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“アイミツ”誕生からグロースまで、開発とエンジニアの歴史を辿る

「ユニラボを技術ドリブンの会社にしていく」――代表である栗山はそう語る。

ユニラボが手掛けてきた「アイミツ」は、2012年のローンチ以降、15万件近い見積もり依頼をこなしてきた。急成長の裏で、CTOの菅原を筆頭に歴代エンジニアの圧倒的な熱量と技術力がサービスを支えている。

今回は、ユニラボ創業者でCEOの栗山と、アイミツの開発を初期から支えてきたCTOの菅原に、アイミツ誕生から6年間を振り返り、未来を見据えた技術と組織について深く語ってもらった。

アイミツ誕生秘話――事業の構想から、形になるまで


ユニラボ創業は2012年。日本ではまだ、ビジネスシーンにおけるデジタル活用が発展途上で、当然ながらBtoBのマッチングプラットフォームはマイナーな存在だった。創業者である栗山は、DeNAの第二創業期(当時の社員数は100名程度)で、営業やマーケティング、事業開発等の様々な職種を経験。後にユニラボを立ち上げる。どのような思いや経緯があったのか。

栗山「DeNAを退社後、独立して一年はひたすら自分自身の学習の時間でした。これまでやってきたECを中心とする事業領域ではなく、自分にとって経験のなかった分野の仕事を手伝う中で、必要に迫られて米国を中心とする海外のビジネスモデルを数多く調べていました。

その中の一つが、BtoBのマッチングであり、ビジネスシーンにおけるデジタル活用です。

多くの事業に携わる中で、自分自身が感じていた”受発注の不”、そして20代の頃から手掛けてきた”中小企業や地方企業の活性化”。この2つと、ビジネスモデルの着想を組み合わせた結果、受発注のBtoBマッチングプラットフォームを開発すれば将来的にインフラになり得る、という可能性を感じたのがきっかけです。DeNAではB2C、C2C、B2Bなど多くのプラットフォームを手掛けており、この辺の領域の土地勘はありました」

創業当初から栗山とともに”アイミツ”の開発に携わってきたCTO菅原。アイミツに関する構想を聞いたときに「栗山さんの集大成だ」と感じたという。

菅原「創業当初は、様々なサービスを検討しながら、実際に作ってみて、会社の目指すべきプロダクトの方向を模索していました。ある日栗山さんから『相談がある』と持ちかけられ、当時のオフィスであるワンルームマンションのベランダで、二人でじっくり話したんです」

栗山「そんなこと、ありましたね」

菅原「その時ですよね、初めてアイミツの構想を聞いたのは。本当に、素直に嬉しくなりました。栗山さんが、目指すべきビジネスを発見できたことが私にとって喜びでした。……正直、結果が出るまで時間がかかるサービスだと感じたのですが、同時に成功すれば安定して長く続くサービスだと思ったのを覚えています」

菅原も、受託開発会社の経営経験から、栗山が感じる”受発注の不”を実感するタイミングは多かったと語る。日本にまだ存在しないサービスの開発を始めた二人。困難はなかったのか。

栗山「苦労なんて、どれって一つ挙げられないくらいありましたよね」

菅原「最初の一年半は、栗山さんが要件定義をして、デザイナーさんがUIを起こし、そこから私ともうひとりの業務委託のエンジニアが二人で実装する、という体制が続いていました。栗山さんが思った以上に要件を定義したり、企画をするのが早くて、それに触発されたのもあり、連日徹夜でがむしゃらに開発を進めていましたね」

栗山「前職ではマネジメント経験が長く、自分で新規プロダクトを設計する経験は少なかったので、自分ひとりで作るのは未経験ながらも、スピード感を持って決定し、プロダクトができていく手触り感、みたいなものにすごくワクワクしていました。

実際は”開発は進んでいるけどデザインが決まらなくてなかなかローンチできない”という時期もあったのですが……その後、素晴らしいデザイナーさんとの出会いで、初期のアイミツ完成に至りました」


