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デジタル技術によるビジネスの変革を意味するDX(デジタルトランスフォーメーション)が、これからの企業成長には欠かせないと言われています。オイシックス・ラ・大地においても、システム基盤やアプリケーションを刷新し、会社全体のパフォーマンスを劇的に向上させていくDX改革プロジェクトが現在進行中です。
このプロジェクトの目玉のひとつが、AIや機械学習によるデータ活用です。社内に蓄積された食にまつわる膨大なデータを誰もが活用できる環境をつくり、お客さまへ提供する体験価値の向上をはじめ、様々な領域におけるイノベーションを目指しています。
そして、このビジョンを実現するため、強力なメンバーが新たに加わってくれました。データサイエンティストとして、様々な企業のビジネス課題解決に取り組んできた中野高文さんです。転職を決めた理由など、中野さんに話を聞かせてもらいました。
量子情報論の世界から、ビジネスの世界へ
── はじめに、中野さんのこれまでのキャリアについて聞かせてもらえますか?
中野さん:
もともと物理や数学が好きで、高校卒業後はイギリスやカナダの大学・大学院で、量子コンピューターを作る量子情報論を専攻していました。ただ、量子情報論は大きな可能性のある分野ですが、エンジニアリングの壁がものすごく高く、なかなか実用化にたどり着けていないんですよね。
そこで、自分が学んできたことを実社会で活用したいと思い、研究の世界からビジネスの世界へと移ることに決めました。
これまで2社を経験して、顧客企業のビジネス課題をデータ活用の側面から解決するデータサイエンティストとして働いてきました。前々職はフランス系のアドテクノロジーの会社。前職は、AIや機械学習によるデータ分析のプラットフォームを提供するDataRobotという会社です。
中野高文さん
2022年4月入社。海外の大学院で量子情報論を研究後、フランスに本社を置くリターゲティング広告サービス Criteo社にデータサイエンティストとして入社。その後、機械学習のトップランカーが多く在籍するDataRobotのデータサイエンスデイレクターとして大手小売・消費財メーカー数十社のデータ活用に貢献。
── データサイエンティストというと、具体的にどういった仕事を相談されることが多いんですか?
中野さん:
例えば、前職では小売業や消費財メーカーを担当していましたが、「データを活用して、廃棄や欠品を減らせないか?」といった課題をいただくことがありました。その際、過去の売上や商品在庫といった基本的なデータから、商品配置場所・広告・天候など様々なデータを元にモデリングし、「各商品がどれくらい売れるかを予測し、需要と供給がマッチする追加注文量」を算出しました。
ただ、こうしたアルゴリズムや予測モデルの実装は仕事の一部です。「社内に蓄積されたデータをビジネスに活用していきたい」という企業が増えるなかで、ビジネス課題の洗い出しから達成目標の明確化・仮説立案・業務への落とし込みなど、データサイエンティストに求められる領域は広がっていると感じます。
数学や統計の知識が必要なのは言うまでもなくありませんが、それ以上にビジネスの本質を見極める力が求められる仕事です。データサイエンティストの定義は、人によって違うかもしれませんが、私はこのように捉えていますね。
データ活用を通じて、食の課題解決に挑みたい
── そんな中野さんが、オイシックス・ラ・大地を新しい職場に選んだ理由とは何だったのでしょうか?
中野さん:
ひとつは、それまで外部から企業のデータ活用を支援する形だったので、事業会社のなかでデータ活用を推進してみたいと思ったことです。
需要予測や物流の最適化、顧客分析や広告費の最適化。AIや機械学習を用いたデータ活用は、企業活動におけるあらゆる場面で生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。事業会社に属することで、様々な角度から企業の成長に貢献してみたいと思いました。
また、働き先は小売業を希望していました。前職で小売業の企業と多く関わってきた経験から、小売の世界はまだデータ活用が進んでいなく、データサイエンティストとして会社へ与えられるインパクトが大きいと感じていました。
中野さん:
そのなかでオイシックス・ラ・大地に惹かれたのは、「食」に興味があったからです。私自身、美味しいものを食べたり飲んだりすることが大好きなんですが、食の世界の課題って複雑で解決が難しいものが多いんですよ。
例えば、青果などは生産量が気候に影響されるので不安定で賞味期限も短いですし、顧客への食のマッチングする際にも好き嫌いやアレルギー等の多くを考える必要がありますよね。そこでデータ活用によって食の課題を解決し、より良い食の体験の提供に貢献できたらと考えました。
また、面接から入社まで10人以上の方と話をする機会を作っていただいたのですが、その中で一緒に働きたいメンバーに多く会えたのも大きな理由です。
例えば、私が所属するシステム本部の本部長の大木さんはアマゾンジャパンで事業を統括する立場で働かれてきた方です。世界的にみてもデータ活用が進んでいる企業で活躍されていた方が新しく加わって、パワフルに会社を変えていこうとされている。そうした環境で働くことは魅力的に映りました。
社内横断でデータ活用できる体制を立ち上げ中
── 入社後まだ1ヶ月ですが、現在はどんな取り組みをしているんでしょうか?
