「内省支援力」を磨き、個人のキャリアオーナーシップ向上を支援する——キャリアアドバイザー(CA)の今とこれから
「納得感ある意思決定を支援するサービス」を目指して事業を展開している、dodaエージェント事業部。今回は事業部の中で、個人のキャリア支援を担当するキャリアアドバイザー(CA)にフォーカスします。CAとしてのキャリアを積んでいる今野ふう子さん(2012年入社)と事業部長の大浦征也さんに、CAの仕事の現在地と、これからの展望について語ってもらいました。
「自分の意見がしっかりある」ことが、CAにとって重要な適性
—— 今野さんは2012年に新卒で入社し、法人営業(RA)を1年経験した後、キャリアアドバイザー職へと移っていますが、実は当時、この異動辞令を出したのが大浦さんだったそうですね。
今野:そうなんです。正直なところ、当時はRAとして成果を残せなかった悔しさもありました。でも先輩方が私に適性があると見出してくれたなら、CAとしてがんばってみようと思ったんです。それが、気づけばもう9年目を迎えました。
大浦:今でも記憶にありますよ。新人時代の今野さんを見て、すごく「キャリアアドバイザーになってほしい」と思ったんですよね。
—— 今野さんのどんなところが、CAに向いていると思ったのですか?
大浦:自分自身の意見とか考え方の軸をしっかり持っているところですね。ある意味自分なりの主観を持つことが、CAにとって重要な要素の一つなんです。実は、明確な意思を持たない人が、他者の意思や価値観を尊重することは難しいですからね。
自分の意見も、多様な価値観の一つであると思えているかどうか。また自分の価値観とは異なっていて理解できない考え方と出会ったときに、「なぜこの人はそう考えるのか?」「その背景には何があるのか?」という部分に思考を伸ばすことができるかどうかが、個人のキャリアを支援していく中では非常に大切です。
今野:新人時代はそれが裏目に出てしまい、求職者の方に自分の価値観を押し付けるような形でキャリア支援を行ってしまっていた時期もありました。でも自分の主観を大事にすることと同様に、異なった価値観や考え方、意見を等しく尊重することの大切さに気がついてから、サポートの仕方が変わったと思います。
大浦:それが、CAの仕事の難しさでもありますよね。キャリア支援の仕事には、決まった「正解」が存在しません。例えば業界トップのエクセレントカンパニーに転職することが、すべての人にとって幸せなわけではありませんから。
だからCAは、相手の持つ価値観や考え方を踏まえたうえで、その人が「なぜその選択をするのか」という“意味付け”を支援していく必要があります。私たちはそれを「納得感のある意思決定を支援する」と表現しています。
何よりも大切なのは、自分自身で納得して選んだ選択肢を、これから自分にとっての「正解」にしていくんだ、という気概で入社日を迎えてもらうことだと考えています。
時代と共に、CAに求められる役割はどのように変化したか?
—— 今の二人のお話は、CAの仕事の本質的な部分ですね。一方で今、時代が大きく様変わりし、人材業界・転職市場も刻々と変化しています。この10年の間に、CAに求められることはどのように変化しているのでしょうか?