プロダクトの構想が生まれ、開発が進み、出会いを経て形になる。その感動に触れながら、アイミツの開発は進んでいった。資金も人手も何もかもが足りない中、この6年間のアイミツは、全て自社で機能開発をしている。その判断に至ったのはなぜだったのか。

栗山「当時の私達はアーリーステージのスタートアップ。今でこそ、営業管理システムや請求書作成のシステムなど多くのSaaS製品が世に出回っていますが、当時のユニラボのフェーズでは、金額的にも規模的にもとても導入はできませんでした。幸い菅原さんが開発スピードも早く、経営視点で会話のできるエンジニアさんだったので、自社で作ってしまおうという判断に踏み切れました。その頃から社内では、菅原さんは「神」と呼ばれています」

菅原「そうですね、シンプルに”ないから作る”という考え方で、当時は当たり前に開発を続けていました。開発当初、私は基本的にフルリモートで開発を行っています。その環境がとても集中できたこともあって、一つの機能を開発し切るまでは座りっぱなし、コードを延々と書く……といったスタイルでしたね。それに栗山さんが理解を示してくれたのもありがたかったです」

栗山「菅原さんは、私が見てきたどんなエンジニアよりも開発のスピードが早く、作るものに拘りをもった方でした。おかげでどんどんプロダクトをアップデートできました」

菅原「今振り返れば、お互いを信頼して、サービスの将来を見据えられたからこそ、がむしゃらに立ち上げができたんでしょうね」

アイミツのスピード開発を支えた「オリジナルフレームワーク」

アイミツ初期の開発は、要件定義を栗山が、エンジニアへの指示や全体の設計を菅原が担当していた。その後、”2代目アイミツ”開発時、菅原が今でもアイミツの基礎となっているフレームワークを開発する。それが、スピード感ある歴代アイミツの開発を支えてきたという。

菅原「本腰を入れてプラットフォーム化するというタイミングで、私の開発したフレームワークにほぼすべての機能を代替しました。開発のスピードを上げるためです。

エンジニアであればわかると思いますが、世の中のオープンソースや、すでに存在するフレームワークは”定義”が多いんです。それでは開発のスピードが遅くなるし、サービスが大きくなっていったときに改善の糸口が奥に埋まってしまう。だからこそ、可能な限りシンプルなもので開発していこうと決めました。

例えばContorollerとActionを書くだけで、ページをよしなに追加してくれる、というフレームワークです。ルーティングを不要にしたので、どんどんページを増やしていけるようになりました。他にもよしなに自動補完してくれる機能がいくつもあります」


圧倒的な技術力を武器に、アイミツのスピード開発を実現していった菅原。栗山とともに新規機能の実装や改修を推し進めていった。二人が特に思い入れを持っているアップデートはなんだったのか。

栗山「これも、なにか一つと言われると難しいですが……実はアイミツは、大幅なリニューアルを2016年頃に一度やっているんですが、軒並みうまくいきませんでした。その時は菅原さんがフロントの開発担当でしたよね」

菅原「そうでしたね。確かSEOやCVRを上げる対策のための大幅リニューアルだったと思うんですが、なかなかうまく行かなくて迷走していました。LPもいくつも作り、トップページからすべてのリニューアルを行い……」

栗山「その時の失敗経験で、デザインそのものを大きくリニューアルすることは止めましたよね。それ以降は、より便利にするために機能単位で部分的に作っていく。全体のUI最適化を考えながら、パーツパーツでチューニングしていくことになっていきました」

菅原「私が印象に残っているのはやっぱり、社内システムの開発とアップデートですね。CMS(コンテンツ管理システム)、SFA(営業管理システム)、SP(サービス内検索システム)……このあたりは、アイミツのサービスそのものやビジネスに影響がある部分だったので、設計・開発・改修にはやはり思い入れがあります。

社内の業務システムは、集まってきたデータが重要な要素になります。下手な設計をすると、あとで保守性が悪くなるなどの問題が発生する場合もありますから、未来を見据えて設計をするのにはこだわってきました


