◆内定者合宿研修~ライフデザインワークショップ~◆
よく使うけれどいざ問われると曖昧な、「成長」という言葉の意味。
成長とは何なのか?成長という概念はどう変化していくのか?これを少しでも解き明かすことができれば、より良い人生を送る「ライフデザイン」のヒントが得られるはず。
MS&Consultingの2020年卒内定者研修では、奥多摩の大自然の中、同期間の親睦を深めながら1泊2日で考察を深め、「成長」という簡単そうで難しい概念を紐解くことに皆でチャレンジしました。
後編では、「成長とは何か?」について多様な年代の方へのインタビューを基に考え、辿り着いた答えをご紹介します。
↓↓ 前編~研修の意図と全体の流れ~はこちら ↓↓
成長を考えるためのヒント
インタビュー課題
今回の研修の開催にあたり、[20代未満・20代・30代・40代・50代以上・親・先輩社員]合計46名に、次のインタビュー取材を行ってもらいました。
<質問1> 過去どんな時に成長したと思いますか?
(2つ以上のエピソードを教えてもらうこと/過去を振り返ったとき、今思えば成長のきっかけとなったエピソード、または、最近成長を実感したこと)
<質問2> 今のあなたにとって「成長」とは?
これを基に、各自がインタビュー報告とともにインタビューを通じて考えた、「成長とは何か?」の気づきを報告。以下に気づきをまとめました。
成長とは何か?インタビュー報告
<一人目>
1. 自分と向き合うこと、チャレンジすることが成長を促す。
2. 成長は、行動の結果として得られるものであり、達成感を伴う。
3. たくさんの人とコミュニケーションを取ることが鍵になる。
4. 他人と比べすぎないほうが良い。
<二人目>
1. 全てが計画的に得られるわけではない。やってみないと分からないことがある。
2. 環境や人との触れ合いによる視野や価値観の広がり、責任の変化への対応が成長を促す。
3. 自分は自分のためだけにあるのではないと気付いたとき、成長を実感できる。
4. 何かが終わり、何かが始まる間のニュートラルゾーンで成長は起こる。
5. 成長は常に実感できるものではない。もやもやした期間があり、その先に成長がある。
<三人目>
1. 何らかの目標を達成すると成長できる。
2. 目標の高さと成長の大きさには関連性がある。
3. 大きな成長を得るためには相応の意欲と努力が必要。
4. できることが少なく、環境変化が多い若年期の方が成長を実感しやすい。
5. できることが多くなり、環境の変化が少なくなる壮年期に近づくほど、能動的に目標を設定しないと成長を実感しにくい。
6. 人として成熟していくにつれ、「人間的成長」など抽象度の高い成長を意識するようになる。
<四人目>
1. 年齢に関係なく、成長を感じる場面には共通の要素がある。
2. できなかったことができるようになったとき。
3. 今までになかった新しい経験をすることで、物事の考え方・感じ方が変化したとき。
4. 成長は短期的な出来事よりも、小さな積み重ねの末に実感できることが多い。
5. 特別な意識は必ずしも必要ではなく、環境の変化によって引き起こされることが多い。
6. 新しいことを経験し続けていくことで成長しやすくなる。
<五人目>
1. 子供をもち、子供の成長を感じることが自分自身の成長実感につながる。同時に、親への感謝の気持ちが持てるようになる。
2. 同様に、部下や後輩の成長を感じることが自分自身の成長実感につながる。同時に、上司や先輩への感謝の気持ちが持てるようになる。
3. 過去の自分と今の自分を比較することで成長を感じられる。
4. 子供をもつと、自分よりも子供のことが優先になり、人生の優先順位が変わる。自分のことよりも誰かのことを優先して考える経験が、人を人間として一回り大きくさせる。
<六人目>
1. 成長には能力面と精神面の2種類がある。
2. 新しいことへの挑戦が成長を促す。
3. 成長は目的や目標に近づくことで得られる。
4. 成長そのものは目的にはなり得ず、何かのために努力した結果として得られる。
5. 目標がありそれを達成できたとき、他人から評価されたとき、誰かの成長に自分が貢献できたとき、成長を実感しやすい。
