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社員ひとりひとりが主人公となる人生と社会の実現に向けて「レガシー産業」の未来を考える(後編)

東証2部上場で、ファシリティメンテナンスやメカトロニクス関連の技術者派遣などの技術サービスを手がけてきた当社、マイスターエンジニアリングは、2019年11月に代表の平野大介が主導するMBOにより、株式の非公開化を発表、公開買付けを完了しました。

平野は、このMBOのタイミングを「第二の創業」と位置づけています。そんな平野の想いを前編・後編の2回に渡ってお伝えしていきたいと思います。

代表取締役社長 平野 大介
2005年みずほ証券入社。2014年コロンビアビジネススクールMBA取得。
2014年 マッキンゼー入社。2016年マイスターエンジニアリング入社。
2018年4月 代表取締役社長就任。

MBOの決断は、「このままやっていてもしょうがない」の想いから

前編でお伝えした通り、東証2部上場からMBOにより非公開化に踏み切ったのは、「第二の創業」を謳い飛躍的成長を遂げるためです。あらためてなぜその決断をしたかと問われれば、理由は単純明快です。このままやっていてもしょうがないな、との想いからでした。当然のことながら、上場企業は株主から短期的な成果が求められます。そこでは四半期決算ごとに業績はどうだったか、配当金が増えるのかどうかなどの短期的な還元を求められるということです。それ自体は経営者に規律をもたらすという観点から有用な面はありますが、当社が手掛ける技術サービスは今大きな転換点を迎えており、短期的な収益を気にしながらコツコツやっていてもじり貧に陥り、社会に提供できる価値が増やせず(=成長できず)、結局社員の皆さんのお給料も上げられないな、という思いがありました。非公開化は一般的イメージの点でデメリットは伴いますが、事業を大きく前進させていく点では有用です。必要な投資を機動的に行い、フェーズに合った人材を採用していく方針に大きく転換を図りました。個人的にも約40億円の借金を背負ったところからのスタートですから、そのくらいの覚悟で進めていこうと考えています。

社名に込められた、社員ひとりひとりが主人公となる人生と社会の実現に向けて

当社では「至る処に主体となり、企業が担う使命に応え、善き家庭をつくり、善き会社をつくり、善き社会をつくる。」を経営理念として掲げています。この理念の大本の考え方は、中国の思想家・孔子が説いた、「大学」という、国の統治の在り方について書かれた古典から来ており、その根源となるのは修身、すなわち個人としてちゃんと勉強して心を正しくもち、自分の身を修めることにあるということなのです。社名もまたこの精神性を反映したもの。「マイスター」は、職人をあらわすドイツ語を想起させることも狙いつつ、スペルは「my star」を採用し、各々が主役だと言っているのです。名付け親であり、中学卒業後夜学で電験三種を取得してゼロからここまで来た会長の想いとしては、まずは自分のことをちゃんとやりなさいと。その上で、自らの家庭、会社、社会の順番だと。裕福だから幸福であるというわけでもなく、個を尊びながらともに心地よくいることが幸せのベースであり、そうした場を作っていくことを自社の哲学的支柱に据えているのです。

社会を見渡すと、働く人の多くは労働集約産業に属しており、ほとんどの場合は「普通の人」が「普通」に働いているのです。見過ごされがちですが、世の中の産業はそれで回っています。我々の業界も含め、この大部分の人が社会基盤を大いに支えているにも関わらず、仕事の内容は少しわかりづらいものですし、「作業服の人」に対する偏見もあります。しかしみなさん、冷房や暖房が止まったら言わずもがな困るはずです。日々、問題なく機械のスイッチが入り、心地よい環境で過ごすために我々のメンテナンスの仕事がある。毎日使っているスマートフォンが当たり前に手に入るのも、その製造装置のメンテナンスがきちんとされているからです。この産業は環境負荷を減らす、エコなあり方でもあります。当然、ビジネスとしてしっかり成立した上での話ですが、こうしたメンテナンスに関わるエンジニアの社会的意義というものをより広く認識していただきたいですし、今後ジョインいただきたいと考えている方の力を借りてより効率的な仕組みづくりや、テクノロジー等を用いた新たな展開を目指していこうと考えています。

短期的な報酬ではなく、個人のマルチスキル獲得と業界革新をめざして

我々の業界では技術サービスという業態上、技能・技術を身に着けたエンジニアが退職することがままあることに間違いはありません。エンジニアを現場でOJTする以外に、きっちりと整理された研修プログラムを十分に提供できていない現状もあります。しかし、我々は旧来のそうした体制を一新し、きちんと修行の場を整え、技能・技術をしっかりと鍛えた上で卒業する流れを生み出すことを考えています。MBOにより私が支配株主になったからこそ「株主ラスト、社員ファースト」を声高に主張していきたい。そのために福利厚生や給与面の待遇を上げることも確かに可能ですし、打ち手の一つだとは思いますが、事業の性質上自ずと限界があります。それはより多くの価値を生み出してこそ還元可能なものと考えています。そこで、まずは社会的なバリュー発揮に向かって、色々な方々から感謝される一人前のスキルを身につける「道場」的なプログラムを組み、提供することから始めようと思っています。どこに行っても生涯通用するスキル習得を会社が支援すること、それが社員ファーストの本質です。一口に技能の世界といっても幅広いですし、時代によって次から次へと新しいものが生み出されていきます。そうした変化に随時対応していきながら、例えばファシリティメンテナンス分野であれば空調や水道、電気や消防などといった多岐にわたるジャンルでその価値が発揮できるマルチスキルを身につけてもらうことが理想。また、そうして複数スキルにわたる裾野を広げていくためにも、統廃合の相次ぐ関連分野でM&Aに資金を投下していければとも考えています。

GDPの構成要素は労働者数・資本、そしてその他全部の全要素生産性だと言われますが、私自身が思うに全要素生産性の部分にはテクノロジーが該当すると考えます。そうしたテクノロジーを活用して、現時点で問題になっている労働力人口の不足を解消するためには、その打開策を開発するスタートアップにも当然出資していくべき。そうしてIoT機器が情報を集め、AIが判断し、最後ロボティクスで対応する。ロボットでは、メンテナンスの現場で必須の各ステークホルダーとの調整は不可能であり、人間がやらなければいけないことが必ず残り、その価値は上がっていきます。生産性向上のためにはテクノロジーの推進と、それを使いこなす人材の育成は両輪です。一筋縄にはいきませんが、両方を一緒に進めていくべきだと考えています。

レガシー産業の未来を真剣に考える

50年の歴史ある会社ではありますが、今まではテクノロジーや教育に重きを置いた経営ではありませんでした。だからこそ、今からいろいろと埋めていかなくてはいけない状態です。しかしながら、それ故に思い切っていろいろとチャレンジしやすい環境でもあります。非公開化したとは言え、上場企業でしたから、良くも悪くも安定性があります。わかりやすくいえば、キャッシュフロー付きのスタートアップだと思っていただきたい。この技術サービス産業で、30代社長がMBOして、本気で業界のあり方を変えていこうとするところはまずありません。

真剣に成長させていこうと考えているからこそ、今、ともに抜本的改革をしていきたい。レガシー産業の変革の社会的意義は大きく、腰を据えて変革をリードしようという意識高い若手の皆さんに是非、ご参画いただけたらと思います。

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