Geeks Who Drink in Tokyo -SaaS Marketing Edition- (2019/03/20 19:00〜)
Geeks Who Drinkとは? Geeks Who Drinkはプログラマーやデザイナーなどを対象に、技術やデザインについて語りつつ飲みつつ交流をする、ミートアップイベントです。 ...
https://nulab.connpass.com/event/121598/
こんにちは。ヌーラボで「コミュニティマネージャー」をしています、メギーと申します。メギーと呼ばれるようになったのはヌーラボに入ってからなので、ほんのここ2年くらいです。でも、ずいぶん「メギー」が定着しました。今や私の両親も「メギー」って呼んできます。
さて、今日は
説明したいと思います。マーケティングに携わる方なら、最近「コミュニティマーケティング」について耳にする機会も増えたかもしれませんね。SaaSサービスを提供する企業を中心に、「コミュニティマーケティング」に取り組む企業さんが増えてきたように思います。流行ってますね。
「コミュニティマーケティング」はその名の通り、マーケティング手法のひとつです。「マスマーケティング」といえばテレビCMや新聞広告などを用いたマーケティング、「デジタルマーケティング」といえばオンライン広告やSNSなどWebやデジタル技術を用いたマーケティング、「コミュニティマーケティング」といえばコミュニティを用いたマーケティングです。
コミュニティと聞くと、技術系のコミュニティを思い浮かべる方もいれば、「昔ミク○ィで流行ったあれか」と思う方もいれば、地域のつながりかな、と思う方もいるでしょう。どれも間違っていないのですが、大事なのは「核に共有目的がある」ことです(そもそもコミュニティの語源はラテン語で「共有」を意味するCommunisから来ているそうです)。単なる人の集合体でなく、なにか同じ目的を共有している人たちの集まりである、ということですね。
共有目的がある方々の能動的な動きを活用して、企業のマーケティングに活かそうというのが「コミュニティマーケティング」です。ここで間違ってはいけないのは、「コミュニティに対して製品を売る」のではなく、あくまで「コミュニティを通して製品を広める」のが「コミュニティマーケティング」であるという点です。ちょうどファンが口コミで新たなファンを連れてくるように、です。
日本でコミュニティマーケティングを大変上手に実践されているひとつの例が、AWS(Amazon Web Services)のユーザー会 JAWS-UG でしょう。2010年という、「コミュニティマーケティング」が日本で注目されるよりもずっと前に発足している JAWS-UG は、今や日本全国に70以上の支部を持ち、毎週のようにどこかでイベントが開催されています。2019年2月には、 JAWS-UG が開催するイベント「JAWS DAYS 2019」に2,000名規模のご来場があったというのですから、もう本当スッゲーな!と思いますね。
(この JAWS-UG 立ち上げを担った、ヌーラボの社外取締役も務めてくださっている小島英揮さんによる「コミュニティマーケティング」の説明漫画がWeb担で公開されているのですが、これがまためちゃくちゃわかりやすいので、ぜひ読んでみてください。)
試しに、想像してみてください。あなたの会社のサービスを利用しているユーザーの方が、「ユーザー会をやろう!」と計画し、既存ユーザーを集め、あなたの会社のサービスの魅力について語り合ったり、より上手に使う方法はないかディスカッションしたり、その様子をブログでレポートしたり…。導入に迷っている方がいたとき、ユーザーの方がご自身の実例をもとに、あなたの会社のサービスのできること・できないことを説明してくれたり…。活用方法に困っているユーザーさんが、「そうだ!ユーザーコミュニティに相談すれば解決するかも」と思ってくれるようになったり…。
「マーケティングチームがリード獲得して、営業チームが訪問して、申し込み後はサポートチームがフォロー」っていう流れを、コミュニティが代わりに担ってくれる。…とまぁそんな簡単には上手くいかないものですが、それだって、決して夢の話ではありません。
さて、ヌーラボも「コミュニティマーケティング」に取り組んでいます。Backlogという、100万人以上の方が利用してくださっているプロジェクト管理ツールのコミュニティ「JBUG(Japan Backlog User Group)」が2017年6月に発足されたので、もう間もなく2年が経とうとしています。ジェイバグ、と読みます。開発者の方なら「バグ」という響きにヒヤッとされるかもしれませんね。そこは本当ごめんなさい。
