【取締役インタビュー】元ユニクロ日本・アジアCEOが選んだ創業10年のベンチャー企業。「日本一」への挑戦を大笘副社長が語る。
今回ご紹介するのは、国税局でのキャリアを皮切りに、ベネッセコーポレーションで経理部長兼IR室長、ファーストリテイリングで執行役員を歴任し、昨年ネクサスエージェントの取締役副社長に就任した大笘直樹さんです。
■大笘直樹 略歴
l 1981年 4月 福岡国税局 入局(久留米税務署配属)
l 1982年12月 株式会社福武書店(現 株式会社ベネッセコーポレーション) 入社
l 2001年 3月 株式会社ファーストリテイリング 入社
Ø グループ執行役員や株式会社ユニクロ 取締役COO、
ユニクロ日本・アジアCEO、株式会社ジーユー グローバルCOOを歴任
l 2025年10月 株式会社ネクサスエージェント 上級顧問 就任
同12月 同 取締役副社長 就任(現任)
※就任の背景(プレスリリース:https://nexus-agent.com/press/1584)
ベネッセの株式上場やファーストリテイリングの海外進出など、日本を代表する企業の転換期を最前線で支えてきた大笘さん。何を基準にキャリアを選択し、どのように自身の市場価値を高めてきたのか。そして、成熟した大企業でのキャリアを経て、なぜ今「ベンチャー」という挑戦を選んだのか。
2026年1月で創業10周年を迎えたネクサスエージェントから、今回は次の10年の変革を担う取締役副社長・大笘さんをご紹介します。
キャリア選択の評価軸――「安定」を捨てて選んだ自分の人生。
――新卒で国税局に就職、1年半ほどで福武書店(現・ベネッセコーポレーション)へ転職されています。公務員から民間企業へ挑戦した経緯を教えてください。
私は宮崎県延岡市という地方都市で生まれ育ったのですが、当時は地元の学校を卒業し、地元の優良企業や公務員に就くことが「安定した将来」の正解とされていた時代です。私自身もその価値観の中で育ち、福岡国税局に入局しました。両親も「息子が公務員になった」と、ご近所さんに触れ回るほど喜んでくれました。
ところが、実際に働いてみると公務員という組織の中では将来のキャリアや昇給にある程度の限界が見えてきました。公務員はどのランク(種類)の採用試験を選択するかによって道筋がほぼ決まってしまいます。それを知って、「採用された段階で目指せるゴールが決まっている」ことに希望を持てなくなっていったのです。
「もっと自分の可能性を広げたい、努力や挑戦が成果につながる仕事がしたい」という一心で民間企業への転職を決意しました。もちろん、署長や副署長からは強く引き止められ、両親からも猛烈な反対を受けました。それでも直属の上司が背中を押してくれたこともあり、最後まで自分の意思を貫いてベネッセコーポレーション(当時「福武書店」)へ転職しました。
40年のキャリアの根幹にある世界的経営から学んだ哲学
――その後、ベネッセコーポレーションやファーストリテイリングで、企業経営の中枢に携わってこられました。キャリアの中で、最も心に残っている出来事を教えてください。
ファーストリテイリングで柳井正さんと共に過ごした時間は、私の40年に及ぶキャリアの中でも、とりわけ刺激的で深く心に刻まれている出来事です。
柳井さんは商店街にあったわずか2店舗の衣料品店から事業を始めて、私が入社した2001年には海外展開を果たすなど、一代で現在のファーストリテイリングを築き上げました。「世界一のアパレル企業になる」という明確な目標を掲げ、その実現に向かって妥協のない姿勢や、本質を突く経営判断やビジネスの考え方の多くを間近で学ぶことができました。これはビジネスマンとして幸運な出会いであり、柳井正さんの傍で仕事ができた24年間は私の人生の全てだと言えます。その経験は今も私の財産であり、糧となり、仕事への向き合い方や意思決定の根幹となっています。
――柳井正さんのどのような姿勢や考え方に影響を受けましたか?
柳井さんから学んだことは数知れませんが、私の指針となっている代表的な言葉を3つ紹介します。
まず1つ目は、「『誰が言っているか』ではなく、『何を言っているか』で物事を判断する」
役職や権力に惑わされることなく、たとえ相手が誰であっても発言の本質を見極め、自分自身の価値基準で「正しいかどうか」を判断することの大切さを身につけました。世の中にある仕事はどんな職種であれ、全ては「世のため、人のためにある」。自分がやっている仕事は「誰の、何のために役立っているのか」を常に考え実行する。会社や上司のためではなく、お客様のために仕事をすることを徹底して学びました。
2つ目は、「人は、なりたいものになれる」
「なりたい姿」を強く描き、諦めずに努力し続けていれば、必ず応援者が現れチャンスは巡ってきます。年齢や周囲の批判を理由に諦めてしまう人も多いですが、そのような雑音に耳を貸さず、継続することが大切です。数年、数十年かかるかもしれませんが、諦めなければ道は必ず開けると教わりました。
3つ目は、「自分自身の可能性を信じなさい」
柳井さんが従業員によく問いかけていた言葉です。自分の可能性を信じられない人が、他人から見て魅力的に映るはずがありません。自身が「自分の最大の応援者」になることで、活路は開けます。自分を信じて一生懸命に突き進む姿は、周囲を惹きつけ「応援したい」という気持ちを生み出します。この言葉に出会ったことで、私自身もそれまで気づいていなかった新たな可能性を見出すことができました。
世界市場を知る大笘が人生最後のキャリアにベンチャーを選んだ理由
――ネクサスエージェントに出会うまでの経緯を教えてください。
約40年にわたるキャリアの中で、多くの経験や知見を得ることができました。そのため、前職を退職した当初は「残りの人生は、自分の好きなことをして豊かな余生を過ごそう」と考えていたのですが、ある程度は社会との接点を持ちながら必要としてくれる会社があるなら関与することも考えていました。
これまでの知見を活かし、社外取締役や顧問といった客観的な立場から企業の経営を支える関わり方に興味を持ち、2社にエージェントに登録したのです。そうすると思いのほか多くの企業から声をかけていただき、その中の1社がネクサスエージェントでした。
――ベネッセコーポレーション、ファーストリテイリングと経験されてきて、どのような判断軸で次のキャリアを決めようと考えていたのですか?