一方アイミツ開発においては、使用する言語や技術を必要に応じて変えてきた歴史もある。

菅原「一番最初に構築したエンジニアはZend Frameworkを使っていて、そこからオリジナルフレームワークに変えていきました。サービス的にも、それほどモダンな技術をすぐに使用する必要性はなかったので、当時から現在に至るまでバックエンドはPHPを用いたオリジナルフレームワークでの開発を行っていました。

ただ、今はフェーズが変わりエンジニアが増えていく中で、オリジナルフレームワークだと他のエンジニアが機能を発展させたり追加するのが難しくなってきています。それを受けて、Laravelに代替する方向に動き始め、一部で採用し始めています。フロントエンドはjQueryからVue.jsに移行を始めています」


今まで作り上げてきたオリジナルのフレームワークから離れ、よりサービスのグロースを目指して多くの人が使える技術にリプレースしていく――そのことを寂しくないのか、と質問すると……。

菅原「もちろん、少しは寂しいです。ただ、サービスを発展させていきたいのでそのための最善策をとっています。当時と今ではサービスの規模も、開発の規模もすでに大きく違っているので」

栗山「”オリジナルでフレームワークを構築できるほど、マニアックな知識を持ったCTOがいる”ということ。これはこれから組織を大きくする上でも、我々ユニラボの大きな誇りです」

「ディープコアなエンジニア」が事業を育ててきた



CTO菅原以下、ユニラボのエンジニアは国籍・経験ともに多様だ。節々で「ユニラボを技術の会社にしたい」と語る栗山は、ユニラボのエンジニアに共通する特徴をこう語る。

栗山「全員、技術に対して熱い。熱いだけでなく、深い知識を持っている人が多いです。”ディープコア”なエンジニアが揃っていますね」


象徴するエピソードは、2017年にユニラボに参画したベトナム人エンジニア、ドバン・コクダ。開発系のエンジニアとしては一人目、CTOである菅原と二人三脚で開発してきた。

菅原「ダーさん(ドバンの愛称)は、技術を表面的に見ているのではなく、構造の部分をしっかりと見ることが出来る人です。技術を選ぶときに、『これを使えばこういう事ができる』ということだけでなく、構造や将来の開発を見据えて熟慮しています。

例えば、『有名だから使う』のではなく、時に『いまのアイミツに本当に必要なのか?』『これを使ったとき、構造として未来のアイミツにどのような影響を及ぼすか?』を含めて冷静に議論します。こういうところがまさに”ディープコア”ですね」

栗山「そういう検討を経て、結局検討したけど、導入できなかった言語とかもあるんですよね」

菅原「そうですね。PHPでの開発期間が長くなってきましたが、代替言語に関してはいくつかの候補が上がってきていました。PHPという言語は、初期の作り込みの時にエンジニアが細かくコードを書く必要がある一方で、将来的に修復がしやすいのが利点です。そういう意味で、今のアイミツにとってPHPがベストだな、というのもエンジニア同士話し合って決めたことです。最近はGoに関心もありますが、どのように利用していくかもまた、”ディープコア”なエンジニア同士議論が必要です」


目先の”やりやすさ”に飛びつかず、構造や将来を見て判断していく。そこにディープコアなエンジニアが生き生き働いていくための真髄があるという。

栗山「技術者が働きやすい、活躍できる会社にしていきたいと思っています。技術者という仕事に誇りを持っている人たちと一緒に仕事がしていきたい

菅原「やっぱりエンジニアとして、自社サービスを開発し、技術を活かしたいという気持ちを持っているひとは大勢いますからね」

栗山「そうですね。『言われたものだけつくる』『ビジネスサイドや経営者に意見が言えない』……そんな環境では、自分が生み出すものに魂を入れられないのではないか、と私達は考えています。逆に、どんどん自分の深い思考を見せ、議論し高めていくことで、エンジニアが生き生きと働ける組織にしていきたいです」


技術の会社にしたい、という思いは、ユニラボが確かに技術者によって盤石に支えられてきたからこそアイミツを伸ばしていくことができたという経験から生まれていた。

栗山「アイミツは”コンシェルジュサービス”です。WEBでマッチングして完結、ではなく、そこからさらなる価値提供をすることによってお客様に支持され、競争優位性を生み出してきました。技術基盤の上に『人』がいるんです」