Backlogのユーザーコミュニティ「JBUG」プロジェクトは、それこそ、何から始めてよいのやら分からないゼロの状態から始まりました。そこで、Backlogのユーザーさんと交流の場を何度も設け、(現在「JBUG」運営メンバーとして大活躍してくださっている方々を中心に)色々と相談を重ねていった結果、2018年半ばくらいから、「プロジェクトマネジメントを学ぶ」という共有目的が「JBUG」の核になりました。
運営を担ってくださるメンバーの方々も少しずつ増え、今振り返ってみると、累計500名ほどのBacklogユーザーさんが、北海道、東京、神戸、大阪、広島、岡山、福岡、沖縄で行われたオフラインイベントに参加してくださっています。2019年1月26日(土)には、東京・秋葉原で、JBUG主催としては初となる大イベント「Backlog World 2019」も行われ、大盛況に幕を閉じました。(そのときの感激はこちらのブログで読んでください。) 年間15回程度のペースで行われているJBUGのオフラインイベントも、「Backlog World 2019」も、運営メンバーに金銭的なキャッシュバックは行われていません。Backlogは代理店制度を設けていないので、そういう意味では、直接的なメリットはあまりないと言えます。それにも関わらず、日本全国でBacklogユーザーさんが主体的に動いてくださっているのは、とても驚くべき、そして大変嬉しいことです。
ところで私は、新卒~ヌーラボに入る直前までの5年間、東京の人材ベンチャーで「100万円単位の前金型人材広告営業」として仕事をしていました。お恥ずかしながらナーチャリング能力が当時あんまり高くなかった(注:今が高いとは言っていない)ので、決裁者アポをいかに効率的に獲得し、初回アポでイエスと言ってもらえるかがもっとも関心のあるテーマでした。というわけで自らの経験から、リード獲得の方法は色々あるにせよ、「サービスやモノが売れるには訪問営業が不可欠だ」と思っていました。今振り返れば、扱っていたサービスがWebのみで完結しないこと、サービス品質を左右する要素として「営業マンとの相性」も大きいこと、そして一発低〜中単価であることなど、サービスに合った販売戦略…というかストーリーがあるということに尽きますが、5年間も訪問営業が当たり前の世界にいたので、営業マンのいない会社なんて信じられませんでした。営業マンって言い方はもう古いか…。
しかし、もともとWeb開発者3名によって立ち上げられたヌーラボには、2017年入社当時営業の役割を担うメンバーがおらず、じゃあどうやってBacklogをはじめとした法人向けのサービスを伸ばしてきたかというと、「口コミ」と「インバイト」だと教えてもらいました。プロジェクト進行は往々にして、自社のみで完結せず、社外メンバーを招待して一緒に使い始めるのです。招待されるがまま使い始めてみてBacklogの良さを実感した方は、別のプロジェクトが始動するタイミングでBacklogを導入してくださる、という流れです。しかもBacklogは無料お試し期間のあるSaaSサービスで、利用を迷っているユーザーは、気軽に自分のチームにフィットするか試すことができます。サブスクリプションモデルで単価が高くないため、よほど大規模利用をキメない限り、訪問営業の人件費をペイできないサービスだ、とも言えます。(NetflixやApple musicのようなサービスがわざわざ営業に来てくれないのと同じですね)
だから、Backlogを10年以上前から使い続けている方は、もう何名のBacklog新規ユーザー獲得に寄与してくださったか分かりません。「Backlogでプロジェクト管理をすると楽だから、関係者を招待して一緒に使おう」「こんな風に使うともっと便利になりますよ」という風に。面白いことに、Backlogを便利に使ってくださって、欠点も含めて愛してくださって、(時に厳しめのフィードバックもくださったりして)一緒にサービスを育ててきてくれた方が、いわばBacklogの超優秀な営業マンだったわけです。そして、ユーザーさんサイドから見ても、「Backlogを当たり前に使ってくれる人が増えれば増えるほど、仕事が楽になるわ…!」というメリットが生まれていました。もう言うまでもないですが、コミュニティマーケティングは、このようなサービスには非常に合うマーケティング手法でした。
