創業5年を迎えた、NOT A HOTEL。
累計の契約高は400億円を突破、オーナー数は約800名に届く。この急成長するこの事業を内側から支え、次のステージへ押し上げるべく発足したのが「Business Accelerator(以下、BA)チーム」だ。従来のIT部門やデータチームの枠を超え、会社そのものの進化を加速させる存在として位置づけられる。
2025年3月25日、NOT A HOTELはBAチームを主体としたオンラインイベントを開催。「データ、Salesforceをどう活用する?」をテーマに、チームのビジョンや具体的な取り組みを紹介した。
登壇したのは、CTOでありBAチームをリードする大久保貴之、業務のシステム化とIT基盤の安定運用を担う梶原成親、そしてデータを活用した経営判断と業務改善を支援する齋藤孝一。彼らが描く「組織の超進化」とは何か。そして、テクノロジーとデータが事業をどう加速させるのか。BAチームの可能性を探っていく。
登壇者プロフィール
齋藤 孝一(Business Accelerator)
株式会社Photosythを共同創業し、スマートロックAkerunの開発に従事。その後株式会社サイバーエージェントにて小売企業向けのデータ利活用コンサルティングを担当。2023年7月にNOT A HOTEL参画し、主に社内のデータ・AI活用の推進を担当。
梶原 成親(Business Accelerator)
リクルートにて、HOTPEPPER Beautyの開発責任者を担当。Pairsを提供するエウレカ入社、Agileコーチとして開発チームのプロセス構築改善を担当。その後Yappli,PLAIDにて情シスを担当しNOT A HOTEL参画。
大久保 貴之(取締役 CTO)
九州工業大学博士課程修了。博士研究員を経て、2012年株式会社カラクルを創業。2017年M&Aにより株式会社ZOZOグループ入り。株式会社ZOZOテクノロジーズ執行役員に就任。2021年10月、NOT A HOTELに参画。
目次
- 登壇者プロフィール
- 組織の内側からビジネスを変革する
- 「広さ×深さ×速度」に挑む
- ビジネスインパクトを生む、データ活用の実践
- 10倍ではなく、100倍の変化を目指す野心
- 「現場」と二人三脚で価値を創出できる
- 採用情報
組織の内側からビジネスを変革する
イベント冒頭、大久保はBAチームの概要と設立背景を説明した。2021年のコロナ禍に創業したNOT A HOTELは、社員数も272名(2025年4月時点)となり、その77%がホテルや不動産業界未経験者という特徴がある。全国各地での新拠点開業が続くなか、内部の仕組みも進化させる必要性が高まっていた。
大久保:事業の成長を支えるために整備してきたIT基盤やデータ環境、業務プロセスを、もう一段上の視座で束ねて戦略的に加速させる存在として、BAチームを立ち上げました。
Salesforceを中心とした業務基盤の整備、SaaSの選定と運用、データの可視化、AIの導入など、全社横断のテーマを一気通貫で担い、「すべての人にNOT A HOTELを」届けるための社内成長エンジンとして機能していきます。
BAチームは「組織の考える・動く・進化する」を支える3つの専門チームで構成されています。
まずは「業務のシステム化とIT基盤の安定運用」を担うBiz Techチーム。社内ネットワーク、SaaS、セキュリティ、Salesforceなど、社内のITインフラを支えるチーム。業務のシステム化とIT基盤の安定運用を担当します。
次に「データを活用した経営判断と業務改善の支援」がミッションであるBI(Business Intelligence)チーム。KPI・KGIの策定段階から現場に入り、データウェアハウスの構築・運用、リアルタイムの可視化、ダッシュボードの整備を通じて判断の質を高める「経営の目」を提供します。
そして「AIの探索と導入による働き方の改革」を掲げるBiz AIチーム。AIを組織に自然な仕組みとして根付かせ、汎用的な導入だけでなく各部門に最適なツールの検討から導入、改善まで担当。サービスやプロダクトへのAI活用も推進しています。
梶原:私たちはテクノロジーを使ってビジネスを加速させる存在になるべきだと考えています。インフラ部分はもちろん大事ですが、これは「守り」の部分です。
私たちのリソースは、業務の自動化やプロセス改善、SaaSを100%活用することによる生産性向上に集中させて、会社全体の成長を底上げする存在になりたい。こういう狙いは入社する前からずっと考えてきたことで、部署発足にあたってそのビジョンが一致したんです。