菅原「データ設計や、複雑なロジックを組むという面に明るいエンジニアが揃っているのも強みですね。表現が難しいですが、要件を聞くと、脳裏に設計やデータベースのテーブル構造が浮かんでくるんです。弊社の多くのエンジニアがそうで、方向性が見えている状態で話をすすめるからこそ、素早い開発に貢献できていますね」

ユニラボは「技術の会社」へ。未来を見据えた、組織と採用

ディープコアな知識と熱量あるエンジニアが作ってきたサービスであるアイミツ。更に発展していくために、これからはより多様なエンジニアを採用していきたいという。

栗山「今後弊社のエンジニア採用のレベルは高い水準を保ちながらも、間口はどんどん広がっていく見込みです。経験が幅広くあるリードエンジニアになれるような人を採用したいと思っています。

一方で、ディープコアなスキルを持った人も引き続き迎え入れたいです。フロントだけ、サーバーサイドだけに特化して圧倒的な知識と経験を持っている方。また、Pythonを使ったデータ解析等に強みを持った方。研究開発に取り組むエンジニア(例えばAIだったり、音声解析だったり)。今後、ユニラボは様々な強みを持ったエンジニアが活躍できる場所になっていきます」


改めて、ユニラボという会社にエンジニアとしてジョインすることのメリットとは何なのか。

栗山「経営者としてエンジニアの皆さんにお約束したいことは3つあります。

① エンジニアがエンジニアを連れて来れる誇り高き職場であること
② 技術に妥協しない、技術の会社と呼ばれるようになること
③ エンジニアの働きやすさに最優先で投資ができる経営のバッファーを持つこと。

ユニラボを技術の会社にしていく上で、これだけは守っていきます」


”技術の会社にしていく”という覚悟は、CEO栗山も、CTO菅原も共通して持っているものだった。具体的には、どのような技術の会社になっていくのだろうか。

菅原「受発注のイノベーションを技術視点から提案していく会社にしたいですね。

受発注という一つの仕事をとってもやるべきことは多岐にわたります。発注ジャンル、適材適所の選定、工程管理、見積もり取得、トラブル回避、営業の効率化など……それらを全てアシストするには、現在のWebシステム領域の強化だけではなく、機械学習、IoT、ホログラム、それ以外の手段を使ったソリューションもあるはずです。

様々なテクノロジーを駆使して、受発注のイノベーションを起こしていく技術の会社にしたいですね。そのためには研究開発も今以上に進めていかないといけないなと感じています」

栗山「B2Bのデジタル化は、今後10年のトレンド領域だと思います。色んな技術が仕事を変える!……ずっと前から私はその時代が来ると確信していました。

今後仕事のデジタル化はますます社会トレンドになっていきます。技術力によって会社の経営やビジネスプロセスを変えることが漸く注目を浴びていく時代が来ました。だからこそユニラボでは技術者目線でどんどんチャレンジしていける会社にしたいと思っています」


ユニラボは数年後の上場を見据え、さらに技術と組織を磨いていく。様々な技術者を招き入れ、エンジニアが誇りを持って働ける環境をつくったその先にどのような未来を描いているのか、二人に語ってもらった。

菅原「技術の力でスムーズに最善の受発注ができる社会にしたいですね。すなわちアイミツがあれば発注が成功したという体験ができている状態

企業の大小を問わず、どの企業でもアイミツを使うことで色んな技術を使っていきながら最善の受発注ができる社会を実現したいです」

栗山「ユニラボのアイミツを世の中の多くの会社が導入して、一大インフラとして日本の経済成長に寄与する存在になっていきたいです。

受発注の領域でトップのサービスとして、そしてそれを運営する企業として多くの人が当たり前に知っている会社にしていくため、今後も多くの挑戦を続けていきます」

▼株式会社ユニラボでは、WEBエンジニアの募集を行っています。

圧倒的な技術力を持つCTO菅原とともに、熱量高くアイミツをアップデートしていく仲間を募集中です。カジュアル面談も実施中なので、ぜひ気軽に話を聞きに来てください。お待ちしています!

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