次は人生最後のキャリアになるだろうと考えたときに、これまで経験したことのない事業分野で新しい挑戦をしたいという思いがありました。
私は17年勤めたベネッセコーポレーションで数億円規模の事業経営(売上高420億円から3,200億円への事業拡大)を体験し、24年勤めたファーストリテイリングでは兆円規模の事業経営(売上高4,000億円から3兆円への事業拡大)を経験しました。ただ、小さな組織を1,000億規模へとスケールアップさせることは、まだ経験したことがありませんでした。人生最後のキャリアとして、その未知の領域に挑戦しようと思ったのです。
――多くのオファーの中から、なぜネクサスエージェントへの入社を決めたのでしょうか?
選考の過程で、ユニ・チャームの創業者のお1人で、現在は弊社の社外取締役を務める高原利雄さんとお話しする機会がありました。その際に「この会社を継続的に発展させるには、“経営の仕組み”と“人材が育つ仕組み”、そして“企業風土”が必要です。そのために入社して、若い社員たちに“経営の厳しさ”と“おもしろさ”、そして何よりも“お客様のために商品・サービスを提供するとは何をすることか”を指導してほしい」と熱意あふれる言葉をいただきました。
高原さんは、ファーストリテイリングの経営を高く評価しており、その中枢として携わってきた私の経験に大きな期待を寄せてくれました。その期待に応えたいと感じたことが、入社を決断した最大の理由です。
7枚のレポートから始まった副社長としての組織変革
――入社後、どのようなことに取り組まれましたか?
不動産業界は未経験で、当初は会社の詳細を深く把握できていなかったため、まず私は会社のことを知るために取締役や従業員の方々とのコミュニケーションを重ね、会社の現状を把握することに注力しました。同時に会社のさらなる成長に必要な要素を洗い出していき、20の課題を7枚のレポートにまとめました。
取締役の方々もそれらの課題に強く共感してくださり、即座に承認されました。これらの改革を主体的に推進していく役割として、副社長に就任することになりました。
――その課題解決に向けて、主に取り組んでいることを教えてください。
現在、私が最も注力しているのは「働き方の改革」と「東京を中心とする関東地区での事業拡大」です。
私たちは「日本一の会社」になることを目標としています。これまでは大阪を中心に事業を展開してきましたが、日本一になるためには東京を中心とする関東地区での存在感が必要不可欠です。
今後はまず東京での営業や採用を強化し、さらに事業拡大を加速させていく計画です。
また、経営において重要なことは、会社がお客様に提供している商品・サービスが、「お客様の求めるニーズに合っているか。お客様に選んでもらうために何を提供すべきなのか」を社員一人ひとりが考え、行動することです。その意識を会社全体に浸透させ、日々の業務に取り組んでもらえるよう注力しています。
成長フェーズのベンチャーで手に入れる将来に活きるキャリア
――どんなところがネクサスエージェントの魅力だと思いますか?
ネクサスエージェントの魅力は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、企業の成長に直接携われること。
事業規模が拡大していく過程にあるため、組織を自分たちの手で理想の形へと創り上げていく醍醐味があります。
2つ目は、挑戦の機会が豊富なこと。
成長フェーズだからこそ、日々の業務を通じて経営視点に触れるチャンスが多く、事業拡大に携われるというやりがいがあります。挑戦を重ねるほど、自己実現に必要な力が身についていく環境です。
3つ目は、若手社員の熱意が企業成長の原動力となっていること。
ネクサスエージェントには若く熱意あふれる社員が多く、切磋琢磨しながら成果を追求する文化が根付いています。知識を貪欲に吸収する仲間と働くことで、若いうちから市場価値を高めることができます。
このような魅力があるのは、岩田代表のもと、創業期から経営指針が明確に示されているからだと思います。 成長フェーズにおいて確固たるミッションやビジョン、行動指針を掲げ、全社一丸となって体現しようとしている企業はそう多くありません。目指すべき方向が明確だからこそ、社員は迷いなく日々の業務や自身の理想と向き合うことができます。
この明確な経営指針のもと、この3つの要素が相乗効果を生むことで、個人の成長と事業の拡大が連動し、さらなる変革を加速させていけると確信しています。
――最後にベンチャー企業を目指す就活生にメッセージをお願いします。
ネクサスエージェントのような成長フェーズにあるベンチャー企業では、個々の活動が会社の成長にも直結します。だからこそ、単に与えられた業務をこなすのではなく、自分で仕事をつくり出し、未知の領域へ果敢に踏み出せる人材を私たちは求めています。
こうした環境を「厳しい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、人生の中で懸命に働き、大きく成長できる期間は決して長くありません。特に30代前半までの期間にどれだけ挑戦を積み重ねてきたかが、40代以降のキャリアの厚みを大きく左右します。
そのため、若いうちから本気で挑戦できる環境に身を置けることは、非常に価値のある経験だと思います。
ネクサスエージェントには、あなたが成長できるチャンスがたくさんあります。不動産業界を舞台に、新しい価値定義を提案していくことを仲間として一緒に取り組んでみませんか。