただくというやり方です。
また、「資料ダウンロード」(呼び方は「資料」「eブック」「ホワイトペーパー」など色々)で興味を持ってもらう方法もよく用いられます。
もちろん、お問い合わせがあった企業様すべてに本契約していただけるわけではないので、過去にお問い合わせがあったお客様に再アプローチすることも重要です。
この場合、再アプローチしてすぐにご契約いただけるほど甘くはないので、タメになる情報やコンテンツを、ある程度の期間、しっかり配信するなどの努力が必要です。
とにかく、いきなり本契約を望むのではなく、階段を少しずつ登ってきてもらうイメージが重要で、そのために、登りやすく段差も少ない階段をたくさん設置することが大事になってきます。
当社の場合、幸いにも、日々、お客様側からお問い合わせをいただける状況にありますが(これを「インバウンド」と言います)、自社のことをまだ知らないお客様に対しても、メールやハガキなどのDM、人手や予算に余裕があるなら広告や電話も行い、こちらからアピールし、興味を持っていただくことも欠かせません(これを「アウトバウンド」と言います)。
このように、新規のお客様と接触する「オープンなマーケット」で大事なことは、まず第一にアプローチの「数」なんです。
もちろん、ある程度のクオリティが保たれた上で、見込みの高い順にアプローチしなければ、時間的にもコスト的にもムダが大きくなってしまいますが、それでもやはり「数」が大事です。むしろ、「数」が質を生みます。
「まあ、普通のことでは?」と思われるかもしれませんが、これが意外なほどできていないケースが多いのです。
私自身、数え切れないほどたくさんの企業の相談を受けてきましたが、すごく良いモノを持っているのに伸び悩んでいる会社は、自社の見せ方とその広め方で困っているか、もしくは単純に顧客アプローチ数の不足が原因であることが多いからです。
これは、他のジャンルにも言えることで、たとえば、私は社会人になったばかりのころ、
「すごい資格があれば、どこでもやっていけるはず!」
「カッコよくて便利な製品を作れば、絶対に売れるはず!」
などと思っていたことがあったのですが、実際に現場に出てみると、まったくそうではないことに気付きました。
何かの資格を持っていても、持っているだけではただの紙切れです。
自分を必要としてもらうには、自らの実績を根気よく、相手がメリットを感じてもらえる形で何度も提示し続けなければいけません。
また、いくらカッコよくて便利な製品を作っても、どれだけ自分の想いや信念が強くても、それを知ってもらえる人を増やす活動をしないと、いつまでもゼロです。
そこに、ショートカットは存在しません。
つい敬遠されがちですが、まさに「急がば回れ」で、結局、地道に数をこなす活動がシンプルに一番効くんです。
まとめると、新規のお客様と関わる【オープン・マーケット】では、アプローチの「数」が大事!
という、平凡だけど、キレイ事なしに大事な結論です。
既存のお客様と接する【クローズド・コミュニティ】での重要ポイント
これに対し、SaaS・定額制ビジネスにおける、「既存」のお客様との接点は、基本的にはクローズドな場所にあります。
既存のお客様が集まるクローズドな空間としては、当社でいえば、『ラルズマネージャー』というシステムがそれに当たります。
『ラルズマネージャー』は、ご契約していただいたお客様だけが使える、一般公開されていないシステムであり、見方を変えれば一種のコミュニティです。
ここでは、ポータルサイトに情報を掲載し反響を取るといった基本的な機能だけでなく、既存のお客様限定のイベントなど、オープンな空間では行われていないことが開催されています。
当社の最近の事例でいえば、「動画まつり」や「WEB面談練習会」といったものです。
物件動画をアップするだけでスマホ用ジンバルなどの景品が抽選で当たったり、「WEB面談」をやったことがない企業様にZoomなどのツールを一対一でレクチャーしたりといったイベントです。
↓既存のお客様向けのイベント「動画まつり」
↓既存のお客様向けのイベント「WEB面談練習会」
コロナショックが終わっても、その時代にあったやり方で一社一社が自分の力でしっかりと活躍できるよう、体験型のイベントを組んでサポートしていくという趣旨で行なっています。
これらは、既存のお客様はすべて無料で参加できます。
また、コロナ禍では、当社の有料広告商品『ラルズアド』の広告予算を、希望するお客様に10万円分タダで配るということも行いました。
この時期はとくに、お客様を勝たせるために、やれることはすべてやっていくという覚悟を持って臨んでいます。
よく、売り切り型ビジネスをやっている他の企業の経営者の方から、「そのイベント、いくらの売上になるんですか?」「採算合うんですか?」と不思議な顔で聞かれることがあります。
売り切り型ビジネスでは、短期ですぐに売上を立てていくことが最重要であるため、もっともな疑問ですが、当社のようなサブスクリプション(定額制)サービスを提供している企業であれば、考え方はまるで違ってきます。
定額制ビジネスにおいては、「1日でも長く自社サービスを利用してもらうこと」が最も大事になってきます。
たとえ、目先の単発的な売上を犠牲にしてでも、お客様に「1日でも長くラルズネットとつながっていたいな」と思っていただけることが何よりも重要なのです。
そして、これを「エンゲージメント(親密度)」と言います。
つまり、
既存のお客様と関わる【クローズド・コミュニティ】では、お客様との「親密度」が大事!
ということです。
SaaS・定額制ビジネスは、「契約したら終わり」ではなく、むしろ「始まり」だと思っています。
お客様との親密度を高めるために、顧客サポート専門のチームを作ったり、教育コンテンツを配信したり、体験型イベントを企画するなど、あらゆる角度から、とにかくお客様を勝たせるのです。
なお、クローズドな空間は今後さらにニーズが高まり、そこでの運営センスはますます重要になると、個人的には予想します。
2つの空間を彩りプロデュースしていく醍醐味
【オープン・マーケット】では、効果的なアプローチ数を増やすこと。
【クローズド・コミュニティ】では、お客様の親密度を上げること。
これら2つの空間では、それぞれ、重要ポイントが違います。そして、ルールも、空気感も違います。
今の時代でいえば、Twitterとオンラインサロンのような関係と言えるかもしれません。
私たちスタッフは、まるで地上と地下をつなぐ階段を登ったり降りたりするかのように、その2つの空間を、毎日せわしなく行き来します。
また、地上の宴と、地下の宴を、同時に開催することもあります。
地上と地下はモニターでつながれており、スタッフ同士が連絡し合い、ときにはお客様と力を合わせ、それぞれの空間のテンションを最適に保つのです。
そうやって、2つの空間を彩りプロデュースしていく、ワクワクとドキドキの混じったプロセスこそが、このビジネスの醍醐味なんじゃないかと、最近すごく思います。
この仕事をしていると、関わっているあらゆる人の熱が生み出す、見えないエネルギーの流れのようなものを感じることが、よくあるのです。
結論
地上は楽しい!でも、地下はもっと楽しい!