組織課題の解決を目指すベンチャーが、適性検査ではなく「FFS理論」を導入した理由 | 株式会社MJE
突然ですが「FFS理論」を皆さんはご存知でしょうか?「理論」と聞くと堅苦しく感じるかもしれませんが、実際はそうではなく、人と人との関係性を良くするために効果的な考え方・ツールです。 ...
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この春新社会人になる皆様、この度は誠におめでとうございます。
株式会社MJEでは、2021年4月1日に、新卒9期生の入社式をオンラインで執り行いました。
入社式の9期生は、人事部主催で7日間にわたって実施される「新入社員研修」に取り組む予定となっており、この記事の公開日(2020年4月9日)である現在も、絶賛研修参加中です。
昨年入社の2020年卒・新卒8期生より始まった、完全オンラインの研修
いったいどのような意図で、何を達成するために実施しているのでしょうか?
採用責任者で、現在は教育領域の業務も担当している、西に話を聞きました。
就活生の皆様は、よろしければ来年以降の社会人生活の参考にしてくださいね!
ーー今年の新入社員研修のコンセプトを教えてください
今回最も強化したのは「配属先の上司・先輩社員との関係性構築」です。
主なコンテンツとして、現在MJEで人材育成や配置を考える際に用いている「FFS理論※」を活用した、相互理解を深めるためのワークショップを実施予定です。
2020年卒の新卒8期生の以前の研修・教育領域の業務は、人事部の別のメンバーが担当していたのですが、今回の2021年卒の社員からは僕が主担当として動いています。
※FFS理論:
人間にあらかじめ備わっている思考や特性を、AからEの5つの因子で説明する理論。
FFS診断を受診することで、その人の思考特性が数値化された状態で明らかになる。
適性検査・性格検査とは性質が異なる。
▽FFS理論の解説は、下記記事にて掲載しています。
ーー「FFS理論」を用いた研修の、具体的な内容を教えてください。
まず新入社員に、自分の過去の経験と、その時のモチベーションの上下をグラフにした「ライフラインチャート」を作成してもらいます。就職活動時の「自己分析」にも用いられているフレームワークですね。
同様に、配属先の上司および先輩社員にも、あらかじめ「ライフラインチャート」を作ってきてもらいます。
▽ライフラインチャートの作り方を知りたい方はこちら
次に新入社員と、配属先の上司および先輩社員が一緒になって、作成したライフラインチャートをお互いに見合いながら、「何があったのか」という経験やその時の気持ちを振り返ってもらいます。
新入社員にはその前日にFFS理論の概要と、それを元に自己理解を深める方法に関する研修を受けていますし、また、受け入れ側もすでにFFS理論をインストールしています。なので、良い状態の時期・悪い状態の時期それぞれの要因を明かす際に、FFS理論の考え方を用いてもらえたらと考えています。
例えばFFS理論の5つの因子のうち、「E.保全性」が強く出る人であれば、モチベーションが高くいられた時期が「同じことを継続してやっている時期」で、その時の感情を深堀りした際に「できなかったことができるようになることが嬉しい」「成長の積み重ねに喜びを感じる」といったキーワードが出てくるかもしれません。
反対に、全く異なる因子である「D:拡散性」が強い方は、「ハイリスクな行動をいとわない」、「自由に動き回れる時に力を発揮しやすい」というエピソードが聞こえてくるのではないかと思います。
ある出来事・経験に対して「どのような反応をしていたか」「モチベーションはどのように上下していたか」を見て、お互いの人となりや性格、因子による捉え方の違いが把握できる。そのことがコミュニケーションのきっかけになってくれたら……という思いから、去年実施した自己理解ワークショップだけでなく、今年は相互理解ワークショップを実施する運びとなりました。
また、当日は僕も含めた人事部メンバー3名がオブザーバーとして同席予定です。
「この瞬間どう思った?」「その時どう行動した?」と、質問を投げかけることによって、気付きをアシストできたらと考えています。