大浦:まず大前提として、人の価値観や可能性が多様化することで、働くうえでの選択肢が増えていますよね。これまでは「転職するか・しないか」「A社にするか・B社にするか」という選択をサポートすることが主でしたが、今は転職しなくても副業でパラレルワークをしてもいいし、フリーランスになってもいいかもしれない。これからはそうした多様な選択肢に、CAもアジャストしていかなければなりません。
また情報の非対称性も薄れています。一般的な転職ノウハウのようなものはWebで調べればすぐに見つかってしまいますし、オンラインコミュニティなどを利用して、気になる企業に勤める人に話を聞きにいくこともできてしまいます。だからこそCAは個人に誠実に向き合い、より深いところでキャリア支援を行っていく必要があります。
今野:今、大浦さんのお話を聞きながら記憶をさかのぼっていたのですが、9年前に私がCAになった頃は、「その方のスキルを正しく理解する」「そのスキルが活かせる求人を具体的に語れるようになる」そして「求人票にない情報も伝えられるようになる」という3つのスキルを軸に指導を受けていました。
それから長い時間を経て、マネージャーになった自分がチームメンバーと今、注力しようとしているのは「内省支援力を上げる」ということなんです。
世の中にあふれた情報や、多様化する職業選択の手段をどのように使い、自分の働き方を選び取っていくのか——自分にとって一番良い選択をするためには、自分自身をよく知っていないと難しいですよね。でも実は、自分のことを深く知る機会がないままキャリアを重ねている人の方が多いように思います。
だから今、CAが果たせる役割の一つは、相手に対して適切な問いを投げかけて、その人の根本的な課題や、将来的にありたい姿を一緒に紐解いていくことなのではないかと思っています。
CAに必要なスキルは「内省支援力」と「プロジェクトマネジメント力」
—— これから先、転職市場ではおそらくデータによるマッチングなどの活用が進むと予測されます。そんな中、今の今野さんのお話は、このサービスにおいて人(=CA)が介在する価値にも通じることですね。
今野:そうですね。いくら正確なデータを基に「あなたはこんな特性があります」「こんな企業にマッチします」と提示されるようになったとしても、納得感のある意思決定をするためには、誰かとの対話が必要だと思います。
自己肯定力、自己効力感をしっかり感じてもらうために人が介在する価値は大きく、それが実行できるCAはこれからも必要とされるのではないでしょうか。
大浦:その人自身の選択、意思決定にどんな意味があるのか、しっかり紐づいたストーリーを描いて対話を重ねることは、人にしかできません。また、誰かの選択に対して「いいと思います!」と背中を後押しすることも、人にしかできないことなんですよね。これからはそうした役割が、CAの大切な提供価値になっていくでしょう。
—— 個々人と深く向き合い、寄り添っていく「内省支援力」についてお話いただきましたが、ビジネス的な成果とのバランスが難しいように思います。個人との対話を重視しながら成果をしっかり出しているCAに、共通する特性などはありますか?
今野:私の周りで高いパフォーマンスを発揮しているCAを見ていても、着実に主体的な行動を重ねている人が何より強いのだと感じますね。お客さまと対話し、カウンターパートの法人営業(RA)と情報連携して、求人をピックアップして届け、それに対する声をまた聞いて——という一連のPDCAを、毎日、毎週、毎月……と繰り返して、着々と前に進める人が、高い成果を上げているように思います。
大浦:確かに内省支援だけに注力していては成果に結びつきませんし、そもそもCAは、一度に大勢の求職者の方を担当することになります。その一人ひとりに対してストーリーやスケジュールを設計して着実に実行する、プロジェクトマネジメントのスキルも求められますね。そのあたり、今野さんは業務の進め方がうまいと思いますよ。
今野:ご支援する以上は私も、昨日よりも今日、今日よりも明日の状況が少しでも前進するように働きかけることを心がけていますね。
個人ときちんと向き合い、幅広い支援ができることが醍醐味の一つ
—— 最後に、パーソルキャリアでCAとして働くことのメリット、強みはどんなところにあるか、お二人の考えを聞かせてください。
大浦:働くための選択肢が多様かつ複雑になる中で、パーソルキャリアは人材に関するさまざまなソリューションを持っており、今もその領域を拡大し続けています。そのため転職以外にも求職者の方にご提案できる選択肢が広く、それはCAにとって大きな魅力の一つなのではないでしょうか。
また今後、人材業界ではデータを活用した支援の仕方が進んでいくでしょう。それは当社のように、大量の支援実績データを保持している企業でないと実現できないサービスでもあります。だからこそ、これから先CAとしても発展的な支援の仕方ができる可能性が多いにあると考えています。
今野:私たちは今、「顧客体験価値の向上」を目指してサービスをみなさんに提供しています。事業部としても一人でも多くの方に「はたらく」ことを自分のものにしてもらうことを目標に掲げており、私自身もその考え方に強く共感しています。法人の求人需要に対してその数を合わせるような紹介の仕方ではなく、きちんと目の前の個人と向き合って仕事ができることが、パーソルキャリアでCAとして働く醍醐味だと思います。
転職を成功させることに加えて、私たちのサービスを通じて利用者の方に新たな発見があったり、自分自身のことを肯定できるようになったりと、その方の人生に寄り添ったサポートを追求していく。そうした仕事に従事できることを、私自身は魅力に感じています。
また今、人材業界ではいろいろと新たなサービスが生まれていて、競合は増えつつあります。そんな中で、何にこだわってどんな顧客体験を生み出していくのか、それを一緒に考えて実行していけるステージが今、パーソルキャリアにはあると思います。このステージに立って共に価値を作り出そうという気概のある方に、ぜひ私たちの仲間になっていただきたいですね。