齋藤:データ分析って、受け身の仕事になりがちですよね。でも、僕自身はそれを変えたいと思っていたんです。意思を持ってデータ基盤をつくり、KPIの設定も含めて前のめりに突っ込んでいかないと本当のインパクトは出せません。Salesforce導入プロジェクトに参画したのも、それを実現したいと思ったからですね。
「広さ×深さ×速度」に挑む
BAチームの活動には、NOT A HOTELならではの難しさと魅力がある。登壇者たちはその特徴を「広さ」「深さ」「速度」の3点から説明した。多様な事業領域と変化の速さは高い難易度を生み出すが、同時にそれがワクワク感の源泉にもなっている。
梶原:NOT A HOTELのビジネスはとてもユニークです。別荘の販売だけでなく様々なマネタイズポイントがあり、一つひとつの事業だけで会社ができるほどです。
BizOpsという観点で見ると、ビジネスロジックも多様で実現の難易度はかなり高い。それでいて一緒に働くメンバーは何をするにも協力的なんです。社内システムなどに様々な変化を起こす際も、説明コストが低く、社員全員が協力してくれます。人に起因するストレスが少なく、前に進めることに集中できる組織だと感じています。
齋藤:事業や目標自体にロマンがありますよね。昨年末に代表の濵渦さんが「日本の価値を上げる。」というメッセージを発信していましたが、これも綺麗事ではなく、実績も出ている。これから日本だけでなく海外にも通用するブランドをつくっていくという野心的な部分にワクワクします。
データ活用やSalesforceの観点でも、ビジネスモデルとプロセスの複雑さが面白い。不動産販売と宿泊業の両面があり、さらに新しい展開が次々生まれる。海外展開やDAO(分散型自律組織)によるトークン発行、セカンダリーマーケットの開始など、ビジネスモデル自体が常にアップデートされていくので、対応するオペレーションの発明が常に魅力的なテーマになるんです。
また内製化を基本としている点も仕事のやりやすさにつながっています。一方で、お預かりしている情報には秘匿性の高いプライバシー情報も含まれるため、活用促進とセキュリティ保護の両立は大きなチャレンジです。
大久保:NOT A HOTELの事業は「広さ」という点では、ホテル単体ではなく、不動産、建築、プロダクト開発、オペレーション、セールスなど多岐にわたります。BAが関わる領域もネットワークからSaaS、データ基盤、AIまで非常に広い。
「深さ」では、Salesforceの導入一つをとっても、「なぜこの業務があるのか」という点から一緒に見直し、ゼロから設計していきます。BIも単にダッシュボードをつくるのではなく、KPIが何の判断につながるのかまで突っ込んでいく。
「速度」に関しては、組織も事業も毎日のように変化し、前提が変わっていきます。走りながら設計する力が求められますが、その分、手を入れたところがすぐに動き出し、会社全体に波及していくのを実感できる環境です。
梶原:それこそ2年前までAI関係のツールは、ほぼなかった。そこも内製化の強みで、一気にあらゆるツールを入れて現場に適用しています。Salesforceへのマイグレーションもそう。どんどん環境が変わることによって、新しいことも増え続けます。実際、私たちはまだ創業5年の若い会社。「NOT A HOTELは出来上がっている」なんて思われることもありますが、未整備なところばかりで楽しさにあふれていますね。
ビジネスインパクトを生む、データ活用の実践
BIチームの具体的な活動として、Salesforceの導入とデータの可視化・活用の事例が紹介された。単なる効率化や見える化にとどまらず、経営判断そのものを支える基盤づくりに取り組んでいる。
齋藤:BIチームはデータを使って意思決定に貢献することが目的です。単にSQLを書いて出力するだけでなく、ビジネスの意思決定にインパクトを与えることを目指しています。
また、「取るべきデータがまだない」と気づいた場合は、データマネジメントの側面も担っています。分析テーマとしては、マーケティングやセールス部門では売上予測の高度化やファネルの分析といった典型的なものがありますが、それだけではありません。
たとえば、契約者と向き合うオーナーリレーションのチームでは「満足して追加購入されるオーナーさんの特徴は何か」といった分析や、ホテル運営チームでは「物件の稼働率とオーナーさんの予約取得のバランスをどう最適化するか」といったテーマも扱っています。