ーー「配属先の上司・先輩社員との関係性構築」というコンセプトに至った理由は何でしょうか。
ディスコミュニケーション(コミュニケーション不全・すれ違い)によって生じる、防げたはずのモチベーション低下や離職を少しでも減らしたい、というのが大きな理由です。こちらは、他の人事施策で目指していることでもあります。
先輩や上司の人となりを知る機会は、何かきっかけがない限りなかなか作りづらいものです。ましてや今はコロナ禍で、一緒にご飯に行くことも難しい状況です。特にはじめのうちは、何かあった時に乗り越えられるか否かは人間関係にかかってくると思うので、研修で少しでも補填できるよう、関係性構築のためのカリキュラムを充実させました。
一方で、上司や先輩が「このメンバーはこんな経験を積んできたんだ」「ここにやりがいを感じるんだ」と把握してもらうことで、モチベートの方法やかける言葉一つとっても変わってくるかもしれません。
もちろん上記の形は理想型ですが、少しでも良い効果が現れてほしいです。
それから、昨年までとの大きな違いで言うと、今回入社する新卒9期生は最終面接の時以外、直接会社に来たことがありません。
内定式も内定者研修も全てオンラインで実施したため、MJEの社員はもちろん、内定者同士すらお互いに顔を合わせたことが無い状態です。
今までであれば、入社する頃には同期との間である程度の関係性が構築されていたため、現場配属後のまだタテのつながりが無い時でも「お互い頑張ろうな」というヨコのつながりがはたらいていましたが、今回はそこすらこの研修期間で構築する必要があります。
そのため、相互に話す機会の多いカリキュラムを増やしたという背景もあります。
ーー西さんは営業部から人事に異動後、長年採用業務に携わっていましたが、2020年下半期より教育領域も兼任することになりました。研修・教育における今後の展望はありますか?
昨年の人事施策は、オンラインにできるところは出来る限りオンライン化を進めました。そしてやってみたからこそ、反対に、アナログでおせっかいなコミュニケーションの良さも再認識しました。
なので2021年度は、オンラインを併用しながら、新入社員に接触する機会を今まで以上に増やしていこうと思います。
いざという時に新入社員から正しい情報を共有してもらうためには、ちょっとした出来事や今の状況を、人事メンバーと常日頃気軽に話せる関係性になっていないといけません。営業部と人事部は同じ大阪勤務であっても入居しているビルが離れているため、特にコロナウイルスが流行した昨年は顔を合わせる機会がぐっと減ってしまいました。
もちろん、「人事部に相談した事柄は必ず全て綺麗に解決される」というわけではありません。あくまで会社の経営戦略・全体最適の元に人事戦略はあるため、個別具体的な問題の解決が全体のためにならない場合もあるからです。
ただ、現状を見つめ直すための相談相手になったり、一緒に解決方法を考えることは人事部でもできます。オンライン施策も駆使しつつ、自分たちにできることを模索していきたいです。
それから、新入社員一人ひとりに斜め上の先輩(自分と同じ組織以外に所属する従業員)がついて、月に一度面談を実施する「メンター制度」を1年間きっちり実施したいなと考えています。
2019年から実施している取り組みではあるのですが、昨年は拠点間の往来自粛やお昼ご飯を食べるための外出の自粛などがあり、面談の機会を設定しにくくなってしまいました。その結果、実施者も私たちも「なぜやるのか」よりも、「やらない理由」の方に意識が向いてしまい、面談実施数が少なくなってしまったことが昨年度の反省です。
なので今年は面談実施前に、新入社員を受け入れる既存社員に対して「なぜメンター制度を行うのか」「どのような役割を期待しているのか」を改めて伝える予定です。
今回から既存社員側の参加者は公募制にしているのですが、ミッションを理解し、責任感を持って取り組んでもらうことで、コロナウイルス対策の制約を受けやすい状況下でもコミュニケーションの機会を優先的に確保してもらえるのではないかと考えています。
また、メンターが担当業務と並んで重要な仕事であることを示す意味で、メンター手当を支給する予定です。
今研修に取り組んでいる9期生全員が、MJEで働く意義を持ちながら活躍してくれるよう、今後も努力していきたいです。