プロフィール
榑林佐和子(Sawako Kurebayashi)
大学卒業後、マーケティングPR会社を経て2010年オズマピーアール入社。大手ナショナルクライアントの食品・消費財のマーケティングPRや、外資系製薬会社の疾患啓発活動、大学広報など、幅広いPR業務に従事。その後、データ×PRや中華圏インバウンド、危機管理などを担うソリューション部門を統括し、新しい武器づくりを推進。さらに対外情報発信の企画編集セクションも担い、PRやオズマピーアールのファンづくりに日々奮闘中。
“答え”を明かす広告、“問い”を投げかけるPR
まず、皆様との関係づくりの“はじめの一歩”として、わたしたちが大切にしているPR(Public Relations)への思い、PRが担う役割について共有させてください。そこから皆様なりの「PRの可能性」を見出していただければと思っています。
PR(Public Relations)は『問うこと』だと、私は思っています。
“答えを用意している”コミュニケーションが広告だとすれば、PRは“いかに考えてもらえる問いを投げるか”というコミュニケーションだと考えます。
問いを投げるとは、「課題を顕在化」させること。本当の問題って、もしかしたらここにあるんじゃないの?と気づかせることです。それこそPRがもつ機能であり本質だと考えています。
かつてわたしが担当させていただいた「痛みを伝えにくい神経性の疾患」をテーマにした仕事を参考に、実際の“問いの投げかけ”について紹介させていただきます。
ある神経性の疾患には、患者にとって痛みが伝えにくく、それゆえ医師にとっては診断が困難、という問題が存在していました。患者は病院を何軒もはしごすることになり、通院を途中でやめてしまうという問題も潜在していたのです。
わたしたちはこの事実に着目し、「患者と医師、両者のコミュニケーションは最適か?」という“問い”を世の中に提示し、さらに解決の糸口となるソリューション提供とあわせて働きかけていきました。
結果、受診患者数は“問いを立てる”前後と比較して7.5倍にも増加させることができたのです。治療をあきらめかけていた多くの方々に最適な医療を受けてもらうきっかけづくりを担えたこの仕事は、社外からも多くの評価をいただくことができました。それとともに、PRの役割や可能性をあらためてわたしに実感させてくれる仕事でもあったのです。
患者だけに限らず、生活するすべての人々を、何かしら特定の行動や志向、条件を持つコミュニティとして括り捉えなおすことで、それぞれに適切なコミュニケーションを考えることが「問い」を発見するための秘訣だと考えています。
PRは、伝えたいことを伝えるだけではありません。だからこそ、アクティブな情報発信だけではなく、いかに世の中の動きを捉え、ディスカッションできるような議題を投げかけていくのかを考えること。それが“PRらしさ”です。
PRが本来もつ“信頼構築”や“広聴”といった機能を含めて、その“らしさ”を活用し、世の中を動かしていける人が、PRパーソンに相応しいのではないかと、オズマピーアールは考えています。
「PRの地位を上げたい」
私がPR業界に足を踏み入れた1994年、PRの地位はとても低いものでした。
当時のPRは、広告代理店にとってみれば、広告やセールスプロモーションの「おまけ」的な位置づけ。情報を記事化(パブリシティ)していくためのソリューションのひとつという見られ方をしていました。
しかし、私にとってPRは、知れば知るほど奥深く、誇りを持って続けていきたい仕事です。「こんなに面白いPRという仕事の地位をあげたい」と想い続けてきたわたしにとって、いまでは業界自体の認知度が向上し、就職先に志望してくれる人も増えてくれた現状をとても嬉しく思っています。
一方で、華やかなイメージが先行しすぎているのも、また事実。
これは、PRとは何かを説明してこなかった私たちの責任にあります。日々の業務に取り組むだけでなく、PR本来の役割を伝えていくことも、これからのわたしたちの使命だと考えています。
ともに考え、ともに伝えていってくれる仲間を増やすことは、人事部門を統括する身として大きな責任を感じています。
PRパーソンが新たなビジネスのタネを生む時代へ
さきに紹介させていただい疾患啓発の仕事は、大変うれしいことに海外アワードでも賞をいただくことが叶い、PRパーソンの着眼や機能をあらためて実感させてくれました。と同時に、これからはその力を備えたPRパーソンから多くの起業家が生まれるような風潮ができるかもしれない、とも期待しています。
PRパーソンは、潜在的なニーズを捉えながらコネクションしていく力を持っています。世間一般のニーズに合わせて商品やサービスを提供し、人とマッチングさせていくことができる能力は、PRパーソンの専門スキルです。これまで、PR業界にはサポート役気質の人が多いイメージもありましたが、こうした専門性を活かせれば、いまよりも多くのPR出身の起業家や経営者が出てくる、そのように思っています。
憧れの起業家はPRパーソンだった、そんな理由でPRを目指してくれる人が増えてくれることに期待します。オズマピーアールでも、自社発信で世の中に“問い”を提示できるような事業開発への取り組みをはじめています。自分たちが率先して事業の芽をつくり、PRの真価を伝えていく。それが、オズマピーアールが次に目指す在り方です。
あなたの個性や経験を価値付けませんか?
オズマピーアールでは、以前より“COLORFUL OZMA”を標榜し、多様な人材が活躍できる会社として成長してきました。米国テキサス州オースティン・オレゴン州ポートランドでは、地元を愛する人たちが自らのオリジナリティを“Keep Austin(Portland) Weird”と表現しています。“COLORFUL OZMA”を大切にしている我々も、この価値観を共有できる皆さん、自分を“Weird”と思っている皆さんを歓迎しています。
オズマピーアールは“失敗を許容する会社”です。
『第一級のプロフェッショナル』になるための沢山の失敗を重ね、そこで得た経験を糧に、自己成長、自己実現を推進する場としてオズマピーアールを選択してくださることを願っています。