物件開発部門ではルームプランの策定に「これまでの実績から、どういった人数での利用が多いか」「ペット対応の需要はどれくらいあるか」など過去データを活用するなど、バリューチェーン全体にわたって様々な分析テーマがあります。
Salesforceに関しては主にセールス・マーケティング部門で活用が進んでいます。SFA(営業支援システム)としての商談管理だけでなく、契約したオーナーさんのホテル利用状況などの情報も連携させ、営業担当者がリアルタイムで状況を把握できるようにしています。
セカンダリービジネスやDAOなど新しいビジネスも登場するなかで、それらをSalesforce上でどう設計し、オペレーションを最適化していくか。これらは重要かつ面白いテーマです。
10倍ではなく、100倍の変化を目指す野心
イベントの終盤では、BAチームが目指す未来について語られた。単なる業務効率化ではなく、事業構造そのものを変革する「超進化」を目指している。
梶原:Business Acceleratorという名前をつけたとおり、ビジネスを加速できる存在になりたいですね。現場には無数の課題があり、優先度の高いものから貢献していきます。何よりも貢献への実感が持てるのがこのチームの良さ。私たちと一緒に、会社の成長をドライブしていける仲間と出会いたいです。
齋藤:データ基盤があるからこそできるサービスも実現していけたらいいですね。例えば、スタッフとオーナーさんのやり取りがちゃんと引き継がれ、すべてのスタッフが同じレベルで情報を共有することで、より質の高いホスピタリティを提供できるようになるはずです。
大久保:やるからには「桁」を変えるような変化を起こしたい。10倍、できれば100倍の変化を生み出せる存在になりたいですね。採用で掲げているバリューにも「"超"ワクワク」「"超"クリエイティブ」「"超"自律」という言葉がありますが、私たちが目指すのは「"超"成長」でもある。
BAチームは単なる効率化のための裏方ではなく、会社そのものを超進化させる仕掛けとして立ち上げました。きっかけは、NOT A HOTELが次のフェーズには、プロダクトや体験だけでなく、組織や仕組み自体がアップデートしないと限界が来るという認識でした。まさに意思ある変化を起こし続ける存在でありたいと思います。
「現場」と二人三脚で価値を創出できる
イベントの質疑応答では、BAチームが求める人材像や実務に関する質問が寄せられた。
──BAチームの意思決定や優先順位づけはどのように行っていますか?
齋藤:オーソドックスな話になりますが、打ち手のコストとビジネスインパクトのバランスを考えています。私は現在セールス・マーケティング領域に注力していますが、これは全社的なデータニーズを探った結果、最もビジネスインパクトが大きいと判断したからです。
基本的には優先順位をつけて一つずつ取り組んでいますが、依頼は本当に次から次へと来るので、スピード感をもって対応することを心がけています。
──選考ではどのような原体験のある方に入社してほしいと思いますか?
大久保:私たちのバリューである「"超"ワクワク」「"超"クリエイティブ」「"超"自律」を体現できる人を求めています。最近は「"超"イノベーティブ」という言葉の方が合っているかもしれません。自分たちが目指すテーマや課題は、発明がないと突破できないものが多いですからね。
NOT A HOTELはフラットな組織で、役割の垣根を超えて協力し合うことが多い。セールスがソフトウェアの設計に関わったり、ソフトウェアエンジニアがビジネスロジックを考えたり、シェフが建築について意見したり。「自分はエンジニアだから営業のことはわかりません」と線引きすると、この組織は成り立ちません。垣根を超えていける人が望ましいです。
大久保:バットを振る機会はNOT A HOTELには本当に多いですし、加速度的に成長できる環境があります。プロダクトに向き合う好奇心や探究心をベースに持っていれば、それがここで大きく磨かれるチャンスがあると思います。
西丸(HR/司会)、梶原、大久保、齋藤 ※右上から時計回り
採用情報
現在、NOT A HOTELのBAチームでは複数ポジションで採用強化中です。 カジュアル面談も受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。
TEXT:Kento Hasegawa
EDIT:Ryo Saimaru