中野さん:
現在は、データマネジメントオフィスの立ち上げをしています。現状、部門ごとにデータがバラバラに管理され、整理もされていない状態なので、社内横断で一元的にデータを活用できる体制をつくろうという動きです。データを集め、蓄積し、活用する際のルール決めなども行っていきます。
立ち上げが落ち着いたら、蓄積されているデータをどのように活用していくかを本格的に着手していきます。多くのメンバーが簡単に最新のデータを見て分析できる環境づくり。また、需要予測などの経営課題として優先順位の高いところから、AIや機械学習を用いた解決も進めていきます。
また、オイシックス・ラ・大地では、システム基盤やアプリケーションを刷新し、会社全体のパフォーマンスを向上させる『DX(デジタルトランスフォーメーション)改革プロジェクト』を社内全体で推進していますが、そのプロジェクトにも関わらせてもらっています。
── 現状、特に中野さんが取り組みたいと思う課題があれば教えてもらえますか?
中野さん:
色々と考えていますが、データを活用したお客様への商品提案の最適化はやっていきたいですね。
例えば、Oisixでは「定期ボックス」という機能があります。お客さまの購入履歴をもとにした提案商品が買い物カゴにあらかじめ入っていて、お客さまはその中から不要な商品を削除したり、欲しい商品を追加したりします。ただ、機械学習などの技術を駆使することで、定期ボックスの精度向上の余地は大きいと思っています。
また、ヘルスケアなどのデータと組み合わせることで、健康的な食生活を送るためのパーソナルなメニューの提案も実現できると思います。多種多様なデータが簡単にとれる時代なので、データを掛け合わせ、新しい価値提案の実現にも挑戦していきたいです。
課題解決の領域の広さに、やりがいを感じる
── データサイエンティストの中野さんから見て、オイシックス・ラ・大地はデータ活用によって飛躍的に成長できる可能性が高いということなんですね。
中野さん:
そうですね。特に、私がオイシックス・ラ・大地に大きな可能性を感じるのが、食にまつわるサプライチェーン全体を扱っている点です。
データ活用をすることで、川下である食卓の課題はもちろん、川上である生産者さんの課題を解決することもできますし、川中である流通や物流の課題にアプローチすることもできると思います。サプライチェーン全体で課題解決に取り組むことで、持続可能なビジネスを築けるのではないかと思います。
食を扱う企業は多くありますが、食品を作るメーカー、食品を流通させる卸、食品を得る小売と分断されています。特に、青果では卸売、仲卸などの複数の卸を経由することが多くあります。そうすると、どうしても根本的な解決が難しくなってしまう。
その点、オイシックス・ラ・大地は川上から川下まで膨大なデータを持っているので、データ活用によって様々なことが可能になるのではないかと感じています。
中野さん:
また、川下に関しては、保育施設向けに食材を提供する『すくすくOisix』など、事業者向けのサービスもはじめていますよね。今後、介護施設や医療施設向けに食材を提供するサービスも立ち上がるかもしれません。
サプライチェーンの出口となる川下にも様々なお客さまがいることも、オイシックス・ラ・大地のユニークなところのひとつですよね。やはり「食」はあらゆる領域で欠かせないものなので、価値提供できる先が無限にあるように感じます。
オイシックス・ラ・大地は「食にまつわる社会課題をビジネスの手法で解決する」を理念に掲げる会社で、今後も様々な事業が立ち上がってくると思います。特に現在「ビジネスモデルとテクノロジーの力で、地球にも人にもよい食を提供する」を成長戦略に掲げ、データやテクノロジーを活用したサステイナブルリテール(持続可能型小売業)の実現を目指しています。それらの活動をデータ活用の面から支えていくことに、やりがいを感じます。
── 最後に、オイシックス・ラ・大地では採用を強化していますが、どんな人に加わってもらいたいと中野さんは思いますか?
中野さん:
入社して間もない私が言うのもなんですが、いろんな領域に関心がある人に加わってもらえるといいなと思いますね。エンジニアなんだけど、ビジネスにも興味があるとか。マーケティングが専門だけど、データサイエンスにも関心があるとか。
オイシックス・ラ・大地が、食の世界で数多くのイノベーションを継続的に起こしていくためには、ビジネスとテクノロジーとデータの架け橋となれるような人が活躍できる環境をつくることが大切だと考えていて、私自身、そうした環境づくりに貢献していきたいです。
執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部