6. 成長することで人生が充実する。
<七人目>
1. 成長するためには、苦手なことに取り組んだり、苦しい思いをしないといけないこともある。
自分で考えて行動するとより成長できる。
2. つらさや、失敗や挫折を経験することで人の気持ちが分かるようになり、人に優しくなれる。考え方が変わると、これまで見えなかった世界が開ける。自分の無知を知ることで好奇心が生まれ、新たな考えを吸収しやすくなる。これらのことが成長に結び付く。
3. 成長は段階的に認識できるものではなく、ある程度成長したところで認識できるもの。
4. 過去の自分と今の自分を比較したとき、成長に気付くことが多い。
5. 年齢を重ねる毎に、成長を実感するのは難しくなっていく。
以上が内定者それぞれの気づきです。これらを基に話し合いをしていった結果、
「成長とは、人間力を高めること。 より良い人生に向かうこと」
という共通の方向性が見えてきました。
成長に必要な7つの要素
各自の気づきやエピソードから得たヒントを融合させ、KJ法(※)を使って検討していった結果、成長に必要な要素は年齢に関係なく「7つ」にまとめることができるという結論に至りました。
成長の7要素
1.新しいこと・環境への挑戦
新しいことへの挑戦、環境の変化、人との出会いが成長のきっかけになる。
2.やることの質の向上
仕事や役割の質、必要な知識や能力の向上が成長の過程にある。
3.人に貢献する・人を育てる
人に貢献したり、人を育てたりすることが自分を成長させる。
4.人・社会からの評価
人に喜ばれたり、誰かに評価されたりすることで成長に気づく。
5.自分を客観視する
自分を客観視することで感謝の気持ちが生まれ、幸せに近づく。
6.見方・考え方の変化
人やものをみる視点や考え方が変化すること自体が成長の要素。
7.人生の意味を見つける
生きることそのものの意味を見つけることが究極の成長。
これらに自分の状態を照らし合わせると、今後の成長に必要なことが見えてきそうです。
※KJ法・・・多くのデータやアイデアをカードに書き出し、チームワークでグルーピングしながらまとめ、新たな着想を得る発想方法。文化人類学者の川喜田二郎が考案。
成長の感じ方と年齢による変化
ここまで、年齢に関係なく共通する要素をまとめましたが、年齢によって成長の感じ方が違いそうだということも全員一致の見解でした。
ここでいったん意見を整理すべく、内定者の議論をサポートしてきたメンターの高田からもヒントを。
成長を実感する機会
成長を実感する機会には、大きく次の3つがあることが見えてきました。
1.自分の変化
自分自身の明らかなスキルアップや、意識の変化があったとき
2.周囲の変化
環境や接する人の変化があり、影響を受けたとき
3.内省
立ち止まって振り返り、考えることで自分を客観視したとき
成長のタイミング
では、成長はどのようにして起こるのでしょうか。
整理してみると、次のような視点が見えてきました。
意識的 vs 無意識的
成長は何かの目標を意識することで着実に得られることもあれば、その時は分からず後になってから自覚できることもあります。
能動的 vs 受動的
成長は自分の積極的な行動や努力によって得られることもあれば、周囲の人や環境の変化などから結果として得られることもあります。
利己 vs 利他
成長は自分のスキルや能力を高めていった結果として得られることもあれば、人とのかかわりの中で育まれたり、誰かのために頑張った結果として得られたりすることもあります。
成長の仕方に正解はありませんが、自ら成長の機会をつくり出していくことはできそうです。
精神状態を安定に保つために
以下は、「成長のタイミング」の視点をマトリックスで整理してみたものです。自ら成長の機会をつくり出していくことで、自分の得たい成長や環境を得やすくなり、精神状態が安定するのではないかと考えました。
歳を重ねることによる成長実感の変化
インタビューを通して、歳を重ねる毎に成長を感じることは少なくなりそうだとメンバー達は考えました。それは、新しい環境に身を投じることや、新しい人との関わりが少なくなるからかもしれません。獲得した知識やスキルも多くなり、それを発揮することで貢献できることも多くなっていくでしょう。