余談ですが、Backlogの一連の販売ストーリー(ユーザーさんが新たなユーザーさんを呼んでくる)の中で私のお気に入りのポイントがもうひとつあります。それは、「開発者がまっとうにサービス開発に向き合える」ことです。「口コミ」と「インバイト」がユーザー獲得のキモになっているということは、言い換えると、ユーザーが喜んでくれないと新たなユーザーさんが増えないということでもあります。短期での営業売上増を狙った機能開発は、開発者のモチベーション低下を引き起こすし、長期的にはファンを減らしてしまうことがあります。開発者がユーザーの声を聞き、ユーザーと対話や議論を重ね、それらをひとつひとつサービスに反映させていく長い道のりの中で、Backlogはユーザーのみなさんに育ててもらったのです。
立ち返って、「コミュニティマネージャー」の具体的な仕事内容などについて。「コミュニティマネージャー」は、その名の通り、コミュニティのマネージャーです。私の理解では、管理するという意味合いのマネージャーではなく、運動部のマネージャーのようなものです。つまり、スラムダンクの彩子さんのようなものです。
コミュニティの主役はユーザーさんです。コミュニティの立ち上げ時には、企業側(コミュニティマネージャーはもちろん、営業メンバーやマーケティングメンバー、サポート、開発者も)が一生懸命ユーザーさんを焚きつけるべきフェーズがありますが、ユーザーさんが「継続したい!」と思えるコミュニティを作らなくてはいけないので、ユーザーさんの声を何より大事にすべきです。どんなコミュニティだったらユーザーのみなさんにとって価値があるだろうか?どんなイベントを企画すれば来たいと思ってもらえるだろうか?「コミュニティマネージャー」がコミュニティを作るのではなく、一緒に作っていってもらうことが大切です。私が思うに、「コミュニティマネージャー」の最重要な仕事は対話です。(結論までが長かったですね。ごめんなさい)
改めて、「コミュニティマネージャー」は、「コミュニティマーケティング」の実践を通し、サービスと企業の成長に貢献することが求められています。その手法として、ユーザーさんと一緒にユーザーコミュニティを継続、かつ発展させていくことがミッションです。具体的な仕事内容として、オフラインイベントの企画と運営のサポート、オンライン・オフラインでのコミュニケーション、継続的なコンテンツ発信(ブログとかSNSとか)などが挙げられます。
どのあたりが「スラムダンクの彩子さんのようなもの」なのか、繋げられそうにないので、ウケるのでは?という安易な理由で適当なことを書くもんじゃないなぁと反省しています。スラムダンク、途中で読むのやめちゃったしなぁ。
キャリアとしては、私のように元営業でも、開発者でも、マーケでも、カスタマーサクセスでも、合う人は合うだろうなと思います。バックグラウンドよりも、対話や巻き込み(ユーザーさん、社内どちらも)が得意な人が向いていそうです。「マーケティング」観点で言うと、SNSやブログなどオンラインでの拡散を狙わないのは現代では考えにくいので、オンラインでの発信が得意なことも重要になります。
逆に言うと、短期で目に見える成果を出すことが難しかったり、あくまで人の集合体であるため不確実性が高かったりするので、そのあたりへの耐性がなさすぎても辛いと思います。多くの場合夜の時間帯でイベントが発生すると思うので、「夜は出来るだけ外出不可です」という状況の方も、他の職種のほうがパフォーマンスを発揮できる気がします。男女は関係なさそう。
ちなみに今のヌーラボの場合、JBUGが立ち上がったタイミングなので、0→1よりも1→10という感じです。…と書いた方がわかりやすそうなのでそう書きましたが、実際は0.5くらいだと思います。
【戦略】【行動】のどちらが大切か?みたいな指標があったとしたら、これまでは圧倒的に【行動】が大切なフェーズだったと思いますが、私の感覚だと、ここからは【やや行動寄り、ちゃんと戦略も描く】が大事になってきそうな印象です。
そんなヌーラボが、コミュニティマネージャーを募集しています!!募集の背景としては、これまで私が広報とコミュニティマネージャーを兼任してきましたが、どちらも一人で担える業務量じゃなくなってきたためです。嬉しいことです。開発者じゃないポジションの募集はとても珍しく、かつ、コミュニケーション系スキルが(も?)求められる職種なので、ビジネス好き×人好きの方にぜひ挑戦していただきたいです!