こんにちは!アニメーションチームの佐々木です。
ポケラボでは演出の基礎力向上とゲーム開発に活かせるデータベース作成を目的として、月に一度「演出研究会」を開いています。この演出研究会の原型は、私自身が自己研鑽としてひとりではじめた取り組みでした。今回はこれまでの経緯や、運営する上で意識していること・実現していきたいことをご紹介します。
自己研鑽としての取り組み
自己研鑽として2年前からアニメーション研究をしていました。
きっかけは上長との振り返り面談で「自分らしい」モーションを研究してほしいという話があったんです。「自分らしい」とはなにか、いろいろと悩んだ結果、とにかくアニメが好きなので自分が好きなアニメの良さをモーションに落とし込むことが自分らしさに繋がるかもしれないと考えました。
アニメのシーンをトレースし、制作者は「このシーンで何を伝えたかったのか」を考えながら気づいた点を資料にまとめてチームに共有するようになりました。
Slackの雑談チャンネルで展開していたのですが、アニメーターの名前に反応してくれたり、リアクションをたくさんいただけたので「このシーンを取り上げたら反応しやすいかな?」という観点で選ぶこともありました。
研究したいと思うアニメのシーンを見つけたら随時やるという感じで、1日1時間・週3-4日くらいの頻度で業務後や休日に地道に続けていました。
演出研究会の発足
そんな中、クリエイティブ部として3D強化の方針が発表され、自分の研究をベンチマークにして演出研究会をチームで立ち上げることになりました。
3Dは多方面からの見せ方ができるので、モデル・モーションの魅力を120%出すためにはカメラからの見え方を考える演出が必要です。逆に演出が悪いと全て台無しになる可能性があります。また、演出を使う事で画面でストーリーを伝える力(ストーリーテリング)が増し、説得力のある注目度の高いコンテンツにすることができます。
今後より魅力的なゲームづくりをしていくために、アニメーションチームとしてさらに演出力を向上させていく必要があり、はじまった取り組みです。
もくもくと自分のために取り組んでいたことですが、こうして全体での取り組みにつながったことは嬉しかったですし、感慨深くもありました。「皆で取り組むと、どうなるだろう?面白そうだな」とわくわくしたのを覚えています。
演出研究会の運営
1チーム6名ほどに分かれて一人が進行役となり、1つのシーンに対して皆で意見交換をしながら進めています。
シーンを選んだ人は、
- 何のアニメの何話のシーンなのか
- 簡単なシーンの説明
- 選んだ理由
を共有し、初見でどう感じたか、どういう意図でこういう演出になったのか、どうすれば自社で再現できるか/活かせるかなどの観点で話し合います。
演出にとってまず大事なことは、
- そのシーンで伝えたい事を明確化すること
- キャラクターを理解した上で魅力的に見せること
- いま世の中で何が流行しているか理解し、何が目新しいか理解すること
と考えているので、このあたりは特に意識して研究しています。
会が終わった後は社内Wikiに情報整理して展開しています。
当初ひとりで運営していたのですが、回らなくなってきたのでアニメーションチームのメンバーに声をかけて一緒にやっています。
みんな応援してくれたり、協力的なのはすごくありがたいです。
運営する上で特に意識していること
ひとつは参加ハードルを低くすることです。
参加人数は徐々に増えており、職種問わず20名超が集まっています。
会のやり方はトライアンドエラーを繰り返して変えてきました。
とにかくまずは質より量、継続が大事だと思っています。
はじめは知識が必要だったり制作コストがかかる形式で参加ハードルが高かったのですが、なるべく参加者が増えるよう楽なやり方に変えました。
もうひとつは意見を否定しないようにすることです。
アニメーションに絶対的な正解はなく、それぞれが感じたことがすべてだと思っています。
目的は個々の能力をのばすことなので、否定してしまうと意見もしづらくなってしまいますよね。
否定はせず、なるべく別の観点で意見を伝えるようにして少しでも新しい気付きを得てもらえるように意識してコミュニケーションをとっています。
ポケラボは技術習得に前向きで、自分の持つ技術をオープンにしてくれる人が多くいることが大きな魅力だと感じています。
演出研究会は、私自身もたくさんの新しい気づきを得られる場です。
今後、実現していきたいこと
まずは技術力の向上が第一で、個人的な観点としてはふたつあります。
ひとつは、作家性の言語化です。
クリエイティブの仕事は個々のスキルによってしまう部分が大きいですが、なるべく言語化してデータベースに落とし込み、誰が担当しても最低限のクオリティラインをポケラボとして担保できるようにしていきたいです。
もうひとつは無駄なシーンのないものをつくることです。
無駄なシーンを見せるのは、見ている人にストレスを与える事になってしまいます。
作り手が伝えたい事をシーンでしっかり表現する事が、作品の信頼や安心感に繋がっていくと考えています。
その上で、新規ゲーム開発の助けになるような提案ができる人を増やすことです。
新規開発で取り扱うIP/作品に対して「こういう研究をして、こういった表現ができそうですがどうですか?」と積極的に提案していけるようにしたいです
さいごに
個人的な取り組みがいつの間にか部署を巻き込んだ大きな取り組みになっていました。
最初は小さくても行動して発信し続けていると、周りの人を巻き込んで大きな活動ができるようになる可能性があることを実感できた経験になりました。
改めて継続することはとても大事だと感じます。
これからも自分にできることを着実に積み重ねながら、みんなでより良いゲームづくりをしていきます。