しかし、若い時ほど成長できて、歳を重ねるほど成長できなくなるのかというと、そういう訳ではないはず。
その秘密に迫ろうとを議論を進めていくと、歳を重ねるほど、自分ではコントロールできない要素(他者の成長や幸せ)が増え、その分”内省”のレベルが高まっていくのではないかという結論に至りました。
これを図で表すと以下のようになります。
※30代に入る頃から、他人の成長や幸せを自分の成長や幸せに感じることがより多くなり、60歳頃からは再び自身の成長(内省)を意識するようになっていくのではないか、というひとつの仮説です。
自分への落とし込み
最後に、社員も含めた全員が「入社後の成長」または「これからの成長」について考え、フリーフォーマットに整理。
一人ずつ発表し合い、互いの成長目標を共有しました。
メンターとして参加した社員からも、自らの成長目標共有とともにひと言ずつ。
ここで、参加メンバーの発表内容をご紹介します。
短期的には、分かりやすい資料づくりができるようになりたい。そして長期的には、地元にいる後輩を育てる。そのために、経験を積みながら仲間を巻き込んでいけるようになる。日常的には、傾聴と内省を意識したい。
短期的には、与えられたものを120%で返す努力をする。中期的には、もっと利他的な人になり、他人を成長させられるような人になりたい。そして、自分の幸福度がMAXになるバランスを見つけたい。
20代は、与えられた仕事はどんなことでもちゃんとこなす。それを通じて、自分が何に向いているのかを知り、その先やっていきたいことへの見当を付ける。40代までに、一通りのスキルと経験を身に付け、50代には周りの人に還元できるようになりたい。
クライアントと喜びや幸せを分かち合えるような人になりたい。周囲の変化に気付き、勉強会に参加したり本を読んだりしてスキルアップしていくことで、人の役に立てるように。そして、幸せの質を上げていきたい。
物事を整理・分析する力。そして、お客様や仲間との対人力に磨きをかけたい。そして、自分への戒めとして、やり遂げる力を鍛えていきたい。
話しかけたくなる、仕事を任せたくなるような、信頼されるリーダーを目指したい。そのために、任された仕事を精いっぱいやり、得意なことを見つけ、それを軸に仕事の幅を広げていきたい。
目の前の仕事に対して、能動的に取り組んでいきたい。入社後も、今回整理した成長の要素を振り返りながら、目の前のことに全力で取り組んでいきたい。
新しいこと・環境に挑戦していこうと思う。そして、人の育成と貢献の度合いをより大きくしていきたい。
成長は組織から求められるものという側面もあるが、それ以上に、自分の幸せのために自分の内側から求められるものだと分かった。自分の思うこと、好きなことを発信していき、愛・魅力・情熱を大切にして挑戦していきたい。
成長は家族からもたらされるものも大きいのだと知った。ゆくゆくは家族をつくりたい。そして、「一日3つの新しいことに挑戦する」という青年期からの習慣をこれからも続けていきたい。
人が活き活きと働ける環境をつくっていきたい。相談しづらいことでも勇気をもって行動に移すこと、やり切ることの2つを意識して、能力を磨いていくことで、周囲の幸せをつくっていきたい。
それぞれが、成長について新たな目標を気付きを得ることができました。
研修を終えて
普段、何気なく使っている「成長」という言葉。その概念をここまで探求し、納得感をもって明確にできたことは、私たち全員にとって価値ある体験となりました。
当社のバリューブック(MS&Cスタンダード)には、「成長は自動詞」という言葉があります。自ら成長の機会をつくり出していくことが求められる環境です。企画・運営を担当させていただいた私も、この研修を通して目指していきたい方向性を再認識しました。
前編、後編にわたる長文となりましたが、読者の皆様にとっても何か新しい発見や気づきがあれば嬉しく思います。
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